(再掲)ポツダム宣言、無条件降伏、国連憲章敵国条項、日中共同宣言

1) ポツダム宣言
2) 無条件降伏
3) 国連憲章敵国条項
4) 日中国交回復共同宣言以降
5) 安倍の願望は「中国との軍事衝突」
※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点

………(1) ポツダム宣言………

昭和天皇は外務省や陸軍参謀の瀬島龍三をスイスやモスクワに派遣して、半年以上もの間日本降伏の条件交渉を試みた。それは全て無視され、1945年3月にソ連が日ソ平和友好条約の破棄を通告。だが、日本は特攻を重ねた。

日本は➊国体護持(天皇専制国家の継続)➋日清戦争日露戦争で得た植民地の維持➌満州帝国は放棄やむなしという条件を連合国側に伝えたが、それは1943年のカイロ宣言で拒否されていた。そして日本人の「特攻精神」の怖さを思い知れと数千人の若者に「自爆攻撃」を強制していた。

連合国にとって「特攻自爆攻撃」が恐怖であったのは最初だけ。すぐに「七面鳥を散弾で落とす」防御に成功していた。日本は戦艦大和沖縄戦に「特攻」させたが、無残で残酷な殲滅に遭った。

沖縄が陥落し、ナチスドイツが消滅しても、日本は「国体護持」だけを唯一の条件に和解協定を成立させようと意図し、それを連合国に飲ませるために、婦女子にまで「竹槍特攻」を訓練し、それは連合国に「異様で理性の通じない日本人」と思わせた。

「特攻」で屍を積み重ねる「異様で理性の通じない日本人」に対しては、国際戦争法は通用しないと連合国は結論し、➊原爆投下➋ソ連参戦の準備を完了させ、1945年7月26日に最後通告。これがポツダム宣言の発出である。無条件で受け入れないなら、原爆を投下し、ソ連が参戦すると。

ポツダム宣言(1945年(昭和20年)7月26日連合国首脳)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%84%E3%83%80%E3%83%A0%E5%AE%A3%E8%A8%80
①日本国に対して今次の戦争を終結する機会を与える
②日本国に最終的な打撃を加える軍事態勢が整った。その軍事力は日本の全抵抗が止むまで戦争を遂行する決意によって構築されたものだ
③5月に「ナチス」ドイツが荒廃に帰した結果よりも更に重大な攻撃(原爆投下とソ連軍参戦)が日本に対して準備された。連合国の軍事力を最高度に使うなら、日本本土は完全に壊滅することを日本は認識すべきだ。
④日本の決断は二者択一である。
無分別な打算を今後も繰り返し、日本帝国が滅亡の淵に陥るまで、傲慢なる軍国主義者に寄りかかるのか/又は理性を回復して日本の国カ再建に転じるのか
⑤連合国の日本に対する条件を次に述べる。連合国は以下の条件からの一切の逸脱や遅延を認めない。条件の一部を否定することや、条件の解釈変更を認めない。これは最後通牒である。
⑥連合国は、日本国国民を騙し、世界征服の挙に出るという過誤を犯させた者の権力と勢力を永久に除去する。
➆(軍国主義者と同調者が駆除され、理性的で平和主義の)新日本に生まれ変わるまで、連合国は日本占領を続ける。
⑧「カイロ」宣言の条項は履行されねばならない。また、日本国の主権は本州、北海道、九州及四国並に「連合国が決定する諸小島」に局限される。
⑨日本軍は完全武装解除されたのち、兵隊の各自には家庭に戻り平和で生産的な生活を営む機会が与えられる。
⑩連合国は、連合国の俘虜を虐待した者を含む一切の戦争犯罪人は厳重に処罰する。日本政府は国民の民主主義的傾向を復活させ強化するための一切の障礙を除去し、言論・宗教・思想の自由並に基本的人権の尊重を確立しなければならない。
⑪日本の経済を維持し、公正なる賠償金を支払うための産業は維持を許可される。ただし、再軍備につながる産業の維持は認めない。これらが実現された将来において日本は貿易に復帰を許可されるだろう。
⑫以上の諸目的が達成され、かつまた、日本国民が自由に表明できるようになり、更にまた、平和的傾向のある責任政府が樹立されたならば、連合国は占領を解除し撤退する。
⑬日本政府が自ら完全武装解除し、無条件降伏を宣言し、かつまた、完全武装解除と無条件降伏の諸条件を遵守し履行する誠意を行動で示し、その完全達成を保障する証拠を提出することを要求する。この要求に応じないことは、日本国が完全なる壊滅を自ら選択したことになる。

