メルケル来日・・・侵略の歴史反省が信頼関係を醸成して平和になる

…………2015.3.10 メルケル来日…………

※①〜は報道の要点

メルケル首相の来日講演(朝日)
http://www.asahi.com/topics/word/%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E7%89%B9%E9%9B%86%EF%BC%92%EF%BC%90%EF%BC%91%EF%BC%95.html
【戦後70年とドイツおよび日本】
①ヨーロッパでの戦いが終わった日である1945年5月8日は、解放の日なのです。それは、ナチスの蛮行からの解放であり、ドイツが引き起こした第2次世界大戦の恐怖からの解放であり、そしてホロコーストユダヤ人大虐殺)という文明破壊からの解放でした。
②私たちドイツ人は、こうした苦しみをヨーロッパへ、世界へと広げたのが私たちの国であったにもかかわらず、私たちに対して和解の手が差しのべられたことを決して忘れません。
③どうして可能だったのか? 一つには、ドイツが過去ときちんと向き合ったからでしょう。当時ドイツを管理していた連合国が、こうした努力に非常に大きな意味をくみ取ってくれたからでしょう。
④法手続きでいうなら、ニュルンベルク裁判に代表されるような形で。そして、全体として欧州が、数世紀に及ぶ戦争から多くのことを学んだからだと思います。
⑤さらに、当時の大きなプロセスの一つとして、独仏の和解があります。和解は、今では独仏の友情に発展しています。そのためには、ドイツ人と同様にフランス人も貢献しました。
⑥かつては、独仏は不倶戴天の敵といわれました。恐ろしい言葉です。世代を超えて受け継がれる敵対関係ということです。幸いなことに、そこを乗り越えて、お互いに一歩、歩み寄ろうとする偉大な政治家たちがいたのです。
⑦隣国フランスの寛容な振る舞いがなかったら、可能ではなかったでしょう。そして、ドイツにもありのままを見ようという用意があったのです。
⑧まだ若いドイツ連邦共和国に対して多くの信頼が寄せられたことは私たちの幸運でした。こうしてのみ、ドイツは国際社会への道のりを開くことができたのです。その40年後、ベルリンの壁が崩壊し東西対立の終結ののち、ドイツ統一への道を平坦にしたのも、やはり信頼でした。
⑨ドイツの首相として、私はアジア地域にアドバイスをする立場にはないし、するつもりもありません。歴史が示しているように、アドバイスをもらってうまくいくとは限らず、難しくすることもあります。一方で、平和的な解決策の道が見いだされなければならない、ということも正しい。
⑩第2次世界大戦後に、以前はドイツ領だった東ヨーロッパの故郷を追われてきた1200万人以上のドイツ人たちの受け入れは、破壊しつくされた当時のドイツにとって、大変な問題でした。しかし、この人たちは、政治的に極端な傾向を持つこともなく、飢えと貧しさの中で、復興に尽くしてくれました。
⑪数百年の欧州の状況をみると、国境はいつも動いていました。今日の国境を認めず、15〜18世紀の状況を振り返る限り、決して平和をもたらすことはできない。
⑫平和的共存を可能にするのに必要な前提条件であるアジア地域に存在する国境問題についても、あらゆる試みを重ねて平和的な解決策を模索しなければならない。そのためには、各方面からのあらゆる努力を続けなければならないのです。

脱原発の決定】
①私は長年、核の平和利用には賛成してきました。私の考えを変えたのは、やはり福島の原発事故でした。この事故が、日本という高度な技術水準を持つ国で起きたからです。そんな国でも、リスクがあり、事故は起きるのだということを如実に示しました。
②このため、本当に予測不能なリスクというものがあり、私たちが現実に起こりうるとは思えないと考えていたリスクがあることが分かりました。
③だからこそ、私は当時政権にいた多くの男性の同僚とともに脱原発の決定をくだしたのです。ドイツの最後の原発は2022年に停止し、核の平和的利用の時代が終わって、私たちは別のエネルギー制度を築き上げるのだという決定です。

