アジア安全保障会議のその後−中米の確執

※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点

5月末にシンガポールで開催されたアジア安全保障会議は、日米が主導する会議であり、中国軍を引きずり出して吊し上げする目的の会議であった。しかし当番国のシンガポールをはじめとするASEAN各国は慎重な根回しをして、中国軍が欠席しないように計らっている。

中国軍は堂々と日米豪を「平和で自由貿易航行が行われている南中国海で軍事的危機が存在するとでっち上げたのは日米で、その根拠を問われると、米軍自ら中国の島に突進する特攻で軍事衝突を起こそうと、何度もトライした。中国軍は抑制したので、米軍がすごすご引き下がったのだ」と批判を展開した。

その米軍批判はカーター米国防長官が座る3m前でおこなわれ、カーターは顔を真っ赤にしたが、ひとことも反論できなかった。

惨めな会議が終わりそそくさとベトナムを訪問し、中国軍に対峙するための軍事協力をベトナム国軍と話し合った。その結論は米国の廃船哨戒艇を22億円で買う費用を米軍が立て替えるというだけであった。フィリピンもまた安倍から無償借款をもらい、その金で自衛隊が廃棄したP3C哨戒機を買う。

走ると危険だから、飛ぶと危険だから廃棄処分された老朽兵器を見かけ有償、実際は無償で供与する米国と安倍政権。そのメンテナンスのために米軍と自衛隊員がベトナムとフィリピンに常駐できる。漫画チックで幻想的ともいえる被害妄想の行き着いたところがこれなのだ。

日本と米国は直接に兵器を無償供与できない理由がある。ベトナムとフィリピンがそれに尻込みするからだ。だから名目を変えて資金を提供し、その金で米国と日本から廃棄された兵器を購入させるのだろう。ほとんど哀れをもようす状態である。

中国軍は日米に怒っている体裁をとらないと中華民族の心が収まらないから、怒りを精一杯演じているかに見える。今日はその怒りの演技具合を中国報道から拾ってみた。

◆最不安全因素!数月来美军南海兴风作浪实录(環球時報
http://mil.huanqiu.com/militarytelescope/2015-06/6571597.html
安全を損なう最大の原因!ここ数ケ月、米軍は南中国海に波風を起こそうと躍起になっている。その記録と証拠写真を掲載する;

①4月20日、米国とフィリピンは南中国海で2万人の兵力を用いた合同軍事演習。海陸両用戦車を敵前上陸させ、砂浜での遊撃戦闘を見せつけ、中国に軍事的威圧。また、フィリピン軍が廃棄軍艦をサンゴ礁座礁させ基地とした黄岩環礁に米国記者をヘリで運び、菲国の「実効支配」を世界に宣伝させた。

②5月11日、米海軍はシンガポールに配備した3700トンの最新戦闘艦を中国の南威島に突撃させようとし、中国のイージスフリゲート艦054Aに終始追尾され、逃げ回りながら「ここは国際海域である、米軍には航行の自由があると」捨て台詞を残して去った。米戦闘艦は国旗も掲揚していなかった。

③5月20日、米海軍は最新の哨戒機P−8Aを中国が建設している環礁の真上に侵入させ、中国軍からの8回の警告「直ちに立ち去れ」を無視して高度4500mで偵察を続け、搭乗させていたCNNカメラマンに世界報道させた。この米軍行為は「押入強盗」に等しいならず者であることを証明した。

④5月30日、シンガポールで開催されたアジア安全保障会議において、米国のアシュトン・カーター国防長官は、中国が南中国海の島や岩礁での建設中止を要求し、米軍の艦船・航空機を動員して同海域のパトロールを強化して、建設を中止に追い込むと、まれに見る強硬姿勢を見せた。

⑤5月31日、アシュトン・カーター国防長官はベトナムの海軍基地を訪問し、同国沿岸警備CSB8003に乗船し、ベトナム海軍兵士を激励して、退役パトロール艦を米国から購入するための1800万$(22億円)提供と兵員の訓練を提案した。

