陽は東に沈む

(1) 93歳寂聴さんの警告
(2) 安倍の無能な開き直り
(3) 安保法案の危険さ
(4) 安保法制の中国報道
(5) 安倍の中国包囲に中国は
(6) 豪州が中国とFTA合意
(7) TPPはRCEPに墜ちる
(8) 安倍の盟友ベトナムは今
(9) 北京の憂鬱、香港の断末魔

※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点

………(1) 93歳寂聴さんの警告………

◆93歳寂聴さん、国会前「命懸け」スピーチ;国会前スピーチ要旨付(東京)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015061902000144.html
①「どうせ死ぬならここに来て、『このままでは日本はだめだよ』と申し上げて死にたかった」。
②「良い戦争は絶対ない。すべて人殺しだ」。
③「表向きは平和だが、すぐ後ろの方に軍靴の音が続々と聞こえている。そういう危険な感じがする」
④「このまま安倍晋三首相の思想で政治が続けば、戦争になる。それを防がなければならないし、私も最後の力を出して反対行動を起こしたい」

◆「戦争にいい戦争はない」 93歳寂聴さん、国会前に(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11814746.html?ref=pcviewer
◆「後ろに軍靴の音が」命がけの訴え 寂聴さん、車いすで急きょ上京(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11814771.html?ref=pcviewer
①「最近の状況は戦争にどんどん近づいている。すぐ後ろに軍靴の音が聞こえるような危険な感じがある。(首相の)安倍さんのやり方は、憲法9条を壊して、戦争のできる国にしようとしている」

瀬戸内さんは22歳で敗戦を迎えた。本土ではなく北京で迎えた。彼女が知る「軍靴の音」は、日本での出征兵士行進ではない。北京を制圧する侵略軍の軍靴であり、それはジンギス・ハーンの騎馬民族による略奪と強姦と焼き尽くしに匹敵する「不気味に統制された残虐性」を帯びた軍隊に対する恐怖。


………(2) 安倍の無能な開き直り………

◆首相「解釈固執は責任放棄」安保法案(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11814763.html?ref=pcviewer
①18日、安倍国会答弁「国際情勢にも目をつぶって従来の(憲法)解釈に固執するのは政治家としての責任の放棄だ」。「我が国の近隣にたくさんの弾道ミサイルを持った国があり、大量破壊兵器核兵器を載せる能力を開発している」ことも「日本国家の存立基盤を深刻に脅かす事態」だと主張。

②4日の衆院憲法審査会では、憲法学者3人が、憲法解釈の変更を「憲法違反」と指摘した。テレ朝の報道ステーションが6月6日から12日に実施した憲法判例百選執筆者198人に対するアンケートでも98%が違憲ないしは違憲の疑いと回答している。

③安倍は性懲りもなく1959年の砂川事件判決を挙げ、「最高裁によって、国の存立を全うするために必要な措置を取り得ることは、国家固有の権能として当然と判断された。その上で必要な自衛の措置とは何かを考えるのは、国民の命を守る内閣や国会に課せられた使命だ」と正当化した。

ホルムズ海峡掃海が、国際政治の劇的変化による非現実化、軍事面での米軍侵略加担と指摘された、経済的にもサウジとUAEのパイプラインと備蓄200日分でエネルギーは途絶えないと論駁されると、ついに本音に立ち戻った。北朝鮮を念頭にというが、同国に日本攻撃能力なし。中国憎しなのだ。


………(3) 安保法案の危険さ………

自衛隊の処罰規定、異論「一般に認められない」海外派兵が前提(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11814654.html?ref=pcviewer
自衛隊法改正案では、海外での集団的自衛権の行使を前提に※、防衛出動を命じられた隊員が敵前逃亡したり、上官命令に従わなかったりした場合、7年以下の懲役・禁錮刑とする処罰規定を「国外でも適用する」※としていることを、8日の衆院予算委員会の集中審議で野党が疑問視した。

②安倍は「防衛出動(命令)をして機雷掃海に行く途中、補給目的で上陸した際に(処罰行為の対象となる敵前逃亡や上官命令不服従や略奪や強姦などは)起こりうる」と認める答弁。

