アジアインフラ投資銀行(中国)とアジア開発銀行(日本)

※①〜は参照報道の抜書要点です。

◆英国、アジアインフラ投資銀行創設に参加の意向を表明(新華社
http://jp.xinhuanet.com/2015-03/14/c_134065836.htm
①英国は3月12日に中国に対して、創設加盟国としてアジアインフラ投資銀行に参加する意向書を提出し、参加を正式に申請した。
アジアインフラ投資銀行の創設意向を示す加盟国首席交渉代表会議の議長国として、中国は多角的なプログラムに基づき既存の創設加盟国の意見を集めているところだ。順調に行けば、英国は3月末までに正式に創設加盟国になる見込みだ。

◆中国主導のインフラ投資銀:独仏伊も参加か 英紙報道(FT/毎日)3/17
http://mainichi.jp/select/news/20150317k0000e020194000c.html
①中国が主導して設立準備を進めているアジアインフラ投資銀行(AIIB)にドイツ、フランス、イタリアの3カ国が参加する意向と報じた。英国が先週、参加の意向を正式に表明しており、3カ国が追随すれば、G7の全欧州国が参加することになる。豪州と韓国とサウジも追従の可能性がある。

【安倍の八紘一宇的大失敗、米巻き添えで孤立】

◆独仏伊は17日、中国主導で年内の発足を目指すアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加すると表明した。先に参加を発表した英国と合わせ、先進7カ国(G7)中4カ国の加盟が決定。日米両国は苦しい立場に追い込まれた(時事)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201503/2015031701009&g=int
◆Europeans defy US to join China-led development bank(FT)3/17
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/0655b342-cc29-11e4-beca-00144feab7de.html?siteedition=intl#axzz3UdzMPSZf
仏独伊は、米国の牽制にもかかわらず、英国が参加表明した中国主導のアジアインフラ投資銀行に追加参加することにした。カナダと豪州も追従する。これでG7は日米と仏独伊加に分裂した。

中国が主導するアジアインフラ銀行の設立には世界銀行IMFも賛成してきた。米国政府だけが反対してきたが、それは日本財務省が主導するアジア開発銀行に米国も15%出資しており、安倍政権から脅迫されてアジアインフラ銀行への加盟検討国に強く牽制した。だがそれは惨めな失敗と孤立を招いた。

◆英の接近、中国に追い風 アジアインフラ投資銀に参加へ G7から初、高まる発言力(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11649127.html?ref=pcviewer
◆アジアインフラ投資銀:英参加 「中国マネー」G7分断 他国追従の可能性(毎日)
http://mainichi.jp/shimen/news/20150314ddm008020126000c.html
◆中国主導のアジアインフラ投資銀、英国がG7で初めて参加表明(ロイター)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0M904S20150313

◆アジアの開発金融、日米が中国主導に警戒感 英が参加(日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO84384320U5A310C1EE8000/
◆仏外相:中国主導銀、参加示唆(毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20150315k0000m030074000c.html
◆豪、アジア投資銀参加か=首相「近く判断」(時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int&k=2015031400351&utm_source=twitter&utm_medium=jijicom&utm_campaign=twitter
◆韓国、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)加入めぐり苦悩(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/03/14/2015031400869.html
①オズボーン英財務相は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加で『世界で最も急速な成長を遂げているアジア・太平洋地域との連携強化は、英国企業にとって事業や投資の絶好の機会となる』と中国の全人代(国会)開催に合わせて発表。
②英政府は2013年に英国から中国市場へ人民元で投資する包括的な金融協力に合意。14年にもロンドン市場でのポンド・人民元直接決済や英国内の原発計画や鉄道計画への中国企業の参加と中国経済への依存を深めた。今回の参加でロンドンの金融街ティーの銀行がAIIB出資できるようになる。
G7国では、参加に前向きだった韓国やオーストラリアは日米から強く牽制され決断を保留していたが、日米にとって予想外の英国の出資表明で、今後雪崩を打って参加するG7国が増える可能性。英国に続いて豪州、カナダ、ドイツ、フランスなどだ。G7以外では韓国。
④フィリピンやベトナムを含むASEAN各国は最初から資本参加している。インドは中国と並ぶ理事国である。中国やインドは、中国が提案している21世紀の海のシルクロード経済ベルトのインフラ構築の財源中心として期待している。現在の出資27カ国がG7国等の参加で30カ国程度に増える。
⑤中国はアジア開発銀行(ADB)に増資と理事ポストを要請したが、日本財務省が支配権の喪失とアジア開銀が中国の21世紀の海のシルクロード経済ベルトのインフラ構築に利用されることを嫌って拒否した結果、中国はインドに働きかけてAIIBを設立した。
⑥日本が支配するアジア開発銀行は「アジアインフラ投資銀行は融資審査能力が欠如しており、無謀な投融資で多額の焦げ付きを発生させる懸念がある」と非難する。しかし、投資回収の確実性を重視し、大規模開発リスクには対応不可能で、ユーラシア大陸全体に新しいインフラを構築する融資財源も無い。
アジア開発銀行の最大出資国は日本で、理事長を財務省から派遣している。つまりこの銀行は日本政府のODAとセットになって融資が決定される。中国と露骨に覇権を争う安倍政権の誕生によって、アジア開発銀行も中国封じ込めの道具にされており、その点で世界銀行IMFは懸念表明している。
⑧アジアでは2020年までの10年間で8兆ドル(約960兆円)もの投資需要があるが、ADBの融資額はこの3%程度しかないからだ。日米がいくら牽制しても、「G7の結束は崩れ、交渉力は落ちる」(国際金融筋)との声も漏れる。
⑨米国とともに国際金融秩序をつくってきた英国が、参加を決めた衝撃は小さくはない。アジアのインフラ需要に目をつけるほかの先進国が追随すれば、中国を中心とする新たな国際金融秩序の誕生につながる。
⑩日米主導のアジア開発銀行(ADB)は融資枠を1.5倍に拡大させてインフラ支援を強化するが、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加する先進国がさらに増えれば、アジアの開発金融の主導権が移る端緒になる可能性もある。
⑪とは言え、投資回収が確実な開発案件は日本主導のアジア開発銀行(ADB)が、投資リスクの伴う巨大インフラ建設投資は中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)が担当するという、分業が落ち着く先であり、ADB内部は既にAIIBと連携を模索している。
⑫最近ベトナム北部でインフラ建設の完成式典が中国政府とADBの連繋で同時開催された例がその典型。日本主導のADBがハイフォン〜ハノイ〜中国国境間の高速道路を完成させ、その途中にある製鉄所と港湾設備を中国が援助して完成させた。中国側は既に国境まで高速道路を完成させていた。