⑥米国は南中国海で中国をこのように苦しめているが、あなたは中国に対して何を言いたいですか? 米国がいくら騒いでも、ほとんど風波をたてることはできません。

◆強硬発言の米カーター国防長官に10の質問(中国網)
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2015-06/02/content_35716449.htm
①米国のアシュトン・カーター国防長官は、中国に南海の島や岩礁での建設活動を中止することを求め、米軍の艦船・航空機による同海域のパトロール実施を続けると宣言するなど、まれに見る強硬姿勢を見せている。

②米国の一連の挑戦的な言論に対する中国外交部の2つの回答;(1)米国が中国の島嶼に近付き偵察をはかる挑発行為を抑制しなければ、中米は武力衝突を起こす危険がある。(2)国家の主権と領土を守る中国の意志は固い。絶対に妥協しない。

③もし問題が起こり、互いに譲れない状況が発生して、武器をもって相まみえるようなことになれば、米国はこれに耐えることができるのか。カーター国防長官は少なくとも次の10の試練に直面する;(文:羅援・中国戦略文化促進会常務副会長兼秘書長)

(1) 米国の核心利益が南海において根本性なダメージを受けていないにもかかわらず、兵隊を他国に送って犠牲になる準備が米国の民衆にあるのか。

(2) 南中国海は中国の「ホームグランド」。中国は自国領内での専守防衛に徹した準備と訓練を常に行っている。米国がこの「アウェー」海域で圧倒的不利を跳ね返して中国に勝利する可能性は全くない。(日本本土を攻撃し撃退された蒙古の「元帝国」の歴史的事実を忘れるな)

(3) 米国が隠密奇襲作戦で勝利してもそれは中米戦闘の始まりに過ぎない。中国は米軍を南中国海から完全に追い出すまで戦闘が停止されることはない。米国に衝突のエスカレートや長期作戦への準備はあるのか。

(4) 中米の対決は、世界の政治局面をシャッフルする。関連する国家(BRICSASEAN)や利益共有集団(上海協力機構など)が力関係を変化させ、超大国米国の一極支配が多極化世界へと急激に移行する複雑な局面に、米国は対応できない。

(5) 中米新型大国関係の核心は、相互尊重・非衝突・非対抗にある。中国はそのために誠意を尽くしてきた。中国の誠意を踏みにじる米国の一方的な軍事挑発は、中米関係を協調から対抗へと変える。

(6) 中米経済は互いに深く融合している。中国の利益を損なうことは米国の利益をも損なう。中国の経済的カードは米国よりも多い。1兆$米国債、中国市場で延命する米企業、米国1億貧困層に不可欠な中国の生活必需品などだ。無責任な政治屋がもたらす代価を米国の民衆が受け入れる覚悟があるのか。

(7) 中米が南中国海で摩擦を起こせば、両国の民意は、1999年のユーゴ中国大使館爆破事件や2001年の海南島軍機空中衝突の谷間にまで落ち込み、民意の修復は困難となる。

(8) 永暑礁などでの科学観測所は、国連組織に正規の手続きがされた「一帯一路」海上公共インフラ。マレーシア航空事件や海難に対応し、海上の航行安全を保証する平和目的の国際公共物だ。米国が干渉し派兵する法的根拠は無い。日本が東海で沖ノ島を拡張し、菲国等が南海で基地を建設し、米国は加担するのか。

(9) アジア太平洋地域は世界経済の成長牽引力、米国の対外投資の半分以上を占める。そこで動揺が起これば経済的なエンジンに問題が発生する。世界や米国にとって悪夢でしかない。