カイロ宣言(1943年)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%AD%E5%AE%A3%E8%A8%80
①米英中の三首脳が以下に述べる対日戦争方針を協定した。
②米英中は野蛮な敵国に仮借なき弾圧を加える決意を表明した。その体制は整いつつある。
③日本国の侵略を制止し処罰する戦争をしているのであって、利権や領土の獲得を目的としていない。
④日本国が1914年の第一世界大戦開始以降において奪取か占領した太平洋の島嶼の全てを剥奪する。また、満洲・台湾・澎湖島のような、日本国が清国人より盗取した一切の地域を中華民国に返還させる。
⑤また、暴力と貧慾によって略取したすべての地域から、日本は駆逐されなければならない。
⑥米英中は朝鮮人民の奴隷状態に留意し、朝鮮を自由な独立国にする決意である。
➆米英中は日本と交戦中の諸国と協調して、日本が無条件降伏するまで長期戦争を持続させる。


………(2) 無条件降伏………

日本はポツダム宣言の中に「国体護持」が無いので、これを無視すると短波で回答した。原爆が投下され、ソ連軍が進撃した。昭和天皇はようやく無条件降伏―ポツダム宣言の無条件受諾を決断し、8月14日にNHK短波放送で受諾を声明し、「玉音」を録音し、8月15日正午にNHKが放送した。

昭和天皇の「玉音」は現在の安倍晋三と同じであり、「侵略」と認めず、「謝罪」もせず、ただ「お前たち国民の努力不足で戦況不利に陥り、降伏のやむなきに至った。だが朕は赤子である国民を思ってこの屈辱に絶える故に、国民は更に一層の困苦に耐えるべし」などと無責任な内容だった。

問題は、この昭和天皇の「玉音」に反発の一つも起きなかったことである。それが今になって、安倍晋三を二度目の最高権力者に押し上げたと言える。安倍晋三とは、70年前に日本人が本質的な個人反省を忘却した咎が産み落とし育てた、極めて危険な毒物である。

安倍は虎の威(米国)を借りなければ、強がり一つ言えない脆弱さがあり、それを認識している。故に狡猾な手段を弄して米国を籠絡し、米国流の「民主主義」「国際平和」「国際法」を鎧の上に羽織っている。その羽織は安倍の過去発言の訂正を要求されるとそれを拒否することで暴露される。

安倍は鎧を強化し直し、偽りの平和で羽織を纏った。過去発言の訂正を拒否し、鎧の正体をちらつかせて、執拗に陰湿に攻撃する。中国と韓国とロシアは、安倍と日本民衆を峻別して分断するほかに有効な手が無い。いや、無視して「ユーラシア新経済ベルト」建設に邁進するだけでも安倍には致命的だが。

安倍が憲法破壊計画を言いだすと、WWⅡの連合国であり、国連安保理事会で拒否権を持つ中露は、抗日戦勝と反ファシズム撲滅戦勝70周年を大規模に祝うことにした。9月2日がその日。昭和天皇大本営の代表が戦艦ミズーリ甲板でポツダム宣言無条件受諾に署名した日なのだ。

