マケインのご神託『海自も12海里を走れ』

(1) 戦争屋マケイン上院議員のご神託『海自も12海里を走れ』
(2) 日本の長期経済停滞に学ぶ中国の「一帯一路」と安倍のGDP600兆円
(3) 南京大虐殺が記憶遺産と高橋史朗の意見書そして東中野修道
(4) 親中国に動く豪州と揺れるマレーシア内政
※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点

………(1) 戦争屋マケイン上院議員のご神託『海自も12海里を走れ』………

◆12カイリ内航行、日本にも 南シナ海 ジョン・マケイン米上院軍事委員長(朝日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12051629.html
①『南中国海での航行は阻害されるべきでないと考える国々はすべて、同様の行動を取って欲しい』
⇒マケイン行くところ戦争勃発、シリア、ウクライナベトナム

②ところが、今回のマケインは戦争屋を廃業したらしい。『オバマ政権が10月末に駆逐艦を派遣したことに満足していない。本来、通常の行動であるべきものを、劇的なものに仕立ててしまった』と批判

背景には、米市民の厭戦気運がたかまり、戦争を繰り返させた「エバンゲリアン(キリスト教福音派)」の支持者が激減し「宗教離れ」が激増し36%に達したことがある。

米国市民はアフガン、イラク南スーダンリビアウクライナ、シリアと続いた戦争に倦みつかれて厭戦気運が漲っている。それらの侵略戦争を米国政府に正当化させた社会風土はキリスト教福音派エバンゲリアン)のタカ派であった。

ワシントンポスト(WP)によれば、米国市民のキリスト教福音派エバンゲリアン)信徒が減少し、キリスト教信者全体でも減少して、「無宗教=宗教はこりごり」が最大多数を占めたという。これは歓迎してよい傾向だと思う。

◆The largest religious group among Democrats? 'None.'(WP)
http://wpo.st/XXIl0
キリスト教福音派エバンゲリアン過激派)の支持率が半減、(2001年の24%)⇒2007年19%⇒2014年16%
キリスト教福音派エバンゲリアン過激派)は聖書原理主義ともいわれ、共和党タカ派議員を送り込み、ブッシュにアフガンから始まる世界テロ戦争をさせた

キリスト教全宗派で信者を10〜20%減らしている
④増えたのは無信仰で2014年は36%に達し、今世紀で倍増。

南シナ海航行の米軍作戦 自衛隊参加せず(NHK)
http://nhk.jp/N4M44Jov
意味不明のどっちともとれる菅発言;中国やロシアの報道では、12海里を突っ切った米イージス艦の米空母護衛任務の代理を海自のイージス艦が努める合同演習がおこなわれており、不足事態時には3時間で応戦する体制にあったと報道しているが?

海自はルソン島の南中国海沿岸のスービック湾に埠頭と空港を使用する権利を得ている。マケインは海自にハイフォン港の埠頭を日本が租借する話の具体化で動いている。マケインは海自も西沙環礁の12海里をデモ進撃しろと声明したが、ルソン島からハイフォンに行くには西沙を縦断するほかない。

ルソン島からハイフォンまでは西沙を突っ切れば1400キロ。南沙⇒サイゴン沖⇒ベトナム沿岸北上なら2600キロにもなるからだ。中国軍は海自艦が自薦通告し国旗を掲げスパイ行為(ソナー探査など)をせずに直進するなら監視だけで何もしない。だが、ハノイ政権には硬軟取り混ぜ抗議が。

海自はソマリア海賊警備の海自イージス艦の交代のたびに南中国海で米海軍と合同演習をおこなって中国を牽制している。その演習海域を問題の12海里に広げる気は今のところないと言うが?

