日米によるパワーゲームに期待する国はない

(1) 憲法9条の1項と2項の関係
(2) 国連核廃絶会議;日本の核の傘核廃絶を阻止する
(3) 拡大ASEAN防衛相会議:米軍「航行の自由」と中国「主権」
(4) 中国首脳外交;ベトナムシンガポール
(5) 習―馬会談;土曜日にシンガポール
(6) ラムズフェルドアーミテージに「旭日大綬章
※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点


………(1) 憲法9条の1項と2項の関係………

憲法9条は米国に押し付けであり日本国民の総意とは全く異なる」は受入れざるを得ない。松本譲二の日本国憲法素案は大日本帝国憲法と本質は何も変わらなかった。松本は当時の良識派と見做されていたにも関わらずこの考えでは連合国は到底受け入れられない。

GHQはカナダ代表の案をもとに前文や9条や25条などの骨格を日本政府に提示し、それに従って憲法の草案を命じた・・・確かに押しつけであるが、しかし国民の圧倒的支持を得て、国民の希望の糧にすらなった。

カナダ委員は憲条の1項に国際連盟が基底とした「侵略戦争の禁止」を置き、更に2項で自衛戦争に備える軍備も宣戦布告をも禁止する規定を置いた。それをGHQが承認した理由には当時の情勢にからむ打算―「反共の砦」に日本をしたい、そのために「天皇を免罪」する取引としてである。

昭和天皇戦争犯罪人として処罰するには極端な危険性―日本が内戦国化する―がある。米国は悲惨な苦労をする可能性がある。そして共産主義の膨張は1日として猶予する時間を与えない」そういうジレンマからGHQは筋を曲げ打算に走ったと言える。

微妙な文章のアヤであるが、憲法9条第二項の冒頭に「前項の目的を達成するために」を挿入させた。前項は「侵略戦争禁止」であり「自衛戦争の準備は禁止していない」と解釈できる余地を植え付けたのである。そのことはGHQ関係者から岸信介らは言い含められていた・・・

9条1項だけなら、WWⅡを阻止できなかった不戦条約と同文。ドイツも日本も「先制攻撃こそ最高の自衛手段」と主張して侵略戦争を正当化した。案の定、9条2項冒頭の接続句が安倍の安保法制に悪用され、朝鮮半島と満蒙を「皇国の存立自衛のために確保」と言った時代へと回帰させてしまった。

WWⅠの反省は「侵略戦争は国家犯罪」と認定したが、侵略に対して自衛する権利はこれを認めた。侵略側はその「自衛」を悪用した。大日本帝国は「満蒙は日本の生命線」といって「自衛のために」中国を侵略する大義に悪用した。

そもそも、数百年前から世界で堂々と「侵略」すると宣言する国家は無くなっていた。しかし二度のWWが発生し、1億人が無残な死を遂げた。だから「自衛戦争」の大義を悪用する道を途絶しなければならぬというのが憲法9条2項であり、この2項が平和憲法と呼ばれる唯一最大の基盤なのです。

GHQの若きカナダ代表はそこまで考え抜いて憲法草案を1週間で作成したと言われています。そんなのは阿呆が好むユートピアの残像さと言いますが、ではほかに、残虐な悪者が行使する「自衛のための侵略」を禁止する国際法などあり得るのでしょうか?


………(2) 国連核廃絶会議;日本の核の傘核廃絶を阻止する………

日本の提案は「核の傘は安全保障上きわめて重要。核が拡散することが問題なのだ。だから核の傘を護るために、各国首脳に広島長崎の見学を義務つけよう」が本音であり、邪である。そしてそれが世界から見抜かれている。核の傘を放棄しない限り本質的賛成を受けることはない。

被爆の悲惨さという反対のしにくさで世界を欺き、広島長崎の悲惨な体験を核の傘を護る戦略に利用する安倍政権は邪悪。しかし実際の本音や安倍政権のイデオロギーが熟知されるにしたがって、暗い影がさした。

