参院選;改憲派に三分の二盗られた

(1) 確定議席改憲派が2/3
(2) 1人区32で自公21勝:野党統一11勝
(3) 複数区で自公圧勝
(4) 重要区で自公敗北
(5) 改憲の行方
(6) 今後
※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点


………(1) 確定議席改憲派が2/3………

自公は東北で「秋田」だけでしか議席を得ることができなかった。
だが、➊北陸、関西以西で一人区でも圧勝
また、➋東京など三人区以上の区で自公が2議席を獲得
そして、➌大阪では改憲派が全議席獲得
これで2/3獲得
日本会議創価学会の大勝利で、しかも3回連続勝利。

参院選の全当選者が確定 自民、単独過半数には届かず(日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK11H0U_R10C16A7000000/?dg=1
自民党は改選50議席を上回る56議席を獲得。32ある改選定数1の1人区で21勝11敗。
 27年ぶりの単独過半数には1議席足りなかった。
公明党は改選9議席を上回る14議席を確保。
③自公で70議席に達した。
大阪維新は7議席で、大阪と兵庫で勝ち、改選2議席を上回った
改憲派の小党(こころや新党改革や幸福など)は議席を確保できなかった。
民進党は32議席で、13年参院選の17議席を上回ったものの、改選議席45を大きく割り込んだ。
共産党は6議席を獲得し、改選3議席の倍増となったが、13年参院選にの8議席には及ばず。
⑧生活は2議席を獲得
⑨社民は1議席
投票率は54.70%で、13年比2.09ポイント上昇


………(2) 1人区32で自公21勝:野党統一11勝………

東北・新潟では秋田を除いて自公全滅。
しかし関東北部、北陸、近畿、四国、中国、九州では自公が圧倒。自公と野党統一の差は1.5倍と大差だった。野党統一が勝利したのは大分と鹿児島のみ。民主党内の共産拒否派が現地での連携を阻害。


………(3) 複数区で自公圧勝………

複数区では自公が上位を独占し、野党各党が残り議席を取り合った。
統一候補を擁立できなかったことが野党の敗因。民主党内の共産拒否派が阻害した。

近畿全体では大阪維新と自公が席巻し、護憲派?は民進福山哲郎(京都)ただ一人になった。

◆おおさか維新が伸長、脱・橋下氏で一定の存在感(読売)
http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2016/news/20160711-OYT1T50112.html?from=tw
行財政改革を前面に掲げ、国会議員定数・歳費3割削減など「身を切る改革を全国でやれば、消費増税の必要はない」と訴えた。
参院選公約には、幼児教育から大学までの教育無償化、統治機構改革、憲法裁判所の設置を柱とする独自の憲法改正案を明記し、関西で支持を拡げた。ただし、大阪維新田中康夫社氏は東京で落選。

◆国民が葬った民主主義…改憲へ衆参独裁政権誕生の絶望<1>(日刊ゲンダイ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/185450
①これでいよいよ、国家統制を前面に押し出した改憲が現実味。安倍の慎重姿勢はポーズだ。今回の選挙結果とは、もっとも危ない暴君に、とてつもない数を与えてしまった。
②日本民主主義の未踏の領域だ。この政権はメディアに平気で圧力をかける。電波停止をにおわせる。『それはおかしい』と言う野党もここまで負けてしまうと、手も足も出ない。与党議員や閣僚に疑惑があっても証人喚問はもとより、質問時間すら制限される。安倍政権はやりたい政策を加速化させる。
有権者の能天気だったこと。投票率は戦後4番目に低い54.7%だから、どうにもならない。大マスコミが安倍の姑息な争点隠しに加担したものだから、民主主義を賭した選挙だという自覚もなく、盛り上がらない選挙になった結果がコレなのである。民主主義は死んだも同然。
④悔やまれるのは、野党4党が比例区で統一名簿を作れなかったことだ。比例区で野党票が分散した結果、自民党の比例獲得議席は19と、圧勝した前回の18議席を上回ってしまった。
⑤比例統一名簿に失敗した野党の致命的大失態 比例区で野党票が分散した結果、自民党の比例獲得議席は19と、圧勝した前回の18議席を上回ってしまった。野党共闘比例区でも実現していれば、自民党から少なくとも5、6議席を奪えたはず。
憲法学者小林節・慶大名誉教授らは野党の大同団結を呼びかけ、社民・生活も統一名簿実現に前向きだった。消極姿勢は民進だけで、小林教授はしびれを切らして「国民怒りの声」を立ち上げた後も「統一名簿が実現すれば、いつでも降りる」と強調していた。
⑦統一名簿をフイにした野党は、この国の民主主義を見殺しにしたも同然だ。後世の歴史家に「致命的大失態」と評価されるのは間違いない。


