朝鮮半島の南北合意とその意義

(1) 朝鮮半島の南北合意の意義
(2) 韓国での報道

※1 ◆は参照報道;①〜はその要点で、論旨明確化と背景説明を加えた「意訳」です。敬称略。
※2 ❶〜や※で始まる文章は私見です。
※3 Web登録後も関連報道などを追記します。

(1) 朝鮮半島の南北合意の意義

文在寅大統領の平城訪問は8月と予想されていたが、急転し、
・4月末に板門店金正恩委員長と文在寅大統領が会談する
・その前に南北首脳の直接電話回線を開設
金正恩氏は米国が北朝鮮との対話を拒否する口実を全て消し去った。
➌だが、米側が「最大限の軍事威嚇を加えて、北朝鮮が核ミサイル放棄を約束せぬ限り対話に応じない」姿勢を変えない可能性もあり、
➍米国の態度は4月予定の米韓軍事演習の規模と内容に現れる。
➎米国が態度を改めないのなら、金正恩氏と文在寅氏が直通電話で意見交換し、4月末の板門店首脳会議て対米対応を協議するためである。
➏米国が軍事威嚇第一を変えないのは、安倍政権が原因である。一方、南北合意は中国とロシアが共同提案した内容に一致している。
➐中露朝韓の4国が共同歩調になれば、米国は安倍政権の説得を余儀なくされるが、米朝対話に転じなければ国際的非難を浴びる。


(2) 韓国での報道

◆4月末に南北首脳会談 米と対話用意も(KBS)
http://world.kbs.co.kr/japanese/news/news_Po_detail.htm?No=67136
◆4月末、南北首脳会談…金正恩委員長「非核化は先代の遺訓」(ハンギョレ新聞)
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/29959.html
◆[ニュース分析]南北関係の加速ペダル・朝米対話の突破口…平和に向けた「扉」(ハンギョレ新聞)
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/29958.html
◆4月末に板門店南側で南北首脳会談(中央日報
http://japanese.joins.com/article/283/2392
◆南北首脳会談 4月末開催で合意=北「米と非核化対話の用意」(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html05
➀大統領府青瓦台は6日、大統領特使団の北韓訪問の結果として、 金正恩朝鮮労働党委員長と韓国特使団の合意事項を発表;
▼3回目の南北首脳会談を4月末に、板門店の韓国側の施設の平和の家で開催する
▼南北首脳会談のホットラインを構築し、首脳会談の前に初めての電話をする
▼4月から韓米合同軍事演習が例年水準で行われることを理解(容認)
▼非核化協議と米朝関係の改善に向けてアメリカと対話する用意がある
▼対話が続く間、北韓は追加の核実験と弾道ミサイルの発射など挑発を再開しない
▼朝鮮側からの要請;南北間の融和ムード維持に、韓国のテコンドー演舞団と芸術団の平壌訪問
➁4月末に軍事境界線がある板門店の韓国側施設「平和の家」で南北首脳会談を開催する。
③南北は首脳間のホットラインを設置し、米国の出方などで難関に直面したときは、南北首脳が電話で直接意見交換して対策を協議する。
北朝鮮側は、朝鮮半島の非核化に対する意志を明確にした;
北朝鮮に対する軍事的な脅威が解消され、
・体制の安全が保証されるのであれば
核を保有する理由がないと明言した。
⑤さらに北朝鮮は非核化問題の協議や米朝関係正常化に向け米国と虚心坦壊に対話する用意があると表明した。
⑥金委員長が「非核化の目標は先代の遺訓であり、先代の遺訓に変わりはない」と明言したことが注目に値する。「対話の条件について、北から韓国や米国に要求したことはない」「対話の相手として真摯な待遇を受けたいのだ」と述べた。
⑦さらに北朝鮮側は対話が続いている間、新たな核実験や弾道ミサイル発射を再開しないことを明確にし、また核兵器はもちろん通常兵器も韓国に対して使用しないと確約した。
⑧韓米合同軍事演習についても金委員長は「4月から例年の水準で実施することを理解する。朝鮮半島情勢が安定段階に入れば、韓米軍事演習も調整されるものと期待しているからだ」と述べ、過去に合意されている在韓米軍の縮小撤退と非常時韓国軍作戦指揮権を米軍が韓国に返還に復帰することを期待。
⑨平昌冬季五輪を機に作られた“機会の扉”を大きく開けた南北が、「朝鮮半島冷戦体制」の終息に向けた長い道程を共に歩き出した。
⑩北側は、平昌五輪を機に作られた南北間の和解と協力の良い雰囲気を保っていくため、南側のテコンドー演武団と芸術団の平壌訪問を招待した。
⑪文大統領は特使団報告を肯定的に評価し「合意内容を支障なく履行するよう」指示した。
⑫関係国への説明方針;米国、中国、ロシア、日本の派遣し説明したい。
・鄭義溶青瓦台国家安保室長と徐薫国家情報院長が米国訪問
・鄭義溶青瓦台国家安保室長が中国とロシアをと訪問
・徐薫国家情報院長が日本訪問
⑬今後は、非核化を目標とする対話だけを前面に出している米国が北朝鮮接触するかどうかがカギになる。
金正恩委員長は文大統領に対してかなりの信頼を持っている。
⑮南北首脳会談が4月に設定されたのは、もし、朝米対話が難関に直面した場合でも、文大統領と金正恩委員長が直接話し合うことで、朝米を対話に導く新たな動力を作り出せるからだ。
⑯ク・カブ北韓大学院大学教授「朝鮮半島における冷戦体制の解体に向けた第一歩を、外部の力ではなく、当事者である南北が自ら踏み出したものだ」。
⑰一方で、南北和解に猛反対する野党・自由韓国党は「北の偽装平和攻勢に巻き込まれる可能性に注目しなければいけない」「非核化も条件付き、挑発も条件付きであり、すべての合意に条件がある条件付き合意文にすぎない」酷評している。