日本案は、核が途上国に拡散して、米軍の核の傘の抑止力が失われることを阻止する軍事戦略提案。それなのに、昨年まで日本と共同提案国となってきた米国が今年は棄権。英仏も棄権し、中国は反対した。日本案に「非人道的」という言葉が、中途半端にではあるが、混じっていたからである。

豪州と南アフリカなどは日本提案に反発し、「核廃絶の義務を国際法とする」決議を提出。提案は支持を広げ、日本提案を上回った。米国の核の傘を護ろうとする日本は案の定「棄権」した。日本が日米安保要約を破棄せず、自分らだけ核の傘に守られようとしていることが、核廃絶の最大の障壁だと思います。

◆国連:「核使用禁止」決議を賛成多数で採択 日本は棄権 (毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20151103k0000e030179000c.html
◆日本提出の核廃絶決議案、中国が反対、米英仏が棄権 国連で採択(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/ASHC34Q34HC3UTFK002.html?iref=comtop_6_02
常任理事国の全てが反対か棄権した。「世界の指導者らに被爆地訪問を促し、核の非人道性を強調した。一方、廃絶時期を示さない穏健な内容で、核廃絶は安全保障を考慮して段階的に進めるべきだ、と主張し、「核の傘」を容認したからである。

中国はイスラエルやフランスと同数の100発前後の核爆弾を保有。ところが、日本は自己保有するプルトニウムを利用すれば数年で500発以上を保有できるので非常に危険視されている。IAEAは日本の使用済み核燃料が軍事利用されないよう監視する機関だったが、金で乗っ取ってしまった

◆日本の原子力政策を批判 国際核廃絶パグウォッシュ会議(共同)
http://www.47news.jp/CN/201511/CN2015110301001789.html
①海外の科学者らは、コストの高さや兵器転用の恐れを指摘し、核燃料サイクルなどの日本の原子力政策を批判し、特殊な容器で使用済み核燃料を貯蔵する方法を提案した。


………(3) 拡大ASEAN防衛相会議:米軍「航行の自由」と中国「主権」………

マレーシアが議長当番の「ASEAN防相会議」が始まった。これを期にカーター国防長官と常万全国防相が会談し、米太平洋軍のハリス司令官も訪中し人民解放軍と直接交流している。

ASEAN防相会議の共同声明案を議長国マレーシアがまとめ、拡大ASEAN防相会議に提案したら、日米が猛烈に反撃し、中国とはげしく対立した。ASEAN各国はおろおろしながら成り行きを見守っている。

マレーシア等ASEAN穏健国は米日の海軍が南中国海を問題海域にしたと認識している。航行の自由はずっと問題が無かった。米日海軍の介入で不自由になる懸念が強まったという背景が穏健国に共通する。インドネシアも豪州すら同じ考えである。日米がフィリピンを味方にするが、ベトナムは躊躇。

結局、「拡大AEAN国防相会議」は共同宣言を見送った。南中国海問題で、日米と中国の、およびASEAN諸国内の意見対立が克服できなかった。大雑把にいうと、その勢力関係は;
親中・・・カンボジアラオスシンガポール
中立・・・タイ、インドネシアミャンマー、マレーシア、ベトナム、豪州
親米・・・日本、フィリピン

………

米国大太平洋軍司令官が昨日から北京。人民解放軍と直接交流を行っている。南中国海問題は米軍もタブーにしている。局所戦闘としても米軍に勝ち目はないからである。米軍が非難すれば人民解放軍は南中国海の「軍事化」と公然化する大義を得ることになるからだ。このあと太平洋艦隊司令官も訪中する。

米海軍のイージス艦はただ1隻で直進、戦闘する気はないとの表明で、自由通行権の行使デモ。追尾した中国のミサイル駆逐艦フリゲート艦の2隻も一定距離を維持。米艦が減速や方向転換をしたら、ミサイル駆逐艦がロックオンし、フリゲート艦が体当たりで米艦の進路を強制変更させる予定だった。