9月2日はロシアも参加して中国で記念式典と閲兵式が挙行される。そのために、中国軍は数百機の戦闘機を出動させる訓練を実施した。

両国の式典目的は『ポツダム宣言』を安倍に受諾させることにある。宣言の核には「侵略戦争と虐殺の犯罪性断定」「日本領土の局限化」があり、前者は慰安婦問題や南京大虐殺などの犯罪性の認定と八紘一宇戦争犯罪性を指弾し、後者は南千島竹島尖閣の領土主張権を放棄させたからだ。

1945年8月15日、天皇ポツダム宣言を受諾し、無条件降伏する詔書を全国放送で伝えた。安倍氏ポツダム宣言をつまびらかに読んでいようといまいと、日本は当時ポツダム宣言の一字一句を受け入れたことで降伏が認められ、初めて再生の道を得たのだ。

◆日本無条件降伏文書(1945年9月2日 東京湾の戦艦ミズーリ号甲板にて)
①米中英首脳が1945年7月26日に発し、後にソ連首脳も参加した『ポツダム宣言』の各条項が、日本の天皇・日本政府・大本営よって受諾され、それらの名代によって署名された。以下、米英中ソを「連合国」と記述する。
②日本帝国大本営は、国の内外を問わず一切の日本国軍および日本国の支配下に在る一切の軍隊に対して、連合国に無条件降伏を命令すること。
③連合国は、日本国の内外を問わず、一切の日本軍と日本人に対する敵対行動を直ちに終止する。全ての船舶・航空機ならびに軍用/非軍用の財産を保全し毀損を防止する。本国政府の諸機関は連合国最高司令官が命じ又は指示する一切の要求応じること。
④日本帝国大本営は、各軍隊の指揮官に対して、無条件で降伏する旨の命令を直ちに発すること。
⑤日本の全ての官庁・陸軍及海軍の職員に対して、連合国最高司令官の命令およびその委任機関が発した全ての布告を遵守し施行することを命じる。日本の全ての官庁・陸軍及海軍の職員は連合国最高司令官の命令およびその委任機関が解職を布告するまで、現状の地位に留まり、非戦闘的任務が命じられる。
⑥『ポツダム宣言』の各条項を誠実に履行すること。ならびに、『ポツダム宣言』を履行するために、連合国最高司令官または他の特定の連合国代表に要求された事項の一切の措置を天皇日本国政府および其の後継者に命じ、履行させることを約束する。
➆日本帝国政府および大本営に対して、全ての連合国俘虜および被抑留者を直に解放することを命じる。かつまた、その保護・手当・給養および指示された場所への即時輸送措置を命じる。
天皇日本国政府の国家統治権限は、本降伏条項を実施する為に適当と認められる措置を執るところの、連合国最高司令官の制限下に置かれる。
【以下、署名】
(1) 千九百四十五年九月二日午前九時四分日本国東京湾上ニ於テ署名ス
大日本帝国天皇陛下日本国政府ノ命ニ依リ且其ノ名ニ於テ 重光葵
・日本帝国大本営ノ命ニ依リ且其ノ名ニ於テ 梅津美治郎
(2) 千九百四十五年九月二日午前九時八分東京湾上ニ於テ合衆国、中華民国、聯合王国及「ソヴィエト」社会主義共和国聯邦ノ為ニ竝ニ日本国ト戦争状態ニ在ル他ノ聯合諸国家ノ利益ノ為ニ受諾ス
聯合国最高司令官 ダグラス、マックアーサー
・連合国代表 合衆国、中華民国大英帝国ソ連、豪州、カナダ、フランス、オランダ、ニュージーランド


………(3) 国連憲章敵国条項」………

安倍による「尖閣実効支配」はポツダム宣言に違反する。広大な大陸棚の半分を分捕ろうとする軍事行為もポツダム宣言違反である。それらを「中国に取られる、攻めてくる」と日本国民のナショナリズムを煽る。その行為は国連憲章が予想した日本帝国主義の再発である。

ポツダム宣言に違反する行為は日本の降伏を無効にする。WWⅡの戦争状態が、国際法上は再現されることになる。それを国連憲章は想定し、「敵国条項」として憲章の数十か所に埋め込み、「敵国条項」の廃止を不可能にしている。

