安倍にラッセル;暗澹たる米中軍事関係の風水

(1) 安倍晋三とフィリピン大統領アキノ
(2) 米軍の南中国海介入と中国軍の反発
(3) 米中両軍最高幹部の直接対話
(4) 光と影――独日第二次大戦反省録

※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点

………(1) 安倍晋三とフィリピン大統領アキノ………

◆美媒:阿基诺将中国比作纳粹既无知又愚蠢(環球時報
http://oversea.huanqiu.com/article/2015-06/6631244.html
《米;フォーブス》:中国をナチスにたとえるアキノの無知と愚かさ

G7で安倍は「南中国海問題」をロシアによる「クリミア併合」と同列の国際法違反と叫んで回った。安倍がG7に出発する前日東京で安倍と会談したフィリピンのアキノ大統領は、南中国海での「中国による埋め立て」を、「ナチスドイツによるチェコスロバキアのスデーデン地方併呑」と同列視発言。

スデーデン地方は第一世界大戦で敗北したドイツが戦争賠償としてチェコに割譲した。しかし、残留ドイツ人に対する迫害が絶えず、大量の難民がドイツに押し寄せた結果、ドイツ世論が沸騰しヒトラーが軍事的併合に動いた。

中国の南中国海での埋め立ては全く違う。先にフィリピンとベトナム島嶼を占領し基地を作り、環礁には廃船を座礁させて海軍基地とし、中国漁民を追い出した。これに怒った漁民が中国政府を動かし、中国漁船の操業安全確保と通行する全ての国の船舶の安全に基地を作り始めた、という説明である。

①アキノはビル・ハイドンの著作《南シナ海:アジアの権力の争い》を読んでいないようだ。読んだのならこのような愚かな発言をできるわけがない。ナチスドイツと中国を同列に論じるのは極端に出鱈目で、厳密でもない。

②この背後には、日本タカ派首相の安倍晋三が控えている。安倍もまた同様の発言を繰り返して、南中国海を爆発性の気体で充満させ、アキノにマッチを投げ入れさせた構図である。

③日本の侵略戦争の歴史に対して、安倍は正真正銘の歴史修正主義分子である。中国人をナチスに譬えるこの人は、ナチスのドイツが第二次世界戦争中の全期間において日本を軍事同盟国としていたことを、全世界に忘れさせようとしている。

(日本は170万の陸軍を敗戦まで中国に張り付け、ソ連の兵力を極東に割かせて、ナチスソ連侵略を可能にした枢軸国であった)

④1942年〜1945年にフィリピンを侵略占領し、終戦まで統治したのは中国ではなく日本なのだ。アキノはまさかそれすら知らないのか? 日本軍は民衆を殺戮し、酷使し、強姦した。米豪の投降兵に「死の行軍」をさせた。食料を奪い2百万フィリピン人が餓死か病死した。

⑤アキノがこのような扇動的な国粋主義の言論を吐き出すには別の考えがある。アキノの政治と彼の仲間のエリートによる搾取によってフィリピン経済は極めて悪い状況に陥り、大多数を占める極貧層の怒りが爆発寸前である。アキノはそんな民衆の注意を中国との一触即発に向けさせたいのだろう。

⑥中国は軍事に頼らず平和的な方法によって世界の大国になることができた。中国はその根本原則を忘れることは無い。中国が南中国海に爆発性のガスを散布することはなく、それはアキノと安倍の頭の中にだけ存在する妄想に過ぎない。今後の全ての成り行きはフィリピン次第である。(フォーブス)

◆中国外務省の洪磊報道官、日本の南海問題での言動に憤慨を覚える(CRI北京放送)
http://japanese.cri.cn/881/2015/06/12/161s237613.htm
①日本が多くの場で南海問題についてあれやこれやと口を出し、軍事介入に及ぼうとしている。中国は日本側の言動に重大な関心をもち同時に憤慨し、すでに何回にも日本に厳正な交渉を申し入れた。

②日本は南海問題の当事国ではない。安倍政権の振る舞いは異常である。日本が南海問題に横槍を入れ、地域国家間の矛盾を煽り、悪意を持って南海情勢の緊張を作り出している。