(10) 米国は中国と私益のために言いがかりをつける小国を戦略的天秤にかけている。少しでも戦略的な頭脳があるなら、その愚かなことはわかりきったことである。

以上は脅しではなく、善意からの呼びかけであり、カーター国防長官の乱暴な発言の結果を合理的に推論したものである。プラグマティズムの国である米国が慎重に行動することを信じている。(中国網2015年6月2日)

◆美防长拉南海盟友压中国 澳防长对华强硬喊话(環球時報
http://world.huanqiu.com/exclusive/2015-06/6569347.html
◆澳荽耀超级大黄蜂与预警机编队(環球時報
http://mil.huanqiu.com/observation/2015-06/6570952.html
①米国は、南中国海の主権論争に介入するために、同盟国をかき集めて、南中国海問題で中国に軍事的対峙を起こしている。

②豪州《シドニー・モーニング・ヘラルド》の1日報道;豪州国防部長のアンドリュースは世界に向かって中国を威嚇する最も強硬な声明を発した『豪州は米国とその他の国家と共に、南中国海で中国に反撃を加える計画ができている』。

③豪州《キャンベラ時報》;アンドリュース豪国防長官『北京が南中国海で一方的に防空識別区を設定しても豪州軍は牽制と威嚇のための南沙諸島の偵察行動をやめることはない。平和と自由貿易のための航行の自由を中国に阻害させないためである』。

④日本の中谷元防衛相『南中国海において米海軍艦艇と合同軍事演習する。また、日本はASEAN各国に軍事支援を更に強化する。すでにフィリピンなどの国に偵察機を提供と兵員訓練をもって同国を支援する』。

◆驻美国大使崔天凯就南海局势接受《华尔街日报WSJ》专访(環球時報
http://world.huanqiu.com/article/2015-06/6580418.html
中国の駐米国大使の崔天凱は南中国海の情勢について《ウォール・ストリート・ジャーナル》から特別取材を受けた;

WSJ(スワット):大使先生、あなたが《WSJ》に来てくださったことに感謝します。今週、中国が南沙諸島でとる行動に米側が過熱した反応を示し、米中間は激論になりました。あなたはこの激論を落ち着かせるために、地域の各国はどんなの行動をとるべきとお考えですか?

崔天凱:まず、私はここに来て特別取材を受けることをうれしく思います。私達は最初にいくつかの基本的な事実をはっきりさせるべきです。
第1、私たちはいくつかの国が南中国海の環礁を占拠していうことは不法であると思います。しかし私たちは軍事力などでそれを放棄さることを常に抑制したのです。そして、中国側の建設工事は全て中国の主権下にある島嶼や暗礁に限定しています。
第2、私達の建設事業は主に民生用途であり、海域を航行する各国人民の安全を確保する目的。航海や航空や漁業に不可欠な気象観測と海難救助をサービスする国際公共機関なのです。
第3、米側は過剰反応し、南中国海に絶えることのない緊張を持ち込む言動を畳み掛けてくる。米側は報道記者を偵察機に搭乗させ、世界を緊張させるデマを流させた。米側はまた中国に対する理不尽な非難を大量に発した。私達はとても意外に感じる。地域を不安定にさせる米国の過剰反応が心配だ。

WSJ:米側は中国の行動が周辺国に対する挑発であると説明しています。米軍は南沙諸島海域がグアム島基地とASEANの米軍基地を結ぶ軍事要路にあることを問題にしています。当然この海域はアジア各国の交易船の通路でもあり、各国が中国の建設行為を挑発と感じているというのですが?

崔天凱:中国とASEANの交易は全て同海域を通過。その安全は中国にもASEANにも最重要。対立を煽る国には交易を無視した「別の目論見」が―緊張を煽り、冷戦時代の軍事同盟を復活させ、新型ABM配置の口実する。その背後には、中国の経済成長が自分たちに恥をかかせたと感じる逆恨みが。

WSJ:私は中国外交部の報道官が「米側の“別の目的考え”」に言及したことを知っています。中国側は本当に米国がそんな口実のために地域での軍事力を強化していると思うのでしょうか?

