オバマのアジア軍事回帰は失敗

(1) オバマのアジア軍事回帰は失敗に終わった
(2) 米国には二人の大統領が;オバマとカーターと
(3) 中国空軍、東中国海と西太平洋で今月二度目の大規模軍事演習
(4) 捕虜虐待を禁止したジュネーブ条約自衛隊PKO
(5) 日本のファシズム「翼賛政治を安倍が再発させた」

※1 ◆は参照報道;①〜はその要点で、論旨明確化と背景説明を加えた「意訳」です。敬称略。
※2 ※で始まる文章は私見です。
※3 Web登録後も関連報道などを追記します。


………(1) オバマのアジア軍事回帰は失敗に終わった………

◆Obama’s failed ‘Asian pivot’ leaves China ascendant | Simon Tisdall(ガーディアン)http://trib.al/4DrnOKA
オバマの「アジア回帰」は失敗した。
②台湾の首脳に選ばれた蔡英文の支持率は25%の下落した。原因は大陸中国
蔡英文民進党は「台湾独立運動の港街」であり、それが故に中国は台湾新政権との関係を首脳だけでなく官僚レベルまで凍結した。
④台湾を観光旅行する本土中国人が百万人単位で激減した。本土に工場を移した台湾大企業は優遇措置の停止に怯えている。
⑤台湾独立を標榜しながら大陸との経済関係を保ち深めるなど不可能だと北京は鮮明にしている。
※台湾も香港も学生や青年たちの声高な北京非難にも拘わらず、中国無しでは生きて行けないことを知ろうとしない、愚かだ。(ロイター別報道)
ベトナムは前首相による日本と米国への傾斜を北京に詫びた。北京はベトナムが米国や日本企業から多少の漁夫の利をかすめ取ることを黙認しているかにみえる。ラオスで開かれた東アジアサミットでも中国問題を取り上げる国は日本と米国以外には無かった。
⑦フィリピンは何もしなかったアキノ大統領、いや中国と有利な交渉をするためにハーグ仲裁廷を類用しろと言う日本の誘惑に乗せられ、観光と農業とイスラムテロで深刻な打撃を受け、後任は大統領選で惨めな惨敗。
⑧ドゥテルテ新大統領は米軍との南中国海共同哨戒を拒否し、「米軍の南中国海哨戒は中国を軍事刺激するだけで我が国を困難に陥れる」と声明し、中国との二国間協議の再開を希望し、その際ハーグ仲裁廷には一切触れないと声明した。
インドネシアの新大統領は日米の誘惑には乗らず、経済上の天秤にかける政策を取ろうと工夫しているが、基本は軍事はモスクワ、経済は北京なのだ。
⑩インドは上海協力機構に正式加盟し、BRICSの有力国としてもインド洋での覇権を確保。中国国境問題も、両国の軍・農家・企業の直接協議が重ねられ、印度・パキスタン・中国が連携したイスラム過激派との局地戦闘が行われている。
北朝鮮の核弾頭ミサイルの開発実用化はオバマの予想を遥かに越えていた。既に韓国・日本・グアムがその射程内に入り、命中精度も数百メートルと言われている。そして潜水艦発射ミサイル。韓国・日本がHTAADを配備しても無駄。
※南中国海で中国とロシアの合同軍事演習が実弾レベルで行われた。敵前上陸訓練や原潜追尾殲滅訓練もあった。同時に行われた米海軍演習に参加する国は無かった。
⑫日本の安倍晋三は「TPPがアジア回帰の最終的勝敗を決める」と米国で演説したが、4人の米大統領候補者全員が反対であり、米議会も反対多数なのだ。そこに英国のEU離脱、これで欧州とのTTIPも終わったかに見える。
⑬カナダのトルドー首相はTPPを見限ったのだろう、訪中し習近平主席にAIIB参加を希望し「一帯一路」建設への参加を懇請した。カナダを訪問した李克強首相はカナダと中国のFTA交渉を開始すると声明した。
◆李首相、カナダのトルドー首相と中国・カナダ経済協力フォーラムに出席(CRI)
http://japanese.cri.cn/2021/2016/09/25/161s253912.htm
➀両首相は貿易規模の更なる拡大についてコンセンサスを得ることが出来、両国の自由貿易区(FTA)をめぐるフィージビリティスタディをいち早く開始することで意見が一致した。