アジアインフラ投資銀行(AIIB)参加国28国
東北アジア】2(中国、モンゴル)
ASEAN】10(インドネシアシンガポール・マレーシア・タイ・カンボジア・ラオスベトナム・フィリピン・ブルネイミャンマー
【南アジア】5(インド、パキスタンスリランカ・ネパール・バングラディッシュ
中央アジア】5(カザフスタンウズベキスタンキルギストルクメニスタンアフガニスタン
【アラブ圏】4(クウェートオマーンカタール・イラン)
オセアニア】1(ニュージーランド
【EU】1(英国)

※参加検討中6国
豪州(昨年参加検討表明したが、日米の強力な牽制で保留状態)
韓国(中国と交渉継続。課題は韓国の出資比率増と新銀行の統治体制)
フランス(中国にいち早く経済進出したが、最近はドイツに後れをとっており立て無しが必要)
ドイツ(中国への直接投資が日本を抜き、自動車販売でも日本を圧倒している。ロシア制裁問題が鍵)
イタリア(参加検討を公式表明)
カナダ(同上)
サウジアラビア(同上)

◆仏外相:中国主導銀、参加示唆(毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20150315k0000m030074000c.html
①中国が設立を主導する国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)について「フランスとしても全く関与しないというのではなく、どういう形で参加できるのかということを検討中だ」
◆豪州、中国主導のアジア投資銀参加か=首相「近く判断」(時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int&k=2015031400351&utm_source=twitter&utm_medium=jijicom&utm_campaign=twitter
◆豪財務相:中国主導銀「参加検討」 政府内に慎重意見も(毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20150315k0000m020077000c.html
アボット首相は14日、豪メディアに対し、中国主導で年内の発足を目指すアジアインフラ投資銀行(AIIB)について、参加の是非を「近く判断する」と表明した。日米はAIIBに否定的だが、英国に続き豪州も参加を決めれば、支持がドミノ倒しのように広がる可能性
②ホッキー財務相は「組織管理の問題が改善された」と話し、参加への障害がなくなったと表明。数週間以内に結論を出すとの見通しを示した。
③豪州政府内では、参加に前向きなホッキー財務相らと、AIIBを警戒する米国に配慮し参加に慎重なアボット首相らの間で意見が割れているとされる。昨年秋には、米国が豪州にAIIBに参加しないよう働きかけたとの報道もあり、最終的な判断が注目される。
◆中国主導インフラ銀への参加 今月中に結論=韓国(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/03/15/2015031500526.html?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
◆韓国、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)加入めぐり苦悩(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/03/14/2015031400869.html
①韓国政府はAIIB加入効果を肯定的に評価しながらも、米国の反対で慎重な姿勢を取ってきた。英国の決定で、AIIB加入をめぐる韓国政府の悩みはさらに深まった。
②本格的なアジア進出、国際社会での地位向上などAIIB参加を通じてさまざまな利益が得られると期待されるが、同盟関係にある米国がこれらの動きに牽制しているからだ。
③日本が支配するアジア開発銀行(ADB)の分析によると、2020年までにアジア地域社会間接資本の建設需要は年間8000億ドル(約97兆円)に達するほど巨大な市場だ。ADBの投資額はその1%前後でしかないから、AIIBはアジア経済の飽和を打破するに必須なのだ。
④英国が中国との協議でAIIBの支配構造改善にある程度成功すれば、韓国政府も行動の幅が広がるかもしれないとの見方が出ている・・・フランス外相も全く同じ意見を今日東京で述べた。月末までに中英実務協議が進展すれば、豪州、仏、韓国、カナダ、独と雪崩をうって参加する可能性。
◆【社説】韓国政府、AIIB参加は国益を考慮すべき(中央日報
http://japanese.joins.com/article/766/197766.html
①中国主導のアジアインフラ投資銀行に英国が参加表明し、流れが変った。韓国は日米の圧力を気にする必要はない。英国や豪州などと一緒に、中国と銀行運営の公明性をたかめることだ。