崔天凱:南中国海を不安定にする原因は米軍にある。多数の軍艦と偵察機を海域に侵入させる目的はなんですか?その劇画的行動が地域を不安定にすると思わないのですか?ASEANの殆どの国も米軍行動を危惧しています。ベトナム軍すらそうです。米側の意図は冷戦の再現、それがアジア回帰だと。

WSJ:中国が空母保有を計画し海上戦力を飛躍させたことに対して、日本とフィリピンと豪州が軍事同盟形成し、米軍との合同演習を頻発させました。中国側は米国と同盟国の行動が中国包囲を形成したと感じますか?

崔天凱:実際には、私達は隣国との関係を全く心配していませんし、私達と隣国の関係が発展することはとても良いと考えます。私達とアジア国家の全体関係はとても良好で、私達はインドは勿論、日本との関係も発展しています。中国は一貫して隣国との友好協力関係に尽力しているのです。
そんな中国を包囲し抑制する大義も、そしてその能力を持つ国も見出しえないでしょう。私達はこのような冷戦思考を放任すれば、冷戦がアジアに再現し、冷戦期のように大国軍事グループ間が対峙する局面になると憂慮する。
アジアを冷戦局面に落とし込んで、中国、米国それともアジアの人民が有利になるのでしょうか?誰もが不利になる。アジア地域の安定が失われ、経済発展を弱めるからです。私はワシントンが真剣にこれら後に起こる悪い結果を考えたことがあるかどうかを知りません。

WSJ:あなたの中国と隣国その他との友好関係の評価は正確です。しかし、どうしてこれらの島の暗礁が重要なのですか? フィリピンなどとの島の縄張り争いに過ぎないのでは?

崔天凱:領土主張の対立は常に存在します。漁民の漁区争い、天然資源採掘企業の利権争いなのです。関係国は自他のそのような状況を冷静に見つめ、利権の対立を細かに対比させて譲歩するように誘導する必要があります。ナショナリズムに訴えれば民間の対立が国家戦争へと持って行かれるからです。

ベトナムと中国の漁民と天然ガス採掘企業間の争いがそんな危険の一歩手前まで悪化し、最近ようやくベトナム共産党が冷静に考えはじめたことをご存じですよね。重要なことは、部外者である大国が干渉行動をしないことです。干渉する大国の背後にある意図が一体なんであるか認識を誤ると戦争です。

私達が今話している事態は、メキシコ湾でも、カリフォルニア海岸でも、ハワイでもなく、南中国海という中国の沿岸大陸棚なのですよ。米軍は今でも中国大陸の沿岸から22キロまで接近偵察を連日おこなっています。習―オバマ会談で新大国関係に合意した後も止めなかったのです。敵意ですか?

WSJ:中国の隣国である複数の国と米国は軍事同盟を結んでいます。それが当該国にとって利益があるとおもうからでしょう。

崔天凱:米国とアジアの複数の国との軍事同盟は中国を敵国と見做す反中国同盟なのです。米国の軍事利権者には冷戦構造の持続が生命線のようですが、アジアにとって非常に危険です。米国と軍事同盟を持つ国でもタイやシンガポールは米国の野望を憂慮していますよ。

WSJ:あなたは米国と軍事同盟をもつ豪州とフィリピンと日本が反中活動をしたというのですか?

崔天凱:反華軍事同盟政策を続ける愚かさを米国政府は認識すべきです。この問題は米国政府が自らを評価しなおし今後を説明すべきです。

WSJ:しかし私は言いたい、これらの軍事同盟はとても長い間存在し続けています。あなたが“反中活動”との印象をこの軍事同盟に付与することは、中国に対する脅し対抗する脅しの応酬になると思う。

崔天凱:私達はただ事実だけを見ています。私達がどう思うかが問題ではないのです。これらの軍事同盟がどのように維持され、軍事演習の目的と内容が全て対中国戦闘に向けられていることを誰もが確信しているのですよ。

WSJ:カーター国防長官は呼びかけました;『中国以外にも南中国海で埋め立てている国家があることを考慮して、全ての埋め立て参与国が建設を停止すべきタイムリミットだ』と。そこでお聞きしますが、中国側は建設を一時停止するのか? 停止を願って、地域情勢について広範な討論を行うのか?

