慰安婦問題の日本報道に韓国社会が猛反発

※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点

国粋主義者安倍晋三首相がWWⅡでの性奴隷の生存者に対する10億円の基金を出すことで韓国に勝利したかにみえる。国家責任は厳密には認めず、道義責任だけの1995年と同じ趣旨で、変わったのは基金を民間から政府に変えただけだ(AP)

20万人といわれる性奴隷犠牲者のうちで「志願」した女性は極少数。だが日本はその一握りをもって、全体を「売春」商売女だと言いつのってきた。韓国でも言い出しにくい社会環境にあったから、名乗りを上げた元「慰安婦」は238人に過ぎず、生き残りは46人、平均年齢も89歳(ロイター)

1995年の基金は、「民間」基金の形式に拘ったものであった。日本政府は日韓請求権協定で個人賠償まで完結しているという立場を変えない。政府間なら「最終的で不可逆的解決」は有り得るが、個人と日本政府間にはそれは有り得ない。民主主義なら個人の考えを政府は束縛できないからだ(BBC)

日本人は「慰安婦」と呼ぶ。それは日本の責任を軽減するために、日本人が発明した言葉である。朝鮮人を中心とする20万の女性を日本軍が設置した「売春宿」に連れ込み、性奴隷にした当人たちが発明した言葉なのだ(ガーディアン)

外交評論家は日本の謝罪の誠実性を疑っている。過去にも同情や謝罪に対して「法的な責任は約束していない」と修正することが繰り返されたからである。その修正は韓国人には受け入れがたく、修正される度に韓国世論は対日感情を悪化させた(ガーディアン)

「慰安」=快適を与える、とはあまりにもひどい婉曲表現であり、疑う余地のない「苦しみ」を消し去ろうとする邪悪さに日本はまみれている。これらの女性の経験は、断崖の淵に立たされ、「自発的」に言わされるという、残忍極まりない手法なのだ(ガーディアン)

重要なことは、村山や河野といったリベラルな首脳級とではなく、ナショナリズムの炎を吹きつけることで知られていた極右安倍首相に言わせたことである(ガーディアン)

産経新聞によると、安倍首相は合意の翌日29日『韓国の外相がテレビカメラの前で不可逆的という言葉を口にした。ここまで発言した以上、もし約束を破れば韓国は国際社会の一員ではなくなるだろう』という趣旨の発言を行ったという(朝鮮日報

朝日新聞によれば「ソウル日本大使館前に設置されている少女像の移転を。日本政府は慰安婦支援財団に10億円を拠出する前提条件と考えている」という。安倍首相が本当にそのような発言を行い、また日本政府が本当にそのように考えているのであれば、今回の合意は最初から崩壊している(朝鮮日報

しかも翌日には従軍慰安婦関連資料をユネスコ世界文化遺産に登録する問題について「韓国政府が活動を中断する」とも報じられた。これでは「10億円と慰安婦問題を交換した屈辱的な交渉」という声が韓国国内から出るのも当然だ(朝鮮日報

先月の韓日首脳会談でも、同じことがあった。安倍首相が朴槿恵大統領に内容非公開を提案したのに、日本報道は内容を相次ぎ報道し、韓国政府は「事実と異なる」と否定した(朝鮮日報

韓国政府は今からでも今回の合意内容の全てを国民に説明し、国民の判断を仰がなければならない。そして、万一安倍首相や日本政府関係者から合意の精神を傷つける発言が出た場合は、合意そのものを破棄するとの立場を明確にしておくべきだ(朝鮮日報

人々が過去の過ちを理解して学び、二度と同じような間違いをしないためにも、日本政府は積極的により多くの像の設置に寄与すべきです。なぜ撤去する必要があるのでしょうか、ロサンゼルス近郊のグレンデール市の「慰安婦像」設置推進団体(TBS)

ナチス戦争犯罪をドイツ政府は謝罪し、犠牲者の慰霊碑に国家元首が膝まづいた。ドイツ議会はナチスの犯罪を詳細に説明する記述を教科書に要求する法律を制定した。ドイツ政府は近代歴史教科書の検定をポーランドに委嘱した。

安倍が謝罪したと岸田に言わせたが、それは中国と闘争している安倍政権の大切なパートナーに韓国を引き戻すための、所詮はパワーポリテックスに過ぎなかった。性奴隷被害女性たちの心の痛みも消えず、怒りが燃え上がるだけだ(ZDF)

