古賀茂明氏(テレ朝「報ステ」)とCarsten Germis氏(Frankfuter Allgemaine Zeitung)に対する弾圧

※①〜は報道の抜書要点です。

◆自民幹部「NHKはどうでもいい。狙いはテレ朝だ」 政権批判発言に照準(朝日/HUFFINGTON POST)
http://www.huffingtonpost.jp/2015/04/18/jimin-nhk-tv-asahi_n_7090694.html?ncid=tweetlnkjphpmg00000001
①テレ朝「報道ステーション」でコメンテーターが菅氏を名指しし、「官邸のみなさんにはものすごいバッシングを受けてきました」などと発言した。
②3月27日夜の古賀茂明氏の発言後、政権の対応は早かった。菅氏は30日の記者会見で「まったくの事実無根」と古賀氏の発言を否定。「放送法があるので、テレビ局がどう対応されるか見守りたい」と述べた。
自民党の情報通信戦略調査会(会長は川崎二郎・元厚生労働相)の関係者「川崎氏や佐藤氏ら調査会幹部は3月30日、番組映像を確認、その場でテレ朝幹部を党に呼ぼうと一致。党がテレ朝だけに政治的な圧力をかけたと思われないよう、「やらせ」問題を抱えたNHKも一緒に呼ぶことにした」。
④テレビ局を所管する総務相を務めた佐藤勉国会対策委員長は、テレ朝幹部から国会内で説明を受けた。
自民党幹部「長官や佐藤氏が動かなかったら、テレ朝は番組での謝罪だけでやり過ごそうとしただろう」。
⑥自民の狙いはテレ朝の「報ステ」だ。調査会幹部「NHKはどうでもいい。狙いはテレ朝だ」と話す。
⑦身内組織のBPO不要論を持ち出し、政府が直接、抑え込む展開も描く。

再掲》ドイツの日刊紙Frankfurter Allgemeine Zeitungの特派員Carsten Germis氏が5年間の東京駐在を終えて帰国する。彼は安倍政権に対する危惧の念を日本人という愛すべき民衆に残して帰国した。それを内田樹研究室が翻訳しブログに公開してくださった。一読して深い自省をさせられた。

以下の①〜⑯は抜書で、僅かに私が文章を短縮した個所もあります(Carsten Germisさんと内田先生ごめんなさい)。翻訳の全文は、この約3倍あります。内田先生の下記ブログをご覧ください。

◆「ある海外特派員の告白 5年間東京にいた記者からドイツの読者へ」Carsten Germis(翻訳:内田樹研究室)http://blog.tatsuru.com/2015/04/10_1343.php

①日本は、2010年1月に私が到着したときとはもう別の国。日本で働く海外ジャーナリストたちの仕事が困難になっている。それは安倍晋三首相のリーダーシップで起きている歴史修正の動きによってもたらされた。この問題で日本の新しいエリートたちは対立する意見や批判をきびしく排除してきた。

②本紙は保守派でリベラルな市場志向的メディア。しかしそれでも本紙は安倍の歴史修正主義はすでに危険なレベルに達しているとする立場に与する。ドイツであれば、侵略戦争に対する責任を拒否するというようなことはありえない。ドイツは歴史修正主義につよい抵抗を覚えているからである。

③2010年、私の赴任時点で政権党は民主党だった。私は鳩山、菅、野田の三代の内閣をカバーし、彼らの政策を海外メディアに伝えようとした。海外ジャーナリストは頻繁に岡田克也副総理に招待された。首相官邸では毎週ミーティングが開かれ、当局者は私たちとの議論と厳しい質問を歓迎していた。

④反動は2012年12月の選挙直後に始まった。新しい首相の行政府はいかなるかたちでも公開性に対する好尚を示さなかった。財務大臣麻生太郎は海外ジャーナリストとはついに一度も話し合おうとしなかったし、巨大な財政赤字についての質問にも答えようとしなかった。

⑤エネルギー政策、アベノミクスのリスク、改憲、若者への機会提供、地方の過疎化などなど。これらの問いについて海外メディアの取材を快く受けてくれた政府代表者はほとんど一人もいなかった。そして誰であれ首相の提唱する新しい構想を批判するものは「反日」(Japan basher)と呼ばれた。

⑥五年前には想像もできなかったことは、外務省からの攻撃だった。安倍政権の歴史修正主義について私が書いた批判的な記事が掲載された直後に、フランクフルトの総領事が訪れ、「東京」からの抗議を手渡した。彼は「中国が」この記事を「反日プロパガンダ」に利用していると苦情を申し立てた。

⑦『金が絡んでいるというふうに疑わざるを得ない』とその日本外交官は言った。これは私とエディターと本紙全体に対する侮辱である。彼は、私が親中国プロパガンダ記事を書くのは、中国へのビザ申請を承認してもらうためではないかと述べた。私が? 北京のために金で雇われたスパイ?

⑧2012年、民主党がまだ政権の座にあった頃、私は韓国旅行に招待され、元慰安婦を訪ね、問題になっている竹島(韓国では独島)を訪れた。もちろん韓国政府によるPR活動である。私は外務省に呼ばれ、その島が日本領であることを証明する10頁ほどのレポートを受け取っただけで済んだ。

⑨2013年、すでに安倍政権になっていたが、三人の慰安婦へのインタビュー記事が掲載されたあと、私は再び召喚された。今回もランチ付きの招待だったし、今回も首相の見解を理解するための情報を受け取っただけだった。

⑩2014年に事態は一変した。外務省の役人たちは海外メディアによる政権批判記事を公然と攻撃し始めた。首相のナショナリズムが中国との貿易に及ぼす影響についての記事を書いたあとにまた私は召喚された。彼らは私が引用した日本政府統計数値は間違っていると反論した。

⑪外務省の役人たちは、私が用いた「歴史をごまかす」(whitewash the history)という言葉と、安倍のナショナリスト的政策は東アジアだけでなく国際社会においても日本を孤立させるだろうというアイディアに対してクレームをつけた。

⑫口調はきわめて冷淡、説明せず譴責という態度だった。ドイツのメディアがなぜ歴史修正主義に対して特別にセンシティブであるのかについての私の説明には誰も耳を貸さなかった。

第二次世界大戦についての日本の見解を広めるための予算が増額(※年500億円)され、政府当局者から海外特派員へのランチ招待数が増え、海外特派員の本国のボスたちが、航空券付きで、しばしば招待されている。

⑭海外旅行の多さを自慢する安倍首相が海外特派員協会で私たち相手にスピーチするための短い旅についてはこれを固辞していると聞いてももう驚かなくなった。ただ、私の気持ちが沈むのは、この政府が海外メディアに対して秘密主義的であるだけでなく、自国民に対しても秘密主義的であるからである。

⑮北海道から九州まで東京以外の土地では私が日本に対して敵対的な記事を書いているという非難を受けたことは一度もない。反対に、さまざまな興味深い話題を提供され、全国で気分のよい人々に出会ってきた。日本は今もまだ世界で最も豊かで、最も開放的な国の一つである。

⑯私の望みは外国人ジャーナリストが、そしてそれ以上に日本国民が、自分の思いを語り続けることができることである。社会的調和が抑圧や無知から由来することはないということ、そして、真に開かれた健全な民主制こそが過去5年間私が住まっていたこの国にふさわしい目標であると私は信じている。

◆放送局幹部呼びつけは放送法違反・古賀茂明氏が外国特派員協会で会見(You Tube)1時間45分
https://www.youtube.com/watch?v=Hdxm0lbT4BA