ユネスコ世界遺産登録問題

(1) ユネスコ世界記憶遺産登録でユネスコと日本政府が対決
(2) 中韓露が首脳会談に応じる目的
(3) 厚労省と引き上げ援護局と年金と岸信介
※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点


………(1) ユネスコ世界記憶遺産登録でユネスコと日本政府が対決………

南京大虐殺の記録を記憶遺産に登録した。慰安婦性奴隷犯罪に関しては韓国などと共同で申請することを求め、中国と韓国共同の申請作業が開始されるだろう。

中国の吉林省で発掘された旧日本軍憲兵隊本部の内部報告書30万ページには南京大虐殺慰安婦徴集の記録が多数あり、また南京法廷での被告陳述書にも多数の被告自筆調書はある。

ユネスコはまた、登録された明治世界遺産の審査過程で、日本大使が強制連行を認める発言を行った議事録を公開し、韓国政府に注意を促した。韓国政府は「強制連行」を記憶遺産に申請する。

官房長官ユネスコに支払っている分担金の拠出を停止する検討をしていると明言した。中国はユネスコに「寄付」をする準備があると環球時報が報道した。

◆菅官房長官ユネスコ分担金「停止・削減を含め検討」(毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20151013k0000m010031000c.html?inb=tw
①「ユネスコ運営のために拠出している分担金について、政府として停止・削減を含めて検討している」

②「(登録は)密室で行われ、法律に基づくものでもない。透明性や公平性をもっと出すべきだ。南京事件に関しては、確かに南京で非戦闘員殺害とか略奪行為があったことは否定できないが、(犠牲者の)人数にはいろんな議論がある」

◆南京大屠杀档案成功申遗 日威胁停缴教科文组织经费(環球時報
http://world.huanqiu.com/exclusive/2015-10/7736368.html
ユネスコ南京大虐殺証拠文書を記憶遺産に登録したことに日本政府が猛烈に抗議している。

②極東戦犯裁判南京法廷の判決文が含まれが、南京法廷は勝者の勝手な裁判で国際法上の疑義があると主張し、ユネスコ経費分担金の納入を停止すると息巻いている。中国はユネスコに寄付をする用意がある。

③日本政府のこのような態度は、アジアの平和と繁栄を著しく傷つけるものとして、世界の信用を失うだろう。日本政府は南京法廷を無効だと主張するが、極東裁判東京法廷の判決でも「南京で2万の強姦、20万人以上の殺害があった」と認定され、主犯松井岩根大将が絞首刑に処されている。

◆政府、ユネスコへ圧力=「南京」受け、慎重論も(時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2015101300733&utm_source=twitter&utm_medium=jijicom&utm_campaign=twitter
①日本は2014年度、ユネスコに対し、10%強に相当する約37億円の分担金を拠出。これ以外に特定事業に対する任意の拠出金約4億円も払った。米国はパレスチナユネスコ加盟に反発して11年から分担金を支払っておらず、日本が事実上、世界一のドナー国だ。

②政府はユネスコに対し、記憶遺産登録の決定過程に関して公平性や透明性の確保を求め、受け入れなければ既に拠出を決めた15年度予算の執行停止や、16年度予算案の関連経費見直しに踏み切る構えだ。

③資金拠出を停止すれば、ユネスコでの発言力低下は不可避。ユネスコは中国に韓国などと共同で、旧日本軍による「従軍慰安婦」資料を、17年の記憶遺産登録を目指すようコメントしている。その過程では日本が再び決定過程に『関与』できず、登録を許すだろう。

④日本政府が「犠牲者30万人」などとする中国の主張(極東戦争犯罪裁判南京法廷の判決)に対し、説得力のある反論を行ってこなかった面は否めない。菅長官は13日の会見で「現に登録されたわけであり、反省する必要がある」と、対外発信が不十分だったことを認めた。