国連憲章敵国条項」:
➊敵国=日、独、伊、ブルガリアフィンランド(タイは日本に脅迫されて加盟を余儀なくされたと認定)
➋敵国が戦争の結果確定した事項に対する違反や侵略政策の再現行動等を起こしたら、国連加盟国や地域安全保障機構は安保理の許可なく、当該国に軍事的制裁を課すことが容認され、この行為は安保理も制止できない。
➌日本に関して戦争の結果確定した事とは、カイロ宣言遵守、ポツダム宣言遵守、日本全面降伏文書遵守、ポツダム宣言に規定した日本領土局限化の遵守、極東軍事法廷判決遵守、再軍備禁止、平和憲法の遵守等

◆“日米同盟揺るぎないもの”示す必要性強調(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150728/k10010169191000.html
佐藤正久元防衛政務官「日本を取り巻く環境が厳しくなったという認識は、多くの政党が共有しており、いかに国民のリスクを下げ、そのためにいかに自衛隊に動いてもらうかという法案を出すべきだ。プラカードではなく法案を掲げるべきだ」。

安倍総理「中国が南シナ海において大規模な埋め立てを行っており、東シナ海におけるガス田の問題についても2008年の合意が守られておらず、尖閣諸島周辺の領海には中国の公船が侵入を何回も行っている状況にある」。

③安倍「こうした力による現状変更は行うことはできないということを、相手方に『理解させ』、平和的発展を進めていくことが重要。そのためにもしっかりと平和安全法制を整備し、日米同盟が揺るぎないものであることを内外に示して、この海域も含めてわが国の平和と安全を守り抜いていく」

安倍の国会答弁は大転換である。もしこの「本音」を春の国会で答弁していたら、日中関係は非常に険悪になり、中国は国連憲章敵国条項を発動し、自粛していた釣魚実効支配を上陸し軍を駐留させていたであろう。そのとき米軍は口だけで手も足も出せなかったであろう、クリミア半島のように。

尖閣」と「東中国海油ガス田」の実効支配を行えば、日本は国連から追放され、最悪は戦争である。日本に国際法大義は全くない。米国も常任理で中国を拒否できない。それが敵国条項であり、故に米国は腰が引けている。

そこで安倍は「戦場」を「南中国海」に移動させたのだ。中国の膨張主義の横暴さを南中国海で国際世論に晒し、日本は白馬の騎士を装って軍事介入する。中国軍と小競り合いでも発生すれば、国際世論を騙すことができる。そうなれば、東中国海の大陸弾でも自由にふるまえると皮算用

安倍は南中国海で中国に勝った気でいる。その証拠は「力による現状変更を、国際法ではなく、軍事力で威圧して、中国に不可能だと『理解させる』」という極めて威圧的な『砲艦外交』をすることが今回安保法案の目的であり、その動機は憲法制約を無視できる高度な政治判断だと言ったに等しいからだ。

そもそも「尖閣」を軍事的に「実効支配状態」に変えたのは日本である。中国は寝たふりをして、中国領土であると日本政府に公言させた場合の日本国内での苦境を救うための温情(棚上げ)であった。その温情の代償はガス田の開発負担であり、生産したガスの日本側の取り分であった。恩を仇で返す日本

◆政府 集団的自衛権は事前同意でも行使可能(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150728/k10010169311000.html
安倍『日本への攻撃の意思がない相手でも法律的には武力行使可能』と国会答弁。完璧なる憲法9条違反である。

日中国交回復共同声明(1972) 6.日本国政府及び中華人民共和国政府は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する。

日中平和友好条約(1978) 第一条 2.両締約国は、前記の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。

この日中間の公約で、「中国が軍事力などで尖閣や大陸棚ガス田の実効支配を行えば、日本政府には軍事攻撃する個別的自衛権が生じ、その際、米軍と共に中国を攻撃する集団的自衛権の行使も国際法上許可される」と安倍側は戦争の開始を正当化できると考えている。

