安倍が狙う戦争参加の突破口

(1) 安倍が狙う戦争参加の突破口
(2) 米海兵隊の最後のあがき
※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点


……(1) 安倍が狙う戦争参加の突破口………

米日は同盟国、米韓も同盟国。ならば日韓も同盟国と言いたかったが韓国の日本軍嫌悪が根強い。それなら8千キロ南方の豪州と米豪日三国同盟を既成事実にしよう。米海兵隊基地が沖縄から移転して豪州北部に基地を構えたから好都合だ・・・

安倍首相は「この法案がないと幸せな生活が壊れますよ」と優しく脅す方法で反論しにくい。それは首相が考える幸せを押しつけている。だが、幸せの主体は「日本国民」ではない。安保法制を通したいがために幸せを多用し、押しつけている。どれほどの人の心に響くだろうか。(朝日)

「豪州にとっても中国は資源の輸出相手として経済的に重要である一方、東シナ海南シナ海から太平洋に進出しようとする中国への安全保障上の懸念は共有する」(朝日)

豪州人の今ある幸せが中国の台頭で脅かされている(らしい)。自衛隊が8千キロ南方で米軍と共に豪州人の幸せ危機を解消してあげる。それが日本人の幸せだそうだ。幸せの主体は「日本国民」ではないのである。

そして、日米豪合同の敵前上陸演習が豪州人を幸せにすることもないだろう。豪州は軍事予算の重圧によって工業近代化が遅れ、石炭・鉄鉱石・ウラン等の資源を中国に輸出して生きながらえているからだ。南中国海が危険で自由航行できないというのなら、豪州は真っ先に中国に安全確保を依頼するだろう。

中国に向かう豪州の石炭や鉄鉱石運搬船は中国船籍である。中国軍は臨検などするはずがない。万一豪州が自前の運搬船を建造し、それに中国向けの石炭や鉄鉱石を積み、南中国海で自衛隊と米海軍に護衛させたら、中国は即座に豪州からの輸入を停止し、豪州経済は干上がる。

こんな基本的経済バランスすら、最近の朝日国際記者はご存じないか、「極右」を自認する今の朝日社長(もと政治部長)から、報道を統制されているかのどちらかか、両方だろう。

(参考)豪州の仮想敵国はインドネシア。小さな軍事衝突を繰り返してきた。東チモール独立運動も豪州とインドネシアの確執の結果。インドネシアはロシア製兵器を安価に購入しており、性能も優れている。豪州はだから最新潜水艦が欲しい。そして、中国は豪州とインドネシアの仲介に努力している。