③日本側のこうした言動は問題解決を混乱させるだけでなく、中日両国の政治と安全保障面の相互信頼をひどく損ない、関係改善の流れを妨害している。

④中国が南沙諸島及びその付近の海域に対して言い争う余地のない主権を持っており、一部の島嶼で建設を行っていることは中国の主権範囲内。法律や情理にかない、いかなる国にも影響を与えず、いかなる国をも対象にしない。

⑤日本は、米国を煽って南中国海に騒ぎを起こすな、中国非難を直ちに停止し、私利に目が眩んで多国間の矛盾を煽るな、実際行動で中日関係改善の趨勢を維持し、中国とASEANが南海の平和と安定を守るために払っている努力を尊重せよ。

◆日菲将在南海展开联合训练 日媒指意在牵制中国(環球時報
http://world.huanqiu.com/exclusive/2015-06/6634327.html
◆日陆上幕僚长与菲陆军司令会谈 称加强防卫合作(環球時報
http://mil.huanqiu.com/world/2015-06/6634886.html

①《共同通信》日本の防衛省は6月8日、6月下旬に南中国海において日比合同軍事演習を挙行することを決定した。海自はP―3C対潜水艦哨戒攻撃機や艦艇を派遣し、海難救助を名目とする合同軍事訓練を行う。政府の意図は、フィリピンと日本が共同して南中国海で中国を軍事牽制する演習である。

②6月23、24日の二日間日比合同軍事演習が行われる。海域はフィリピンの西の南中国海の公海上。P−3Cにフィリピン海将兵も搭乗。遭難船舶の哨戒と救助訓練である。

③一方、陸自幕僚長の岩田澄文は8日、フィリピン陸軍司令官HernandoIriberriと東京で会談。南中国海で影響力を拡大する中国の行為を考慮して、双方の防衛協力と軍事交流を強化する方針で合意した。

④中国と南沙諸島で軍事的対峙を実現させるには「多国間軍事協力」が不可欠であり、関係国と定期協議することが決定された。(日本自衛隊、米軍、フィリピン軍、ベトナム軍、豪州軍)

⑤日本防衛省とフィリピン国防部は1月に防衛協力と軍事交流の覚書きを締結している。6月4日に安倍晋三首相とフィリピンのアキノ大統領が日比軍事同盟に関する共同宣言。

◆专家:日若武力介入南海 中国可派舰艇合理冲撞(環球時報
http://mil.huanqiu.com/observation/2015-06/6632974.html
軍事専門家:日本がもし南中国海に軍事介入したら、中国は艦艇を合理的に対峙するように派遣できる

①米国が南中国海に手を出して誘発させた紛争に日本が興味しんしん。共同通信社の7日の報道によると、中米が南中国海で“重要影響事態”を発生させたとき、日本軍がどのように介入するかの検討を開始した。

②中国の専門家は思う、自衛隊がはるばる南中国海に到着して後方支援に甘んじる可能性は少ない。それは日本国内の政治状況をみればわかる。

③安保法制を審議している日本国会で、安倍は南中国海の紛争が“重要影響事態”の対象だと明言している。米軍のために軍事行動をとり後方支援を分担し、自衛隊は米軍の戦闘艦隊を護衛するだろうと。

中谷元防衛相は衆議院平和安全法制特別委員会で「中国が南中国海で埋め立て島を建設している。自衛隊は米軍艦隊の護衛と偵察行動を展開することになるだろう。安保法制によってそれが可能になる。南中国海で日米両軍は一体化される」と述べた。

⑤フィリピンを襲った超大型台風の災害救助出動のときもハワイでも、司令官は米軍/副司令官は自衛隊というフォーメーションで訓練を繰り返している。

自衛隊の戦闘は《周辺事態法》によって、日本列島と朝鮮半島に限定されてきたが、安保法制でその名も《重要影響事態法》と改名され、地理的制限を全廃し、日本または同盟国が直接的な攻撃を受けたら後方支援だけでなく戦闘も可能になる。