………(4) 重要区で自公敗北………

◆自民大勝も…現職閣僚2人が落選 総理、内閣改造へ(テレ朝)
http://5.tvasahi.jp/000078921?a=news&b=np
自公大勝のなかで現職閣僚2名の落選と原発が稼働する鹿児島県知事選の敗北は、官邸(世耕)がマスコミを指揮した一大隠蔽工作の危うさを物語る。野党の敗因は民主党内の共産・生活嫌悪に起因する。

◆島尻安伊子・沖縄担当相が落選 辺野古移設で翁長知事「民意が示された」(八フィンポスト)
http://www.huffingtonpost.jp/2016/07/10/shimajiri-aiko_n_10915736.html?ncid=tweetlnkjphpmg00000001
①現職閣僚2人落選
 ➊島尻安伊子沖縄担当相が沖縄選挙区で惨敗し、沖縄の自公議員がゼロになった
 ➋岩城光英法相は福島で落選
両選挙区では「野党統一候補」が勝利した。
②沖縄で勝利したのは元宜野湾市長の伊波洋一氏で、アメリカ軍普天間飛行場辺野古移設反対を掲げる翁長雄志知事の支援を受け、選挙戦を終始有利に展開した。翁知事「衆院選沖縄県議選、参議院選挙で沖縄の民意が示された。新辺野古基地は絶対に造らせない」。

岩城光英・法相、民進増子輝彦氏に敗れる 福島(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/ASJ795D8HJ79UGTB017.html
①安倍首相が二度も応援演説に入ったが落選。岩城氏国会で無知を露呈する醜態。安倍が2度も来たので落選確定。
②自公が「被爆リスク」を無視したことが祟った。

◆鹿児島知事に三反園訓氏が当選 元テレ朝コメンテーター(八フィンポスト)
http://www.huffingtonpost.jp/2016/07/10/kagoshima-goverment-election_n_10913794.html?ncid=tweetlnkjphpmg00000001
①三反園氏は、熊本地震の発生で九州電力川内原発の安全性に不安が広がると、反原発グループとも連携。「川内原発を停止し、点検するよう九電に申し入れる」との公約を掲げ、自公支持の現職を破って当選した。

参院選県区は民進党新人の杉尾氏初当選(信濃毎日)
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160710/mm20160710074705.php
①杉尾氏も元テレ朝

柏崎原発が存在する新潟県(一人区)で森裕子氏(生活)が激戦の末に復活当選


………(5) 改憲の行方………

安倍自民は「改憲を隠す」言動繰り返すことによって、
改憲の必要性がある条項は何であるかの議論を封じておきながら、
結局それが「改憲するぞ」という明確な表示とすることに成功した。

自民党改憲案は憲法の基本条件を全く満たしていない。それを安倍も稲田も認めようとしない。
公明は「加憲」という新条項の追加を主張する。9条は改正しないと公言するが信用できない。
大阪維新憲法裁判所の設置を骨子とする改憲を公約。

改憲反対は36%=賛成は3割切る−出口調査【16参院選】(時事)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016071000255&g=pol
時事の出口調査改憲反対36.0%:賛成29.6%