憲法学者の98%は海外での集団的自衛権の行使を違憲と判断している。
憲法76条2項は軍事法廷軍法会議)や憲兵を禁止している。自衛隊の海外での敵前逃亡や上官命令不服従は改正自衛隊法で、略奪や強姦など犯罪行為を刑法で、日本の法廷で裁くといっても証拠を取る検察行為が禁止されているから、空文に過ぎない。

民主党は「海外派兵を前提とした改正だ」と指摘し、安倍首相がこれまでの答弁で、「憲法との関係で一般に海外派兵は許されない」と説明したことや、外国領域での集団的自衛権の行使となる中東・ホルムズ海峡での機雷除去を「唯一の例外」と述べたことに矛盾すると追及した。

④さらに、自衛隊員が海外で民間人を誤射した場合、刑法で処罰されないという法の「切れ目」も問題化。上川陽子法相は1日に「誤射は(業務上)過失致死罪が成立するが、同罪には国外犯の処罰規定がなく、刑法を適用して処罰できない」と答弁しており、それも問題化。

自衛隊に検察官が同行し捜査することは国際法違反。検察官が憲兵役を担うことになるから憲法違反。自衛隊の上官の供述証拠だけで日本法廷が自衛隊法で敵前逃亡や上官命令不服従を裁くが、現地民間人の殺傷や略奪強姦などは「軽微な戦時下犯罪」と見逃される。自衛隊員さん良かったねえ・・・?

自衛隊が海外派兵され、民間人誤射も略奪も強姦も、実際上刑法で裁かれることがないという事態は空恐ろしい。自衛隊が入ってきた外国は非常に迷惑する可能性がある。日本の評判をおちるなどという次元では済まない。


………(4) 安保法制の中国報道………

◆安倍首相の支持率が過去最低に(新華社
http://jp.xinhuanet.com/2015-06/17/c_134333047.htm
新華社が日テレ世論調査結果を報道している。朝日や毎日よりも10〜20%も安倍支持が高くでる日テレ世論調査ですらこの惨状。
【日テレ世論調査
内閣支持率激減;就任当初から70%台を維持してきたが、41.1%に下落
②団的自衛権行使に反対が62.5%
③安保法制反対が63.7%
安倍内閣説明不十分が約80%

自民党公明党の連立政権は参衆両院で多数の議席を占め、今期国会の会期中に新安保法案を強引に成立させる能力を備えている。それゆえに安倍政権は議会審議の型式を踏むだけであり、本質的が説明も真摯な説得も行う価値を認めない。早稲田大学の長谷部恭男教授は「違憲」「取り下げろ」と警告。

◆TV朝日が15日発表した緊急アンケート調査:日本の憲法学者の98%が安保法案を「違憲」とみなす(新華社
http://jp.xinhuanet.com/2015-06/16/c_134331351.htm
①『憲法判例百選』を執筆した198名の憲法学者にアンケートを発送し調査を行った。アンケートを提出した149名の学者のうち、127名が集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法案を「違憲」、19名が「違憲の疑いがある」とみなし、憲法に違反しないとの見方は「3人だけ」だった。

専修大学法学の内藤光博教授「安倍政権は憲法解釈の改正を通して、憲法第9条の実質的な内容を根本から改めた。これは事実上の『憲法改正』であり、民衆にその信を問うべきだ」。

学習院大学法学部の野坂泰司教授「集団的自衛権が日本の安全保障にとって欠かせないものかどうかと、集団的自衛権の行使が憲法の許容範囲にあるかどうかは全く別の問題であり、混同するな」。

④「安全保障関連法案に反対する学者の会」が憲法の平和理念に違反する安全保障関連法案の撤回を要求する声明「日本が侵略戦争を発動した期間中、多くの学生を戦場に送り出した歴史は人に深く後悔させるものだ。歴史への深い反省から、学界は若者を戦場に行かせるという歴史の再演を許さない」。

⑤15日午後時点で、すでに2600人を上回る各分野の学者や研究者が連署して声明を発表。ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英氏や日本学術会議前会長の広渡清吾氏など多数の学界の名士が含まれている。