⑦米国海軍の第七艦隊(太平洋艦隊)の司令官トーマスはロイターに『海上自衛隊が将来南中国海で軍事行動を実施することは大変好ましいことで期待している』と述べた。米海軍は大歓迎なのだ。中谷防衛相も『具体的な計画はないが、今後の課題である』と認めた。

自衛隊のP―3C対潜哨戒機、E―767早期警戒空中指揮機、E―2C早期警戒機、KC―767J給油機は日本の基地から南中国海に到達可能。

⑨主力艦艇、特に“金剛”級、“愛宕”級のイージス駆逐艦と“出雲”級、“日向”級のヘリコプター空母の航続力は南中国海の巡航能力をもつ。“あさしお”級のAIP動力潜水艦は世界最大の長距離潜航が可能。

⑩しかしながら、沖縄を基地とした南中国海は2000キロの彼方にあり、P−3Cは往復に8時間かかる。南中国海での作戦行動時間が1時間程度で非現実的。24時間交代で監視するには50機も必要であり、それは自衛隊保有するP−3Cの半分になる。そして東中国海での監視に空白が生じる。

⑪中谷防衛相はフィリピンのスービック湾の軍港と航空基地に自衛隊が駐留することを検討している。そのために6月下旬に同海域で自衛隊P−3Cとフィリピン軍の軍事演習が行われる。スービック湾の基地と南中国海の細部を知るためである。

⑫沖縄の自衛隊は釣魚を含む東中国海の哨戒で手一杯である。沖縄基地も米軍の関係で多くの機材を配備する場所もない。辺野古基地が完成したら飛躍的な増強が可能になるが、やはり南中国海は遠すぎる。政治的判断で南中国海に進出すれば沖縄と東中国海の哨戒に空白が生じることが避けられない。

⑬フィリピンだけが自衛隊の常駐に舞い上がって喜んでいるが、ベトナムを含むASEAN各国は心中歓迎していない。むしろ自衛隊の介入を警戒している。

⑭米国は中国と南中国海での衝突を恐れている。だから“代理人”が欲しい。豪州は米国の指揮下で行動することを拒否した。あとは自衛隊しかない。日本は世界に軍事的影響力を見せつけたくて断念しない。自衛隊の艦船と軍用機は全て米軍の直接指揮下で作戦行動する能力を備えている。

自衛隊が米軍による指揮の空白をぬって独断専行する可能性はある。もちろん中国は外交ルートで軍事衝突問題を解決するが、軍事的備えは必要であり、中国にはあらゆる可能性に対応する戦力がある。最悪の事態は自衛隊と中国海軍の直接衝突である。

※中国海軍は米海軍のイージス艦に停船を強制するほどの力量がある。戦闘機も米軍のP−3E電子偵察機スクランブル接近して警告を繰り返し、15年前には空中衝突事件が起きた。南中国海の最北にある海南島の沖、中国領海(22キロ)の境界上での衝突であった。米軍機は海南島緊急着陸

自衛隊のP−3Cも米軍機の代役で海南島の22キロ沖まで哨戒偵察飛行をする気だろうか? 無事には済まされないと思う。


………(2) 米軍の南中国海介入と中国軍の反発………

◆南中国海問題のために中米関係の大局を乱してはならない;蘇暁暉・中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長(人民日報)
http://j.people.com.cn/n/2015/0601/c94474-8900596.html
①南中国海問題に関する米軍の最近の発言は、懸念されるシグナルを発している。米国憲法は領有権争いで特定の立場を取らないことと、当該領土紛争の一方国に肩入れすることを禁じている。

②ところが、カーター長官は領有権問題で言動を慎むどころか、「中国が海面下の岩礁を飛行場に変えても領有権を獲得することはできない」とわめき立てた。

③米軍側は南中国海問題における基本的立場を変え、南中国海における中国の合法的な主権権益への非難に転じ、南中国海紛争で公然と一方の側につくよう政府を後押ししようとしているのだとの推測を免れない。

④米軍側には南中国海問題を拡大して、中米関係の大局に災禍と騒乱をもたらそうとしている者がいるのだと警戒せざるを得ない。

⑤カーター長官は中国に対して「南中国海の基地建設を即時中止」と「強制的」手段で問題を解決しないよう要求する一方で、米側は軍事的プレゼンスを拡大して南中国海問題に対処することを提言した。

