「高コスト」な原発を推進する理屈と火山噴火

※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点

………「高コスト」な原発を推進する理屈………

◆「高コスト」な原発を推進する理屈(朝日)
http://www.asahi.com/articles/ASH5Y5J98H5YUEHF00G.html
①日本政府が原子力を正当化する理屈はどのようなものか、考えてみた。

②興味深いのは、この4年間で原子力推進論者による正当化の理屈が変遷してきた点である。

③2011年の事故直後の理屈は、電力の需給逼迫だった。だが20%にもおよぶ節電が定着し、原発修理停止期間用の火力温存で、電力の需給逼迫はおきなかった。

④次に現れた第2の理屈は、国富流出論だ。火力燃料輸入で年間4兆円の国富が流出すると危機感を煽ったが、その半分はウランも含む原料価格高騰と円高であり、正味の輸出代金増加は年間1兆円でしかなかった。

⑤そのあと現れた第3の理屈は、化石燃料がホルムズ海峡リスクをかかえる不安定電源であるというもので、安保法制の主役にされている。自然エネルギーを不安定電源として拒否感が露骨な日本政府は、故に原発しかない、は総発電量の22%というベースロード電源であるべきだと言い出した。

⑥第4の理屈である二酸化炭素排出量の増大対策も、日本政府が主張する再生可能エネルギーの安定性を確保する体制や技術があり、欧州では実用化されている。

⑦エネルギー自給上最も優秀なのは、純国産の再生可能エネルギー(再エネ)である。国際情勢に左右されることはなく、枯渇の心配もない。燃料費の変動リスクからも解放される。現段階ではコストが高いとしても、機器の大量生産などにより継続的なコスト低減が確実視されている。

原発は日本政府が主張するような安定電源ではない。大地震で全停止したままではないか。技術的にも安全性を保証できない。営業的にも一つの原発地震で停止すれば数百万kW(柏崎苅羽は800万kW)という小国の電力需要分が一挙に脱落する不安定さだ。

⑨それを回避したければ、50万kWクラスをばらばらの地域に建設せざるを得ないが不可能だ。政府は大都市のビルの地下に小型原発を設置する案を検討しているが、それが実現する前にウラン原料が枯渇するだろう。

原発は13ケ月ごとに停止させ長期の定期修理が必要だ。故障があれば、それも短期復帰は容易ではない。だから、バックアップ火力を常時スタンバイさせる必要があり、それが3.11後バックアップし続けているともいえる。莫大な浪費である。

⑪対照的に、分散型電源である再エネは、このような「規模の不経済」から無縁。集中立地していないため、大規模な電源脱落が生じにくいし、そもそも安全性が高く、急に稼働が左右される余地が小さい。

⑫再エネはよく「不安定」と批判されるが、年間の稼働率で見れば極めて安定している。東日本大震災の折にも、風力発電は基本的に運転を継続した。安定電源なのだ。太陽光パネルも、水力も、地熱もその安定性と安全性は変わらない。

⑬要するに、原子力は事業として本質的に高リスクであり、だからこそ高コストだと言える。過酷事故の直接的被害だけが問題なのではない。放射性廃棄物の最終処分や、核燃料サイクルの行き詰まりで、最終的にいくら費用がかかるか、誰もわからない。

⑭だから原子炉メーカーGEのイメルト会長は、原子力は「商業的には成り立たない」と発言した(日本経済新聞、2013年10月10日)。

原子力とは、そういう本質的な脆弱性を内包した電源なのだ。電力事業者は原発脆弱性と事業として成り立たないことを熟知している。だから、彼らは再生可能エネルギーのための価格上乗せと同じ効果をもたらす補助金制度を政府に要求している。イギリスとフランスがそれで苦労している。

⑯最近政府は、安定供給のためにはベースロード電源が6割は必要という理屈を持ち出した。水力や地熱は現状の1割程度から増やせない、石炭も温室効果ガスの制約から3割が限度であるため、引き算で原子力が2割は必要だという杜撰な理屈である。

⑰政府はベースロード電源を「発電(運転)コストが、低廉で、安定的に発電することができ、昼夜を問わず継続的に稼働できる電源」と定義している。

原子力などがベースロード電源で、これを一定割合以上維持しなければならないというのは、国際的に見れば時代遅れの考え方である。再エネが20%を超えるような時代には、ベースロード電源という概念そのものが、崩壊しつつある。

⑲日本政府が定義する原発が主役のベースロード電源比率は欧州で激減している。ドイツは既に28%が自然エネルギーであり、2030年には原発がゼロになり、2040年には石炭発電もゼロになる。スペインは電力需要のほぼ全量を太陽光で賄うことができる。イタリアもそれに近づいている。