日本会議系の安倍らは、「たった2週間で30万人も殺せるはずがない。南京城内に30万も入れない。故ででっち上げだ」と主張し日本Wikipedjiaなどでも改竄している。現在のWikipedia日本版は日本会議系がどのような手口で歴史を改竄しているかの証拠文書になる。これも記憶遺産化すべきである。

30万は『十万人単位の極めて多数』と言う中国語の意味である。2週間ではなく『2ケ月間』である。南京城には19万が非難していたと英独宣教師の証言あり。南京城の周辺の長江流域で食糧調達に農家を襲い、女性は強姦して殺し、男性は連行し長江で機銃掃射によって殺した。事実は消せない。

◆中国、南京大虐殺関連文書のデータベース構築(CRI)
http://japanese.cri.cn/2021/2015/10/12/147s242207.htm
①国内外の見学者に開放する。各国の学者らの調査、研究を歓迎し、日本の学者と学術的な交流もしたい。

南京大虐殺関連文書は主に、中国第二歴史公文書館、南京市公文書館、中国侵略日本軍南京大虐殺遭難同胞記念館に所蔵されています。

◆世界記憶遺産への「慰安婦」登録 中国が韓国と協力の可能性(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/10/12/2015101203399.html
ユネスコは関連国と共同申請するよう提案した。中国は、最も多くの被害者がいる韓国などと共同で慰安婦関連資料を再申請する可能性が高まった。

②韓国でも慰安婦資料の記憶遺産への申請準備が進められており、韓中の協力が実現するか注目される。

◆国連、「明治日本の産業革命遺産」申請時の記録を公開 日本は「強制労働」の事実を認めていた(韓国聯合ニュース/人民日報)http://j.people.com.cn/n/2015/1012/c94475-8960679.html
ユネスコ(国連教育科学文化機関)世界遺産委員会は今年7月に開催した世界遺産委員会会議の討議記録を公開。

②公開討議記録の220〜224ページにかけて記載されている議事録の脚注部分に、日本の佐藤地・ユネスコ大使発言『1940年代、大勢の朝鮮半島の人々や多国の国民が、一部の施設において、本人の意に反して過酷な環境のもとで労働を強いられた』が記録されている。

③だが、日本の世界遺産申請が認められた翌日、日本政府は「前日の発言は、強制労働であったと認めるものではない」と出張、英語による佐藤氏の発言の日本語訳にも「ボカシ」が入り、「強制労働」の意味を示す訳語は見当たらなかった。

④さらに日本側は「明治日本の産業革命遺産」インフォメーションセンターを設けることを韓国側に約束したことついて、「韓国からの提言や計画は一切受け付けず、日本独自の計画で進める」と言及した。

⑤日本は来年、規定にもとづき、世界遺産委員会に対して、遺産認可に対する履行の具体的進展について報告しなければならない。だが、日本政府の担当者が強制労働の事実承認を後ほど撤回したことを踏まえると、日本政府に履行する意思はなく、登録の取り下げになる可能性。

◆韓国、「日本による強制動員被害記録」を世界記憶遺産登録へ(韓国の聯合ニュース/人民日報)
http://j.people.com.cn/n/2015/0915/c94475-8949794.html
①今年の7月に、「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産リストに登録されたことに対抗する措置と見られている。

②文書や写真を含む、強制動員関連記録33万6797件が、韓国文化財庁に提出され、同庁は10月までに12の候補の中から2つの最終候補を選び、来年3月31日までにユネスコに提出する。


………(2) 中韓露が首脳会談に応じる目的………

安倍は国際会議で正面から反論できない美辞麗句だけを繰り返し、積極的平和主義を吹聴する。聞かされる外国首脳は皆わかっている。本心を言えば即座位に反論か、席を立たれるだけだ。安倍の本心は日本国内での報道でその本心が筒抜けなのだ。

それをNYTやFTなどが調べ上げて彼らの本心を危険なファシズムと非難している。それで安倍は国内でも本心を言えなくなった。安倍は改心したのではない。建前上中韓露は首脳会談を拒否しない。しかしその目的は「安倍が改心したか否かを直接確認する」ことにある。