南太平洋の中国海軍は、黒海における米艦艇に対応するロシア海軍の作法に準拠している。ミサイル駆逐艦と小型だが強力な海防艦の二隻で追尾し、米艦が減速したり方向を変えると、ミサイル駆逐艦がロックオンし、海防艦が体当たりで米艦の進路を変更させる方法である。上空には早期警戒機と戦闘機も。

昨日まで中国人民解放軍は戦闘機集団と早期警戒機による空中哨戒訓練を、米艦が侵入した海域で実施した。同時に中国海軍は静穏推進潜水艦を配置し終わり、中国のミサイル原潜を追う回そうとする米軍潜水艦を追い出す態勢に入った。同海域には中国のミサイル原潜が2〜4隻。

南中国海の西沙は海南島の中国軍基地から戦闘機も戦闘半径内である。海南島などにはF15とF16に相当する戦闘機が約80機、F4戦闘機相当も約170機の多数で、早期警戒空中指揮機もあり、更にミサイル駆逐艦6隻、フリゲート12隻、ミサイル原潜4隻、静穏潜水艦9隻の陣容である。

ASEAN:国防相会議始まる「安定を確保する責任ある」(毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20151104k0000m030048000c.html
①中国と領有権を争うフィリピンやベトナムは米国の存在感が増すことに期待する。しかし、他の多くの国は中国との経済関係を重視し、地域で米中対立が激化することを懸念

◆U.S., Japan push for mention of South China Sea in defense forum statement(ロイター)
http://reut.rs/1Ok4Cwb 議長国マレーシアの共同声明案に「南中国海問題は含まれず」
◆中国に配慮、共同宣言案から「航行の自由」削る(読売)
http://www.yomiuri.co.jp/world/20151103-OYT1T50103.html?from=tw
◆共同宣言、見送り=南シナ海めぐり対立−拡大ASEAN防相会議(時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2015110400398&utm_source=twitter&utm_medium=jijicom&utm_campaign=twitter
ASEAN defense chiefs fail to agree on South China Sea statement(ロイター)
http://www.reuters.com/article/2015/11/04/us-asean-malaysia-statement-idUSKCN0ST07G20151104?utm_source=twitter#sCjOE0wDtMwmzHUS.97
①拡大ASEAN防相会談は共同宣言案をスクラップにした。日米と中国の非難の応酬があり、ASEAN各国は共同宣言をスクラップにした。

②この会議の直前に米海軍が南中国海の紛争海域に侵入したことから、中国を怒らせた結果である。中国は米軍行動を『中国の主権を侵害し、海域の平和と安全と航行の自由を危機に晒した。中国はいかなる侵略行為も断固として跳ね返す準備ができている』とすごんだ。実際その通りである。

③中国はまた『ASEANと無関係な日米が紛争を煽り、不十分だと知ると、自ら軍事介入にのりだしてきた。部外者は去るべきだ』と非難した。

④カーター国防長官は『ASEANが結束できなかったという事実は、南中国海の航海の自由がその程度の問題だということの反映だろう』と言い捨てた。

⑤議長のマレーシア国防相ASEAN各国の内部ミーティングで意見を集約し、「中国を名指しせず、航海の自由と領土問題をASEAN・中国が締結している『南中国海行動宣言』を行動規範化にする現状の協議を促進するという共同宣言案を作成したが、中国軍は拒否しスクラップにされたらしい。

⑥米海軍は会場の側に核空母ルーズベルトを待機させ、一種の砲艦外交で威嚇を試みたが無駄だった。ASEANのどの国も、ベトナムすら黙り込み、首を振らなかったのだ。

米軍はアジアで地に落ちた。核空母2艦隊程度の戦力では敵地攻撃には全く脆弱だ。中国は本土防衛の強みと核戦力まである。アフガンやイラクとはわけが違うのだ。

南シナ海巡り米中の国防相が会談(NHK
http://nhk.jp/N4M24Jls
◆China warns US against further South China Sea patrols(RT)
https://www.rt.com/news/320712-china-us-security-threat/
①中国の常万全国防相は、先週米軍が強行した南中国海での領海侵犯を重大視しており、中国の主権を侵害する侵略行為であると、米国を非難した。

