パリの惨劇;死の静寂---報復の連鎖をいつまで続けるのか

(1) パリの惨劇;非常事態宣言で死の静寂と悲嘆
(2) G20;テロの原因から遠ざかり惨劇は止むことが無い
(3) 南中国海;米軍の挑発には対峙戦力と自衛隊への対応を回答とする
※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点

………(1) パリの惨劇;非常事態宣言で死の静寂と悲嘆………

◆Provisional death toll from Paris attacks rises to 128(ロイター)
http://reut.rs/1WXZFsr パリの無差別テロ、死者128人、危篤99人
◆Islamic State claims Paris attacks that killed 127(ロイター)
http://reut.rs/1MIsLdM
127人死亡、67人重体。1月に襲撃されたCharlie Hebdo社の周囲のレストランや街路などでも犠牲者。テロリストはいずれも「米軍のIS攻撃に参加した報復だ」と叫んで乱射。

パリでは地下鉄閉鎖、学校も大学も閉鎖、競技もロックコンサートも中止。ただしいくつかの鉄道は動いている。国境は閉鎖され、厳重な検問。オランド大統領はWWⅡ以降で初の「国家非常事態宣言」

ラジオは繰り返す「外出を控え、自宅に籠ってくれ。外出する時は常にシェルターを確認しながら歩くこと」

百人を超える射殺者がでたパリのコンサートホールでは、ISを攻撃する米国のロックバンド『Eagles of Death Metal』が挑発的な第四アルバムの販売をプロモートするツアーコンサートが狙われた。
このコンサートホールは、1月に18人が殺された新聞社Charlie Hebdoから近い。そこで、米国のロックバンドEagles of Death Metalのコンサート。Kalashnikov自動銃で武装した数人の若い男性が舞台に上がり何か話し、若い観客に向かって銃弾を発射。最初はロックバンドのアトラクションかと思ったが、血の海。

国立サッカー場では、1月のシャーリヘブド襲撃事件後に報道の自由デモが盛大に開催され、オランド大統領とメルケル首相がデモ行進の先頭に立ったことを紀念する仏独友好サッカー試合が狙われた。前日に独選手団のホテルにテロ予告があった。

仏独親善サッカー大会会場入り口付近で爆発;
前日独選手団のホテルにテロ予告があり、独サッカー選手はホテルに帰れず、競技場で夜明かしし、特別機で帰国。

米国のロックバンドの演奏会場で87人、国立スタジアムの向かいにあるマクドナルド店で数人、レストラン街のカフェテラスで40人近くが射殺された。

Charlie Hebdo紙の虐殺事件後、世界にイスラム非難の声が沸き立ったが、それも薄れて、最近の地方選挙では極右政党が難民受入拒否を叫び、一定の支持を得ている。この動きと昨日の大虐殺の関係はまだわからない。

パリ大虐殺犯人の遺体からシリアとエジプトのパスポート
ISメディア部門のロゴ付きネット動画;
「フランスおよび同じ有志国連合の国に教えてやる。お前たちはISの攻撃目標リストに載っている。IS攻撃の十字軍を止めぬ限り、お前たちの鼻から死の匂いが消えることはない。空爆を続けるかぎり、平和に暮らすことはできない。市場に買い物に行くのも怖がらなくてはならなくなるだろう。どこにいても、イスラム教徒以外を見つけたら戦うよう命じる」

オランド大統領は3日間喪に服することを宣言、同時に戒厳令並みの警戒態勢をしき、夜間外出を控える要請。オランド大統領はG20を欠席。

フランス;非常事態宣言
・火曜まで全ての集会が禁止
・自宅待機要請
・数千人の治安維持部隊がフランス全土で配置についた
エッフェル塔はフランス陸軍警備兵によって封鎖された。ルーブルも閉鎖。
フランス陸軍将軍がラジオで『フランスは戦争状態に入った、我々は戦争状態にある。市民全てが戦争に備えよ』

イタリア;陸軍治安維持部隊に待機命令
英国;キャメロン首相が国家非常事態会議を招集
ベルギー、オランダ、ドイツ、スエーデン;国境警備を厳重化しテロ対策閣僚会議
ハンガリー;国境警備を厳重化し、組閣のための臨時国会延期、空港と原発プラントに陸軍が警備配置された
ポーランド;「それみたことか、シリア難民を受け入れるからこんな大虐殺テロがおきた。ポーランドはシリア難民の受け入れを断固拒否する」と右翼新聞のインタビュで答えた
共和党のカールソン候補「IS殲滅に米国は陸軍を派遣すべきだ。同盟国の結束力を強める必要があるからだ」