⑥カーター長官は、米国防総省が「東南アジア海上安全保障イニシアティブ」を発表し、米議会も海上能力建設に4億ドルを拠出する。カーター長官は米国は「同盟国やパートナーと常に共にあり」、地域における同盟関係の役割を強化すると強調した。米軍が中国に対する防備と警戒を高めている。

⑦さらに危険を招きうるのは、米軍が南中国海での巡航を継続していることだ。最近、米国の沿海域戦闘艦が巡航を行い、偵察機も中国の南中国海の島や礁の上空を飛び越えた。カーター長官の発言は中国に対する米側の不法な接近偵察に「正義」の隠れ蓑を与えるものだ。

⑧米軍側が南中国海への介入を深める事に執着し、南中国海を乱すことは各国の利益にならない。米軍の軽挙妄動は中米関係に災いを及ぼす。どうしても南中国海問題を中米関係の主要な位置に据えようとするのなら、小事にこだわって大事を失い、得るものよりも失うものが大きくなる結果を招くだけだ。

◆美高官抛出“南海风水说” 随口一说饱含信息量(環球時報
http://world.huanqiu.com/exclusive/2015-06/6665026.html
①米高官ラッセルは“南中国海の風水を中国乱す”宣伝する。東南アジアの社会生活に強い影響力をもつ風水信仰を中途半端に聞きかじって、その利用を思いついたのだ。だが、誰もそれに強い違和感。小さいが尖頂をもつ波を発生させたラッセルこそが南中国海の風水を攪乱させたのだから。

◆南中国海問題 米国は対中偏見を減らすべき(人民日報)中国海軍の呉勝利司令官
http://j.people.com.cn/n/2015/0504/c94474-8887056.html
①中国海軍の呉勝利司令官は29日、米海軍のグリーナート作戦部長とテレビ電話で協議し、両国海軍の実務交流・協力、米艦艇・航空機の接近偵察、南沙諸島での建設活動などの問題について意見交換した。

②呉司令官
(1) 南沙での建設活動が、南中国海の航行と飛行の自由を脅かすことはない。反対にこの海域での気象予報、海上救助の能力を高め、国際海域の安全維持という国際的義務を履行するものだ。将来国際組織や米国等関係国がこれらの施設を利用した人道救援・減災協力を歓迎する。

(2) 米軍の艦艇と航空機による対中接近偵察は、中米の新型の大国関係、新型の大国海軍関係の構築に共に尽力するとの双方の積極的な雰囲気と極めて合致しない。

③両氏は海上安全保障問題について率直かつ踏み込んで意見交換したうえで、両国海軍の交流と協力の強化で合意した。グリーナート作戦部長は『中米両国海軍の関係は日増しに成熟と安定へ向かい、双方協力は順調に進展している』と述べた。

④だがわずか1日後に、米国務省のラスキー副報道官代行は『係争地域の人工的に建造した土地の上での施設建設は地域の平和と安定に寄与しない。たとえ中国高官が主張したようであってもだ』ともっとも厳しい調子で、直接的に非難し、米国の対中偏見の根深さが改めて浮き彫りになった。

⑤フィリピンやベトナムは不法占拠した中国の南沙島礁で長年大規模な埋め立てや軍事建設を不法に行い、飛行場など固定施設を建設し、ミサイルなど攻撃兵器まで配備してきた。さらに不法占拠した中国の南沙の島や礁への不法移住といわゆる「選挙」を行い、現状変更を企てた。

⑥だが米国はフィリピンやベトナムのこうした不法行為に対しては見て見ぬふりをし、黙っている一方で、中国側の自国領土における正常な活動に対してはあれこれ口出しをする。これは全くの二重基準であり、不公平かつ非建設的で、米国の中国に対する偏見と抑止の企てを露呈した。

⑦米側はいわゆる航行の自由を口実に南中国海問題に干渉し続けている。これがアジア太平洋リバランス戦略なのだ。「中国脅威」をまき散らし、フィリピンやベトナムに中国対峙を煽り、米側に組するよう追い込み、中国の経済発展を牽制し、アジア太平洋地域における主導的地位を確保する野望だ。