この公約があるから、中国側は釣魚に海警船を巡航させたものの、中国軍の展開は控えてきた。しかし、自衛隊尖閣海域に入ると立場逆転。日本側が日中間公約違反の軍事的威圧を開始したと認められ、中国軍を釣魚に出動できる。だから、安倍側は米軍が居ないと負けるから集団的自衛権を持ち出す。

米国政府も米軍もアーミテージらもその点を調べており、安倍の傲慢さ丸出しの砲艦外交に腰が引けている。米国には巨大な経済損失にもかかわらず、何ら得るところなく、米兵士を犬死させるだけ。それに中国は米国と対等の拒否権を持つ安保理事会常任国。そして最後には、米国憲法の縛り。


………(4) 日中国交回復共同宣言以降………

中国はロシアや米国ほどには軍事に依存しない。軍に金を使わない。厳密な意味で現政権は宋や明と同様に侵略意図が無い。南中国海も宋と明時代にアジアからインド洋へと広がる定期貿易船の為に領有した島をフィリピンやベトナムにこれ以上盗られたくないという専守防衛に過ぎない。

いわゆる「尖閣」(釣魚)領有権の棚上げという日本人を誤解させた言動も、軍事に使う金を経済興隆に回す中華民族の歴史的伝統の継続。ポツダム宣言の無条件受諾をした日本には主権を主張する権利も放棄させている。釣魚も該当するが、安倍が中国主権を認め共同開発に応じるなら中国にもメリット。

「安倍が釣魚の中国主権を認める」が共同開発に応じる大前提。認めないのなら、中国は堂々と単独開発する国際法上の権利がある。安倍に中国主権を認めさせるには、安倍が得意げに声高に叫ぶ「国際法遵守」を逆手にした「ポツダム宣言無条件受諾(全面降伏)」を活用できる。

ポツダム宣言」と「無条件降伏文書」とそれらを再確認した「日中国交回復共同声明」や「日中平和友好条約」等の日中基本4文書と、昨年末に習―安倍会談実現の条件としての「日中4項目共通認識」など、国際法に基づく日中公式文書に事欠かない。ポツダム宣言は日中政府間で綿々と繋がっている。

だから安倍に「ポツダム宣言」の無条件受諾を追認させることから全てが始まる。同宣言を追認させたら、「侵略戦争の犯罪性」も「南京大虐殺否定の犯罪性」も「釣魚の国際法違反の実効支配」も「南中国海への不当介入」も国際法大義で打破できるからだ。

ポツダム宣言は「中日関係の法律的基礎」だ。同宣言の否定は「(1972年の日中国交回復共同声明や日中平和友好条約など)四つの政治文書の基礎を否定することになる」。その否定は、日本の無条件降伏から現在まで70年の長きに及ぶ平和と繁栄の停止をも意図するものである。

そして、安倍政権が進める安保法制は「日本の戦争権を制限したポツダム宣言戦争放棄を定めた日本国憲法に違反する動き」である。日本の侵略戦争敗北70周年にあたる今年、日本右翼は蠢動し、歴史への挑戦を企て、白黒を逆さまにしている。身の程知らずの悪事である。

◆日中基本4文書1 日中国交回復共同声明(1972年 田中角栄首相と周恩来首相)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_seimei.html(外務省HP)
①日本国と中華人民共和国との間のこれまでの不正常な状態は、この共同声明が発出される日に終了する。
日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。
中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、『ポツダム宣言第八項』※に基づく立場を堅持する。※日本国の主権は本州、北海道、九州及四国並に連合国が決定する諸小島に局限。
中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する。
日本国政府及び中華人民共和国政府は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する。
両政府は、右の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、日本国及び中国が、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。
日本国政府及び中華人民共和国政府は、両国間の平和友好関係を強固にし、発展させるため、平和友好条約の締結を目的として、交渉を行うことに合意した。
1972年9月29日、北京にて
日本国内閣総理大臣    田中角栄(署名)
日本国外務大臣      大平正芳(署名)
中華人民共和国国務院総理 周恩来(署名)
中華人民共和国 外交部長 姫鵬飛(署名)