自民党がこともあろうに東京裁判を検証 改憲を後押しへ(環球時報/人民日報)
http://j.people.com.cn/n/2015/0618/c94474-8908300.html
①産経16日付記事;第2次大戦後に連合国軍総司令部が定めた占領政策東京裁判、および現行憲法の制定過程を検証する新組織の設置を自民党が計画。

②戦後70年を契機に、東京裁判で「争われた内容」や、憲法制定の背景などを検証して、現行の「自虐的歴史認識」の誤りを正して「正しい歴史認識」を確定し、今後の国会での改憲議論にも反映させる目論見だ。

③新組織は自民党政務調査会の下に設置。同会の稲田朋美会長はかつて「(日本は)東京裁判の判決結果は受諾したが、判決理由に書かれている全ての歴史認識に対して反論が許されていないわけではない」として、検証の必要があると主張した。

GHQは日本占領時、日本全国の新聞に「太平洋戦史」を連載し、戦勝国の一方的な歴史観を浸透させた。それが「自虐史観」となって日本を覆っている。そもそも、東京裁判が「日本が発動したのは侵略戦争である」と認定したことが勝者の身勝手なこじつけであると稲田らは考える。

安倍晋三首相はかつて現行憲法の成立過程について「GHQの素人がわずか8日間で作り上げた代物」と述べた。新組織はこの見解を再び持ち出して、改憲に向けた国民の議論を盛り上げる計画だ。

⑥上海国際問題研究院アジア太平洋センターの廉徳瑰副センター長;
自民党内部右翼の声が公然化しつつある。これは改憲の口実になる恐れがあり、警戒に値する。日本には1950年代以来、東アジアに対する戦争は侵略戦争ではなかったとする声がある。これまでは覆い隠されてきただけだ。
・1990年代以前なら、閣僚がこうした主張を持っていれば、メディアに暴露された後辞任に追い込まれた。村山談話はこうした声の拡大を阻止するためでもあった。
自民党内で比較的右翼の一派である稲田氏らはより過激な思想を受け継いでおり、反省しない頑迷派とも呼ばれる。だが彼らの見解や観点は日本の政府や社会の全体的見解を反映するものではない。

⑦外交学院国際関係研究所の李海東教授;もし米国が日本を放任し続けるのなら、日本は手綱を逃れた野生馬のように、最後には憂慮される道に沿って暴走していく。自民党改憲に向けた口実をつくるつもりだと思われるが、この動きは危険だ。

憲法9条解釈改憲と同様に、東京裁判も部分否定を並べ立てて、その判決の解釈を変更する閣議決定をする。それは70年安倍談話の閣議決定となって顕れるだろう。米国は対日政策を再考すべきだ。アジアへの軍事的リバランスと日本に軍事負担を代行させる打算だけなら、同国の歴史に汚点がつく。


………(5) 安倍の中国包囲に中国は………

◆G7を利用した日本の対中非難は無駄骨(人民日報)
http://j.people.com.cn/n/2015/0610/c94474-8904984.html
①G7サミットは8日に発表した首脳宣言で、東中国海および南中国海情勢の緊張に懸念を表明し、平和的方法で紛争を解決するとともに世界の海洋の自由で合法的な利用を確保するよう各国に要求。威嚇または武力および埋め立てなど現状変更を狙った一方的な行動への反対を表明した。

②G7のこの行動を背後で操っているのは日本だ。日本は計画的にG7の場を借りて中国の顔に泥を塗ったと言える。サミット開催前に、日本メディアは安倍政権がG7サミット首脳宣言に中国関連の議題を盛り込むよう力の限り煽動していた。

③安倍側には3つの意図がある;
第1、西側主要国を巻き込んで中国に圧力をかけ、中国を牽制し、中国を孤立させる。
第2、国際的な場で日本がフィリピンを支持する姿を東南アジア諸国に見せつけることによって、同盟者を見つける。
第3、第2次大戦終結70周年にあたり、国際世論の視線をそらして歴史問題を回避し、「中国の脅威」を責任逃れの口実にする。
・・・安倍首相が就任以来追求してきた外交政策は自らの戦略的地位についての焦慮を反映している。