②この警告は、拡大ASEAN防衛相会議が行われているクワラルンプールで、常万全国防相からカーター国防長官に直接通告された。

③常万全国防相『米国に警告する。米国は中国を刺激し牽制するいかなる軍事行動を繰り返すべきでない』。米海軍のミサイル駆逐艦ラッセンは西沙の多島海に侵入し、中国が施設を建設している環礁の12海里に沿って侵入デモを行った。

④北京は米海軍ミサイル駆逐艦ラッセンが南中国海で強行した軍事行動は、海域における軍事的摩擦を引き起こしていると警告。

⑤中国外交部声明『米海軍戦闘艦は中国の主権と安全保障を侵害しただけでなく、環礁を護る人員と施設を危険な晒し、海域の平和と安定を破壊した』

⑥カーター米国防長官は『米軍には如何なる空域も海域も自在に航行する権利がある。今回実施した12海里の中のパトロールは今後も繰り返す』と切り返した。北京は問題海域で海空軍による総合軍事演習を大規模の行って、カーターへの答礼とした。

⑦ワシントンはマレーシアで行われている拡大ASEAN防衛相会談の共同宣言に中国を非難する条文を挿入させることに失敗した。

⑧カーター長官は会見で、『米軍の活動が地域の緊張を高めているのではないか』という質問に、『南中国海での米軍の活動は数十年にわたるもので、新たな変化は埋め立てと軍事化だ』、地域を不安定化させているのは中国だと述べ、南中国海で自衛隊と活動する核空母ルーズベルトの視察に向かった。

◆米中国防相会議「軍事拠点化」停止要求=衝突回避の方針も確認か(時事)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201511/2015110300386&g=pol
①カーター国防長官と中国の常万全国防相による直接の会談が、3日夜、行われました。カーター国防長官は「軍事拠点化」の停止を要求し、常万全国防相は「侵略」の停止を要求した。

米国が大統領⇒国防長官⇒国務長官の順位なら、中国も同じで、国家主席人民解放軍トップの常務委員⇒首相の序列。そして常万全国防相は弁のたつ人。ペンタゴン訪問時には米側の数倍の弁舌をふるった、言いたいことを全て言い、米国の道に外れた二重基準を批判し、米側が閉口したという。

米国政治の慣例では、国務長官よりも国防長官が上で、両者の意見が相違したときは国防長官優先。米国とはそういう国。ケリーはカーターに悉くコケにされ苦虫

◆U.S. Admiral, in Beijing, Defends Patrols in South China Sea(NYT)
http://nyti.ms/1k7rLpc
◆米艦航行停止を要求=中国軍制服組トップ(時事)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201511/2015110300413&g=int
◆米太平洋軍司令官:中国軍幹部と会談「九段線はあいまい」(毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20151104k0000m030047000c.html
◆12カイリ内航行、米は3か月に2回程度 艦船派遣へ(TBS)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2627179.html
①中国を訪問している米太平洋軍のハリス司令官は3日、中国軍制服組トップの范長竜・中央軍事委員会副主席と会談。范氏は南中国海で中国の人工島への米艦航行は「誤った危険な行動」だと停止要求

②ハリス「南中国海の7割を中国領とする領土基線『九段線』は根拠が曖昧だ」⇒中国「『九段線』は蒋介石が南中国海全域を領土として設定したもので、曖昧と思うのなら台湾に聞いてほしい、中国は迷惑している・・・」

③ハリス「南中国海のパトロールは中国だけをターゲットにしてはいない、フィリピンやベトナムなどの行き過ぎた軍事行動を監視する目的もある。今後も3月に2度以上の頻度でパトロールする』
米国太平洋軍司令官のこの発言は典型的な見せかけの大義で、アジア各国に見透かされている。