(補足)日中国交回復共同声明の③項に「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である・・・日本国政府は・・・『ポツダム宣言第八項』に基づく立場を堅持する」と書き込まれた経緯;

中華民国台湾は国連から除名され、中華人民共和国が国連の中国代表となり拒否権を持つ常任理事国政府になった。しかし周恩来蒋介石と戦争する気はなかった。時間が解決してくれるだろう。だが、大原則として「台湾は中国の不可分の一部」は譲歩できないという中国内部事情の理解を田中に求めた。

田中はそれを理解し、台湾との国交断絶を約束した。同時に台湾と日本の非政府組織交流は黙認する、ただし中国政府機関の視界の中にその組織が見えないようにしてほしいと周恩来。その結果、台湾の中華航空は羽田に、北京の中国国際航空は成田になった。

「釣魚」「尖閣」についても議論された。田中角栄は「尖閣日本領」を認めてもらえないかと一応主張したが、大陸棚の端にある同島を日本領と認めるわけにはいかない周恩来。田中は自民党内の右翼が「日中国交回復共同声明」の中で約束する「日中平和友好条約」の批准を拒否すると実情説明。

周恩来は「釣魚」を北京の一存で決めると蒋介石も煩いと中国内部事情を説明した。ここで後の「主権論争棚上げ」の原型が成立している。「釣魚」「尖閣」の対立を明示せず、「日本はポツダム宣言第8項を遵守する」とだけ共同声明に書き込まれた。

ポツダム宣言8項は❶「カイロ宣言履行(WWⅠ以降の日本植民地放棄)」と➋「日本領土を比較的に大きい4島に局限し、付属する小島の帰属は連合国が決定する」に分かれている。日本の右翼は❶のカイロ宣言の無効性に戦術を絞って理屈の構築に熱中していたから、➋は盲点となっていたからだ。

田中首相の失脚後を継いだ福田赳夫岸信介の派閥に属し「タカ派」であった。彼は台湾を重視し、韓国の軍事政権と大陸棚油田の共同開発を打ち出して北京を怒らせた。北京の怒りは尋常ではなく、国際法違反だと問い詰められ、福田赳夫は誤りを認めて、日中平和友好条約の締結に漕ぎついた。

その日中平和友好条約の冒頭に「1972年9月29日に北京で日本国政府及び中華人民共和国政府が発出した共同声明が両国間の平和友好関係の基礎であり、その共同声明に示された諸原則が厳格に遵守されること」と明記された背景には、政権が代わると約束した前提を翻す日本政界への警戒がある。

その後の、日中共同宣言(1998年小渕恵三首相と江沢民国家主席)(2008年福田康夫首相と胡錦濤国家主席)と昨年の共通認識表明(楊潔篪国務委員と谷内正太郎国家安全保障局長)でも1972年日中共同声明日中関係の大原則として忠実なる遵守を再確認している。

後になって➋に気づいた右翼は「尖閣実効支配」に乗り出し、中国のナショナリズムを怒らせた。しかたなく訒小平が「棚上げ」を明示したが、日本右翼は納まりがつかないどころか、それを対中国戦争の口実に利用しようと考え、国連憲章敵国条項」と衝突し、安倍が南中国海に戦場を移動させた。

◆日中基本4文書2 日中平和友好条約(1978年)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_heiwa.html(外務省HP)
①日本国及び中華人民共和国は、次の事項を確信した
・1972年9月29日に北京で日本国政府及び中華人民共和国政府が発出した共同声明が両国間の平和友好関係の基礎であり、その共同声明に示された諸原則が厳格に遵守されるべきこと
国際連合憲章の原則(敵国条項を含む)が十分に尊重されるべきこと
②双方は次の希望において一致した
・アジア及び世界の平和及び安定に寄与すること
・両国間の平和友好関係を強固にし、発展させるため平和友好条約を締結する
③双方の全権委員は、互いにその全権委任状を示し、それが良好妥当であると認められた後、次のとおり協定した。 (以下省略)

