格差こそ経済活力の源泉―その修羅場

(1) ベルニーの夢とヒラリーの悪夢;トランプ白馬騎士
(2) エリザベス・ウォーレン副大統領?
(3) ジェイコブ・ルー米国財務長官はサンダースに近い
(4) トランプの日本攻撃
(5) 米大統領選は「政策有害」と「性質剣呑」の選択
※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点

………(1) ベルニーの夢とヒラリーの悪夢;トランプ白馬騎士………

◆President Obama's jokes at the White House Correspondents' Dinner(NYT)
http://nyti.ms/26HgoaU  pic.twitter.com/ZjdcKCn01p
Donald Trump has some foreign policy experience because “he has spent years meeting with leaders from arouund the world: Miss Sweden, Miss Argentina, Miss Azerbaijan.” PRESIDENT OBAMA
※このオバマ発言は国際的な顰蹙をかうだろう。
アルゼンチン、スエーデン、アゼルバイジャンを誹謗する内容でもあるからだ。それに女性首相だけと懇意になるトランプという「女たらし」を暗喩しており、恐ろしく卑猥である。

◆Maureen Dowd: The Clinton-Trump battle of the sexes is already getting ugly(NYT)http://nyti.ms/26F9N0G
➀トランプはヒラリーを罵倒「彼女は大統領夫人と国務長官の政治経験を自慢するが、小さな戦争を起こし、より大きな戦争の原因を作っただけだ。米国人なら皆知っている。それでも彼女が指名獲得できるのは『女』が武器だからだ」。
②これにむかついたオバマ「トランプは女性首相ばかりと懇ろになり、それを外交経験と自慢している」とWH晩餐会で演説。ひどいもんだ。

Donald Trump says Republican race all but over if he wins Indiana(ロイター)http://reut.rs/1Tnp1xG
※このトランプ発言は事実であるからヒラリーを後継者にしたいオバマは顰蹙を買う、憎悪ともいえる暴言をWHの晩餐会で吐いてしまった。追い込まれているのだ。

オバマが後継者と頼むヒラリーも追い詰められている。彼女の顧客だけでなく彼女の選挙運動財務担当までパナマ文書で暴露され、その財務担当者は今NY州特別顧問で予備選を取り仕切った、だから投票妨害がという噂を打ち消せない。米国社会の4割を敵に回し、国際政治界でもヒラリーは危険人物視。

来週、全文書開示とアナウンスされている。ヒラリーが顧問や特別講師を務める強欲資本主義企業の7社以上が関係していると既に予告されている。それどころかクリントンの選挙事務所経理責任者の名前も。

米大統領選挙、クリントン氏の勝利は第三次世界大戦をもたらす?(sputnik)
http://jp.sputniknews.com/us/20160429/2050173.html
クリントン氏は外交の代わりに軍事力を用い、あらゆる事件が第三次世界大戦を引き起こしかねないほどにNATOを強化するつもりである。

◆As voting begins, Trump sees a decisive Indiana victory, demise of Cruz, Kasich candidacies(WP)
http://wapo.st/26OYoLV
インディアナ州で予備選投票。直前世論調査は;
➀トランプはクルーズに10%以上の差。1月間でクルーズは30%の支持を失ったことになる。トランプがこの州で勝利すれば、共和党ノミネートが確実
②サンダースはヒラリーに肉薄している。

◆#IndianaPrimary: Republican voters could put Trump on brink of nomination – live(ガーディアン)
http://trib.al/zZkhXDw
➀トランプはクルーズを滑り落とすだろう
②サンダースはヒラリーに肉薄している
③NBC調査:57%がサンダースは最後まで戦ってほしい。16%がサンダースは降りるべきだと、大差。
◆Trump polling over Cruz in Indiana as Sanders vows to fight – campaign live(ガーディアン)
http://trib.al/ncuFiOT
ギャラップ世論調査民主党支持者対象
➀大統領に相応しい・・・サンダース52%、クリントン36%
②嫌悪している比率・・・クリントン37%(かってない高さ)