南シナ海要衝に海自艦寄港で合意 日ベトナム防衛相が会談(共同)
http://www.47news.jp/CN/201511/CN2015110601001555.html
南シナ海の要衝、カムラン湾の海軍基地に海上自衛隊の艦船を寄港させることで合意した。ベトナム軍との初の海上訓練実施も確認した。南沙諸島で人工島を造成する中国をけん制する狙いがある。

カムラン湾サイゴンの東北東300キロにあるベトナム戦争時の米海軍基地。フィリピンが占拠し軍事基地をつくっている南沙5島に近い。ベトナムの西沙5島には800キロ。ソマリア海賊監視海自艦の交代時寄港のための租借である。

このことから思う、ベトナム共産党と政府が割れていると。ベトナム政府の主席も首相も旧サイゴン地域の人。ハノイとは少々異なり幼少時代から米国の強欲資本主義に影響を受けていると思う。彼らは旧北ベトナムを支配できないが、旧南ベトナム地域なら民衆を扇動できる・・・

ダナンに米核空母艦隊を寄港させ、カムラン湾に海自専用の軍事埠頭を提供する。これらは南ベトナムだからだ。ベトナム共産党機関紙ニャンザンにも南ベトナム人脈が入り込み、中国を非難し市民を扇動鶴論調を張っていたが、今回習訪越南でピタリとその論調が停止した。何部に何かあった。

ハノイサイゴンホーチミン)の両方に行くと、その雰囲気に違和感。ハノイは今も共産主義の残照を色濃く残す地味で静かな都市。サイゴンは強欲資本主義の権化ともいえる享楽と退廃と毒性のある活性。ベトナム戦争時代に南ベトナム地域は強欲資本主義に利権を売ってしまったその後遺症だ。


………(2) 日本の長期経済停滞に学ぶ中国の「一帯一路」と安倍のGDP600兆円………

◆「GDP600兆円(現在490兆円)」へ提言 経財会議(朝日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12051530.html
①毎年平均で名目3%以上の成長が必要で、過去20年間一度も達成していない。経済界も「あり得ない数値」(小林喜光経済同友会代表幹事)と疑問視

②賃金毎年3%増加で消費60兆円増
③TPPでインフラ(を中国系から)受注で30兆円増
④中国人観光客増加で7兆円増
⑤ネット販売流通と中国人観光客向け店舗改造で10兆円増
⑥五輪関連2兆円(一過性)
※年120兆円GDPを増やす計画の半分以上が中国依存
※外国人観光客も中国人爆買依存
◆中国人海外旅行者数と購買額、3年連続世界一(中国網)
http://japanese.china.org.cn/life/2015-11/05/content_36988443.htm
①2014年の海外旅行者による購買額は前年比28%増の1648億ドル(約2兆円)
国慶節休暇(10月1日〜5日)に訪日した中国人は53億元(1000億円)を購入

◆李総理、日本経済界の合同訪中団と会談(中国網)
http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2015-11/05/content_36984867.htm
人民大会堂で4日午後、日中経済協会の宗岡正二会長、経団連榊原定征会長、商工会議所の三村明夫会頭が率いる日本経済界の代表団と会談した。日本の主な経営者200人余りが出席。

②李首相
・中日は一衣帯水の隣国。中日政治四文書を踏まえ、歴史を鑑に未来を見据え、歴史などの敏感な問題を適切に処理し、食い違いをコントロールして中日関係を改善すべきだ
・我々は内需に依存する持続可能な発展を実現する基礎を固めるために、構造改革、科学技術革新、新しい経済成長原動力の育成を進める
・中国は各国と生産設備の国際協力を展開し、各国の工業化に貢献する。そのために発展途上国のインフラ整備需要を満たす努力をおこなう
・中日韓自由貿易区(FTA)および東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を推進する。そのために行政簡素化、権限移譲、規制緩和と管理強化の両立、各種サービス向上などの改革を進める。これらによって市場進出条件が緩和され、知的財産権も保護され。開放的で透明な、公平な市場環境を創出する

③日本経済界の合同訪中団代表
・日中は隣国であり、重要な経済パートナーだ。日本経済界は日中関係の改善を歓迎
日中韓自由貿易区、RCEPの交渉を加速することを願っている
・日本経済界は中国改革の深化に関する戦略・計画に鼓舞されており、日中の戦略的互恵関係の発展に貢献したい