パリ郊外の自治体長; "tsunami of hatred" ムスリムや貧者に対して、恨みの矛先が大津波となって襲う可能性に恐怖。フランス人は冷静にならねば・・・

◆Assad condemns #ParisAttacks, says this ‘savage terror’ was what Syria had endured for 5 yrs(RT)
http://on.rt.com/6wd7 pic.twitter.com/f5g80OLxsu
①アサド大統領「パリのテロは、シリアが5年間耐え忍んできたテロの恐怖と同じだ」・・・アサドは穏健な人で、英国で医者をし、英国人を妻にした。兄のシリア将軍が死んで、大統領にさせられたひと

◆パリでテロ、死者は150人以上、警察官4人も殉職(sputnik)
http://jp.sputniknews.com/incidents/20151114/1164156.html

◆French interior minister on #Paris: police given powers to shut down some businesses such as concert halls and bars 仏内務省はパリ警察にコンサートホールやバーなどの商業施設を閉鎖する権限を与えた(FT)
http://on.ft.com/1MdsTAy

BBC- Paris attacks: Hollande blames Islamic State for 'act of war'
http://www.bbc.com/news/world-europe-34820016?ocid=socialflow_twitter
①パリ市民に外出禁止令。マーケット、学校、美術館、図書館、ジム、プール、ディズニー全て閉鎖

◆The Latest: French president vows to strike back at IS after worst attacks in France since World War II(AP)
http://apne.ws/1MIihLD
パリの無差別テロリストは「米軍のIS攻撃に参加する有志国への報復」を叫んだが、米側は米軍への報復ではなく、アルジェリアのテロなどWWⅡ以降繰り返すフランスの旧植民市紛争の余波だとイメージ操作

◆パリのテロ、今後どうなる:Stratfor予測=中欧・東欧諸国の多くで、移民の流入を止め、国境を封鎖するべきだ、と訴える勢力が強まる可能性がある。マリーン・ル・パン氏とその極右「民族戦線」の人気が高まる可能性もある(sputnik)
http://jp.sputniknews.com/incidents/20151114/1164693.html

◆‘Sorrow in the air’, witnesses tell RT
http://bit.ly/1NTzz9m
①私たちは皆悲嘆のなかにいる。パリは鋭いナイフの刃の上に立たされ、こんな惨劇を目の当たりにして生きることは容易でない。
②至るところ街路は閉鎖され、地下鉄も止まりタクシーも来ない。街には兵士のほかに誰一人いない。パリは恐怖につかみ取られ、死の静寂に包まれた
③それでも人々は日常生活に戻ろうと試みるだろう。スーパーマーケットで食材を買い、劇場で映画を観て、少し散歩する生活。
④惨劇を発生させる原因から世界はまた遠のき戦闘化するのだろうか。いつまで繰り返すのだ。


………(2) G20;テロの原因から遠ざかり惨劇は止むことが無い………

日曜にトルコでG20首脳会談。世界経済の行方を調整し経済成長をさせる会議だが、パリの大虐殺が世界経済に暗雲をたれこめさせた。米、中、露、日、加、豪、伯の首脳は着いたが・・・

◆After Paris attacks, Trudeau mulls Canada military policy(ロイター)
http://reut.rs/1kTRf9a
①トルドーカナダ首相はトルコのG20とフィリピンのAPECに出席するための出発前に述べた、『パリの大虐殺事件がただちにカナダが中東から撤兵すると言う公約を考え直すことにはならない。しかし、市民の安全と平和を守る義務もある。G20ではそれが話し合われるだろう』。

◆G20首脳会議:トルコで開幕 テロ対策、世界経済を議論(毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20151116k0000m030061000c.html?inb=tw
「日米欧に中国など新興国を加えたG20首脳会議が15日、当地で開幕した」 ・・・何気ない枕詞には差別意識が澱んでいる。本質は「BRICSなど新興国に米欧日などを加えて、G7国の無法と無気力を補う会議」なのです。

【写真】Leaders of BRICS countries strongly condemn the Paris Terror Attacks at the sidelines of G20 Turkey Summit(CCTV) pic.twitter.com/l94XFhPBMK
G20の主役はBRICSG7国の身勝手な富国政策が世界の人々の生活を破壊し、さらに搾取を強化しようとする態度に対する世界の反発がテロを続発させた。G20は世界の経済発展と格差是正によって世界に平和を取り戻す会議、G7は被告席。