◆China, Cuba agree to deepen ties during PM Li's Havana visit(ロイター)
http://reut.rs/2d8iyLy  pic.twitter.com/sk4JdE1Skh
李克強首相がキューバ訪問
習近平主席は2014年に訪問
③今回30余りの覚書に調印ー科学技術、環境技術、医療、農業分野での協力
キューバにとって中国はベネズエラに次ぐ貿易国で、年率5割増が続く。
⑤先週は安倍晋三が訪問し、経済支援を申し出ている
※安倍の狙いは中国とキューバの分断、ないしはキューバから中国に北朝鮮制裁圧力を掛けさせることにある。
◆李首相、キューバラウル・カストロ議長と会談(CRI)
http://japanese.cri.cn/2021/2016/09/25/161s253920.htm
写真はロイター

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写真はAFP

◆日本の首相として初のキューバ訪問、狙いは北朝鮮と経済成長(TBS)
http://cgi.tbs.co.jp/n/C46H  #tbs #tbs_newsi
※迷惑そうなカストロ(弟)首相。安倍の相手など時間の無駄だが、世界的に評判が定まった「東条英機マニア」ぶりと、彼の独裁政治の甘い蜜を少しならゲットしても悪くないだろうという野次馬的好奇心で対応しているのだろう。


………(2) 米国には二人の大統領が;オバマとカーターと………

◆ラブロフ外相「米軍はオバマ大統領のことを聞いていない」(スプートニック)
http://jp.sputniknews.com/politics/20160926/2823806.html
➀「米軍最高司令官オバマ大統領はロシアとの協力を支持し、杭州での米ロ首脳会談で自ら断言した。おそらく、米軍部は最高司令官の言うことをあまり聞いていない」
②「絶えず米軍から批判されるケリー国務長官の状況は簡単ではない」ラブロフ

※米国には大統領が二人=「オバマ大統領」と「カーター国防大統領」
・中露の外相がIS作戦での共闘に合意すると、米軍がISと結託しシリア政府軍を「誤爆
オバマ側が中国との軍事と経済の協調を協議すると、カーター側は南中国海で再び大軍事演習
・中国が拘束力の少ない北朝鮮制裁(安保理決議)に同調すると、カーター側が韓国で水爆搭載可能なB2爆撃機示威飛行

オバマとケリーが世界に平和を訴え、中露との協調路線を唱えると、即座に米軍が軍事危機を作り出して、協調路線を破壊する。ケリーはカーター側から脅されているのだろう、ケリー発言はころころ揺れ動く。

カーター側は韓国軍(日本の陸軍士官学校系が色濃い)幹部と安倍晋三稲田朋美)を掌にして朝鮮半島と南中国海を軍事衝突寸前に追いやる。安倍晋三は狡猾だ。稲田にカーター側の忠実な将校を演じさせ、自分はプーチンと関係を結んでオバマ側でもあるかの風評を撒き散らす。

◆‘Coincidence ISIS launched offensive straight after US strike on Syrian troops?’(RT)http://on.rt.com/7pm8
◆Moscow says strikes on Syria army threaten U.S.-Russia ceasefire plan(ロイター)http://reut.rs/2cIa3Gz

※ラブロフとケリーが「シリアの一時停戦・IS空爆継続・米露軍協調」を約束した。ところが米空軍機がアレッポのアサド軍を空爆し、多数の死者。

米軍は平然と「誤爆」だと言い放った。米軍は「誤爆」の天才なのか?
1999年にも、ユーゴスラビアの中国大使館を精密に「誤爆」し、平然としていた。
米軍は「ならず者」である。