⑧元来、中国政府は米国と「覇権を争う」気はない。だがわれわれが自らの正当な権益を放棄することもあり得ない。自らの主権、安全、発展上の利益を損なわれる苦々しい結果をわれわれが受け入れることをどの国も期待してはならない。

⑨米側は南中国海問題において中立の約束を厳格に遵守し、無責任発言を停止し、平和と安定の維持に向けた南中国海地域各国の努力を尊重し、関係国を扇動して情勢を緊張させず、地域の平和・安定に資するよう警告する。

⑩南中国海問題において中国といくつかの国(マレーシア、ベトナム)は率直性を強め対話が進んでいる。米国はそんな地域国間の対話に対する破壊工作を即時停止すべきだ。米国や日本などは中国に対する偏見を自ら矯正すべきだ。


………(3) 米中両軍最高幹部の直接対話………

ところで、人民解放軍を指揮する中国中央軍事委員会の范長列副主席が訪米し、6月11日にカーター国防長官とペンタゴンで会談した。カーター国防長官は最恵国待遇で出迎え、会議において同氏がシンガポールでのアジア安全保障会議において南中国海埋め立てを非難した演説について中国に釈明した。

カーター国防長官『米側は南中国海問題について意見を述べたが、関係国が直接協議することによって平和的に問題解決することを希望したからだ。南中国海問題は米中間の問題ではない。米側は南中国海の主権論争に意見や立場を持たない。これは合衆国憲法の命じる通りであり普遍的姿勢である』。

カーターがアジア安保会議で中国非難演説をした直後にフィリピンのアキノ大統領が訪日し、安倍と中国非難を声高に叫び、中国はナチだと極端な悪態を口にした。ところが、滞在最終日の外国特派員会見場では打って変わって、しなだれ、何を聞かれてもしどろもどろであったという。

アキノの狼狽と米中軍トップ会談を並べると合点が行く。アキノは東京滞在中に米国から厳重な注意を受けたのだろう。カーターもベトナムから逃げるように帰国している。かれも中国の怒気に触れ、中国から歴史事実を突き付けられ、反論の余地なく、逆恨みをしてしまった後悔に苛まれたのだろう。

◆中美军方高层会面 美防长:南海问题不是中美之间的问题(環球時報
http://world.huanqiu.com/exclusive/2015-06/6667916.html
中国中央軍事委員会の范長列副主席が訪米し、カーター国防長官とペンタゴンで会談し南中国海問題は米中間の問題ではないことが共通認識であることを確認した。

【写真】中国中央军委副主席范长龙访美 美防长以最高规格接(環球時報
http://world.huanqiu.com/photo/2015-06/2780850.html

◆范长龙敦促美国减少在南海军事活动(環球時報
http://world.huanqiu.com/photo/2015-06/2780948.html
◆Pentagon again asks China to end island building, seeks more military contact(ロイター)
http://www.reuters.com/article/2015/06/12/us-usa-china-military-idUSKBN0OR2YK20150612
①范長列(中国中央軍事委員会副主席、主席は習近平
『ここ数年来、習近平主席とオバマ大統領が自ら推進して、中米の双方は新型の大国関係を作り上げ、一連の重要な成果を得た。この背景の下で、両軍関係は全体として安定的発展し、双方は“2つの相互信頼構造”合意書を締結した。

その合意によって、両軍高層の相互訪問、構造的対話、連合するための協議など各種領域で協力し、相互に教え諭すなど新しい進展があった。私が今回訪問した目的は両国の元首が成立させた重要な共通認識を実行することで、両軍関係を更に深め安定的な発展を推進することにある。

中米の両軍は“持続的に相互信頼し、協力し、衝突を防止する新型の軍関係を作り上げる努力を惜しまない。双方は交際を深めることを願い、戦略を相互信頼し、適切に支援しあい、実際的に協力し、危機を効果的に管理することを希望する』。

②カーター(米国国防総省長官)
『両軍関係の発展に関する范長列氏に賛成します。米中両国と両国の指導者は更に良好な米中関係を希求して、力を尽くしている。それがアジア太平洋と世界の安全な環境を創造するでしょう。