それをラブロフ外相が明言している;
『この問題(平和友好条約の締結)の前進は、国連憲章を全面的に認めることを含め、戦後の歴史的現実を日本が認めていることが明確になった後でのみ可能だ』。国連憲章107条には『戦勝国、連合国の行為は神聖でゆるがせにできない』ということが書かれている。
北方四島第2次大戦に勝利したソ連の物となり、ロシアが引き継いだ。敗戦国の日本に口を出す権利はない。この事実をまず日本は受け入れる必要がある。話はそれからだ』
『対話は続ける必要がある。第2次大戦の結果我々が現在目にしている歴史的現実を明確にすることなしには、我々は前に進めないからだ』。
今後行う協議は、日本に「歴史」を認めさせるために行う、ということ。

ポツダム宣言8項「日本の領土局限」と、それを引き継ぐ国連憲章107条は安倍にとって軍事的に危険なだけでなく、国際信用の崩壊でも危険極まりない。

尖閣」の主権主張を日本は放棄し、「釣魚」がどの国に帰属すべきについて、日本が介入すれは国連憲章の「敵国条項」発動の対象になり得る。

だから、発言権のある米国に言わせようとするが、米国政府は「施政権を日本に委譲したが主権までは委譲していない。実効支配してきた状況を力で変更することに賛成できないだけだ」の域を出ない。

それではと、安倍は「南中国海の領土紛争」に介入している。これも非常に危険である。「尖閣」同様に国連憲章107条敵国条項に抵触するからだ。なぜなら、日本は南沙諸島を1937年に版図に組み込み、ポツダム宣言8項で放棄したから、どの国に帰属すべきか介入すれは国連憲章違反になる。

◆日ロ外相会談、本当にやるべきだったのか(朝日)
http://linkis.com/www.asahi.com/articl/EMxDB
①9月21日にモスクワで行われた岸田文雄外相とラブロフ外相の会談の共同記者会見後、立ち上がって握手を求めるラブロフ氏に対して、岸田氏は椅子に座り込んだまま、呆然自失。

②記者会見では、食い違いばかり。岸田氏は『ラブロフ大臣との間で領土問題について突っ込んだ議論を行った』と強調したが、ラブロフ氏は『北方領土は私たちの議論の対象ではない。議題としてあるのは平和条約の締結だ』と否定。

③同席したモルグロフ外務次官は9月2日に語っている『日本とは“クリル問題”についてはいかなる協議も行わない。この問題は70年前に解決された』

④ラブロフ外相も共同記者会見で『この問題(平和友好条約の締結)の前進は、国連憲章を全面的に認めることを含め、戦後の歴史的現実を日本が認めていることが明確になった後でのみ可能だ』と語った。

⑤ラブロフ氏の言い分は「北方四島第2次大戦に勝利したソ連の物となり、ロシアが引き継いだ。敗戦国の日本に口を出す権利はない。この事実をまず日本は受け入れる必要がある。話はそれからだ」ということ。

国連憲章107条には『戦勝国、連合国の行為は神聖でゆるがせにできない』ということが書かれている。彼ら(日本人)を国連憲章に引き戻せば、何も反論できない。

⑦岸田外相は共同会見で『今回の私の訪ロにより、事実上中断していた平和条約締結交渉を再開した』と成果を強調した。しかしラブロフ外相はすぐに冷水『対話は続ける必要がある。第2次大戦の結果我々が現在目にしている歴史的現実を明確にすることなしには、我々は前に進めないからだ』。 

⑧今後行う協議は、日本に「歴史」を認めさせるために行う、というわけだ。


………(3) 厚労省と引き上げ援護局と年金と岸信介………

厚労省は年間70兆円もの社会保険料を掌で転がす。当然のこと金銭感覚はマヒし、犯罪行為に対する自責の念すら消え失せている。今安倍政権は年金基金140兆円を自らの選挙運動とも言える株価買い支えと投機に使っており、その倫理観が職員の遵法意識を吹き飛ばしてしまう。