◆日独首脳(安倍―メルケル)会談:ウクライナ和平、連携 テロ対策、G7で協議確認(毎日)
http://mainichi.jp/shimen/news/20150310ddm001010145000c.html
メルケル首相「過去総括、和解の前提」 安倍首相と会談(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/ASH395GXXH39UTFK00H.html
メルケル首相は訪日前のインタビューでも東京講演でも【戦後70年とドイツおよび日本】や【脱原発】について意見を述べたが、安倍首相との会談では一切の衝突を避け、ひたすらG7議長国としての協力取り付けに終始した。以下は、共同会見内容;
ウクライナ問題の平和的解決に向けてロシアが建設的な役割を果たすようロシアに強く求めていく。
②安倍『現下のウクライナ情勢に鑑み、ロシアを含めて意味のある議論が行える環境にはない(G7にロシアを復帰させG8に戻すことは時期尚早)』。
③安倍首相が北朝鮮による拉致・核問題などを説明したが、メルケル首相は『アドバイスする立場にない。(ナチスドイツの)過去の総括は和解の前提になっている。和解の仕事があったからこそ、EUをつくることができた』と共同会見で述べた。
④6月G7サミットでテロ対策を重点協議する方針を確認。
⑤両首脳は、国連安保理常任理事国入りを目指し、インド、ブラジルとのG4で連携して国連改革に取り組む。
⑥日本とEUによるEPAの年内の大筋合意を目指す。

メルケル独首相、東アジアの緊張緩和促す 7年ぶり来日(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/ASH3871P4H38UHBI018.html
北京には既に7回のメルケル、やっと訪日。敗戦国である日独両国が「世界秩序の中でグローバルな責任を持っている」・・・しかし極東の島国なにやら怪しげで、戦争の匂い。

英国王子にメルケル国連事務総長オバマ夫人に・・・異様なる東京訪問の背景は何か? 日本国民の6割が支持する岸信介の孫は核武装論者で核先制攻撃を主張する街の高校生チンピラと同じだが、彼は日本の専制君主だ。

地球の命運は安倍次第と言っても大げさではないという危機認識が欧米に根強い。訪日した要人たちは内政干渉を避けながら、日本国民に正しい歴史認識と信頼の大切さを問いかけているかに思える。

メルケル首相が今回の訪日で歴史認識にここまで言及するとは、事前には予想されていなかった。首相があえて踏み込んだのは、日中韓の緊張が、地理的には遠く離れたドイツにも看過できない現実的なリスクになっていることの表れだ。背景には、東アジアにおける地政学上のリスクの影響が、ドイツにも及びかねないという警戒感がある。ドイツの対アジア貿易で中国は1位、日本は2位。東アジアが不安定化すれば、ドイツ経済も影響を免れない。(朝日)

ドイツは二度世界大戦を起こして、1億人を殺してようやく反省した。岸―安倍は一度しか世界大戦を起こしていない。故に、もう一度世界大戦を行い、今度は10億人を虐殺する可能性。その後の敗北でしか日本国民は深刻さを理解しないだろう。そのとき日本国民が絶滅していなければだが。

◆歴史・原発、日独の距離感 安倍・メルケル会談(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11641525.html?ref=pcviewer
記事のサブタイトルが全てを物語る;
歴史認識:《日》首脳会談、認識触れず/《独》「過去と向き合う」強調
原発問題:《日》再稼働の推進を明言/《独》脱原発、福島きっかけ