米側は習近平主席の9月訪米を期待している。両国の元首の期待に背かぬように米中の二軍は相互信頼関係を確立し、軍事関係の実務協議と協力を持続させることができる。

シンガポールのアジア安保会議で、米側の南中国海問題に対する見方を話したが、南中国海問題は米中間の問題ではなく、米側は南中国海の主権論争に対して立場を持たないから、関係各方面が交渉を通じて協議し、平和的方法によって関連問題を解決するよう促したかったのです。

米国は南中国海の主権紛争関係国の全てに、直ちに基地建設を中止し、対話と協議のテーブルに着くように求める書簡を送った』。

③范長列
『南中国海の諸島と周辺海域は昔からの中国領土です。中国側は南沙の一部の島や暗礁において、防衛駐屯し施設建設を行っている。これは主に防衛任務に就く者の居住環境を改善するためであり、国家領土主権と海洋権益を守ることに役立てる。

中国が自国領土に軍事施設を設置し防衛任務を遂行することには如何なる国も非難する権利がありません。米国には、主権紛争に特定の立場を選ばないことを堅持し、南中国海地区での海空軍事演習や偵察行動を自粛し、南中国海を平和で安定した海域にすることを要求する。

遠くを眺めれば風波を知ることができる。小さい波濤も平らに見える。南中国海問題は中米関係の中のたった1曲の歌にすぎない。米中双方は、波の谷底でなく、高所に登って遠くを見渡し、より重大な国際問題に関心をシフトすべきだ。

米国政府は、朝鮮半島問題や台湾問題や日本問題で一方を誤った方向に導く不用意な発言を控えるべきだ。例えば、米国は「1つの中国」政策を厳粛に遵守すべきであり、“台湾独立”勢力に誤った信号を出してはならない』。

・・・会談前に、カーターは訪米した范副主席のために歓迎式典を開催した。駐米大使の崔天凱、第一副首相の孫相建、総政治部副主任の呉昌徳、北京軍区司令官の宋総挙と米国防省の副長官、国防長官補佐などが参加しました。


………(4) 光と影――独日第二次大戦反省録………

中国人民の抗日戦争と世界の反ファシズム戦争の勝利70周年を記念したドキュメンタリー映像「光と影――独日第二次大戦反省録」が公開され、共鳴を呼んでいる。この映像が描き出すのは、歴史に対するドイツと日本の異なる態度である。

敗戦直後のドイツも日本も「国民は被害者」の意識が蔓延していた。ドイツではごく一部のナチス戦争犯罪者であり、第一大戦の天文学的賠償がナチスを台頭させる原因になったと責任を連合国に向ける声もあった。

敗戦直後の日本でも、「中国戦線では勝っていたのに、勝利する見込みのない対米戦争を軍部が強行した。軍部の暴走を阻止しなかっただけでなく、それに迎合し歓喜した国民は一億総懺悔しなければならないが、日本に対米参戦させた責任は、米国の中国軍事支援と経済封鎖にある」という声が蔓延っていた。

1960年代にドイツも日本も経済復興し、米国がベトナム戦争を始めると、これは正義の戦争ではない、米国版ファシズムであると反戦が高揚し、その中でドイツも日本も自国の犯した大戦争の根本原因を思索する機運が芽生えた。

ドイツでは、独立性の高い裁判所からナチスの責任を追及する声が上がり、知識人が戦争責任について深く考え始めたーなぜナチスの政権奪取を許したのか、なぜユダヤ人大虐殺を許したのかー若い戦後世代も独自の思考を展開し始めた。

1970年には、ブラント首相がポーランドを訪問し犠牲者に跪き、国家として懺悔し、個人賠償を国家が行い、ナチス残党の永久追及を刑法化し、ファシズムを再発させない虐殺をさせない国民教育を政府の義務とするに至った。民主的憲法と議会制民主主義がファシズムを産み出した深刻な反省である。

1985年のヴァイツゼッカー大統領の演説がそれら反ファシズム教育の総仕上げと言われている;『過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすいのです』と絶えることのない教育と反省と懺悔が必要だと声明している。

