『ASEAN共同体』が今日創立された

※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点

ASEAN共同体』が今日設立された。EU段階ではなくEC段階に入ったところで、今後長い時間をかけて、実質統合が進むとおもう。日米がその分断を企み、中国が統合を後押しすることが今後も続くだろう。

ASEAN共同体の本部はジャカルタに設置された。共同体は中国の「一帯一路」経済ベルト構想と表裏一帯で進む。TPPは利用されながらもそれに飲み込まれる。

ベトナムは1年半前に北京に謝罪ミッションを送り、その後もベトナム共産党首脳とベトナム政府首脳及び国会議長が数度北京で協議を進めている。今では、ベトナムシンガポールやマレーシアやインドネシアと並ぶ熱心なASEAN共同体推進国になっている。

取り残されたフィリピンは、「一帯一路」建設の資金源となるAIIBの正式加盟手続きを昨日おこなった。フィリピンの反中国活動家三十名あまりが、南沙諸島に抗議上陸し、中国からAIIB正式加盟の条件を喪失とフィリピンに伝わり、アキノ大統領が活動家たちに南沙上陸をやめ帰国せよと要請。

ASEAN共同体が発足=巨大経済圏、格差など課題も(時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2015123000425
➀加盟10カ国の人口は6億2000万人で欧州連合(EU)を上回る。巨大経済圏の誕生は、既に進出している日系企業にも大きな転機になる。

②共同体は「政治・安全保障」「経済」「社会・文化」の三つで構成される。そのうち、域内単一の市場・生産基地を目指す経済共同体(AEC)は、先行加盟6カ国の域内関税がほぼなくなり、後発4カ国も2018年までに原則撤廃される見込み。

③課題は、1人当たり国内総生産(GDP)はシンガポールカンボジアで依然52倍の開きがあること。所得の低い国には人件費の安さから生産移転が進むメリットはあるものの、「豊かな国に経済がのみ込まれる」との懸念が拭えない。

④また、一部の国には自国規格義務付けなどの非関税障壁が多く存在し、関税撤廃の効果を阻む。ASEANは今後10年でこうした障壁の削減を目指している。

◆东盟共同体今天“低调”成立 未来或成第四大经济体(環球時報
http://world.huanqiu.com/exclusive/2015-12/8292005.html
➀今日2015年12月31日に『ASEAN共同体』が設立された。人口6.25億人、GDP合計2.6兆ドルという日本のGDPに肉薄し、人口は5倍、事務局はジャカルタの大共同体の誕生である。

②だが、米国も日本も冷ややかで、ほとんど報道しない。彼らは、TPPと米軍のアジア回帰の前に、ASEAN共同体を構成する各国は分断され、名前だけの統一に過ぎないと考えるからだ。

③《WSJ》30日評論
経済、社会、政治の統合までには長い期間、おそらく数十年かかるかもしれない。関税の引き下げから始まり、労働者の共同体内移動就業の自由や、司法の共通化などがまだ構築されていないからだ。だが現地では、それが東南アジアの伝統であり、ゆっくり作り、退歩しないと自信。

④《ベトナム通信社》
「政治と安全保障」、「経済」、「文化社会」がアセアン共同体の三大支柱。共同体を創立してアセアン国家が更に深く、更に広い範囲の一体化過程を展開し、国際競争力を高めるために力強い支持を提供する。

シンガポール《ストレーツ・タイムズ》
ASEAN共同体の設立によってGDP成長率が7%程度に改善するだろう。

⑥マレーシア《南洋商報》
アセアン共同体のGDPは2020年までに倍増し、2030年に全世界の第4経済体になる可能性がある。アセアン共同体が新しい“世界工場”になる期待があるからだ。

⑦豪州《金融評論》
アセアン共同体を創立する過程が“あまりにも静かで情報がない”。しかし、アジアの経済は拡大しつつあり、平和的な発展に重要な力を持つようになる。

⑧中国《環球時報》海口経済学院アセアン研究所沈世順所長
アセアン共同体は緊密で統合された経済組織であるだけでなく、多方面の社会運営の標準化や法律の一体化などが制度化され、将来は国際社会で統一した政治意識をもつ準国家に成長する。

⑨米国《マーケットリサーチ》
アセアン共同体の目標は前世紀50年代のEUの前身ECが目指した目標に類似している。つまり、実質的な共同体に成熟するまでには数十年の内部論争を経験する必要がある。

⑩《マレーシア・ポスト》
EUが一体化された道程は参考にするが、しかしアセアンの一体化の見本にはならない。EUとASEAN共同体の伝統背景と統一の使命が全く異なるからだ。
EU一体化は2度の世界大戦と冷戦の産物であって、各国の主権を最小化し、軍事リスクを減らすことが目的で、二度と対戦を発生させない意思の制度化であった。
・アセアン共同体の歴史経験は異なる。構成国の多くは、欧米と日本に植民地化され、日本植民地主義が崩壊して、再独立を果たした比較的に若い国家群なのだ。そのため地域構造の建設は現在でも初歩段階にあり、依然として各国政府の努力を尊重し助け合い、統一的な超国家観の無い共同体なのです。

シンガポール《ストレーツ・タイムズ》
アセアン10国の民衆に対する調査結果では、回答者の半数が構成国の考えかたが不一致で、アセアンを一体化させる巨大障害だと思っている。

⑫《マレーシア・ポスト》
アセアンの多数民衆は一体化の過程を意識していない。それ故に、共同体からの利益を享受することは少ないかもしれない。東南アジア諸国間の貿易と投資は依然として日米の挑戦に直面して翻弄され、EUのように構成国間の労働者自由流動には時間がかかる。

⑬《環球時報》沈世順
やはり、ASEAN共同体はEUの前身であるECの段階で、今後長い期間をかけて東南アジア民衆とその政府が共通の考えを育て、徐々に域内での人と資本の移動の自由が確保されてゆくのだろう。だが、共通の目標である各種の社会体制や政治体制を探求する過程は非常に有意義。

⑭《WSJ》
アセアン経済のグローバル化オバマ政権の“アジア太平洋回帰”戦略の核心であり、米国の目的は中国を抑制しバランス取り直し、東南アジア地域で経済と軍事の影響力を回復し拡大することにある。ASEAN共同体は日米に翻弄され続けるだろう。

⑮《環球時報》沈世順
アセアン共同体の創立は中国の“一帯一路”構想を深め促進することに貢献する。アセアン構成国の“一帯一路”に対する態度は一様ではないが、全体的には歓迎している。その傾向をASEAN共同体の成立が強化するだろう。これはASEAN共同体と中国の双方に利益がある。