(関連)◆70年談話:「侵略した、と言わせたい」北岡国際大学長(毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20150310k0000m010083000c.html
北岡伸一氏は戦後70年の安倍晋三首相談話を検討する有識者懇談会(21世紀構想懇談会)の座長代理で東大教授から元国連大使や各種政府委員を歴任した影響力のある人物である。彼は米国追従姿勢が顕著であり、米国政府筋からの影響に包まれている人物。その彼がシンポジウムで以下の殊勝なる政治的発言をした。
①「日本が侵略戦争をしたのは明らか。日本の歴史研究者の99%は『日本は侵略し、悪い戦争をし、多くの中国人を殺して誠に申し訳ない』と言うと思う」。
②ただし、「戦後70年に謝罪が中心に来るかが肝だ、というメディアには違和感を感じる。45年以前、以後の歴史を全部盛り込んだ報告を作る。そこから首相が何を取り上げるかだ」と述べた。

◆【社説】日本で「戦犯国家の真の反省」を語った独首相(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/03/10/2015031000810.html
①日本は謝罪と翻意を繰り返してきた。2012年末に発足した安倍内閣は、それまでの内閣の謝罪すら否定するほど後退する姿勢を見せてきた。従軍慰安婦連行の強制性を認めた河野談話を毀損し、村山談話に盛り込まれた「侵略」という表現を拒否しようとする動きさえ見せている。
A級戦犯が合祀されている靖国神社を首相が参拝したのに続き、首相周辺の人々も戦犯を断罪した東京裁判の合法性自体を否定する発言を繰り返している。ニュルンベルク裁判はナチスの戦犯、東京裁判は日本の戦犯を断罪した国際裁判だ。
③日本社会には、数年前から韓国に対し「いつまで謝罪を求めるのか」という世論が広がっている。日本にわき上がっている嫌韓感情の根もこうした世論につながっている。韓国もこの点を念頭に置かなければならず、メルケル首相が言う「寛容さ」も韓国が与えなければならない日が来るだろう。
④しかし、こじれるだけこじれた状況を打破するには、「加害者と被害者の関係」という言葉自体が意味を持たなくなるくらい、歴史認識に対する相互信頼から築かなければならない。だが安倍政権は今、これとは正反対の方向に進んでいる。

◆(新華国際時評)日本が歴史の重荷を下ろすように勧告(新華社
http://jp.xinhuanet.com/2015-03/10/c_134055005.htm
①『70年前、日本は戦争に敗北した。70年後、日本は良識に再び敗北すべきではない』中国の王毅外交部部長
②『歴史を直視することはドイツの国際社会復帰の前提であり、第二次世界大戦終戦70周年はドイツと日本にとって重大な意義がある』ドイツのメルケル首相
③現実は人々に懸念と警戒を抱かせている。日本の安倍首相の最近の動きを見ると、世論は安倍首相が起草中の戦後70年に関する「安倍首相談話」が歴史問題を「ごまかす」になる可能性が高い。
④20年前のある夏の日に、日本の衆議院で連立与党自民党社会党新党さきがけが共同で提起した「戦後50周年決議」が可決された。当時、40歳の新任議員だった安倍晋三氏は起立採決に欠席したが、決議で提起された「植民地支配と侵略」がその理由だった。
⑤これより先に、安倍氏は保守派勢力「終戦50周年国会議員連盟」の一員として、決議草案の「謝罪」と「不戦」の表現を意図的に削除していた。(安倍晋三らが国会決議に欠席し、全会一致の原則が満たされず、国会決議は無効となった。それで、村山首相は首相談話を発表することにした)
⑥1995年8月15日、当時の村山富市元首相は上述の決議内容を底本として、植民地支配と侵略の歴史を反省した「村山談話」を発表し、安倍氏陣営が執拗に拒否した「謝罪」の語句を断固として加えた。
⑦しかし、「村山談話」発表と同日に、日本の右翼勢力が集結した「歴史·検討委員会」歴史修正主義の集大成である『大東亜戦争の総括』を発表した。安倍首相は同委員会の委員の一人だ。
⑧2005年、日本の国会は「戦後60周年決議」を可決した。決議案では「植民地支配と侵略」との記述がなかったが、「10年前の決議案について思考する」という表現方式で「継承」した。それでも、当時の自民党幹事長代理という要職に就いていた安倍氏は執拗な反対をし、国会の投票に再び欠席した。
⑨2012年に首相に再就任した後、安倍首相は「侵略無定義」論や「戦犯英霊」論のような言動で次々と歴史の美化と歪曲を行った。同時に「安倍談話」を「村山談話」の代替にしようとする意図が再三、露呈した。
⑩2015年、日本は安倍首相の任期内に敗戦70周年を迎えた。しかし、安倍首相の根深く頑固な歴史観憲法観、戦争観といった「3つの価値観」の暗い影のもとで、世の人々は近く発表される「安倍談話」が歴史を変貌させ、歪曲させるのではないかと懸念を抱かざるを得ない。
⑪国内外の世論の重圧を軽減するため、安倍首相は最近「『全体的に』村山談話を継承する」と口では言うが、「安倍談話」で日本の戦後の「平和と発展に貢献」と、いくら言葉巧みに語ったとしても、「侵略」、「植民地支配」などのキーワードが欠けているならば、歴史修正主義宣言と同じことだと言える。
(新華網日本語)

