宣戦布告以外は何でもできる安保法制;朝鮮併合も満州事変も北支侵略も南京大虐殺も可能

◆中谷防衛相「海外派兵も可能」新3要件前提に(沖縄タイムス
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=116909&f=t
武力行使の新3要件※を満たせば、自衛隊がば他国の中で(武力)行使することもあり得る』(中谷)

武力行使3要件
・我が国に対する武力攻撃、
・又は我が国と密接な関係にある他国に武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険、
・これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない

安保法制でほとんど何でもできる。韓国併合満州傀儡帝国樹立、内蒙古・北支軍事占領、上海事変南京大虐殺、日中総力戦争、インドシナ半島侵略、フィリピン侵略、ボルネオ侵略、インドネシア侵略、ビルマ侵略・・・
安保法制で不可能なことは一つだけ=対米宣戦布告と真珠湾奇襲攻撃。

安倍の国会答弁と菅官房長官および中谷防衛相の答弁が真っ向から矛盾対立している。安倍は「できない」と言い、菅や中谷は新三条件が満たされたら「他国」の「敵基地」を「先制攻撃」できると明言している。

安倍は「できない」といったが大嘘。「他国」の「敵基地」を「先制攻撃」できる専決権を首相に付与し、攻撃を首相の義務にすることが安保法制の最大の目的なのだ。それなくして普通の軍隊な戻りつつあ米軍から消える「抑止力」を補えないからだ。

安倍が「できない」と言ったのは、「自分は発動しない」と言ったに過ぎず、安保法制は発動を首相の義務にしている。発動しなけれな「重大な怠慢」と認定されるだろう。

消費税税率アップを義務つけた法律と同じ仕組みであり、のちの首相が発動を拒否するには安保法制が定義する三条件に合致しないと言い逃れするほかない。発動の必要性を如何なる首相も否定できない。まだ発動の条件が少し満たされていないと言えるだけで、不足条件は容易く満たされるだろう。

安倍のような人間が首相になる国だから危険なのだ。常識とか道徳とか倫理とか優しさとか約束遵守とは真っ向から対置される人間だ。その人物が「できない/しない」と国会答弁するのだから、完全に末法である。

◆安保関連法案:審議の衆院本会議「原則外」NHK中継せず(毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20150527k0000m040049000c.html?inb=tw

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自衛隊員のリスクは増えない』中谷防衛相。リスクが増えないのなら罨法法制は不要。演習などですでに1800人の自衛隊員が死んでいるから、安保法制で2〜300人死んだところで、大勢に影響なしと安倍や中谷は考えているのだろう。

イラクサマワ派兵で100人近い自衛隊員が不慮の死をとげているが、戦死者はゼロであり、これはフクシマ原発死者ゼロと同じ理屈だ。今後5年間で2〜300人戦死したら、戦死以外の不慮の死は数千人になるのかも?

しかし冷たいようだが、憲法違反を承知で入隊しておられる自衛隊員は、憲法違反の軍事介入で戦争を生起させ、拡大させるために戦闘をさせられる。いや、弾があたるまで撃ちかえすなと命じられて戦死者になり、それが安倍によって、本格戦争開始の大義に利用されるのかもしれない。

そして、「自衛隊員のリスク」論は何も生み出さないだろう。オバマは戦死者4千人に怯えてイラクとアフガンからの撤退を言い、米国民もそれを支持した。しかし、イラクとアフガンに対する大義の崩壊した大戦争の反省などする気はオバマにも米国リベラルにも無いだろう。つまりはまた繰り返す。

米国はイラクにもアフガンにも宣戦布告していない。攻撃する大義に挙げた証拠は悉く偽装か錯誤であったから、これらは『侵略戦争』である。米軍が何千人死のうと、問題外である。しかしイラクとアフガンでは直接間接に100万人が犠牲になったと言われている。犠牲者は誰を恨めばいいのか?

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「初代イラク復興支援隊長だった佐藤 正久参議院議員は、隣のオランダ軍が攻撃を受ければ、情報収集の名目で現場に駆け付け、あえて巻き込まれ、応戦するつもりだった」と公言している。佐藤正久は戦争屋であるから、弾の飛んでこない自衛隊陣地の蛸壺に籠る生活を嫌がったらしい。

憲法9条の改正に失敗しても戦争は可能だ。砲弾が飛び交う交戦国陣地かその前に自衛隊員を並ばせたら、砲弾にあたって死ぬ。死ねば、あとは正当防衛を掲げて攻撃に参加できると佐藤は主張している。佐藤が憲法改正に拘るのは、自衛隊員を逃げ出させないためでしかない。

イラク戦争は言掛りをつけた一方的な侵略戦争であった。佐藤議員はその戦争を正しい戦争と言ってはばからぬが、それは安倍の大東亜戦争聖戦論と同じ。安倍はポツダム宣言6項の『世界支配を目論んだ侵略戦争の犯罪者を永久に排除する』というくだりに気色ばんでいる。世界支配など言掛りだと。

最近まで流行していた「八紘一宇」という聖戦を賛美する4字熟語は「世界支配」ではないと安倍は思っているが、身勝手な屁理屈だ。大日本帝国は中国を占領し植民地でもなく、ジンギスハーンのような帝国を樹立できると豪語している右翼が多数であった。