…………
中国は長期停滞期に入っている。日本で1991年にバブルが大崩壊し、長期停滞が今も続くが、それは輸出依存経済を内需依存経済に切り替え、輸出産業を外国に移転(空洞化)させた結果であり、デフレで小康状態。

日本の長期停滞を李克強首相(経済学博士)らは詳細に研究し、「内需経済移行」と「一帯一路」(輸出産業をユーラシアに移転させるためのインフラ建設)との並立によって長期停滞への「軟着陸」を計画している。それによって日本のようにGDPがマイナス成長になることを防ぐ考え。

中国がもし「一帯一路」経済ベルトの建設をせずに「内需依存経済」に移行すれば、日本と同じゼロ成長になる。そこを「一帯一路」で中庸の成長率6%に当面維持することになる。それは輸出産業の国外移転で余剰生産設備を解消し、またインフラ建設需要800兆円で国内もGDP6%を維持できる。

「一帯一路」経済ベルトの投資は20年間で少なくとも800兆円(アジア開発銀行)、円安傾向が続けば1000兆円を超える。その財源は大まかに;
➊中国の外貨準備の半分180兆円
➋中国政府の貧困解消対策予算の半分120兆円
➌中国金融の投資200兆円
➍中国輸出産業のユーラシア移転自己投資150兆円
➎香港とシンガポール金融が募集するシルクロードインフラ投資200兆円
ASEAN各国のインフラ投資120兆円
BRICSのインフラ投資20兆円
この他に日米が主導するアジア開発銀行世界銀行からも協調投資が100兆円ほどと予想されている。政府に従順な日本企業はこの100兆円をゲットしようとし、独立性の高い日本企業は❶〜➐のプロジェクトに食い込もうとするだろう。

安倍がトルクメニスタンなど中央アジア五国と締結した3兆円投資も、そのプロジェクトは全て「一帯一路」インフラの構成要素である。例えばガス田開発は中国とパイプライン直結で、発電所は経済ベルトインフラの重要な要素である。

だから、安倍の中央アジアでの3兆円ばら撒きを北京は歓迎している。「一帯一路」建設に参加いただき感謝という雰囲気。日本がAIIBに出資しても、日本企業は中国企業に負けるから受注できない。だから政府経済援助した相手国から日本企業に発注させる。しかし完成すると「一帯一路」の一部になる。

非正社員、初の4割 人件費抑制、背景に(朝日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12051657.html
①定年退職に対応する若者の採用は7割が非正規雇用
②年後には6割に達する可能性
③TPP批准が強行され、各国も批准したら、(韓国やインドネシアや中国が参加しない限り)、7割に達するだろう。
④米国と同じになる。米国産業でも正社員(実質生涯雇用)は20%ほどしかなく、3年契約と非正規が8割らしい。ただし米国製造業の場合は正社員よりも3年契約の方が高報酬。安定を取るか高い報酬を取るかの選択。


………(3) 南京大虐殺が記憶遺産と高橋史朗の意見書そして東中野修道………

文科相ユネスコ総会で演説し、南京大虐殺が記憶遺産に登録されたことを非難し、審査の透明性を要求した。その前には自民党が「ユネスコ運営費の負担金拠出を凍結すべきだ」と圧力もかけた。安倍政権のこの行動は日本に対する印象を悪化させている。

毎日新聞の記事は、南京大虐殺の登録申請に対して反論する意見書を安倍政権がユネスコに提出しており、その意見書の作者が歴史改竄の立役者の一人である明星大の高橋史朗教授であり、歴史教科書問題を起こした実務者としてアジアから批判されている人物。

その高橋史朗が書いた意見書は南京大虐殺を全否定する東中野修道の著書を拠り所にしており、南京市にある南京大虐殺記念館にも東中野修道の主張と彼が被告となった裁判が、南京大虐殺に関する「二度目の虐殺」であるとする展示コーナーがあり、高橋史朗の意見書は激しい逆効果になったらしい。