◆独メルケル首相、岡田代表と会談 話題の大半は歴史認識(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/ASH3B36QZH3BUTFK001.html?iref=reca
メルケル首相は10日午前、民主党岡田克也代表と東京都内で会談した。
②岡田氏が「戦後70年だが、日本は中国、韓国との和解が成し遂げられたとは言えない。ドイツの場合はどうだったか」と尋ね、メルケル氏は歴史認識について「過去のことについて完全に決着をつけるのは不可能だ。常に過去と向き合っていかなければならない」と述べた。
メルケル氏は慰安婦問題に自ら触れ、「東アジアの状況を考えると、日韓関係は非常に重要だ。きちんと解決した方がいいのではないか」と述べた。

メルケル独首相が帰国 女性リーダー10人と朝食会(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/ASH3B55HWH3BUHBI01B.html
①10日朝、岩田喜美枝・21世紀職業財団会長や林文子・横浜市長、岡本直美・連合会長代行ら日本の女性リーダー10人と朝食を共にし、1時間ほど意見を交わした。朝食会での発言などは明らかにされていない。三菱ふそうトラック・バス川崎製作所し、帰国の途に就いた。

◆台湾:7〜10月に抗日戦勝行事(毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20150311k0000m030084000c.html
①台湾行政院(内閣)は9日、抗日戦争勝利と日本統治終了70年を記念する関連行事を7月から10月にかけて実施すると発表した。
日中戦争の発端となった盧溝橋事件の発生日である7月7日から日本統治終了を祝う「光復節」の10月25日の間に国際シンポジウムなどを開催するほか、9月2日には馬英九総統らが出席し、抗日戦争勝利記念大会を行う。

◆戦勝記念式典に安倍総理を招待 全人代王毅外相(テレ朝)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000045916.html
①中国の全国人民代表大会に合わせ、王毅外相が会見し、今年9月に予定している抗日戦争勝利70周年の記念式典に安倍総理大臣を招待することを発表しました。
②中国・王毅外相:「我々は、関係する国と国際機関の指導者をすべて招待する。誠意を持って来るのなら、誰でも歓迎する」 王外相はこう述べたうえで、「日本の指導者は、歴史問題で自分が何をやったか、胸に手を当てて考えてほしい」と述べ、安倍政権を牽制しました。


◆慎重に徹したメルケル首相=日本内の議論尊重−独紙報道(時事)
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2015031000950&rel=top01
①独有力紙フランクフルター・アルゲマイネ;日本はドイツの戦後対応から何を学べるかという問いに対し、メルケル首相『日本に助言をするために来たわけではない。(答えは日本の)社会の中から出てこなければならない』と応えた。
②南ドイツ新聞;エネルギー政策に関し、「他国へのあからさまな忠告は逆効果を生むとメルケル首相は知っている。首相は日本批判はやめ、ドイツが選んだ(脱原発の)道がなぜ正しいと考えているかを説明するだけにとどめた」と解説。