※実際、『もうさっさと慰安婦問題なんか謝罪して、韓国を日本のパートナーに引き戻して、日韓で中国をやっつっけなければならぬ』と、安倍の外交指導者である日本会議系の元大使が死ぬ直前に発言していた。



◆【社説】慰安婦合意、日本政府内から問題発言あれば破棄せよ(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/31/2015123100773.html
➀日本からは今回の合意そのものを揺るがしかねない発言や動きが相次いで報じられている。日本のメディア各社は毎日のように事実関係がはっきりしない報道を続けており、また日本政府の複数の関係者、それも責任ある立場の人間が一連の報道と関係する発言を何度も行っているからだ。

②たとえば、産経新聞によると、安倍首相は合意の翌日29日『韓国の外相がテレビカメラの前で不可逆的という言葉を口にした。ここまで発言した以上、もし約束を破れば韓国は国際社会の一員ではなくなるだろう』という趣旨の発言を行ったという。

朝日新聞は30日付で、「ソウル日本大使館前に設置されている少女像の移転を。日本政府は慰安婦支援財団に10億円を拠出する前提条件と考えている」と報じた。安倍首相が本当にそのような発言を行い、また日本政府が本当にそのように考えているのであれば、今回の合意は最初から崩壊している。

④岸田外相は尹炳世外交部長官との共同会見の直後、日本メディアに『我々が失ったのは10億円だけだ』と発言したという。従軍慰安婦動員の強制性に対する日本政府の謝罪と反省の言葉に全くと言って良いほど真実味がなくなり、ただ10億円という現金への色づけに過ぎなくなる。

⑤しかも翌日には従軍慰安婦関連資料をユネスコ世界文化遺産に登録する問題について「韓国政府が活動を中断する」とも報じられた。これでは「10億円と慰安婦問題を交換した屈辱的な交渉」という声が韓国国内から出るのも当然だ。

⑥日本軍慰安婦問題は被害女性の数や動員の強制性、またその悲惨な生活などから、女性の人権を蹂躙した20世紀最悪の事件だった。にも関わらず、韓国政府は今回これまでの立場を全て放棄して合意に至ったが、それは何よりも米国との関係を重視し、さらに将来の日本との関係も同時に考慮したからだ。

⑦だが、日本国内の反発世論や報道内容は想定されたレベルをはるかに超えている。韓国政府は「最終的かつ不可逆的な解決であることを確認する」ことを含む3つの点を約束したが、そこには「日本側による誠実な合意の実行」という前提条件が付けられている。

⑧元慰安婦女性たちを説得するのは非常に難しいが、それにも関わらず、次官一人を元慰安婦女性たちに派遣して説得にあたろうとした。交渉の段階で日本に主導権を握られたかと思えば、今度は日本ととんでもない密約をしていたとの疑念も表面化している。

⑨韓国政府は今からでも今回の合意内容の全てを国民に説明し、国民の判断を仰がなければならない。そして、万一安倍首相や日本政府関係者から合意の精神を傷つける発言が出た場合は、合意そのものを破棄するとの立場を明確にしておくべきだ。

慰安婦めぐる日本の報道に懸念強まる 合意揺るがす恐れも(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/30/2015123002565.html
➀韓日外相が28日に発表した合意に含まれていない内容が日本メディアにより「内々の合意」事項などとして報じられ、これに韓国政府が反論する事態が相次いでいる。

②報道は安倍首相の「希望」が反映されたものとみられるが、韓国世論が猛反発し、危うい合意を根本から揺るがしかねず、懸念が強まっている。

朝日新聞は30日、複数の日本政府関係者の話として、少女像の移転が財団への拠出の前提になっていることは韓国と内々に確認済みだと報じた。

④これに対し、韓国政府当局者は「完全なねつ造」と即座に反論したが、朝日報道を受け、韓国政府を批判する書き込みなどが殺到。

⑤29日には時事通信が、韓国政府が慰安婦関連資料のユネスコ世界記憶遺産への登録申請を見送ることで合意したと報道し、韓国外交部が「事実無根」と一蹴。

⑥「日本の報道は日本政府の解決意欲を疑わせる。こうした報道は韓国の世論を分裂させ、韓国政府の立場を苦しくさせる」

⑦先月の韓日首脳会談でも、同じことがあった。安倍首相が朴槿恵大統領に内容非公開を提案したのに、日本報道は内容を相次ぎ報道し、韓国政府は「事実と異なる」と否定した。