崔天凱:数年前にすでに基地を建設した(フィリピンやベトナムなど)国にも基地を撤去させるのでしょうか? それが米国にできますか?

WSJ:カーターは各方面がすべて建設を停止するか一時停止するかと言うのです。

崔天凱:その他の国家は建設してしまった施設を撤去しますか?

WSJ:(フィリピンやベトナムが作ってしまった基地)の撤去問題を、対話を開始する前提条件にすべきでないと考えます。撤去問題は問題解決プロセスの一段階に過ぎないのです。

崔天凱:米国がなすべき最初の建設的行動がある。中国に接近する軍事偵察を中止することだ。それもせずに、国際会議の場に出ろ、フィリピンやベトナムの既存基地問題は二の次だと言って、誰が信用すると思うのですか?

WSJ:もしも米軍艦がこれらの島の暗礁の12海里以内に入ったら、中国側は開戦する大義になると考えますか?

崔天凱:世界の全ての主権国家と同様に、中国にも自衛の権利と能力があります。

WSJ:米中間の問題は中国海大陸棚における対立だけであって、経済関係や民間交流は沢山と対話と交流があって協力し合っています。

崔天凱:おっしゃる通り、米中関係に不安はほとんどありません。米中協力関係は南中国海での対立を昇華させてしまう余裕があります。それで中国は南中国海の領土問題を各関係国と利害対立者を前面に出して仲裁する気持ちで調整しているのです。フィリピンを除いては各国も同意し協力しています。

米国とアジアの一部にある「意図」が最も重要なのです。私達は米側の言動によって判断します。私達はもちろん米国と関係発展に積極的ですが、このようなインタラクティブは双方向性があるべきです。中国側はずっと抑制を維持していますよ。

WSJ:どうしてあなたは米国がアジア地域の緊張を希求すると思うのですか? 米側の立場にたって眺めたら、米側がそのようにする目的が何であると思いますか?

崔天凱:米側の「意図」については次のような愚かな報道や論評があります;冷戦構造を必要とする部分が米国に存続している/軍事的に無能力なABMをアジアに配置して軍事企業を反映させたい/アジア版のNATOを創設し、中国を「内陸国」として封じ込め、経済の息の根を止めたいなどと。

WSJ:アジア版のNATOが創設され、中国を封じ込めにかかるとしたら、中国は?

崔大使:すべての隣国がすべてこのような様だ。

WSJ:いえ、全てどころか、一部の隣国でしかありません。

崔天凱:中国は一部の隣国に対峙するための軍拡を行わない。(専守防衛に徹しており、領土内での防衛は僅かな兵力で済む) しかし中国は世界に貿易と投資を広げており、世界に経済貢献している自負があります。その経済的貢献に見合う安全保障政策が必要であることを米国も否定できません。

中国の発展に伴い、国際社会が中国に対してより大きい国際責任を引き受ける期待感も増大しています。私達はこのような期待を知って、そのための準備をしっかりと行いました。私たちの軍備近代化は中国と世界の経済発展需要を満たすために必要な最低限で、国際義務の履行を願っているのです。

※中国の軍事予算は日本政府が推測する数値であっても中国の名目GDPの1.2%に過ぎず、それは日本の軍事予算と同率。米国とロシアのような3%台には程遠い。中国は海上戦力と言えるものを保有してこなかったので、大陸棚防衛を怠り、野望を抱く国に実効支配を許したという反省がある。

