中韓日首脳会談;韓国と日本の報道

(1) 韓国側の報道
(2) 日本側の報道
(3) 日本報道の嘘を告発する韓国報道
※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点

………(1) 韓国側の報道………

◆<韓日首脳会談>会ったのは成果…慰安婦解決時限の未定は限界(中央日報
http://japanese.joins.com/article/839/207839.html?servcode=A00§code=A10
①朴大統領と安倍首相は98分間の会談の末、「(慰安婦問題)協議の早期妥結のために交渉を加速させる」ことに合意した。その間、安倍首相が慰安婦問題の解決に留保的な立場だったことを勘案すれば進展がある合意だ。ただし、この日の首脳会談は歴史問題に対する認識の違いを再確認させた。

②朴大統領は『今日の会談がつらい歴史を治癒する大乗的で真心に満ちた会談になり、両国関係を発展させる重要な機会になることを期待する』と「歴史清算」を強調したが、安倍首相は『未来志向の協力関係構築するうえで未来世代に障害を残してはいけない』と述べ、「未来指向」に重点を移してしまった。

③国民大の李元徳日本学研究所長「今回、韓日首脳会談が開かれたことだけでも大きな意味を持つ。関係正常化の第一歩を踏み出したと見ることができる。過去の問題を議論すること自体を避けた過去に比べると大きな発展。今後も多者会議で会えば来年は朴大統領の日本国賓訪問も可能になるかもしれない」

青瓦台は会談前、今回の首脳会談の内容を公開しないという方針を決めたという。したがって両首脳の共同発表文や記者会見も準備されなかった。記者の質問にも「話す言葉はない」とのみ答えた。

⑤来年の参議院選挙を控えた安倍首相が慰安婦など過去の問題に前向きな態度を見せるには限界があった。朴大統領が要求したように安部首相が誠意ある謝罪をする場合、日本国内の支持基盤である保守有権者の反発を招きかねないからだ。

◆韓日首脳会談:「最悪のシナリオ」避けた点に意義(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/11/03/2015110300583.html
①韓国政府関係者「慰安婦問題では特に進展はなかったが、両首脳が興奮して『破局』を宣言しなかったことだけでも意味がある」

②外交筋「『早期妥結のための協議加速』というあいまいな表現になっており、それを見れば会談のムードがだいたい分かる」

③朴大統領は「歴史」、安倍首相は「未来」を重視し、それぞれの考えを示唆することで正面衝突を避けた格好だ。 (朴大統領は「歴史」の正視を主張したが、安倍首相は「未来」にすり替えぬと応じないと突っぱね、朴大統領が折れたと言う見方。これは国民を納得させる新たな難しさになる)

④最大の難題であった慰安婦問題は今回の会談後も最大の課題として残った。韓日は今後年末にかけ、多国間首脳会合、外相、局長クラスの協議ルートを通じ、引き続き問題解決を目指す構えだが、見通しは明るくない。

◆韓日首脳会談:昼食会なしの安倍首相、焼肉屋へ(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/11/03/2015110300589.html
①大統領府での歓迎行事もなかった。さらに共同での記者会見や記者発表文もなかった。昼食時間の直前(11時45分)に終了したが、昼食会もなかった。安倍首相はソウル市鍾路区仁寺洞の飲食店で随行員たちと食事を済ませた。

②朴大統領「日本にも、韓日関係は真実と信頼を礎としなければならないという『誠信之交』を説いた先覚者※がいた。外交においては信頼が最も重要だと思う」 ※江戸時代の儒学者・外交官 雨森芳洲(1668−1755)、壬辰倭乱文禄・慶長の役)を批判し、朝鮮と日本の関係回復を主張。

◆韓日首脳会談:顔突き合わせた100分、関係正常化の第一歩(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/11/03/2015110300580.html
①「慰安婦協議」は解決策を打ち出すことができなかった。

②その代わり両首脳は「可能な限り早期に慰安婦被害者の問題を妥結するための協議を加速化させる」と合意し、関係回復への含みを残した。

③韓昇洲元外交部長官「両国とも確執に対する疲労感があるので、解決しようという意思がある」
④金聖翰高麗大学教授「日本もかたくなな姿勢から一歩引いたと思われる」

⑤孔魯明元外交通商部長官「『関係正常化』へ進まなければならない。ただ、歴史問題に埋もれず、段階的なアプローチが必要だ。慰安婦問題がすべてではない。感情のままに動けば国際関係でかえって困難になる」

⑥金守漢元国会議長「一刀両断的な考え方はせず、互いを受け入れていくべきだ」
⑦朴寛用元国会議長「双方とも一度に完ぺきな結論を出すには難しい立場にあるため、忍耐をもって徐々に解決していくのが道理にかなっている」