シリア政府は米軍を「誤爆」させた米軍とISの更新を傍受している。米軍はアレッポのアサド軍を選択的に執拗に攻撃した。現地米空軍には、以前のアフガン国境なき医師団診療所を1時間半攻撃したときと同様に、アサド軍を「誤爆」と言って攻撃してしまえという流れができているのだろう。

その流れを作ったのが、カタールの米中央軍幹部なのか、それともワシントンの国防省のカーターを含む高官なのか? カーター国防長官は生え抜きのペンタゴン軍事官僚である。

少なくとも現在の米国には「二人の大統領」が存在する・・・一人は「オバマ大統領」で、中露との協調を経済でも軍事でも進めようとする。二人目は「カーター国防大統領」で、ラブロフ外相や王毅外相との合意を破壊したいペンタゴンを代表する。

南中国海でもオバマ/ケリーとカーターは全く対立し、中国との協議を吹き飛ばす南中国海で中国を軍事威嚇している。カーター国防大統領の手下は稲田日本軍だ。

稲田朋美氏の「深く介入」に見る日本の焦燥心理(人民日報)
http://j.people.com.cn/n3/2016/0921/c94474-9117548.html
➀稲田防衛相はカーター国防衛長官と会談し、日米合同の南中国海巡航を発表した。
②だが米国防総省ウェブサイトはこれについて一言も触れず、会談後の記者会見でも稲田氏は質問に言葉を濁し、明言を避けた。
③日本アジア安全保障会議(シャングリラ)で南中国海諸国の海洋軍事能力建設への「支援」を承諾し、ベトナムの南中国海偵察能力を高める監視衛星打ち上げを支援し、政府開発援助(ODA)を軍事支援に利用している。これは南中国海問題でASEANに対中非難させるための策動だ。
④だが、国際情勢は微妙に、いや劇的に変化した。フィリピンのドゥテルテ新大統領による「外交上の米日からの離反」「米比合同哨戒不参加」、「中越合意」による南中国海紛争の沈静化などだ。
⑤すると、日本は態度を豹変させ、米国との南中国海「合同巡航」を主導的に喚き立て、「中国掣肘を主導」へと変わった。これは「世界の政治、軍事大国への野心」の段階的推進の現れだ。
⑥安倍日本は「憲法の歪曲解釈」と、新たな「日米防衛協力指針」、「新安保法案」可決などの一貫した措置によって、自衛隊を域外国・地域で軍事介入できるようにしてきた。
⑦これらの行為は国際秩序と国際法に対する重大な挑発だ。南中国海の一部の国を煽動して、「中国に掣肘」を加え、東中国海方面での対日圧力を軽減することを狙ったものであり、米国の「アジア太平洋リバランス戦略」という「虎の威を借りて」、1936年の『国策基準;南進戦略』を再開するものである。
⑧日本の「大国への拘り」は「軍国主義の復興」と入り交じり、極端な右傾化行為の「上部構造」を決定づけている。
⑨稲田氏は安倍氏の信頼の厚い「有能な腕利き」であり、「後継者」の立場を獲得する可能性が高いとされる。したがって、日本の挑発行為は長期間激化する可能性がある。
自衛隊が南中国海で米軍の「航行の自由」作戦に参加した場合、中国の譲れぬ一線を越える。中国側はこれを断じて容認しない。


………(3) 中国空軍、東中国海と西太平洋で今月二度目の大規模軍事演習………

中国とロシアの海軍が南中国海で大規模な実弾軍事演習を実施したが、空軍も東中国海と西太平洋で大規模軍事訓練を二度実施した。

◆Chinese Air Force dispatches more than 40 aircrafts to West Pacific for routine drill, bombers & fighter jets patrol East China Sea ADIZ(CCTV)https://twitter.com/cctvnews/status/780005842372263936/photo/1
➀中国空軍が東中国海と西太平洋で大規模な軍事演習
爆撃機や戦闘機など70機が東中国海で実弾演習
爆撃機と大型戦闘機は西太平洋にも繰り出して演習をおこなった。