大陸棚防衛に必要な海上戦力の近代化が達成されたら、中国が軍事費を削減するか否かは、中国をして日米の「中国を内陸に封じ込める意図」を感じさせるか否かにかかっている。日米が軍事同盟を解消し、普通の国家関係になり、アジア版NATOの野望を引っ込めるなら中国は軍事費を削減する。

現代中国は騎馬民族に征服された過去の大帝国とは異なる。中華民族は軍事侵略や略奪や虐殺を好まない。経済的利益にのみ関心がある。他国の軍事によって経済的利益が犯される場合も、中華民族は軍事的に対峙せず、征服民族の中国化に努力して征服民族を追い出すこともなかった特異な民族である。

◆中国、南海の共同開発と実務的な協力を堅持(CRI北京放送)
http://japanese.cri.cn/881/2015/06/04/181s237175.htm
①WSJ、2日論説;
中国は、南海問題において長い間抑制的な態度を取ってきた。最近南海で大規模な島嶼建設を行っていることは、地域の均衡を打破し、軍事的手段で地域の事務を主導することを実現する行動でもなく、地域の均衡を回復させる行動だ。
中国が直面しているカギとなる問題は、いかにして中国が強硬な行動から侵略に走っていく意志はまったくないことをその隣国に信じてもらうかことである。

②中国外務省の華春瑩報道官;
南海問題に関する中国の政策は明確で一貫しており、変わることはない。中国は、ASEANの国々と共に南海地域の平和と安定を維持することを堅持し、直接関係する当事国と話し合いで争議を解決することを堅持し、『南海各方面行動宣言』の効果的な実施を含めた地域メカニズム規則の建設強化を堅持し、そして、『南海行動準則』についての協議をしっかり推し進め、南海の共同開発と実務的な協力の推進を堅持することにより、互恵共栄を実現させていくことを改めて明らかにしたい。

◆越南不可能完全投入美怀抱 美军轰炸噩梦永难忘(環球時報
http://mil.huanqiu.com/observation/2015-06/6571297.html
ベトナムは米軍爆撃の悪夢を永遠に忘れない

①米国防長官のアシュトン・カーターは31日にベトナムを訪ねた。彼はベトナムに1800万ドル(22億円)を提供する表明をおこなった。それは米国の退役巡視船を買わせるためだ。彼はまた《国防関係での協力を期待する声明》に署名してみせた。

②ヒラリーは2010年にハノイを訪問して、ベトナムを丸め込み、中国の周辺国に中国封じ込め外交に参加させた。それが功を奏してベトナムに島の埋め立てと基地建設をさせ、中国の企業を焼き討ちさせ、中国石油資源開発の試掘プラットフォームを襲わせる結果を生んだ。

③しかし、ベトナム人はB52に絨毯爆撃され、戦闘機に機銃照射されて3百万人が犠牲になった7ことを忘れない。今70歳代の男性世代がベトナム戦争で殺されてしまった世代の穴をいかんともしがたい。

④米国は共産主義を毛嫌いしている。ベトナムは中国と同じ共産党の国である。もしベトナムが米国と同盟など組めば、米国の思う壺に嵌ることになる。ベトナム共産党を壊滅させ新自由主義の国に改編することが米国の意図だから。

⑤そのことをハノイは熟知している。ハノイは米国にとても深い警戒心がある。ハノイはフィリピンのように米国の植民地になった経験は無いが、南ベトナムを介してそうなる危険性があった。だから南ベトナムという米国の傀儡政権を多大な犠牲のもとに打倒したのだ。

ベトナムは中国に対して非常に複雑な民族感情を持っている。中国の共産党支配を揺るがせる先兵としてベトナムが利用されることは、ベトナム共産党の存立基盤をも破壊することになるし、そもそもベトナムは京族という中華民族の末裔なのだから。

