アジアインフラ投資銀行(中国主導)に雪崩うつG7、日米孤立

※①〜は報道の抜書要点です。

【安倍の八紘一宇的大失敗、米巻き添えで孤立】
◆Europeans defy US to join China-led development bank(FT)3/17
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/0655b342-cc29-11e4-beca-00144feab7de.html?siteedition=intl#axzz3UdzMPSZf
仏独伊は、米国の牽制にもかかわらず、英国が参加表明した中国主導のアジアインフラ投資銀行に追加参加することにした。豪州もカナダも韓国も追従するだろう。これでG7は日米と英仏独伊加に分裂。

中国が主導するアジアインフラ銀行の設立には世界銀行IMFも賛成してきた。米国政府だけが反対してきたが、それは日本財務省が主導するアジア開発銀行に米国も15%出資しており、安倍政権から脅迫されてアジアインフラ銀行への加盟検討国を強く牽制した。だがそれは惨めな失敗と孤立を招いた。

◆独仏伊は17日、中国主導で年内の発足を目指すアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加すると表明した。先に参加を発表した英国と合わせ、先進7カ国(G7)中4カ国の加盟が決定。日米両国は苦しい立場に追い込まれた(時事)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201503/2015031701009&g=int

◆豪、アジア投資銀参加か=首相「近く判断」(時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int&k=2015031400351&utm_source=twitter&utm_medium=jijicom&utm_campaign=twitter
◆【社説】韓国政府、AIIB参加は国益を考慮すべき(中央日報
http://japanese.joins.com/article/766/197766.html
①中国主導のアジアインフラ投資銀行に英国が参加表明し、流れが変った。韓国は日米の圧力を気にする必要はない。英国や豪州などと一緒に、中国と銀行運営の公明性をたかめることだ。
◆米高官、防衛・投資問題で中国牽制 韓国は板挟みに(朝日)
http://www.asahi.com/articles/ASH3K4T7NH3KUHBI011.html
豪州や韓国やカナダを牽制してきたラッセル米国務次官補。安倍を掌中に入れて得意になってきた自信過剰が仇になった。ラッセルにとって金融大国イギリスの参加は想定外だった。

中国が主導するアジアインフラ投資銀行への参加問題。G7のうち日米だけが孤立し、英独仏伊が参加表明。カナダと豪と韓国も参加するだろう。サウジアラビアも参加する可能性がある。カタールやクエートは参加済である。

アジアインフラ投資銀行は、安倍が既存の日米主導「アジア開発銀行」を中国封じ込めに利用しようとしたので、中国が独立銀行の設立を提唱して3月末期限で設立国を募ってきた。シリアやロシア制裁に対する本音ここに。

TPPのような米国強欲資本主義の押し付けは、欧州の金融危機のような参加国から富を奪い取り、経済機構を破壊する。経済成長が飽和したら、それを解体する改革であるから当然の結果だろう。中国やASEANは考えた。既存経済を破壊しないために、その外に経済ベルトのインフラを建設しようと。

それを中国政府が「一帯一路」すなわち、陸のシルクロードと21世紀の海のシルクロードを経済ベルト化するためのインフラを構築して、飽和した既存経済を生かしながら、その周辺を結んで新たな経済成長の舞台を作ろうとまとめあげた。

これには、中国と敵対しているはずのフィリピンもベトナムもいち早く賛成を、ロシアもインドも中東産油国も大賛成。その有効性は世界銀行IMFをも認めざるを得ず、国連すらインフラ建設を世界経済の新テーマに据えたほどだ。

問題は日本が主導する既存のアジア開発銀行だった。しかし、その規模は弱体で、今後5年間のインフラ建設投資需要の1〜2%しか融資能力がなく、結局は中国も、欧州も豪州も皆、日本財務省を無視して3月末の期限を迎えることになりそうだ。

…………データ…………

アジアインフラ投資銀行(AIIB)参加国35国
東北アジア】2(中国、モンゴル)
ASEAN】10(インドネシアシンガポール・マレーシア・タイ・カンボジア・ラオスベトナム・フィリピン・ブルネイミャンマー
【南アジア】5(インド、パキスタンスリランカ・ネパール・バングラディッシュ
中央アジア】5(カザフスタンウズベキスタンキルギストルクメニスタンアフガニスタン
【アラブ圏】5(サウジアラビアクウェートオマーンカタール・イラン)
オセアニア】2(ニュージーランド、豪州)
【欧州】6(英国、フランス、ドイツ、イタリア、ルクセンブルク、スイス)

※参加検討中2国
カナダ(昨年参加検討表明したが、日米の強力な牽制で保留状態)
韓国(中国と交渉継続。課題は韓国の出資比率増と新銀行の統治体制)

※AIIBへの出資国を増やすための課題
【中国出資比率】加盟国のGDP比率で出資する規約で、中国とASEAN10カ国の出資比率は中国65%:ASEAN各国35%。英国加入で中国の比率が60%に、更に豪、仏、韓国、加、独の加入で中国の比率が30%台に下がり、加入しやすくなる。
【融資審査適格化】国際金融の融資審査能力の欠如を日米は声高に非難しているが、中国はシンガポールや香港の専門家を含めて多数の国際金融審査担当を迎え入れており、更に今回広く世界に公募する。ロンドンのシティ金融専門家も参加すれば世界標準の審査をクリアするだろう。

※2014年購買力平価GDPIMF速報)単位;十億US$
G7は34491(内日本4788)
中国圏は19053で日本の4.08倍
ASEANは6299で日本の1.32倍
中国圏とASEANの合計は27141で日本の5.67倍、米国の1.56倍、G7の0.79倍
中国圏とASEANと印度と韓国の合計は36207で日本の7.56倍、米国の2.08倍、G7の1.05倍

……グループ別……
G7の日米22204(米17416、日4788)
G7の英仏独伊加12287(独3621、仏2587、英2435、伊2065、加1579)
中国圏 19053(中国17632、香港400、台湾1021)
印度 7277
ASEAN 6299(インドネシア2554、泰990、マレーシア747、菲694、越509、シンガポール445、ミャンマー244、カンボジア50、ラオス34、ブルネイ32)
ロシア 3559、韓国 1789、豪州 1100