◆日中防衛相会談 南シナ海問題は平行線に(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151104/k10010294411000.html
南シナ海日中問題でない」=中国国防相(時事)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201511/2015110400995&g=pol
①中谷防衛相『航行の自由を確保し秩序を維持することが重要だ』
②常万全国防相『領有権を争っている国々との間の問題だ。南シナ海問題は中日間の問題ではなく、日本が南中国海情勢を複雑化させるいかなる行動も取らないよう要求する』


………(4) 中国首脳外交;ベトナムシンガポール………

習近平主席は5日にハノイ入りする。ベトナム共産党主席の招待に応じたものである。ベトナム共産党主席は6月に北京に招待されており、その返礼になる。ベトナムは揺らいでいる。南中国海の5島を占拠し軍事基地化しており、中国が返還を求めているからだ。

2年前には海洋警察の衝突になり、ベトナムに進出した台湾資本の製鉄所建設現場が暴徒に襲われ、中国人2名が撲殺か焼殺されている。これはベトナム副首相兼外相がニャンザンと組んで南中国海領土問題で中国非難を煽った結果であり、中越協定違反であり国際賠償がのしかかっている。

だが中国は暴徒の逮捕と裁判をもって見逃した。その謝罪とお礼にベトナム共産党総書記が北京に赴いて、再発の徹底阻止を約束した。その後中国は「一帯一路」経済ベルトの建設と開発投資銀行AIIBを立ち上げたが、ベトナムは日米が主導権を握ったTPPに参加して、ジレンマに陥っている。

習主席は11月6日の午後シンガポールへ。7日にシンガポールの50周年記念式典に招待され、中国の蘇州と天津の巨大工業園区に続く第三弾の工業園区を中国西部に建設するプロジェクトを調印する。この式典には台湾の馬英九氏も招待され、習近平主席と馬英九氏の会談がアレンジされた。

習主席のハノイ訪問に話を戻す。ハノイ訪問について中国外交部も中国報道も極めてそっけなく、シンガポール訪問への期待をもりあげている。この上場はソウルでの「中韓日首脳会議」と全く同じである。

会議前に日本についてほとんど何も言わなかった。記者から質問されても従来の原則論を繰り返すばかり。それで会談では李克強首相が安倍首相に厳しい内容を突きつけ、原則的に反対させず、中韓日FTAとアジア包括的経済圏(RCEP)促進を約束させた。

ハノイ訪問も日中会談と同様の結果になると予想させる。ドイツの国営ラジオDWはベトナムの外交専門家にインタビューし、今回ハノイが、安倍が陥ったようなジレンマに立たされ、日本同様の約束をして、習主席は短時間でハノイからシンガポールに向かうだろうと予測している。

◆China's Xi aiming to 'reset' ties on Vietnam visit(DW)
http://www.dw.com/en/chinas-xi-aiming-to-reset-ties-on-vietnam-visit/a-18823851?maca=en-rss-en-all-1573-rdf
習近平主席のハノイ訪問は中国とベトナムの結びつきを『リセット』する旅かもしれない
①▼ハノイの無指向性(寄せ集め外交)アプローチ
海上領土の自覚を強める海軍と空軍と沿岸警備隊海上防衛力を強化によって、フィリピンやマレーシアなどすら行動しえないことを2倍も強くハノイが実行していると中国に感じさせる。そして米国ベトナムを支援するための活動を開始した」とグエンは言う。

②しかし、ベトナムは米国の支援だけに傾斜したのではなく、ハノイは『無志向性(寄せ集め)』が外交方針だと専門家は指摘する。「ベトナムは友好関係を米国、日本、ASEAN、印度、豪州、ロシアとも中国同様に求めている」。

③「問題は、中国は世界をゼロサムの観点で眺め、ワシントンやニューデリーや東京およびキャンベラとのハノイによる関係改善をベトナム防衛のための「中国包囲」行動の一つであると中国が見なしていることにある」と分析家グエンは言う。