もともと厚生省は名ばかりのきれいごと省として誕生した。その起源は岸信介が東条内閣の商工大臣として軍需工場への国家総動員体制を担当し、中国や韓国からも労働者を組織的に徴用し強制労働させ多数を殺している。

成人男性は赤紙で戦場に放り込み、国内の軍需産業は婦女子と子供と中韓からの強制労働者に兵器生産を担わせた。米軍はその軍需工場を空爆対象にし、何十万人も死んだ。彼女らの夫は戦場で餓死したが、戦死として手厚い弔慰金と遺族年金が支払われる約束であった。

靖国の年に例大祭の実質的意味は、新たに戦死(餓死)が確認された兵士の遺族に弔慰金を支払い、遺族年金の支払いを開始する対象戦死者の公告を神憑りの舞台で称揚し、国民の厭戦気運を阻止する目的であった。

だが、岸信介が担当する軍需工場の生産性は日増しに下落する一途だった。熟練工員が戦場に狩り出され、素人の婦女子と中韓からの強制労働者の工場になり果てていたからだ。困り果てた岸信介は、軍需工場の空襲で死んだ婦女子も戦士と見做し、軍人恩給にかわる厚生年金支給すると約束した。

そして敗戦、無条件降伏・・・政府はハイパーインフレを放置して、戦時国債も厚生年金証書も紙屑にした。そんな時に誕生した厚生省の中心は「引き上げ援護局」であった。数千人の師団長や将校を採用し、引き上げ名簿の作成を行い、それが終わると軍人恩給額の査定を行い、結果を靖国に奉じた。

それらが終わったころに60年安保に突入した。岸信介朝鮮戦争勃発の特需の恩恵を受け、未決囚人として放免され、闇資金に助けられて自由党民主党を合体させて最高権力の座に上り詰めていた。その戦犯岸信介を不問に付し、闇資金すら与える米国諜報関係に岸信介は心にもなく隷属する。

延べ百万人のデモ隊にも、警察にも死者がでた。岸信介の私邸にもテロの影が明確化していた。安保改定を強行採決した岸信介は政治家として終わった。だが岸信介自身が日本で安心して生活できる状態ではなくなっていた。それを緩和するために岸信介が行った最後の仕事は「厚生年金」制度の再稼働。

年金掛金は直ちに徴集されたが、実質支払いは35年後。その間巨額の厚生年金掛金は厚生省の役人たちの密室で保管されたはずであった。密室だから不明だらけだ。その管理運営の初期の中心人物は引き上げ援護局の流れをくむ師団長や将校連中。飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎはできないが、淫靡に。

腐敗にまみれた厚生省とまで決めつけなくとも、扱う金額が巨額でしかも全てが実際の札束。支払いは35年後だから、それまでは支払う必要はない・・・あとは放漫が蔓延し使い込みに走るのはどの社会にも共通する人間の悪行である。

収賄容疑:厚労省室長補佐を逮捕 マイナンバー関連で(毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20151013k0000e040108000c.html
コンサルタント会社は厚労省経済産業省総務省などの公共事業で受注。厚労省の事業では09年1月〜15年6月に少なくとも6件を受注。受注総額は計13億円超。

厚労省汚職止まらず;同省や外局の旧社会保険庁や年金機構で
1989年、「リクルート事件」の未公開株譲渡で事務次官を逮捕
1996年、「特養ホーム建設の補助金交付」で事務次官を逮捕
2003年、「雇用対策助成金の申請」で愛知労働局の課長補佐を逮捕
2004年、「兵庫労働局の物品納入」で雇用指導官を逮捕
2004年、「テレビCM発注」で石川社会保険事務局課長が逮捕
2004年、「保険料徴収機器発注」で社保庁課長が逮捕
2007年、「歯科医診療報酬」で社保庁指導医療官を逮捕
2010年、「眼科診療所の指導・監査」で厚労省課長補佐が逮捕
2010年、「年金給付手続き」で日本年金機構職員が逮捕