◆(緊急連載 日韓合意;上)10億円「少女像移転が前提」 日本政府、内諾と判断(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12140033.html?ref=pcviewer
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12140009.html?ref=pcviewer
➀複数の日本政府関係者『日本は、韓国が設立する財団に10億円を拠出する条件として、少女像の移転を主張。韓国から像をめぐる内諾を得たと判断し、合意の決め手になった。少女像を移転することが財団への拠出の前提になっていることは、韓国と内々に確認している』。

②日本政府関係者『韓国がこれからかく汗の量は半端ではない。韓国にも努力してもらわなければならない。ソウル地裁の産経ソウル支局長無罪判決と、韓国憲法裁判所の1965年の日韓請求権協定違憲訴訟の棄却は日本側の要求通りになった、少女像撤去と慰安婦記憶遺産申請不参加が残っている』

◆日本政府当局者 「少女像移転が前提」報道を否定(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/30/2015123002454.html
➀被害者支援のために韓国政府が設立する財団への日本の資金拠出はソウルの日本大使館前に設置された慰安婦を象徴する少女像の移転が前提となるとの日本メディアの報道について、日本政府当局者が否定した。

②韓国政府が慰安婦関連資料の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界記憶遺産への登録申請を見送ることで合意したとする日本の報道についても否定した。

慰安婦問題の記憶遺産申請「不参加」 韓国が否定(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151229/k10010356481000.html
➀岸田外務大臣「中国が韓国などに呼びかけて慰安婦問題を巡る資料を共同でユネスコ記憶遺産に申請の準備を進めているが、韓国が加わることはないと認識している」

②韓国外務省報道官「日本とそうした合意の事実はない。慰安婦問題の被害者が記録したものを『記憶遺産』に申請することは、韓国内の民間団体が主導して進めている」

③だが、今後中国の申請に加わる動きが具体化した場合、28日の合意「国際社会において慰安婦問題で互いに非難・批判することを控える」に反するという指摘が出る可能性。
※犯罪の再発を防ぐためには歴史記憶を再生し持続させねばならない。これは日本に対する批判でも非難でもない。

【写真】市民が詰めかけた日本大使館前の水曜集会(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/30/2015123002595.html
➀ソウル日本大使館前の「平和の少女像」で30日午後水曜集会で、今年亡くなった従軍慰安婦被害者追悼と、従軍慰安婦問題解決のための定期水曜集会(第1211回)、大勢の市民が参加した。

◆元慰安婦支援の市民団体 韓日合意取り消し求める声明(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/30/2015123002566.html
➀韓国挺身隊問題対策協議会がソウル日本大使館前の「平和の少女像」で30日午後水曜集会。

②「交渉前に(韓国政府は)何も知らせなかった。なぜこのような交渉をするのか。わが政府は何をしているのか。とても悔しく、恨めしい」

③尹美香代表「米国、欧州、アジアの市民団体と連帯し、韓国内で専門家や市民による組織を作り、全国各地に建てた平和の碑(平和の少女像)の前で、毎週リレー方式で水曜デモを行う」

④声明「韓日政府は拙速な合意を直ちに取り消し、被害者の要求に耳を傾け、被害者が受け入れられる正しい方法で慰安婦問題を解決せよ」

◆少女像の移転に「反対」66%…韓国世論調査(読売)
http://j.mp/1TpdLSZ
➀「反対」66・3%、「賛成」19・3%・・・トリプルスコアで移設反対が圧倒。

◆ロサンゼルス近郊のグレンデール市の「慰安婦像」設置推進団体、日韓合意を非難し像撤去を拒否(TBS)http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2668995.html
➀「人々が過去の過ちを理解して学び、二度と同じような間違いをしないためにも、日本政府は積極的により多くの像の設置に寄与すべきです。なぜ撤去する必要があるのでしょうか」

②合意そのものについても、「河野談話より後退している」

◆台湾元慰安婦にも謝罪と賠償を=駐日代表に交渉指示−馬総統(時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2015122900435

慰安婦問題、中国も解決要求=日本の「言行一致」見守る(時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2015122900477