⑧峨山政策研究院のポン・ヨンシク上級研究委員「朴大統領が明言してきた(歴史問題とそのほかの問題を切り離す)『ツートラック』外交を実際に駆使する時が来た。中国まで含めた経済協力を取り上げる時、歴史・安保問題を避けることができる」

⑨両首脳は、日米主導で先月妥結された環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を韓国が決定した場合、協力していくことで同日合意した。


………(2) 日本側の報道………

慰安婦問題、早期妥結探る 協議加速で一致 日韓首脳会談(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12048684.html?ref=pcviewer
◆日韓、正常化へ歩み寄り 慰安婦問題協議 首脳会談(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12048665.html?ref=pcviewer
①日本側は、1965年の日韓請求権協定により請求権の問題は、日韓請求権協定で解決済みとの立場に変わりはないと譲らなかった。安倍首相も2日夜、BSフジの報道番組で同じ認識を示した。

②安倍『互いの国民が完全に納得することは非常に難しいが、一致点を見いだすこともできる』。2007年に解散した「アジア女性基金」のフォローアップ事業として政府が1億円(内7000万円は前回受け取り拒否された残額)を財政支出し安倍首相の手紙を添える案などが取り沙汰されている。

③はさらに安倍首相は『大切なことは合意すればその後、この問題を再び提起しないことだ。妥結とはそういうことだ』と、韓国側が再び政治問題化させないと確約することが条件だと言った。

④日本政府が法的責任を認め、税金で従軍慰安婦に償い金を支給することで妥結する大前提は「二度と蒸し返さない」確約。その証明に日本側は、ソウル日本大使館慰安婦像の撤去、産経元ソウル支社長裁判の取り下げ、日本の戦争犯罪に関するユネスコ遺産申請取止め等を要求している。

⑤南京慰安所世界遺産に申請し、ユネスコから韓国と共同で出しなおしてくれと要請された中国の反応を韓国は無視できない。慰安婦問題での譲歩は、中国が求める歴史認識問題での共闘に影響が出る可能性があるからだ。

⑥韓国の大法院(最高裁)では、日本統治時代の元徴用工らの損害賠償請求を巡る審理が続いている。請求権が認められれば、日韓関係の火種になるのは必至。韓国では元慰安婦や支援団体の対日批判姿勢が強硬なため、説得に不安を感じる韓国政府が容易に合意に応じない可能性も残る。

産経新聞前ソウル支局長の裁判は懲役1年6月が求刑され、今月26日に判決予定。判決の内容次第では、安倍首相の支持層から慰安婦問題での譲歩を拒絶する声が高まる可能性。


………(3) 日本報道の嘘を告発する韓国報道………

◆韓日首脳会談後の日本メディアの報道が度を超している(中央日報
http://japanese.joins.com/article/037/208037.html?servcode=A00§code=A10
読売も産経も朝日も毎日も、さもあったかのような嘘を事実として報道している。以下はその例;

①読売「日本政府が慰安婦問題を(首脳会談から)切り離そうとして韓国政府が難色を示したが、日本側が『(慰安婦問題のために)会談ができないのであればやむを得ない』と伝えると韓国側が折れてきた」と伝えたが嘘である。日本側は、初めから慰安婦問題を扱うことを前提に首脳会談を要請てきた。

産経新聞は「韓国側が(慰安婦問題の)『早期妥結』について安倍首相に『年内』と明言することを求め、朴大統領主催の昼食会などを交換条件に譲歩を迫ってきたが日本が拒んだ。安倍首相は周辺に『昼飯なんかで国益を削るわけにはいかない』と話した」と報道した。これも嘘である。

韓国外交部当局者「年内と釘をさそうと提案をしたことはない。当然昼食を条件にしたという事実もない」「日本側は1日に日韓会談を要求したが、中韓日三国首脳会談で時間が無いというと、では2日に日韓会議ただし昼食会もと要求した。そのスケジュールは無理だった」

③朝日「首脳会談の前日に開かれた韓日外相会談で日本側が米韓両国の各地に設置された慰安婦像の問題などを持ち出した」という報道も事実ではない。当時会談では少女像(慰安婦像)という単語自体が出てこなかったと韓国政府関係者。

④毎日「昨年12月、斎木昭隆日本外務省事務次官が当時の趙太庸外交部第1次官と会って『安倍晋三政権は総選挙に勝って4年間を保証されています。朴槿恵政権は、あと3年。そちらがかたくななら日韓関係は3年間動かない。それでいいのですか』と圧迫したことが功を奏したとこれも全くの嘘。

安倍首相が帰国直後のインタビューで『首脳会談後、私たちが飲食店に行くというと朴大統領が多少驚いた表情だった』としたのも嘘。朴大統領は『そうなんですね』と答えたのが全てだと青瓦台関係者。

⑤当局者は「日本政府が自国内の世論を意識して意図的にメディアプレーをしている」と批判