◆China air force holds drills in Western Pacific for second time this month(ロイター)http://reut.rs/2d9sFxx
➀中国空軍が今月二度目の西太平洋での軍事訓練
②40機の爆撃機と護衛戦闘機隊が日本の沖縄と宮古島の間の国際水道を通過し、西太平洋で軍事演習
③同時に東中国海の東海航空識別区内での大規模巡視飛行も行われた。

◆中国軍「40機超、宮古海峡を飛行」西太平洋で大規模訓練(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12577505.html?ref=pcviewer
防衛省発表「中国の戦闘機に護衛された爆撃機が沖縄と宮古島の間を往復した。戦闘機をスクランブル発進させたが領海侵犯はなかった。日本の防空識別圏内だが、飛行するとの事前通報は無かった」。

自衛隊は上海まで10分の所まで防空識別圏を設定し偵察飛行。
 そこに中国も航空識別区を設定し事前通報を要求。
 自衛隊は事前通報要求を無視。
 故に、中国空軍も自衛隊防空識別圏を無視した。

※J-11(Su-30)戦闘機は航続距離3,530km(機内燃料のみ)
 H-6(Tu-16)爆撃機は航続距離7,200km(機内燃料のみ)
 浙江省の基地と宮古島・沖縄国際水道の距離は約550km


………(4) 捕虜虐待を禁止したジュネーブ条約自衛隊PKO………

◆後方支援の自衛隊員、捕まったら…捕虜扱いされぬリスク(朝日)http://dlvr.it/MKnCdG
ジュネーブ条約で交戦国兵士の捕虜は生命が保証され、一切の虐待禁止
※違反した旧日本軍捕虜収容所の役人多数がBC級戦犯で死刑
②しかし、日本国憲法は軍隊保持を禁止し。自衛隊員は兵士ではなく、テロ集団がジュネーブ条約戦争犯罪として処罰されることは無い。
自衛隊関係者には二つの対立する意見;
・現状の後方支援か自衛応戦はむしろ攻撃目標になりやすい。テロ集団は捕虜を身代金要求に使うだろう。憲法改正し正規国軍にすべきだ
憲法改正し正規軍になったらジュネーブ条約の対象となり、テロ集団は戦犯処罰を恐れ、捕虜とせずその場で殺すだろう。


………(5) 日本のファシズム「翼賛政治を安倍が再発させた」………

◆まるで北朝鮮 安倍首相所信表明に自民“総立ち拍手”の異様(日刊ゲンダイ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/190580
➀「北朝鮮みたいだ」小沢一郎
②とうとう、この国は“将軍サマ”を個人崇拝する独裁国家に。
自民党の補完勢力日本維新の馬場幹事長まで「異常だ。異様な光景だ」。
共産党幹部「二十数年国会にいるが、ああいう光景は初めて、気持ち悪い」。
⑤官邸の指示はなかったと聞いた。でも、自然に起きた方が薄気味悪い。北朝鮮というより、ナチス
スタンディングオベーションは『わが国の領土、領海、領空は、断固として守り抜く』『現場では、夜を徹して、海上保安庁、警察、自衛隊の諸君が、任務に当たっている。彼らに対し、いまこの場所から、心からの敬意を表そうではありませんか』と、安倍首相が呼びかけた後、発生している。
政治学者の五十嵐仁氏「独裁は歓呼と歓声の中から生まれます。ついに一線を越えてしまった。安倍首相がスタンディングオベーションを促すたびに、自民党議員は応じざるを得なくなるでしょう。立ち上がらないと白い目で見られてしまう。独裁体制は、こうして生まれます。⑧「しかも、ただでさえ社会がキナ臭くなっているのに、今回、自衛隊をたたえた後、起きている。非常に危険な構図です」五十嵐仁(日刊ゲンダイ