⑦しかしナショナリズムが高揚しやすい国民性である。特に北ベトナム地域は近世に至るまで、ほんの一時期を除いて、中国の一部であり、朝貢国ですらなかったのです。そして京族は長江流域から蒙古や鮮卑による中国支配を嫌ってベトナムに流れ着いたという記憶も残っているのです。

⑧いずれにせよ、ハノイが日米からの“価値観同盟”加盟という飴に飛びつくなら、ナショナリズムが亢進して日米にベトナム共産主義を破壊されるか、中国の妥協を許さない原則的立場との衝突に疲弊するか、でありそれを回避する制御が重要なのです。

ベトナム社会主義を捨てて“価値観同盟”という反華同盟に参加する可能性は無いと思われます。中国は主権問題では原則を崩しませんが、経済などの社会関係では開放的で対立もまた対話の道具にしてしまう特技があるのです。

⑩中国とベトナムは陸続きであり、中国の生産工場である広州とは高速道路で数時間。広州の中誤記企業がベトナムに部品工場や組み立て工場を建設することは、失業に悩むベトナムの若者に希望を与えるでしょう。広州人もハノイ人も極めて近い親戚なのです。

⑪主権や漁場や海底資源の奪い合いは中華民族の内部紛争という面もあるのです。国家が絡むときは国家エゴではなく司法的な態度で臨む必要があります。その点を習近平李克強体制は認識しているように思われます。両国の漁業者、海底資源探査企業が直接話し合う、政府はその行司役です。

◆アキノ大統領が訪日、日本の武器輸入に意欲的(中国網)
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2015-06/02/content_35719199.htm
フィリピンのアキノ大統領が2日より軍事協力を具体化させる目的で訪日。
①フィリピンは日本に退役した対潜哨戒機「P3C」やレーダー関連設備の供与を希望するリストを提出し円借款を要求。日本側は兵員訓練と日菲合同軍事訓練を南中国海で行う提案と、自衛隊員が菲国内で刑事事件を起こした場合の裁判権が日本にのみあることなどを提案し、合同軍事訓練の詳細を協議した。

②日本の南中国海における動向は、安倍政権が平和憲法の改定、集団的自衛権の行使容認を目指し推進する、積極的平和主義の道を邁進していることを示している。

③またフィリピンなどの国は安全保障問題で日本から力を借りようとしており、日本軍と密接に連携する国と共同して南中国海に介入し、情勢を攪乱させようとしている。日本がフィリピンなどの南中国海の諸国、もしくはシーレンの関連諸国に武器を輸出すれば、地域の緊張情勢が激化する。

◆中国外交部に華春莹報道官:フィリピン指導者の誤った筋の通らない発言に深く驚嘆し、強い不満を感じると表明(新華社
http://jp.xinhuanet.com/2015-06/04/c_134297320.htm
①アキノ大統領は日本を訪問中に、中国の南海での行為をナチスドイツに例えて語り、超大国の米国が南海問題で役割を発揮するように呼びかけた。

②1999年以降、艦船の『座礁』によって中国の仁愛礁を盗み取ろうと企んだのはフィリピンだ。2012年に軍艦と武力勢力を派遣し、中国黄岩島海域で正常な作業を行っていた中国の漁船、漁民を襲撃したのはフィリピンだ。

③2013年に『国連海洋法条約』締約国として中国が保有する権利を無視し、『南海各方行為宣言』及び両国間の一連の共通認識に背き、関係紛争に対しいわゆる国際仲裁を一方的に申請したのはフィリピンだ。

④自国の利益だけを考慮し、海域外の国と結託して水をかき回し、中国を中傷誹謗し、攻撃したのはフィリピンだ。フィリピンの一部の人々が幻想を捨て去り、悔い改めさえすれば陸地が見える。煽動と挑発を停止し、二国間協議での対話を通じて紛争を解決する正しい軌道に戻るように再度、勧告する。