(参照報道)
◆(現場から考える 安全保障法制)(朝日)
日豪接近、米と合同演習
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11854827.html?ref=pcviewer
安保拡大、まずは豪州 合同上陸訓練、中国への懸念共有
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11854840.html?ref=pcviewer
◆(言葉から考える安保国会)幸せを守る 危機を強調、優しい脅し?(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11854860.html?ref=pcviewer
①日本の自衛隊が11日、米国と豪州が行った大規模な合同軍事演習に初めて参加した。日米豪の連携を重視する米国の意向を受けたものだ。演習は豪州北部で海兵隊による敵前上陸演習。米豪軍3万に自衛隊も40人が初参加。
②異なる迷彩服を乗せて沖合に待機していた何十もの偵察ボートが、次々と海岸に到着する。第1波の豪州軍、第2、3波の米海兵隊に続いて、第4波の日本の自衛隊が上陸を終えると、武器を手に日米間で戦略を確認する言葉を交わし、「敵」を警戒しながら、砂浜から内地へ進んでいく――。
③21日まで続く演習の中心地の一つは、広大な奥地が広がる豪州の北部準州だ。州都ダーウィンの豪軍基地には、12年に米海兵隊が駐留を開始。当初の約200人が来年には2500人規模になると見込まれている。アジア太平洋地域を重視する米国が、中国をにらんで進める動きとみられている。
④豪州にとっても中国は資源の輸出相手として経済的に重要である一方、東シナ海南シナ海から太平洋に進出しようとする中国への安全保障上の懸念は共有する。
⑤米軍は「日米豪」の連携強化をアジア太平洋地域へのリバランス政策の柱に据える。中国に対抗するため、「日米豪」を軸に連携を「面」に広げる戦略。
⑥日豪は米国を挟んだ「あいまいな友人」から、機密を共有する明確な「盟友」になった。「その集大成が両国の潜水艦技術の協力だ」。
⑦昨年7月、安倍首相はアボット首相との会談で、潜水艦技術に関する共同研究や、自衛隊と豪軍の共同の軍事演習と運用協定を作ることを決めた。海自の最新鋭潜水艦は基準排水量2950トン、全長84メートル。原子力を動力としない潜水艦では大きさは世界有数なのに、静音性に優れ、小回りが利く。
⑧4月に改定した「日米防衛協力ガイドライン」でも、日本周辺という地理的制約をなくして、日米両国が第三国と連携を強めることをうたった。安倍政権は、いずれもその筆頭に豪州をあげている。
中谷元・防衛相も「基本的価値と地域における戦略的利益を共有する日米豪3カ国が、防衛分野の実質的協力を強化することは、我が国の安全、地域の平和、安定にとって極めて重要だ」と6月12日の衆院特別委員会で強調した。
⑩中谷氏は豪州などの他国軍との協力について、
▽グレーゾーン事態での武器の防護=自衛隊を「武装警察」として使う
集団的自衛権を行使する要件となる「存立危機事態」
▽日本のために活動する米軍など他国の軍隊を、地球規模で後方支援する「重要影響事態」
――などがあると説明した。
⑪安倍首相は6月1日の衆院特別委員会で、どの国が攻撃された場合に日本が集団的自衛権を使うかについて、「我が国と密接な関係にある、という観点から、総合的に判断しなければならない」「イランやオマーンもありうる」と答弁した。
⑫これを受け、6月15日の同委では岸田文雄外相が、「北朝鮮以外の国については、あらかじめどの国を排除するということはない」と答弁。米国にとどまらず拡大する可能性を示唆した。
⑬維新の党の小沢鋭仁氏「とにかく幅が広くて危ない法案だ。外国の部隊との連携という話だが、あらゆる国が想定される」
………………
⑭「今回の法制は、危機が起こった時に国民の命と幸せな暮らしを守るために、切れ目のない対応をできるようにするためだ」と6月1日の衆院特別委で安倍首相は訴えた。施政方針演説でも「国民の命と幸せな暮らしは、断固として守り抜く」(2月12日)と強調した。
⑮安倍首相は「この法案がないと幸せな生活が壊れますよ」と優しく脅す方法で反論しにくい。それだけに、首相が考える幸せを押しつけていると言える。この法案が成立しなければ、国民は幸せでなくなると言いたいようだ。だが、幸せの主体は「日本国民」ではない。
⑯「今、幸せですか?」と聞かれ、「幸せです」と即答できますか?聞かれた当人が幸せかどうかわからないのに、他人の幸せを実現すれば、自分も幸せになるという倒錯したレトリック。
⑰今ある「幸せが脅かされる」という論法に加え、「断固として」「守り抜く」――。強い決意の表れなんだろうが、どれほどの人の心に響くだろうか。安保法制を通したいがために幸せを多用し、国民の幸せを勝手に決めつけているようにみえる。押しつけ幸福論はごめんだ。


………(2) 安倍が支援する米海兵隊の最後のあがき………

◆中国の活動「不安定要因」=ロシア含め4カ国警戒−次期制服トップ(時事)
(URL消された)
記事タイトルの「次期制服トップ」。この記者は、日本は米国の一部であり、わざわざ「米国の」と書く必要もないと思っている。日本報道の傾向。デンプシーの後任の書面発言だが、米国が「虎」なら中国は「ライオン」あることに留意すべきだ。

◆米軍次期統合参謀本部議長、最大の脅威は「ロシア」
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2537067.html
デンプシーの後任統合参謀議長は米軍の厄介者「海兵隊」あがりか。

◆中ロを強く警戒=大国の動向に懸念−次期米軍トップ(時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int&k=2015071000105&utm_source=twitter&utm_medium=jijicom&utm_campaign=twitter
①米軍の次期統合参謀本部議長に指名されたダンフォード海兵隊総司令官は9日、ロシアを米国に対する「最大の脅威」と位置付け、中国もこれに次ぐ危険な存在だと名指しした。南シナ海での岩礁埋め立てや米軍に対抗する装備開発を進める中国への警戒をあらわにした形だ。
②ダンフォード氏は自らの人事を審議する上院軍事委員会の公聴会で、「国家の安全に対する危険」に関し順位を付けるよう問われ、「第一にロシア、第二に中国」と明言。

記事の通りなら、この男は「虎」の威を借りる「きつね」。その狐が「ライオン」に噛みついた構図。愚か

自衛隊の空飛ぶ「虎の子」、米欧も注目(日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO89000350X00C15A7000000/?dg=1
「虎」は米軍、その子供は自衛隊、殺す潜水艦は「ライオン」に成長した中国・・・無謀で戦争の危機を作り出す兵器。