◆米高官、防衛・投資問題で中国牽制 韓国は板挟みに(朝日)
http://www.asahi.com/articles/ASH3K4T7NH3KUHBI011.html
豪州や韓国やカナダを牽制してきたラッセル米国務次官補。安倍を掌中に入れて得意になってきた自信過剰が仇になった。ラッセルにとって金融大国イギリスの参加は想定外だった。
◆英加入のAIIB、仏豪も「参加検討」(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/03/16/2015031600521.html?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
①英国・フランス・オーストラリアなどの主要西側諸国は米国の顔色を見ずに中国に接近している。
②訪日中のローラン・ファビウス仏外相は14日、東京での記者会見で、AIIBに加入するかどうかについて質問されると、「どのような形式で(AIIBに)参加するか検討している」「AIIBは(性格的に似ている)アジア開発銀行(ADB)に影響を与えないと思う」と答えた。
ファビウス外相のこうした発言は、AIIBが米国と日本が共に最大の出資をしているADBの活動を妨げることはないだろうと見ているとの意味で、日米よりも中国に友好的な発言をしたものと受け止められている。
④同じ日にジョー・ホッケー豪財務相も「これまで(中国に)要求してきたAIIB支配構造の問題がはっきりと改善された」と前向きな見解を表明、トニー・アボット豪首相は「数週間以内にAIIBに参加するかどうかを決める」と語った。
⑤つまり、英国がAIIB参加を正式に表明してから1日でフランスとオーストラリアがAIIBに参加する意思があることを明らかにしたものだ。
⑥西側諸国の中では今年1月、ニュージーランドが初めてAIIB参加の意向を明らかにし、ルクセンブルクも近く参加の意向を表示する可能性があるとの見通しが欧州のメディアで出ている。

※AIIBへの出資国を増やすための課題
【中国出資比率】加盟国のGDP比率で出資する規約で、中国とASEAN10カ国の出資比率は中国65%:ASEAN各国35%。英国加入で中国の比率が60%に、更に豪、仏、韓国、加、独の加入で中国の比率が30%台に下がり、加入しやすくなる。
【融資審査適格化】国際金融の融資審査能力の欠如を日米は声高に非難しているが、中国はシンガポールや香港の専門家を含めて多数の国際金融審査担当を迎え入れており、更に今回広く世界に公募する。ロンドンのシティ金融専門家も参加すれば世界標準の審査をクリアするだろう。

※アジアの金融都市シンガポールと香港、台湾
シンガポールと香港は非常に積極的で、アジアのインフラ開発案件に詳しく、また地球全体から投資を集めてアジアインフラ投資銀行(AIIB)に間接投資する道が開ける。それは両国際金融都市が生き延びる道であることも認識している。
ちなみに、シンガポールと香港の金融による中国本土への間接投資額は日本の直接投資額を大きく上回って来たが、それも飽和した。放置すればシンガポールも香港も中国に影響されて低成長に陥る。成長を維持するには、中国が提案する陸と海の21世紀シルクロード経済ベルト建設構想しかない。
台湾は表面に出てこないが、同国の主要産業の殆どが中国本土に移動しており、中国の中の台湾がシンガポールや香港と並んで投資案件の発掘と推進に貢献する可能性が大きい。

※2014年購買力平価GDPIMF速報)単位;十億US$
G7は34491(内日本4788)
中国圏は19053で日本の4.08倍
ASEANは6299で日本の1.32倍
中国圏とASEANの合計は27141で日本の5.67倍、米国の1.56倍、G7の0.79倍
中国圏とASEANと印度と韓国の合計は36207で日本の7.56倍、米国の2.08倍、G7の1.05倍

……グループ別……
G7 34491(米17416、日4788、独3621、仏2587、英2435、伊2065、加1579)
中国圏 19053(中国17632、香港400、台湾1021)
印度 7277
ASEAN 6299(インドネシア2554、泰990、マレーシア747、菲694、越509、シンガポール445、ミャンマー244、カンボジア50、ラオス34、ブルネイ32)
ロシア 3559、韓国 1789、豪州 1100

……国別……
中国圏 19053(中国17632、香港400、台湾1021)
米17416
印度 7277
日本4788
ドイツ3621
ロシア 3559
フランス2587
インドネシア2554
英国2435
イタリア2065
韓国 1789
カナダ1579
豪州 1100
タイ990
マレーシア747
フィリピン694
ベトナム509
シンガポール445
ミャンマー244
カンボジア50
ラオス34
ブルネイ32