◆日中基本4文書3 平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する日中共同宣言(1998年 小渕恵三首相と江沢民国家主席
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_sengen.html(外務省HP)
◆日中基本4文書4 戦略的互恵関係の包括的推進に関する日中共同声明(2008年 福田康夫首相と 胡錦濤国家主席
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/visit/0805_ks.html(外務省HP)
◆日中4項目共通認識(楊潔篪国務委員と谷内正太郎国家安全保障局長;2014年11月7日 )
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2014/647.html
・・・ここでも1972年日中共同声明からの4声明をに日中関係の大原則として忠実なる遵守を再確認している。


………(5) 安倍の願望は「中国との軍事衝突」………

ASEAN外相会議始まる 中国への対応焦点(NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150804/k10010177531000.html
①「中国と対立するフィリピンが共同声明の中に埋め立てを厳しく非難する内容を盛り込むことを目指している一方、中国に配慮を示している国も」
・日米菲の三国だけが中国非難
・他の国は中国との摩擦警戒
・南沙問題は中国が宋明以来の領土をマレーシアや菲国やブルネイなどに実効支配された問題であり、関係漁民の生活保護問題としてASEANと中国で協議
・西沙問題は越南と中国の二国間問題で議論対象外
・東沙問題も菲国と中国の二国間問題でこれも南中国海問題から切り離すべしがASEAN大勢

安倍は「後方支援は安全」と断言したが、後方支援こそ中心戦場。WWⅡで米軍は日本軍の兵站を2年で殲滅した。戦場に残された日本兵には弾薬も食料も届かず、餓死・病死140万人(戦死者の6割)。現代のゲリラ戦も先端武器を持つ日米の精鋭兵など相手にせず、その兵站をゲリラ攻撃する。

安倍は「日本を取り巻く安保環境の激変」も説明できない。アーミテージレポートを金科玉条にするが、ホルムズ海峡では米ミサイル駆逐艦がイラン領海侵犯し小戦闘。アーミテージはイラン沿岸軍港の機雷封鎖を自衛隊にやらせろと間接的表現で要求したものであり、掃海ではなく機雷敷設だ。

安倍の「積極的平和主義」も曖昧模糊としている形容詞句に過ぎない。安倍は本心を言えないのだ。安倍は東中国海の大陸棚の半分を分捕りたい、そのためには大陸棚の東端にある「尖閣」実効支配が大前提になる。日中中間線を、沖縄〜中国沿海の中間でなく、7割を日本の領域にできるからだ。

しかし、中国側が乗ってこない。「釣魚」実効支配を海警船で日本から取り戻したが、中国軍を出さない。自衛隊が「尖閣」防衛出動すれば、ポツダム宣言(無条件降伏)違反、国連憲章敵国条項」違反となり、中国が派兵できる。安保理も米国も「敵国条約」違反なら、口先だけで手出しできない。

安倍は矛先を南中国海問題に移して「中国の膨張主義と横暴」を国際宣伝したが、菲国だけが乗って、他のASEANは越南も含めて、日本を部外者と忌避している。安倍は南中国海での米軍核空母と核潜水艦の不自由航行云々を煽り、哨戒機を出動させ、更には中国の島を機雷封鎖するとまで言った。

安倍はまた『日本への攻撃の意思がない相手でも法律的には武力行使可能』と国会答弁。そして中国海での『臨検』という戦争行為まで言い出した。完璧なる憲法9条違反である。

安倍は結局、中国と軍事衝突を起こし、即座に米軍が加勢して、中国軍を現地で殲滅することを夢見ている。彼の「積極的平和主義」とは、最初に哨戒、次に機雷封鎖、その後軍事衝突、最後に米軍加勢で中国に勝ち、中国を黙らせたいのだろう。非常に危険な人物である。