中国経済の発展、総合国力と国防力の強化に伴い、日本国内では右翼保守勢力が次第に勢いを得て、「中国脅威論」が蔓延。誤った中国観と誤った歴史観が重なり合い、対中関係の否定面が増え、中国を「助ける」心理が中国を「圧する」心理へと変わった結果の表れが安倍の再登場だった。

⑤G7サミット宣言の中国関連は事実の根拠を欠き、その非難も国際社会公認の正しい道理を欠き、自らの主権と領土の一体性を守る中国の意志を揺るがすことはできなかった。日本が海洋紛争にG7を引き入れるのは、地域情勢をさらに複雑化させるだけで、問題解決の助けにはみじんもならない。

⑥「価値観共同体」を名乗るG7の国際的影響力はBRICSに凌駕されようとしている。ましてや各メンバー国は中国に対してそれぞれ計算があり、日本と完全に一致を保つことはあり得ない。東南アジア諸国が日本の対中行動にやみくもに同調することはなおさらにあり得ない。

⑦戦後70年にあたり、国際社会は安倍首相が歴史という関門をどう越えるのか? 中国の顔に泥を塗れば、日本には失望しかないだろう。日本は対中非難の力を、歴史に真っ直ぐに向き合い、隣国との和解を実現し、アジア運命共同体を築くことに向けた方がいい。


………(6) 豪州が中国とFTA締結合意………

◆豪国民の8割超、中日の武力衝突で中立を主張(中国網)
http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2015-06/18/content_35854393.htm
①ドイツメディア;「豪州は今後、北京・ワシントンから等距離に。豪州は17日、アジア最大の隣国中国と自由貿易協定(FTA)を締結した。豪州は、中国と米国のどちらかに肩入れをしようと思っていない。豪州にとって、米国は価値観の同盟国であり、中国は現実的なパートナーだ」。

②オーストラリアン紙;「最新の世論調査によると、豪州人の8割弱は、中国を軍事的な脅威ではなく経済協力国として捉えている。回答者の多くは、中国と日本の間で武力衝突が発生した場合、豪州は中立を維持するべきとした回答者は84%」。

③中国国際問題研究院アジア太平洋問題専門家の沈世順氏;「豪州は安保面で米国に依存しているが、中国がもたらす経済の大きなチャンスを手放したくない。今回のFTA締結、中国が提唱するAIIBへの加入は、同国にとって政治問題ではなく、理にかなったウィンウィンだ」。

◆中豪FTA締結、両国首脳が祝賀の書簡(人民日報)
http://j.people.com.cn/n/2015/0618/c94474-8908544.html
◆中豪FTA調印 世界の流れに取り残されつつある日本(中国網)
http://japanese.china.org.cn/business/txt/2015-06/18/content_35855813.htm
①10年間続いた中豪両政府によるFTA交渉が実質的に妥結し、中豪両政府は17日、キャンベラで中豪自由貿易協定(FTA)に正式に調印。

②中豪FTA中韓FTAは時代の趨勢となり、一大流れを形成しようとしている。中国周辺諸国及びアジア以外の国々の手本となり、中国とFTA交渉・締結のラッシュがやってくる可能性がある。

③豪州と韓国は何れも米国の盟友で、安全保障の面では米国とかなり歩み寄っている。相次ぐFTA締結は、21世紀が国家安全保障を膨張させる時代ではなく、経済繁栄の欲求がますます際立つ時代だと印象付けた。

④豪州国内には政治と安全面における「対中強硬論」がずっとあるが、中豪経済協力のパワーが論調の拡大を抑制し続けているのだ。安全保障面で米国を頼りにしながら、経済面で中国との関係に頼る。このような日和見主義的なやり方はアジア太平洋における米国の盟友の間で蔓延している。

⑤中豪FTA中韓FTA、AIIBへの英・仏・独・伊の加入は人々に、世界の焦点が、予想を上回る速さで、経済分野に移移行していることを教えた。軍事的な地政学の杓子で物事を測るやり方に固執するのは、もはや19世紀の頑迷と捉えるしかない。

⑥韓国と豪州が中国とFTAを締結した今となっては、軍事外交優先の日本だけが取り残された。外交面で誤った立場に固執する日本は、株価を国家財政で底上げさせるのと同じで、固執するほどに損失が拡大する。日本が断然たる措置で「損切」に踏み切れるか、そう簡単に予想できるものではない。