だが、米国には勝てない。だからドイツと組んで世界支配を達成しようと目論んだのだ。日本は日本単独での戦争、それも宣戦布告した米英蘭豪だけとの関係に絞り込み、中国には「事変」はあったが「戦争」はしていないと開き直っている。だから、今回の安保法制で中国との全面戦争も可能だと言った。

「正当防衛」とか「国家存亡にかかわる緊急事態」とかをでっち上げればなんとでもなる。相手をして攻撃せざるを得ない状況に追い込めば、憲法9条の解釈変更で全面戦争が可能だ。だがそれは憲法前文や9条2項の精神を冒涜するものである。

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モンゴル族を貶すわけではないが、ただ一度日本を攻撃してきた中國の王朝は元帝国であり、元帝国は中華を侵略し乗っ取った支配民族モンゴルであった。生粋の中華人民に近い宋、明は外国を侵略せず、防戦一方であった。今の中国も同じである。

中国が攻めてこないので中国の領土を侵略すれば中国が防衛に来るから日中戦争を開始できると、元都知事は考えたのだろう。佐藤正之の「駆けつけ警護戦闘論」と同じ穴のむじなである。

佐藤正之のサマワ蛸壺で思いだしたことがある。満州事変で満州帝国を作り岸信介を首相格で送り込み、占領した内モンゴルで生産される阿片の売買益を英国から奪って軍事費にしながら、軍は次に北支事変を起こした。

北京の北に長城の東端がある。そこを超えて北京、天津、石家庄、太原、済南などの北支を占領する軍事侵攻であった。蒋介石の国民党軍が防衛にあたったが、敗戦に次ぐ敗戦で壊滅し、日本の関東軍は北支の都市を占領し、都市間の鉄道を確保した。

しかし、都市の城壁を一歩出ると、紅軍の遊撃隊があらゆるところで出没し、日本軍は手も足も出なくなった。それで都市の城壁内に籠ると、紅軍は都市間鉄道を破壊し兵站を途絶えさせ、都市内では労働者のストライキが頻発した。

弾も食料も尽きる、隊列を組まないと都市内も歩けない。それで日本軍は都市間鉄道の確保に都市を出た。すると四方八方から弾が飛んでくる。鉄道沿線に陣地を構えるとゲリラ戦の格好の餌食にされた。

日本軍は仕方なく鉄道沿線に日本兵1か2人が入れる蛸壺を20万個も掘ってそこに籠城させたが、食料と弾薬の供給に事欠いた。

北支で蛸壺に追い込まれた日本軍は、北支を捨てるかのように、長江流域の占領という博打にでた。ここでも大都市の蒋介石軍を悉く敗退させたが、都市の郊外では北支と同じ状況だった。百万個も蛸壺を掘るわけにはいかない。どうやって三回の食事を配給するのか、兵隊はどこで用をたせばいいのか?

そこで日本軍はいわゆる「三光作戦」を採用した。兵隊の日課は、部隊単位で午前索敵と戦闘、午後食材現地調達、夕刻調理、夜食事になった。ここまで日本は宣戦布告なき「事変」を連続して起こすことで戦闘をつないできたが、今回の安保法制でも完全に可能だ。

しかし「事変」によって日本軍は中国人3千万人を殺したことを忘れてはならない。人道主義を掲げるのならなおさらである。日本軍は兵隊を蛸壺に籠城させる。夜紅軍(八路軍、四路軍)が攻めてくる。抗戦すると紅軍はさっと引いてしまう。その繰り返しが極めて中国農村軍的で有効であった。

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大日本帝国が全面降伏したら蒋介石が紅軍をだまし討ちで5千人を殺し、内戦となった。蒋介石の国民党軍は迅速に都市部と鉄道を占領した。しかし、そのあとは日本軍と全く同じ戦況になって、国民党軍は台湾に落ちのびた。

内戦再開時の兵力は国民党軍420万に対して紅軍90万人であった。国民党軍は米軍から供与された豊富な近代兵器(爆撃機、戦闘機、戦車、大砲)を大量に保有していたが、紅軍には何もなかった。それでも完敗したことを中谷と安倍は勉強すべきだ。

近代兵器で武装した420万の大軍でも中国を軍事支配できない。核兵器も多弾頭ミサイルも戦闘機も爆撃機も軍事衛星もイージス艦も原潜も練習空母も保有する今の中国軍と対峙し軍事支配などできるはずがない。中国に島を取られるのではなく不当に実行支配したから、領海管理を始めた程度なのだ。

なによりも中華民族は(モンゴル族に征服されぬかぎり)他国を侵略しない。それは5千年の歴史が証明している。

◆China to extend military reach, build lighthouses in disputed waters(ロイター)
http://www.reuters.com/article/2015/05/26/us-china-defence-idUSKBN0OB0CA20150526

◆Defense to offense: China unveils new military strategy to boost naval capability(RT)
http://rt.com/news/261989-china-military-defense-strategy/#.VWR8W7KyUJI.twitter

◆円安加速、123円台=約7年10カ月ぶり(時事)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201505