南京虐殺記念館の展示に東中野修道の非人道的な否定論が紹介されている。彼の仲間である松村俊夫が被告となった裁判についても。

南京虐殺記念館の展示パネル

そんな高橋史朗について外務省は「バランス感覚のある学者」と評価するが、彼の論文は非科学的で結局はアジテーションだとの評価が定着している。高橋史朗はかつて「新しい歴史教科書をつくる会」の役員で、扶桑社版教科書監修者でもあった。日教組を攻撃し、ジェンダーフリー活動を罵倒する人物

レイプ事件の被害女性に対して売春ビジネスだとか誘ったのだとする報道を「セカンド・レイプ」と言いますが、慰安婦性奴隷の否定も「セカンド・レイプ」で、南京大虐殺沖縄戦時の集団自殺強制の否定も同じ心性からの「セカンド・虐殺」と言える。日本文化に対するとてつもない自虐行為である。

◆世界記憶遺産:意見書 日本、「南京」否定派を引用 ユネスコ受け入れず(毎日)
http://mainichi.jp/shimen/news/20151106ddm001040141000c.html
①日本は、登録申請した中国に反論するため、明星大の高橋史朗教授が作成した意見書をユネスコ側に提出した。高橋史朗はかつて「新しい歴史教科書をつくる会」の役員で、扶桑社版教科書監修者でもあった。

②今回の意見書でも、「約100名の日本兵が『大虐殺』の存在を否定する本を出版している」と記し、南京市にいた中国人女性の日記についても「伝聞情報に依拠した記述ばかり」と記述。

③さらに、事件自体を否定する主張で知られる亜細亜大の東中野修道教授の著書を引用して、中国が提出した写真の撮影時期に疑問を呈し、「関連性が疑われる」と主張。

静岡県立大の剣持久木教授「意見書は、南京大虐殺を否定する学派にくみしている印象を与える。ナチスによるユダヤ人虐殺を否定するのと同様の印象を世界に与えかねない」
東京外国語大の渡邊啓貴教授も「日本に対する印象を悪化させて逆効果になった可能性がある」

⑤一方、高橋教授は「東中野教授に批判があるとしても、引用した研究内容は検証されたものだと評価している」と反論。外務省関係者は「(高橋教授は)保守派の中ではバランスの取れた研究者だ」と話している。


………(4) 親中国に動く豪州と揺れるマレーシア内政………

◆豪首相、豪国内の経済構造転換には中国が必要(CRI)
http://japanese.cri.cn/2021/2015/11/05/141s243030.htm
①ターンブル首相は5日、メルボルンで開かれた2015年経済社会の展望会議で、オーストラリアが従来の資源依存型から、構造転換を実現するために、中国に依存する部分が大きいと述べました

②ターンブル首相『中国は電子商取引の規模をすでに米国を抜いている。特に消費レベルから見ると、中国の経済成長は驚くべきものがある。資源依存型から構造転換する時代にある豪州にとって、中国とアジアの成長がもたらしたチャンスをしっかり掴み、それを十分に生かしていかなければならない。
中豪自由貿易協定(FTA)は、雇用創出と新しい機会の創出につながる。急速にグローバル化が進む世界経済への豪州の仲間入りをスムーズにするだろう』

◆マレーシア 政権批判のマハティール元首相を警察が事情聴取(NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151106/k10010296881000.html
①マレーシアの警察は、政治資金を巡る疑惑が持たれているナジブ首相に対する抗議デモに参加し、政権与党を強く批判したマハティール元首相を名誉毀損の疑いで事情聴取した。

②ナジブ首相が政府系ファンドからおよそ7億ドル(日本円で850億円余り)に上る政治資金を不正に受け取っていたとされる疑惑を持たれています。

③マハティール元首相は、ことし8月、ナジブ首相に抗議する大規模なデモに参加し、「政権与党は腐敗している」と述べて政府批判。

※マハティール元首相は親米でTPPに参加したナジブ首相を批判してきた。そこにナジブ首相の政府系ファンド不正利用の疑惑が露呈し、同国の経済を支配する華人系がナジブ批判の集会を開き、マハティール元首相も参加した。

ナジブ首相は抗議集会を弾圧し、経済を影響を心配する閣僚を更迭して、強権性が露骨になったと批判が広がっている。マハティール元首相は今も国民の人気が高い。