………(7) TPPはRCEPに墜ちる………

◆TPPに崩壊の危機、米国への信頼が薄れる恐れも(オーストラリアン・ファイナンシャル・ レヴュー/中国網)
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2015-06/18/content_35854205.htm
①17日付豪経済紙『オーストラリアン・ファイナンシャル・ レヴュー』は、オーストラリアと中国の自由貿易協定によって、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の先行きがさらに不透明になると報じた。

②中豪FTA締結は米国主導のTPPが中国主導のRCEPに飲み込まれる可能性を予感させる。中国はASEAN10カ国と、中国、日本、印度、韓国、豪州、NZを含む東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を提唱し、交渉を促進している。

③豪州はTPPとRCEPの両者に軸足を乗せてバランスを取ろうとしていた。米豪TPP交渉は昨年末に終了がMUSTだったが、TPA(大統領貿易促進権限)法案が米議会で否決され、豪州のロブ貿易大臣は米国に対して「もう時間が残されていない」と警告し、中国とのFTA覚書に調印した。

④NYTは16日「TPPを失えば、オバマ大統領のアジア太平洋回帰戦略が空振りに終わる」と報じた。オバマ大統領は「中国がルールを作ろうとしているならば、なぜそれを放任するのか?」と発言した。しかしTPPは今や崩壊の運命に直面している。

⑤ロイター通信の17日の記事によると、甘利明経済再生担当大臣は同日、日本が米国主導のTPPの交渉を楽観視し続けることはないと失望を示した。

⑥NYTの16日記事、シンガポールのシャンムガム外相が米国で演説し
「東アジアとアジア太平洋の歴史が現在書き換えられているが、あなたたちは運転席に乗っていない。米国は現在が多極化した世界であり、すべての権利を把握できる世界ではないことを理解しなければならない。米国は依然として最重要な強国、超大国で、多くの情勢の成り行きに影響をおよぼすことができるが、すべてを完全にコントロールすることはできない」。
「中国の台頭を受け入れなければならない。そうしなければ、新たな多国籍組織が次々と設立され、米国が完全に除外されていることに気づくだろう」。
「米国の影響力は強化されず、むしろ低下する」。
「米国にとって、地域の一部になるか、この地域を離れるかという残酷な選択肢が突きつけられている。貿易こそが戦略だ。米国が有益な役割を演じられなければ、地域の枠組みと情勢に影響をおよぼせるのは、第7艦隊のみとなる」と指摘した。


………(8) 安倍の盟友ベトナムは今………

【写真】北京で中越協力指導委第8回会議開く(新華社
http://jp.xinhuanet.com/2015-06/19/c_134339497.htm
①中国ベトナム二国間協力指導委員会第8回会議が18日、北京で開かれた。中国の楊潔チ国務委員とベトナムのファム・ビン・ミン副首相兼外相が共同議長。2013年6月に締結された中越協定を基礎にした二国間の経済交流活発化と海洋問題解決および「一帯一路」インフラ建設などの具体策を協議。


………(9) 北京の憂鬱、香港の断末魔………

香港は20年前の日本経済飽和と縮退に歩調を合わせている。ただし、香港は西側世界に中国投資を募集することで維持している。だが、上海投資市場の成長と世界化および西安など西部中国への西側の直接投資の激増、それにシンガポールの北京シンクタンク化で陰り。

断末魔とは大げさだけど、99年間の租借条約が終了し中国に返還されてから15年経過し、金融資本主義の権化をまともな経済体に軟着陸させる猶予期間は終わった。一国二制度は名ばかりで、いつでも北京は香港を上海と同列に置くことができる。香港のいわゆる民主派はそれを認識しているのか?