⑳小規模無数分散設置され、燃料費が無料の再生エネルギー発電こそベースロードとして最優先すべきだ。そしてトータルで安定させることができる。天候不順なら太陽光を風力が補う。高価な蓄電池などを使わなくとも、夜間風力が揚水式ダムを稼働させ、それだけでも昼間電力の2割を供給する。

地域独占に安住した電力事業者はコストと安全性を無視して、企業内管理の省力しか考えない。多数ある火力、水力、原発の発電を調整して需要に応じることができるのなら、スマートグリッドなどむしろ容易なはずだ。電力事業者の発送電分離に対する恐怖感と拒否感こそ問題の根源である。

電力事業者は廃炉決定時の決算報告で原発の未償却残存簿価の一括償却が巨大であり赤字決算になる。故に廃炉決定後10年分割償却を主張しているという。この意見がでるだけでも電力会社は会社法違反である。

企業は固定資産を償却しなければならない。償却年限は国税当局の了解をもって決定される。原発の場合は法定寿命40年間で90%を償却する義務がある。10%の残存簿価は残す。その10%残った残存簿価が一括償却に耐えられないほどの巨額だとしたら、原発の総建設費は天文学的巨大さになる。

フクシマ原発津波前の地震動で緊急冷却系が作動不可能になっていた。その原発棟内は600ガルに過ぎない。0.6Gである。旅客機でも4Gには耐えるのに。また、津波で破損というのもおかしい。巨大船が突っ込んできた形跡もない。津波自身には0.2G程度しか破壊力は無いからだ。



………口永良部島で爆発的噴火 それでも九電は………

口永良部島で爆発的噴火、全島 島外へ避難指示(TBS)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2504454.html
7月再稼働が原子力寄生庁から承認された九州電力川内原発の周囲では、東30kmに桜島、北東65kmに霧島新燃岳、南150kmに口永良部火山と三つの火山が同時噴火している。

◆口永良部噴火:前兆少なく予測困難…監視強化に限界(毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20150530k0000m040119000c.html
①多数の地震計や地殻変動監視機器を設置したが前兆は観測されず。前兆なく噴火する火山もある。噴火予知は難しい。
②山頂付近の地震計3台は昨年の小噴火で破損し修理に近づけず。

◆口永良部噴火:九電・川内原発には影響なし(毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20150529k0000e040243000c.html
九電「火山まで150km以上あり無関係」

【茶化し】九電「桜島噴火、相良カルディア(鹿児島湾底)も20km以上離れており無関係。
霧島新燃岳は80kmも離れた異世界。20km沖の中央構造帯なんか左翼のでっち上げだ」

◆火山噴火予知は幻想だ! 人知の及ばぬ「御嶽山噴火」でわかったこと(週刊朝日選書) http://t.asahi.com/gsy4

気象庁火山課長の会見は結構率直に「予知不可能だが、リスク高く安全サイドに言えば、風評被害」と提訴されかねない社会情勢を色濃く反映。安倍側が「食べて応援」を邪魔する意見を提訴しまくり、あげく台湾や韓国の輸入検査厳格化を国際提訴しようとする社会情勢がニッポンを覆い尽くす。

九州電力は関電と並ぶ人民無視の巨悪企業ぶりを隠そうともしない典型的な安倍的独占経済権力である。川内原発の再稼働を規制庁に了解させたが、南九州は原始地球のアバタのままの地表を今も風化させず、いやさらに新しくする火山地帯であり、既存火山以外での噴火も完全否定できない地形だ。

関電や九電幹部の社会的態度の劣悪さは安倍やNHK会長などの社会的下劣さと一体。それらにはほとんど同一人物かと思わせる親和性があり、それが日本社会で既視化されたしまった。山口組と稲川会とXX会と、どの頭目内閣総理大臣に相応しいかの国民選挙を強制されたほうがまだましだった。

マグマ活動活発化・・・南九州だけではない、全日本である。蔵王草津白根、箱根、御嶽、阿蘇、霧島新燃、桜島、口永良部と

磐梯が大噴火し山体の7割を吹き飛ばしたのは1888年。富士宝永火口は1707年に大噴火して山体の1/4を吹き飛ばした。御嶽は大規模な水蒸気爆発で100人に近い犠牲者を出した。今蔵王の噴火リスクが高まり、南の安達太良は小規模水蒸気噴出を繰り返し、日光連山も草津白根も箱根も同じ。

日本の火山は低温であるマグマの凝固性がたかく、噴火すれば大規模で広域的になる。低温マグマが上昇して地表を突き抜けると溶岩ドームとなって凝固する。日光白根、榛名、筑波、八ヶ岳連峰、北岳、焼山、黒姫、焼岳、箱根などその典型であり、磐梯や富士山は成層火山阿蘇と同じ。