◆港媒:阿基诺口出恶言要做跳梁小丑必自取其辱(環球時報
http://world.huanqiu.com/exclusive/2015-06/6598469.html
①アキノの原籍地は福建省鴻漸村である。村の人たちは、アキノの「中国ナチス」言動が、「一帯一路」経済ベルト建設事業と、年末のASEAN同盟設立から同国が外されることを恐れる。

◆菲总统愚蠢很难有救 中国若是纳粹早给菲大嘴巴(環球時報
http://mil.huanqiu.com/observation/2015-06/6595759.html
①比大統領のアキノは愚か、今度は東京で「中国はナチス」と演説した。この暴言は二度目である。前回はWPの取材で発言し、全世界が驚き、菲国大統領府が発言の取り消しに躍起になった。中国はアキノの悪ガキを知っているので大目に見たが、今回はそうはゆかないだろう。

②アキノは香港からの観光客が襲われ8人が殺されても薄笑いしただけで謝罪しなかった。アキノは台湾漁船を菲国海軍が銃撃し機関長を虐殺した時も謝罪しなかった。アキノは菲国の国際的信用性を破壊しつくしている。

③アキノ家は福建省鴻漸村が原籍地の華人客家)であるが、フィリピンでは大富豪であり、その生活ぶりが問題になっている。コンピュータゲームに興じ、猛スピードで車を運転し、女性を追い回すご趣味なのだ。

④その道楽息子は、菲国を侵略し植民地にした米国と日本の右翼と懇ろになり、日米右翼を“救いの神”と仰ぐ始末だ。菲国にとってこれほどの屈辱があるだろうか。アキノは1年たてば失脚する。その評判に恐れを抱き悪あがきをしても、支持率は回復できない。

◆外交部:东盟年内将建成共同体(環球時報
http://world.huanqiu.com/exclusive/2015-06/6596536.html
①今年末に創立される「ASEAN同盟」の準備を中国の協力を進める会議が北京で開かれ、ASEAN各国の外相と財務相が集合している。フィリピンのアキノは東京で安倍と懇ろ。

◆美司令:将继续在南海上空侦察飞行 但要避免冲突(環球時報
http://world.huanqiu.com/exclusive/2015-06/6575365.html
◆美媒:中国若在南海反击美国 美将面临可怕局面(環球時報
http://mil.huanqiu.com/observation/2015-06/6571055.html
WSJ:中国がもし南中国海で米国に反撃したら恐ろしい局面になる

①米国のアジア太平洋専門家のジャクソンは《国防ニュース》に言った、『間違いなくカーターの主張する選択肢は無い。逆に、中国が米国の言動を軽蔑して、米国を虚弱だと見るでしょう。そして、もしも中国が米国に反撃したら、カーターとオバマは恐ろしい局面に追い込まれる』。

②米国第七艦隊のトーマス司令官は『南中国海での接近偵察飛行を中止しないが、中国との偶発事件阻止には全力を注ぐ』と発言。だが、米《国防ニュース》は「“中国の日増しに増大する脅し”という言い回しに米国防総省の高官は賛成しない。島の建設は中米の信頼感を醸成するだろう」と楽観的である。

◆「一帯一路」万里を行きミラノ万博に向かうイベントが3日北京でスタート(CRI北京放送)
http://japanese.cri.cn/881/2015/06/04/162s237161.htm
①文化や商業貿易分野で活躍する人々200人あまりが7月中旬に新疆の阿拉山峠を出て、10数の国と地域を経由して、イタリアのミラノに到着する予定で、目的地までの距離はおよそ1万6000キロになる。

組織委員会は沿線国の政治、経済貿易、文化などの分野の専門家と学者がメンバーとなる「シルクロードシンクタンク連盟」を結成し、沿線国と地域の各分野に助言し、国と地域間のコネクティベティを深めることを図ります。

③このほか、シルクロード文化基金を設立し、「一帯一路」中心経済圏の文化分野のプロジェクトテーマデー建設を推し進める方針。