④例えば、カムラン湾の港湾を自由貿易港として全ての国に開放する試みを実現させるために、ベトナムが南中国海に関するASEAN合意を中国に対する牽制に利用しようとしたと、中国は非常な警戒感を抱いていると彼は指摘する。

⑤「米国がそのカムラン湾の完全開放から利益を得ようとしていることは明白である。今週、日本の防衛大臣ハノイを訪問し、日本の自衛隊カムラン湾ベトナム軍港を利用する交渉をするだろうと言われている。これは北京を怒らせるに違いない」と、東南アジア専門家専は言った。

⑥▼パワーバランス・ゲームを変えることを誰も期待しない
このようなベトナムと日米の行動および領土紛争を考慮すると、習主席のハノイ滞在は極めて短時間で終わるだろう―貿易と投資の協定を締結するだけだ―と専門家は言う。

⑦「共同宣言で、両国の長期的な相互投資と開発およびトンキン湾の海の国境を策定するための原則的合意が発表されるかおしれないが、それは少しも有意義な内容ではなく、現状を打開するものでもないだろうと予測されている」と分析家グエンは述べた。

⑧グエンは同様の予測をしている:「習主席の二日間の訪問によってでも、中国の行動によってもたらされた信頼の喪失と幻滅がハノイ政府とベトナム社会から消え去ることはない。

⑨それにもかかわらず、頻繁なハイレベル・コンタクトと、深い歴史的な政治的な結びつきの故に、両国間の論争がエスカレートすると真実アナリストは誰も居ない。

◆中国、南中国海めぐり越に接近=習主席、5日に9年ぶり訪問(時事)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201511/2015110400756&g=int
中越関係は14年5月に中国が南中国海の係争海域で石油試掘を強行して悪化したが、ベトナム共産党トップのグエン・フー・チョン書記長が今年4月に訪中し修復

②今回、習主席の訪越で両国はインフラ建設、貿易、投資などに関する協力文書に署名する見通し。

◆FTA改善など経済関係強化=中国主席、6日からシンガポール訪問(時事)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201511/2015110300351&g=int
①両国自由貿易協定の改善と蘇州工業園区と天津エコシティーの開発に続く3件目の大規模事業で合意見込み。場所は中国西部の可能性(蘇州工業園区は人口120万人)

蘇州市は人口600万。呉時代の古都ですが、旧市街は200万、シンガポール開発の工業園区が120万、台湾企業の工業団地が80万、日立など日本企業団地に20万、郊外農村に180万という配分。蘇州工業園区は広大で、道が広く、大学も多く、非常に綺麗です。


………(5) 習―馬会談;土曜日にシンガポールで………

習主席と馬英九氏は11月7日にシンガポールで歴史的な会談を行う。シンガポールがひそかに調整を行い、両岸リーダを50周年式典に招待して、習―馬会談をアレンジした。

対日戦争で国共合作をして共に戦ったが、日本に勝利直後から内戦となり、国民党軍は連敗の末に、福建省などから台湾に落ち延びて、経済成長に成功した。だが日本と同様に台湾の経済成長が飽和すると台湾企業は中国本土へと里帰りの空洞化を進めて、中国全土、特に蘇州には大産業地帯を形成した。

台湾学生が島内では就職が困難となり、蘇州昆山地区に出向いて台湾企業に就活をしている。日本では「台湾独立」がどうのこうのといまだに言うが、台湾では与野党ともに完全にタブー化している。言えば、自分らの明日の生活が困難になるからだ。

国民党が台湾に落ちのび経済成長し始めたころに、ニクソンが台湾を国連から除名(脱退?)させ、北京を中国の代表として国連常任理事国の席に座らせた。米国も日本も北京と国交回復する条約で、台湾は中国の一地方であると宣誓している。