ところが日本では、「ドイツはヒトラーナチスに責任のありかを見つけたが、日本は抽象性の高い『軍国主義』にそのありかを求め、それを防がなかった一億総懺悔という国家全体の責任放棄へと拡散した」。

その結果、「日本の戦争認識は自身の失敗というレベルにとどまり、戦争がいかなる傷を与えたかという視点は見過ごされがちだ。こうした態度は、日本の戦後世代の価値観の形成にも大きな影響を与え、現在の日本の政治家が発する極右的な言論」を培養する新ファシズムの風土になる危険性が出てきた。

ベトナム戦争で惨めに敗北し国家財政と社会規範が空洞化した米国を見た日本政府は侵略戦争を反省し、慰安婦性奴隷の犯罪性を懺悔する村山談話河野談話を発表したものの、ドイツのように後戻りさせない法律の整備や戦争を反省する歴史教育自民党などの右翼分子によって阻止されたからだ。

日本政府が戦争の犯罪性を否定し、戦争犯罪歴史教育を拒否するかぎり、日本が再び侵略戦争をする可能性が高い。中国はそれに備える必要がある。それには戦後世代の特に若者に日本帝国の残虐な侵略戦争の事実を学んでもらい、緊急事態における中国国民の一致協力の風土を持続させねばならない。

悲観的になる必要はない。安倍を中心とする新ナチが権力を掌握したものの、日本市民はその危険性を認識しつつある。中国はそんな日本社会と連帯感を醸成させれば日本の極右を権力の座から追放できるだろう・・・

◆光と影――独日第二次大戦反省録(中国網)
1)http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2015-06/12/content_35806867.htm
2)http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2015-06/12/content_35807285.htm
3)http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2015-06/12/content_35807312.htm

1)過去を振り返るための正しい態度とは何か

第二次世界大戦は人類史上最大の災難。戦火は4大陸の2千万平方メートルに広がり、80カ国・地域の約20億の人々が巻き込まれ、経済的損失は4兆ドルを超える。アジアの主戦場となった中国だけでも、戦争による兵士・民間人の死傷者は3500万人に達した。

②ドイツでは、70年の絶え間ない努力によって、戦争の反省を体現する系統的な仕組みが構築された。日本では、侵略の歴史を否定する動きが様々な形で現れている。歴史教科書の修正、A級戦犯をまつる靖国神社への首脳の参拝、歴史に逆行する行動は、国際的な公理と正義の限界を突き抜けつつある。

③ドイツのヴァイツゼッカー元大統領が行った演説
「我々にとっての5月8日(ナチス崩壊の日)とは、何よりもまず人びとが嘗めた辛酸を心に刻む日であり、同時に我々の歴史の歩みに思いをこらす日でもあります。この日を記念するに際して誠実であればあるほど、よりこだわりなくこの日のもたらしたもろもろの帰結に責任を取れるのであります」。

「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすいのです」。

④中国EU商会代表でドイツ人のJoerg Wuttke氏
「二度の悲惨な世界大戦を経て、ドイツ人は歴史を直視する道を選んだ。そうしてこそ悲劇の再演を防ぐことができる。幼年・少年時代の環境から「ドイツは重い罪の責任を負っている」という意識ができている」。

中国社会科学院近代史研究所学術委員会主任で中国抗日戦争史学会会長の歩平氏清華大学国際関係博士の李佳円さん

「ドイツはヒトラーナチスに責任のありかを見つけたが、日本は抽象性の高い『軍国主義』にそのありかを求め、それを防がなかった一億総懺悔という国家全体の責任放棄へと拡散した」歩平氏

その結果、「日本の戦争認識は自身の失敗というレベルにとどまり、戦争がいかなる傷を与えたかという視点は見過ごされがちだ。こうした態度は、日本の戦後世代の価値観の形成にも大きな影響を与え、現在の日本の政治家が発する極右的な言論にもつながっている」李佳円さん。