香港の民主派が自己認識を拒否し続けるのなら、香港は断末魔を迎える。台湾も同じ運命だ。良くも悪しくも、台湾・香港は当然として、越南からタイにシンガポールまで中国語がなんとなく通じる東南アジアである。何千年間の物往来がそうさせた。北京を嫌ったとて抜け出せる歴史環境ではない。

香港特別行政区の長官選挙は来年。北京は香港基本法に準拠して次回から、財界や教育界に委託してきた行政長官の有識者内選挙を、香港住民一人一票に変更する、ただし次回は無制限立候補を認めず、有識者会議が候補者の資格審査を行う選挙制度に改定することを全人代が決定し香港に通達している。

これに香港の野党が猛反対し、立候補の完全自由化を要求して、全人代選挙制度通達の批准を否決した。香港特別行政区立法院議員は定員70人。そのうち28名が野党で、与党は42名。選挙制度改正の批准に必要な2/3には5名不足。それで批准が否決された。

北京を非難する向きが多いが、北京は随分と民主派に配慮している。例えば、野党が1/3を五名上回っていたが、そのような野党候補の立候補を制約しなかった。また、今回中環占拠で野党議員7名が逮捕されたが、即日釈放して批准選挙に参加させたことなどで、日本ではこうはいかないだろう。

野党が批准を否決して更に過激化したら、行政長官選挙どころか香港立法府議員選挙の立候補資格の審査が厳密化され、逮捕歴や行政警告を受けた現議員の再立候補が拒否される可能性もある。北京はそれをしないだろう。放置すれば、香港経済の本土流出が起こるだろう。

北京の思い通りに次回香港選挙が運ばない可能性だけでなく、野党が無分別な行動をやめないなら、北京が直接介入して納めなければならない事態も起こりうる。だから北京は憂鬱だと書いた。香港住民は中国本土を向くにせよ、ASEANを向くにせよ、自らの生活を守りたいのなら北京への妥協は不可欠。

香港特別行政区行政長官普通選挙法案が否決(中華網)
http://japanese.china.com/news/china/politics/317/20150618/399242.html
①香港の野党が全人代が決定した選挙制度改革通達の批准を拒否した結果、2017年の香港行政府長官の選挙は従来通り財界や教育界などからなる行政長官選挙委員会による内部選挙で決定される。香港の住民は一人一票の権利獲得を失ったことになる。

②梁振英行政長官
「香港の民主化プロセスが妨害され、強い失望感。中央政府特別行政区政府、香港社会は長い間、普通選挙という目標の実現に向け、努力を払ってきた。今回の普通選挙法案は特別行政区基本法全国人民代表大会常務委員会の決定に合致した、香港の実情に一番適していた制度だ」。

「これからは諍いをさておき、理性かつ実務的な態度で、社会、経済および民生に関する各議題に向け共通認識を凝集し、香港の将来に向けて一緒に努力していかなければならない。向こう2年において、特別区政府は諸活動に尽力し、経済の発展、暮らしの改善に力を集中させていく」。

中央政府の香港窓口機関である中国国務院香港マカオ事務弁公室の報道官;
「この結果は香港社会の主流の民意に背いたもので、中央政府としても見たくはないものだ」。

「一部の議員は私利のため、普通選挙法案を否決し、香港の民主化プロセスを阻害し、香港に行政長官の普通選挙という重要なチャンスを喪失させた。この歴史的責任は彼らが背負わなければならない」。

中央政府は、これからも『一国二制度』と『香港人による香港統治』という高度の自治をゆるぎなく実施し、行政長官と特別区政府の法に従って政権運営を支持し、香港特別行政区が法に則って秩序だった民主を発展させ、最終的に普通選挙という目標に達するよう引き続き支援する」。

全人代弁公庁の報道官;
全人代常務委員会による香港特別行政区行政長官普通選挙に関する決定は憲法と法律に合致しており、情理にもかなっている。これには揺るぎない法的効力がある」。

「今回の改革案が立法会で採決されなかったが、全人代常務委員会が定めた普通選挙制度における方向と各項目の法律原則は、行政長官の普通選挙プロセスで貫徹させるべきだ」。

中央政府の香港駐在連絡弁公室の責任者;
「行政長官の普通選挙に関する法案は立法会で採択されなかったものの、香港が『一国二制度』の下で繁栄と安定を保っていくことには自信がある」。

今後、北京政府と香港特別行政区は緊密な連携をとって、行政長官選挙委員会の有権者1200人の人選から候補者人選と資格審査などの選挙プロセスを、あたかも安倍の日本権力機構人事支配と同様の手法を取らされるという憂鬱から逃げないだろう。

