日本の国力と安倍の逆恨み

※敬称略 ◆は引用報道、①〜はその要点

2015年6月2日に為替レートが125円/$台に下落した。日本の国力を中国と比較すると、2015年が国家目標を達成しても、名目GDPは中国の1/3、IMF基準の購買力平価GDPなら1/4未満でしかない。

■125円/$ベースの2015年名目GDP(購買力平価GDP)
米国 18.12兆$(18.12兆$)
中国 11.21兆$(18.97兆$)
日本  4.00兆$( 4.60兆$)
印度  2.31兆$( 8.00兆$)

■2012年⇒2015年の名目GDP(購買力平価GDP)兆$
米国16.16(16.16)⇒18.12△12%(18.12△12%)
中国 8.37(14.79)⇒11.21△40%(18.97△28%)
日本 5.95( 5.54)⇒ 4.00▼32%( 4.60▼17%)
印度 1.84( 6.25)⇒ 2.31△25%( 8.00△28%)

国際化(空洞化)しきった日本の大企業故に、円安でも輸出倍増どころかジリ貧であり、輸入物価の高騰が直撃し、それに安倍政権の非正規雇用倍増政策によって市民生活を急速に貧困化させている。政府の経済政策は公的資金による株価操作と国債を日銀に無制限に買い取らせる貨幣破壊政策でしかない。

それゆえに、為替レートは120台をはるかに超えて、140〜150円/$までは確実に下落すると予想する向きも多い。その前提も、日本円の破綻が発生しなかいという楽観的な場合でしかない。

仮に150円/$になったとし、中国と日本の経済成長率が現状計画(日本名目2.5%成長、中国7.0%成長)で推移したとすると、2018年度の日本の国力は中国の名目GDPで1/4、購買力平価では1/7.5もの大差になる。

日本は名目でも購買力平価でもドイツに抜かれるだろう。インドも名目で日本と並び、購買力平価なら日本が1/3になる見通し。

■2018年の名目GDP(購買力平価GDP)予想
日本  3.59兆$( 3.12兆$)
中国 13.73兆$(23.23兆$)

日本の国力は中国の1/7、インドの1/3でしかない、中規模国になる。国力で7倍以上の大差がついた中国と対抗する術はない。故に安倍は米軍にしがみ付くが、その米国も、市民の厭戦機運が再び高まり、更に財政収支を長期的に均衡させたいのなら、軍事予算の半減以下は避けられない。

軍事予算を半減したら原子力空母の保持など不可能になるだろう。せいぜい米国東海岸と西海岸に計2空母艦隊を維持できるのが限度だ。それを安倍が負担しようにも、その必要金額は年間20兆円にもなる。有り得ない。

中国は原則として大陸棚の守備から逸脱しないし、する必要もない。近代化が進めば、軍事費率はいずれ縮小する。年間12兆円未満の軍事費で名目GDPの0.8%程度になる。日本は名目GDPの1.2%くらい、年間6兆円が限度。それでも実質的に、中国は日本の4〜10倍の軍を維持できる。

このきな臭い推論は敢えて安倍のお好きな戦争対策を財政的に分析したのですが、言いたかったのは、単純で、経済力でも軍事力でも日本の4倍以上の国力をもつ中国を敵視し、嫉妬したところで日本はますますジリ貧に陥るだけであることを示したかったのです。

集団的自衛権 首相見解 日本攻撃意思不明でも行使(東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015060202000124.html
①政府は一日の安全保障関連法案に関する衆院特別委員会で、米国などを攻撃した相手国が日本を標的にする意思を持つかどうか不明な場合でも、集団的自衛権に基づく武力行使は可能との見解を示した。

②その戦場は日本周辺を遥かに超えて、南中国海からインド洋、アラビア半島、アフリカにまで広がる。このままでは、ユーラシア大陸の西の端まで戦争に出かけることになる。

専守防衛も全くの詭弁である。経済が悪影響を受けただけで戦争事態と跳ね上がる高揚感を安倍の逆恨み体質が生み出さぬとは限らない。最悪の事態を直前で阻止する力は当方には全くない。原爆投下を「国体護持のためには天佑」と叫んだ権力を選挙で支持しつづけてきた国民(白井聡氏)なのだから。

安倍のこころは逆恨みに凝り固まっている。国会で野党女性議員が安倍をたしなめ、それが議場で喝采を浴びると、安倍は彼女を逆恨みし逆襲の機会ばかり探し求めるようになる。その機会が見つからぬと下品なヤジを野卑な顔つきでほとばしらせる。

安倍の逆恨みが安保法制の根底。中国が爺さん岸信介戦争犯罪人と言った。韓国が朝鮮併合を植民地支配と言い、慰安婦を性奴隷と言った。これらを逆恨みし、逆襲の機会を窺う。逆襲を効果的にするために軍事的威圧に走ろうとする。安倍は非常に危険な男、平和国家の首脳として最もふさわしくない。