◆Sanders wins the Indiana Democratic primary(AP) #Election2016 #APracecall
◆In a close Democratic contest, Bernie Sanders wins the Indiana primary(BBC)http://bbc.in/24oRwGt
◆Bernie Sanders wins #IndianaPrimary(RT)http://on.rt.com/7bo9
◆Bernie Sanders will win the Indiana Democratic primary(CNN)http://cnn.com/election
◆Bernie Sanders wins the Indiana Democratic primary(NYT)http://nyti.ms/1pZFjox
◆Sanders has rebounded to win Indiana, providing a lift for him over Clinton during a tough period(NYT)
http://nyti.ms/1TkCINF
◆Bernie Sanders pulls of shock victory in #IndianaPrimary(ガーディアン)http://trib.al/PkoqWKm
Donald Trump reacts to new status as GOP's candidate for president(ガーディアン)
http://trib.al/Sz3S73s  pic.twitter.com/EwN7HihTzi
インディアナ州(重工業州)予備選 サンダースとトランプが勝利
 民主党(開票率98%)サンダース53%:クリントン47%
 共和党(開票率98%)トランプ53%:クルーズ36%、ケーシック7%
インディアナ州予備選
民主党:サンダース勝利=サンダース53%:クリントン47%は全米世論調査と一致。
     NY州等と異なり、投票制限や妨害を選挙管理委員会が実施しなかった。
共和党:トランプが勝利=トランプ53%:クルーズ+ケーシック44%でクルーズ撤退。
     トランプ指名確定。NYTやWPの敗北。

Matt Flegenheimer @mattfleg "Thank you to each of you, and God bless you." Ted Cruz is gone.
http://www.nytimes.com/2016/05/04/us/politics/ted-cruz.html
インディアナ州でもクルーズ敗北し、撤退宣言。 同州は初のクルーズ・ケーシック共闘だったが、この全く異質な二人の野合に支持率低下。共和党指名はトランプに決定だが、共和党主流派はなにやら不穏な動きで、民主党特権代理人をまねようと。

Donald Trump: Ted Cruz “is one hell of a competitor”(CNN)
http://cnn.it/1TKdWJA  http://cnn.it/1X7vZwq
インディアナ州でトランプが勝利。万策尽きた久ルース脱落。トランプの指名獲得確実。
②米国社会の関心は民主党に移った「サンダースがヒラリーにどこまで打撃を与えるか」に。

◆The anti-Trump movement spent upwards of $75 million and ultimately lost(CNN)
http://cnn.it/1W83PlZ pic.twitter.com/oe77fCfYh0
➀反トランプ陣営はインディアナ州予備選に80億円のTVコマーシャルを投下したが、全てを失った。誰もトランプの指名を止められない。
民主党は改革を拒否する特権代理人が総過半数の25%を占め、それがサンダースの勝利を阻んでいる。それでもサンダースが追い上げ、半年前に60%の大差を付けていたヒラリーを逆転する勢い。

民主党主流派は各州の選挙管理委員会にサンダース支持派の投票妨害を繰り広げた。NY州選挙管理委員会などは、同党行事に参加不良者の投票を拒否し、サンダース支持票を3割減らしたと言われている。ミシガン州では投票権チェックによる長蛇の列をしり目に、投票締め切りを強行し、ヒラリーに勝利宣言させたが、裁判になって敗北したらしい。

インディアナ州は公平な投票を実施。その結果サンダース53%:ヒラリー47%と逆転。この結果は党員でない独立層を含む全米世論調査に近い。

インディアナ州でサンダースとトランプが共に53%の得票で勝利。この結果は米新聞の選挙戦敗北を意味している。NYTはヒラリーを、WPはクルーズを露骨に支持し、盛大なる翼賛報道を繰り広げたが、惨めな大敗北。

強欲資本主義を闊歩させ、人権偽装でシリアやウクライナを侵略させたこの二紙に対する米国社会の拒否反応が表面化したと言える。米国報道は読むに絶えず、英国紙の特派員報道でしか客観事実は把握し難かった。それは日本と同じだ。

民主党の悪名高い特定代理人制度で、サンダースが指名される可能性は無い。その時54%の支持者は大統領本選にどう対応するかは三分される。棄権、トランプに投票、ヒラリーに投票。これはトランプがヒラリーに逆転勝利する可能性を示唆。サンダースが本選に独立立候補との声もある。

共和党はブッシュJRによるアフガンとイラク戦争大量破壊兵器の保持を偽装する大義なき侵略に過ぎず、数千人の戦死者を産んだ悲惨な結果であり、共和党主流派の責任は重大であると党員の9割が確信した結果、共和党員でもないトランプの独走を許した。