改憲派日本のこころを大切にする党、新党改革幸福実現党比例代表での議席ゼロ(共同)
http://this.kiji.is/124833935368521212

◆アフリカの南スーダンで、政府軍と反政府勢力の間の戦闘が激化してきました。同国の国連平和維持活動(PKO)には、自衛隊の部隊も参加しています。 南スーダンチャーター機でJICA関係者退避へ 政府(日経ツイート)
南スーダン 戦闘再燃で日本人身動き取れない状況に(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160711/k10010590801000.html
JICAは内戦の南スーダンに関係者(業者)45人を派遣している。JICAは政府ODA供与の実行者で、相手国に乗り込み、プロジェクト企画し相手国政府に根回しし、発注先を提示する。安倍の場合JICAは危険な場所に送られる軍属同様だ。

◆「戦争の足音聞こえる」改憲勢力3分の2(琉球新報
http://j.mp/29O43hc pic.twitter.com/BdFEXBcNtK

RT 山崎 雅弘さん ‏@mas__yamazaki
何度も書いているが、戦前回帰が「あるか・ないか」というような白黒二元論は意味がない。現実に戦前と同様の価値観や政治思想が国の中枢から国民の生活レベルへと侵食している状況に、どう対処するかが問題であり、枝葉の形式論は論点を脇へ逸らす効果しかない。戦前回帰は、目に見えて進みつつある。

◆「戦争可能な日本」韓国紙 各国が憲法改正に注目(テレ朝)
http://5.tvasahi.jp/000078926?a=news&b=ni

韓国、中国、ロシアと東南アジア各国は恐怖感に襲われ、軍備の拡大を急ぐことになるだろう。オバマはにんまり。米軍の費用負担が急減するからだ。朝鮮は移動式および潜水艦発射核弾頭ミサイルの完成に邁進する。台湾やフィリピンも安倍に身構える。

オバマNATO首脳会議でNATO憲章の「加盟国はGDPの2%以上を軍事支出する」という項目を英国以外が無視していると論難し、条約の履行を約束させた。英国はGDPの2.5%だがフランスは1.8%、ドイツ以下は1.2%でしかなかったので、EUの軍事予算が倍増される。

オバマインフレ目標2%で国家経済を仕切らせてきたが、それに加えて軍事予算2%以上を同盟国に強制することに成功した。日本は1.2%、5兆円であるから、来年度から10兆円を超えるだろう。対抗して中国、韓国、台湾、ASEAN共同体も軍事費を倍増居させるだろう。

◆修宪势力获胜非日本之幸(新華社論評)
http://japan.xinhuanet.com/2016-07/11/c_135504308.htm
憲法改正の勢力が日本を不幸に陥れる
衆議院に続いて参議院も昨日護憲の壁が崩壊した。安倍は好きな時に憲法を改正する権力を手中にした。国会は憲法改正派が2/3を占め、教育と報道の制圧によって国民投票も容易に操作できる状態だ。敗戦後70年間日本の平和を守ってきた平和憲法の命運が尽きようとしている。

日本国憲法は武力の保有も武力の行使も禁止しているが、日本右翼は何十年も前からその束縛を無力化し、その条項の廃止を画策し続けてきたが、ついに昨日それが完成したのだ。しかし、憲法と言う最高法規すら蔑ろにし、踏みつける右翼勢力の跋扈は日本の未来を暗くて抑圧されたものにするだろう。

③安倍本人は、戦後日本の平和主義を極度に憎み、『戦後体制からの決別』(ポツダム体制否定と平和憲法破壊)の誓いを公然と繰り返してきた。2012年末に第二次内閣を発足させた直後から、憲法9条の解釈変更で専守防衛自衛隊を先制攻撃可能な『国軍』に変えると表明し、昨年それを強行した。

安倍本人公开表示,对日本和平主义的战后体制深恶痛绝,发誓要“与战后体制决裂”。自2012年年底重新上台执政以来,安倍多次提及修改宪法,尤其把宪法第九条对行使武力的限制视为实现其军事野心的最大障碍。无论安倍用怎样的花言巧语、采取何种手段来掩饰其目的,对宪法第九条进行修改,其实质就是要摆脱战后和平宪法的束缚,一步步地将日本引向军国主义的老路。