それが悔しいといったところで、今日の台湾経済は7割がた中国本土に依存を超えて立脚してしまったから、それを嫌う人には米国市民権獲得しか途は残っていない。ちなみに、国民党の馬英九民進党蔡英文も米国市民権を保有している。二股をかけているのだ。

さて、習近平主席と馬英九氏はどんな話し合いをするのだろうか。台湾側における現実的な最大問題は「一帯一路」と「AIIB」に一つの独立国並みの役割を担いたいと表明し、形式上其れは困難で、現実的な業務分担で台湾地区を配慮すると北京は説明している。

台湾が北京と「一帯一路」や「AIIB」の業務分担を話し合うにはシンガポールがとても良い場所である。そもそも「一帯一路」を発案したのはシンガポールと言われており、今回中国とは「一帯一路」の重要なハブ工業園区をシンガポールと中国で共同建設する。そこに台湾も・・・

日本報道はいずれも「派手な発表は国民党が支持を失い、独立志向の民進党をますます有利にするだろう」を結言にしている。それは事実でない憶測。国民党の支持率低下は内紛によるオウンゴールであり、民進党も今世紀初めに政権を取ったが、中国との関係改善に失敗し、この党も腐敗した。

◆中台首脳、会談へ 1949年の分断後初(BBC日本語)
http://www.bbc.com/japanese/34718122
◆両岸指導者がシンガポールで面会(中国網)
http://j.people.com.cn/n/2015/1104/c94474-8971421.html
①馬総統「台湾海峡両岸の平和を促進し、現状を維持すること」
新華社「海峡両岸関係の平和的発展に関して意見交換する」
③両岸の政治的溝が未解決なので、「1つの中国」の原則に基づく実務的セッティングとして、双方は両岸の指導者としての立場と名を使用する・・・「中華人民共和国」「中華民国」ではない。「中国」「中国(台湾)」ではないか?

◆<馬・習会談>台湾の対中国大陸機関トップ、実施の正当性強調(中央社フォーカス台湾)
http://japan.cna.com.tw/news/achi/201511040013.aspx
①双方は指導者同士の会談として位置づけており、「国家主席」、「総統」といった肩書きの代わりに、「先生(さん)」の呼称を使う。

◆Chinese scholar speaks highly of meeting between Xi and Ma(中国中央電視台CCTV)
http://applist.cctvnews.cn/publish/website/data/data/2015/11/04/978985/detail.html
①中国の主席である習近平と台湾のリーダーである馬英九が土曜日にシンガポールで歴史的な会談を行う。
②両岸のリーダーは両岸関係を平和裏に発展させる展望を語り合い、両岸協力の実務的な重要課題についても協議する。

◆Taiwan, China leaders to hold historic meeting in Singapore on Saturday(ロイター)
http://www.reuters.com/article/2015/11/03/us-taiwan-china-meeting-iduskcn0ss2m220151103?utm_source=twitter#wi1QCtHOOTqz4mV7.97
①北京と台湾のリーダーが顔を合わせるという歴史的会談がシンガポールで催される。1949年に中国の内戦で中華民国が敗北し、台湾に落ち延びて以来初めての会談がついに実現する。

②習―馬会談は、台湾にとって政治的に敏感な時期に催される。来年1月16日に台湾の総統と総選挙が行われるからだ。従って、野党を刺激しないように、習―馬会談では共同声明もおこなわず、協定類の署名も行わないことで北京の了解を得ている。


………(6) ラムズフェルドアーミテージに「旭日大綬章」………

ラムズフェルド元国防長官は嘘で固めてアフガンとイラクを侵略し100万人以上を死に追いやって恥じるどころか、傭兵企業と超高額特許製薬で米国企業に数兆円をせしめさせた。アーミテージ元国務副長官は平和を嫌い、国力競争を煽り、軍拡を煽る。それに安倍が「旭日大綬章

◆秋の叙勲 3964人が受章(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151103/k10010292571000.html
①「旭日大綬章」は、元産経新聞社会長の清原武彦さん、アメリカのラムズフェルド元国防長官やアーミテージ元国務副長官が受章