◆Fight against Islamic State dominates as world leaders meet in Turkey(ロイター)
http://reut.rs/1OLAD0j
①G20は世界の経済成長と格差是正を議論する場。今回は、パリの129人虐殺とロシア旅客機爆破224人とアンカラでの100人と立て続けに大虐殺テロが続発したため、G20はテロ対策で団結する議題に移らざるを得ない。ラブロフが述べたとおりだ。

②トルコに到着したオバマはトルコ大統領と会談し、テロ対策でG20が結束する議題を緊急上程することで一致した。さらにオバマはサウジ国王と会談し、シリアの反政府自由シリア軍の穏健派に軍事支援することを再確認した(問題はその中にIS等テロ組織と共闘する派閥が存在することだが)。

◆Paris massacre: World mourns 120+ killed in series of terrorist attacks Live updates(ロイター)
パリ虐殺:世界は、一連のテロ攻撃で殺された120+人を悼む
https://www.rt.com/news/321883-shooting-paris-dead-masked/
①ロシアのG20特使スベトラーナLukash;
・G20首脳会談はパリのテロ事件対策が中心議題になる。共同声明の変更が事前協議されている。参加する首脳が犠牲者の家族と犠牲に強く影響される人々への悼む言葉から始まるだろうと確信する。
・しかしG20がテロに対する戦いの完全で具体的な行動を引き出すとは考えにくい。特定の国および過激派に対する認識が異なり、具体的な意見としては纏まらないからだ。故に、一般的な意味においての「テロとの戦い」でG20首脳が共通認識することになるだろう。
・共同声明の別の項目では難民問題が言及されるが、共同声明という文書で問題が解決することなどあり得ない』
◆Paris attacks propel fight against terrorism to top of G20 agenda Live updates(ロイター/RT)
https://www.rt.com/news/322159-g20-summit-turkey-terror/
①緊急訂正されたG20共同声明案;
・(一般論としての)「テロとの戦い」で各国は結束し、具体策は➊IS戦士の入国を阻止する国境警備と航空管制の厳格化➋IS資金源となる金融凍結
・不平等な経済成長が期待を裏切っている事態を打開するために各国は全ての政策を用いることに同意した
・脆弱な金融市場が動揺したときに、首脳たちは注意深く分析予測し、公開の場で議論して決断する
・現在の難民危機の規模はWWⅡ以降で最悪。全ての国は負担を共有し、定住対策として生活環境と教育制度及び人権侵害対策に取り組む

②G20に先立ちBRICS首脳が会談した。ラブロフ『シリア和平ウイーン会議でのシリア支援方針はシリアを満足させると説明した。シリア反政府陣営の代表を決め、対立する課題を議論し譲歩し、憲法改正案を協議し、総選挙を告示するには18ケ月が必要だ』

③G20に先立ちオバマプーチンが会談した
【写真】Obama and Putin’s coffee talk — in three photos(WP)
https://www.washingtonpost.com/news/post-politics/wp/2015/11/16/obama-and-putins-coffee-talk-in-three-photos/?tid=sm_tw

★G20共同宣言は前日にロイターが入手し案のままだった。すなわちラブロフの主張のままであった。

◆Obama calls Islamic State 'the face of evil'(AP)
http://apne.ws/1NWyVrG
◆Obama: Sending a large number of ground troops to fight ISIS would be a "mistake."(CNN)
http://CNN.it/go
◆Obama rules out putting U.S. troops on the ground to fight Islamic State(ロイター)
http://www.reuters.com/article/2015/11/16/us-g20-turkey-obama-strategy-idUSKCN0T51QS20151116?feedType=RSS&feedName=topNews&utm_source=twitter#kIsiAjtdM8MV2DSY.97
①G20閉幕会見でオバマ『ISは悪魔の顔をしている』『更なる攻撃を防ぎ、国民を守るために出来ることはすべてしなければならない。ただし、IS支配地域に米陸軍を派遣しても失敗するだろう。永久占領に陥るだけだ。現在の戦略を強化し継続する』

②『シリア内戦を終息させることによってISは消滅するだろう。➊シリア反政府陣営の代表を決め、➋対立する課題を議論し妥協し、➌憲法改正案を協議し、➍総選挙を告示する18ケ月計画(ラブロフ提案)だ』

…………
◆'France is at war': Hollande to intensify military operation in Syria(ロイター/RT)
https://www.rt.com/news/322323-hollande-france-war-terror/
フランスのオランド大統領は議会で『フランスは戦時体制に入った』と演説し、かってない集中的なIS空爆を実施した。オランドはまたオバマおよびプーチンと会談し、空爆の支援を要請した。