中国国務院香港マカオ事務弁公室の「この歴史的責任は彼らが背負わなければならない」と、中央政府の香港駐在連絡弁公庁の「香港が『一国二制度』の下で繁栄と安定を保っていくことには自信がある」は強がりではないだろう。行政的介入という憂鬱や日米のいわれなき非難を跳ね返す覚悟の表明と見る。

◆香港政改表决结果尘埃落定 港媒聚焦“日后出路”(環球時報
http://www.excite.co.jp/world/jiantizi/?pinned
香港メディアは“今後の道”に焦点、道を誤れば香港は没落の運命

①香港の代表的ネットメディア「英国の植民地時代の156年間、中国に返還されて18年間、一度も総選挙がなかった。それを一挙に普通総選挙以外認めないということは、「一国二制度」という中国化への準備をも否定する暴挙。しかし、香港社会と民衆は落ち着いていて、穏やかに政治を立て直すだろう」。

②香港《明報》社説「立法会が政治改革方案を拒否した。香港社会は傷つき、痛みが残された。だが、その怪我を治す時間はある。既に停滞している香港経済と人民生活を立て直すための新たな建設に着手しようではないか」。

③香港《東方日報》社説「香港立法院は狼煙を揚げる戦場に成り下がった。選挙制度改革法案の賛成派と反対派は舌戦を繰り広げたが、大事を避けて小事にやかましく、かみ合わなかった。香港市民はそのような立法院議員のあり方を問うべきだ。香港市民の知恵が試されている」。

④香港デジタルラジオ放送局「立法院選挙制度改革案の批准を拒否した。香港社会は引き裂かれた。梁振英行政長官の残り任期の重要な任務は引き裂かれた香港社会の修復である」。

⑤香港《新報》社説「反対派の政治屋議員は批准を否決したが、彼らが引き続き在位するなら、香港政治に前途は無い。香港は資源なく、内陸に依存する経済なのに、反対派の急進的分子の思うままに動かされ、内陸人の排斥を繰り返す醜悪さを露呈している。
こんなことをされて、内陸は香港に対する支持と支援に努力できようか? これらの急進的分子が香港を混乱させ、自ら袋小路に落ち込んでいる。内陸経済が絶え間なく急速に発展する時に、香港は墓穴を掘ったのだ。中央政府に何でも反対し、失敗の罪を北京に擦り付ける策略は通用しない」。

⑥香港のネット「政治改革方案は否決した。“時代が政治を直す”。今年11月の特区立法院選挙でも1/3を確保し拒否権を維持しよう。来年末の選挙人交代選挙に向けて各界からの1200人選抜に拒否闘争を行い、1200人の投票人人選を民主化し、2017年の香港特区長官選挙に勝利しよう」。

◆专家:政改被否决没有赢家 反对派需要学会妥协(環球時報
http://china.huanqiu.com/article/2015-06/6722649.html
専門家:政治改革案を否決した反対派は勝者ではない。反対派には妥協が要求される

①イギリス《デーリー・テレグラフ》「政治は妥協の芸術。しかし香港の反対派は実務に励む態度がなく、政治改革の否決は勝者の敗北である」。

②ドイツの学者「香港政治に現れた非生産的な暴論が極限に達した。“占中”の暴力に反対する“水客”の暴力が組織化して爆弾などを製造する。今後恐らく更に急進化し、香港を危険な都市にする可能性もある」。

③香港《南華早報》「香港のいわゆる民主派は極端化している。彼らは植民者大英帝国国旗の服を纏って本土を踏み躙った。彼らの民主化は仮面に過ぎない。その仮面の下にはアナーキストの素顔。頼みとする英米は落ちぶれ、英国は中国にすり寄っているほどだ。

本土の経済発展と政治力の強まりは止まらない。英米の経済衰退と政治力の低下も止まらない。歴史の対流なのだ。香港の過激派は一握りの群体に過ぎない。香港民衆の声を聞き、改革が可能な提案を行い、避けられない妥協を受け入れることは、香港が置かれている時代変化を乗り切る唯一の道だ。