⑥第二次大戦で米空軍兵士として太平洋の戦場に送られたDaniel Crowley氏(93)
「日本の軍国主義者はドイツのナチスよりも残忍だった。南京大虐殺は中国の庶民に大きな災難。日本の政治家は、民族主義的な情緒にかられて視野が狭くなり、日本人が過去の歴史を詳しく振り返ることを阻んでいる」。

清華大学現代国際関係研究院の劉江永副院長
「映像によって真実の記録を伝えることで、人々の認識がより明確化する。国家が正しい道を歩むには、歴史を直視し歴史の教訓を汲み取る勇気が必要。日本にその勇気があれば、国家のイメージを建て直し、国際社会との関係も改善する」。

2)反省とは逆行する勢力との戦いである

①ドイツの戦後の反省は主に2つの点に集中している。一つはナチスの政権奪取、もう一つはユダヤ人の大虐殺である。

②ドイツが経済復興した1960年代中頃に三方向から変化が起こった。第一に司法の世界からナチスの責任を追及する声が上がった。第二に知識人が戦争責任について深く考え始めた。第三に若い世代が独自の思考を展開し始めた。

③この三つ動きが社会の変化をもたらし、1970年にはブラント首相がワルシャワ・ゲットーの記念碑で跪くこととなった。歴史の反省はこうしてゆっくりと社会に受け入れられていった。ドイツのベルリンなどの都市では2013年、戦争を回顧する活動が約500回にわたって開かれた。

④ドイツの友人によると、「こうした展覧会を開催するのはドイツが目覚めているからでは決してない。社会にまだ歴史に逆行する流れが根強いが故に、こうした流れとは断固として戦わなければならないのだ」という。

⑤日本もドイツと似たような状況を経験した。1950年代半ばになると、日本の知識人が、なぜ当時戦争を支持してしまったかを真剣に考え始め、「悔恨共同体」(一億総懺悔)というスローガンが生まれた。だがこれらは日本を被害者の立場に置くものであった。

⑥1960年代半ばからは、米国のベトナム戦争に反対の声を上げ、第二次大戦の加害者としての自身をも反省し始めた。

⑦「村山談話を継承し発展させる会」の川浪寿見子さん
「私は戦争が嫌いです。日本がこれほど長い間、この侵略の歴史を完全に反省できていないことを考えると、平和を愛する隣国の人々に申し訳ない思いになります」。

「ドイツ人は戦争に負けてから国を挙げてナチスドイツの歴史を反省し、周辺の隣国とともに歴史教科書を作ったが、これこそ歴史に直面する模範だと考えています」。

⑧ドイツの経営指導会社サイモン・クチャー会長ヘルマン・サイモン氏
「私は戦後生まれだが、ドイツ人として負うべき責任と罪を否定したことはない。戦争の罪は少数の戦争犯罪者にあるのではなく、多くの人がこれにかかわっていた。ドイツ民族全体がその責任を負うべきで、実際にそうしている」

⑨歴史に向き合うための唯一の可能で持続的な態度は心からの反省を示すことだけなのだ。しかし「戦後の反省についてドイツと日本に差があるとすれば、それが最も顕著なのは政治家の問題だ」と歩平氏

3)ちぐはぐな言動が目立つ日本の政治家

①周東葵将軍(93)は、抗日戦争、解放戦争、抗美援朝戦争(朝鮮戦争)に参加してきた。戦争の時代を振り返る周東葵老人の目元は険しくなり、拳は強く握られていた。南京大虐殺重慶大爆撃、細菌戦――日本ファシズムの野蛮さ、残酷さに話が及ぶと、老人の目からは怒りの火光が散った。

「中国での数限りない殺人が犯された証拠は山のようにある。なぜこれを認められないのか。非人間的な軍国主義を悔やむことができないとすれば、この民族には希望はない!」

「間違っていることを認めてこれを改めることができるとすれば、それ以上にすばらしいことがあるだろうか。ドイツ人はひざまずき、過ちを認め、賠償した。ドイツには希望がある。罪を認め、わびるということこそ、日本に求められている」。

②中国EU商会代表でドイツ人のJoerg Wuttke氏
「歴史を振り返ることのできない国は、その歴史を再演することになる」米国が戦後、歴史に対する徹底的な反省をドイツに迫ったことはドイツの幸運だった」。

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