空爆参加国でのテロ予告=米破壊を訴え−「イスラム国」(時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int&k=2015111600857&utm_source=twitter&utm_medium=jijicom&utm_campaign=twitter
【ISのVTR】BREAKING: New #ISIS video warns of attack on Washington, D.C.(CNN)
http://edition.cnn.com/videos/world/2015/11/16/isis-new-video-paris-attack-washington-npw.cnn?sr=twcnni111615isis-new-video-paris-attack-washington-npw.cnn0240PMVideoLink&linkId=18786393
①ISのVTR声明;
『十字軍の作戦に参加する国々に告ぐ。お前たちはフランスと同じ日を迎える』
『われわれはフランスのパリを破壊した。われわれは米国のワシントンを破壊するだろう』
『次はより狡猾かつ強固なものになる』


・・・憎悪と報復の連鎖・・・


…………
ケリーが参加するウィーンのシリア会議もパリの大虐殺事件に覆い尽くされ、シリア和平会議は「IS戦闘作戦会議」に変貌
◆シリア和平交渉長期化か、政権や反体制派欠席 ウィーン外相会議(朝日)
http://www.asahi.com/articles/ASHCG5QGBHCGUHBI037.html
①米国が支援する反体制派にテロ組織のアルカイダ系「ヌスラ戦線」と共闘するグループもあり、アサド政権を支援して軍事介入するロシアと、米国との間で考え方が大きく異なる。
②ラブロフ「IS、ヌスラ、その他類似の者たちを打ち破るため、さらに力を入れなければならない」。
③イランのザリフ外相は急きょウィーン入りし、途中から協議に加わった。

◆トルコのG20サミット いたるところに中国の要素(中国網)
http://j.people.com.cn/n/2015/1115/c94475-8976853.html
①メディアセンターでは、カナダのシンクタンク「センター ・フォー・インターナショナル・ガバナンス・イノベーション(CIGI)」が「エンター・ザ・ドラゴン−−国際金融システムにおける中国」と題する書籍を展示していた。同書は人民元の国際化、中国の金融国際化、中国の国際金融ガバナンスへの参与という3つの角度から国際金融システムにおける中国の役割を紹介している。

②サミット組織委員会が提供する雑誌にも「G20を開催する中国のチャンス」「中国、貿易と環太平洋連携協定(TPP)」など・・・

◆China and Turkey sign several bilateral agreements during President #XiJinping's visit (CCTV)
https://www.youtube.com/watch?v=e26Y4_xdH0s pic.twitter.com/MKcWtp5E5I
①中国とトルコがG20の前に首脳会談。IS対策で協力することと、「一帯一路」経済ベルト建設に関する相互協力で数件の協定を調印


………(3) 南中国海;米軍の挑発には対峙戦力と自衛隊への対応を回答とする………

◆社评:用“五不怕”对付美国在南海挑衅(環球時報
http://opinion.huanqiu.com/editorial/2015-11/7975500.html
①米国防総省は8日と9日に敢行されたB52爆撃機の南中国海通過を声明したが、それは4日後の12日であった。中国非難をG20とAPECの議題にすることを拒否された腹いせだろう。
しかもB52は中国の領空12海里には侵入せず、しかし中国航空管制の問い合わせには無応答という無礼さだった。

②米軍は絶え間なく南中国海をスパイ行動し中国を牽制している。しかし中国は米軍に対峙できる戦力を既に整備した。米軍は日本の自衛隊を巻き込もうとしているが、今のところ自衛隊は二の足を踏んでいる。安倍が軍事介入の可能性を吹聴するだけで、日米は結局張子の虎。

③中国は米軍を恐れない、挑発は無視する。そして次の5項目を米軍に対する回答にする;
(1) 暗礁の人工島建設を加速し、南中国海の南部でも中国軍の即応性を米軍とバランスさせる
(2) 米軍の唯一の友人である日本自衛隊の介入には厳しく対応し、米軍の企みを打ち砕く
(3) 米国と日本が国際会議を中国糾弾の場にしようとするが、共同声明など粉砕するだけだ
(4) 日本が菲国を唆してハーグ国際法廷に仲裁申請をしたが、中国は仲裁を拒否して沙汰止み
(5) 西側メディアには中国に嫉妬した中国嫌いが蔓延しているが、気にせず正しい道を進む

④日米は、東と南の中国海で領土主権を侵害する軍事行動をおこし、中国が内需経済に移行することを事あるごとに罵倒している。全ては嫉妬に狂った小心者の狂気であるが、無視すれば振り上げた拳の降ろしどころに窮するだけだ。中国社会を見くびっている。中国社会はそれらによって鍛えられる。