憲法の解釈変更に成功した安倍は9条の改変ないしは破棄を強行するだろう。それを実行するフリーハンドを手中にしたからだ。安倍総理がどんなに巧みな甘い言葉でごまかしても、憲法9条改正の本質は「戦後平和憲法の束縛から抜け出し、日本の古い軍国主義の道へと一歩一歩導くものだ」

⑤日本の世論調査では国民の圧倒的多数が平和憲法の改正に反対している。にもかかわらず、国会議員の2/3は平和憲法の破壊に組する議員たちで占領されたのだ。議会決議のあとに国民投票が必要だが、公明党の支持母体の創価学会員は9条改正に反対で、自民党の中にも反対者が存在する。

⑥だが、安倍と公明党首脳部は策をめぐらし、芝居を演じ、教育を統制し、報道を操り、最後に乗り越えるだろう。その策動のひな型が参院選でも見事に成功している。

⑦安倍は欺瞞の塊である。それを知らない報道陣は居ないが、安倍が従える右翼は個別報道を執拗にストーカーし、その報道局を麻痺させてしまうから、忖度に走ると言う悪循環が完成している。その手をフルに使って、参院選で国民を騙した。

⑧首相になってから、安倍は日本の侵略戦争の歴史を認めず、靖国を参拝し、参拝させて、集団的自衛権の行使を正当化・義務化する「安保法案」を昨年強行し、米国を除く国際社会に深刻な懸念をおこさせた。それ以来世界は、安倍の言動に神経を尖らせ、その欺瞞性を見抜き、事前に対策を講じてきた。

平和憲法のタガが外れたら、あとは洪水のように止めようも無く古い全体主義軍国主義の嵐が奔流となるだろう。その禍根が既に埋め込まれたのだ。

軍国主義の奔流で一挙にアジアを席巻するのか、それとも徐々に支配を拡げるのかの選択が安倍の手中にあり、誰も止めることは出来ず、国際社会はかたずをのんで眺め、可能な対応策を準備するしかない。因果応報;改憲勢力の跋扈は日本を不幸にするばかりだ。


………(6) 今後………

次回選挙は➊野党統一名簿、または➋草の根新党に野党を吸収(多人数のブレーンが必要)

民進党は公式には全く反省していない。前回参院選よりも議席を増やした。
しかし、アベノミクスを定性的に批判するだけで、民進党としての経済改革シナリオが全くなかった。
また、改憲についても、小林節氏ら憲法学者と袂を分かつなど、具体的論戦を提示できなかった。

原発企業や兵器産業の力が強い連合が、結果的に自公改憲派を後押ししているのは間違いがない。その連合は総評系が消滅し右翼的な同盟系が主力となっている。心情的には安倍晋三に非常に近く、民主党とは相容れなくなっている。

鳩山小沢政権を倒したのは官僚だが、民主党にたいする国民の不信頼を決定的にしたのは、連合である。連合とは手を切るべきだが、それは民進党の解体を意味する。ここまで自公に奪われてしまったからには、市民連合が新政党を強化し、共産と共闘するしかない。

そして、大切なことは具体的な争点(公約)を掲げて訴えることだ。米大統領選で実質的に互角にまで支持を増やしたサンダースや英国の移民規制・家賃規制を掲げたEU離脱派などを見習う必要がある。

………

そして、アベノミクスは株バブル以外の何物でもない。
アベノミクスは、経済対策ではなく、株バブルを支える銭まみれ策。

アベノミクスの停滞ないしは退歩は株式投資機関にとっての地獄になる。無利子で借りた金で株式バブルを起こしてきたが、利息支払いと、株価下落による担保不足分の返済を要求され破産するからだ。
アベノミクス継続へ期待感 株価500円超の大幅高(テレ朝)
http://5.tvasahi.jp/000078922?a=news&b=ne
東証、午前終値は1万5642円 参院選受けて経済対策へ期待感(沖縄タイムスhttp://goo.gl/GQRccv