民主党主流派のクリントン夫妻には「強欲資本主義を解禁し、99%を貧困化させ、かつまた世襲のごとく固定化させたと2億人が大批判している。民主党は冷酷で残虐性のあるヒラリーに絞って護りきるだろうが、それは民主党支持率の激減をももたらすだろう。

米国の二大政党制が瓦解する。共和党は事実上の消滅。民主党はヒラリーと心中。第三の政党が不可欠になってきた。「草の根人民党」である。

トランプ指名は避け難い状況になったが、日本外務省は驚愕している。外務省が強行する南中国海での中国包囲網も成立することなくほぼ瓦解した。ベトナムとフィリピンとマレーシアに代理戦争をさせようとしたが、三国は拒否した。残された道は日米両軍が直接南中国海で対峙するほか無くなっている。

ベトナム、マレーシア、フィリピンに続き米国が揺らいだ。外務省が日米同盟の揺らぎを阻止する行動をすれば、米大統領選でヒラリーは追い込まれる。外務省は孤立無援で手も足もでない状態。外務省は逼塞させたほうが世界平和には良いと誰でも判断できる。外務省は戦争犯罪加担者だ。

◆Edward Luce @EdwardGLuce
11 months back we all collapsed laughing when Trump launched his bid. Now he's the nominee.
共和党全国選挙管理委員長のツイート「トランプが共和党の大統領候補に指名されることになる」

米大統領選 トランプ氏指名へ…共和2氏撤退(毎日)
http://mainichi.jp/articles/20160505/k00/00m/030/062000c
ドナルド・トランプ氏がインディアナ州予備選で圧勝。
クルーズ氏とケーシック氏が異例の「反トランプ連合」を組んで臨んだ初戦。同州はクルーズ氏の支持母体であるキリスト教福音派が強く、ケーシック氏が選挙運動を見送ることで、反トランプ票をクルーズ氏に一本化。
②しかし、トランプ氏の勢いは衰えず、50%以上の得票率で圧勝した。
③一方、民主党インディアナ州予備選は、バーニー・サンダース上院議員(74)がクリントン氏に競り勝った。
④指名争い2位のテッド・クルーズ上院議員は選挙戦からの撤退宣言。
⑤3位のオハイオ州ジョン・ケーシック知事も4日午後に撤退表明予定。
⑥トランプ氏の指名獲得が確実となった。
民主党は、ヒラリー・クリントン国務長官の候補指名獲得が濃厚で、11月の米大統領選はトランプ、クリントンの両氏が戦う構図となることがほぼ固まった。

共和党のケーシック氏、撤退表明 トランプ氏の指名確定:(朝日)
http://www.asahi.com/articles/ASJ552CS5J55UHBI001.html
➀トランプ氏以外に唯一残っていたケーシック氏が選挙戦からの撤退表明
※14人の候補者のうち共和党主流の穏健派を2ケ月で全員落伍させた。 残ったのはトランプ、ルビオ、クルーズで右翼か極右。 ケーシックは主流派ピンチヒッターで三振。

候補者はトランプ一人になった。共和党主流派は民主党のような党幹部代議員を珍事に大増員することを諦め、茶会系のクルーズやルビオを立てる新党設立もうやむや。トランプは共和党の主流福音派も傍流茶会系もなぎ倒した。功績者でもある。


………(2) エリザベス・ウォーレン副大統領?………

アメリカ大統領選・トランプの勢いは侮れない(飯村和彦)(ハフィントンポスト)
http://huff.to/1Tr4Rma pic.twitter.com/NAusqwc11S
➀サンダースの「1%の金持ちだけが得をする格差社会」問題が若い世代から圧倒的な支持を集めているのと、トランプは似ている。トランプは法定最低賃金引き上げなど少しだけ軌道修正すればヒラリー嫌いの浮動票を結構簡単に獲得できる。
②一方、ヒラリーは本選に勝つために共和党穏健派の票取り込みが必要で、現状よりさらに保守化する必要がある。だが、下手をすると民主党左派の票をぐん〜と減らす。だからといってヒラリーが、サンダースを副大統領候補にするとも思えない。
③だが、人気、実力ともに高いマサチューセッツ州選出の上院議員エリザベス・ウォーレンを副大統領候補にする...というのは悪くないアイディア。彼女の実力は折り紙つきで、多分、ヒラリーより大統領にふさわしい人物で、彼女はサンダースと考え方が近く、支持層もサンダースと重なる。

Donald Trump attacks 'goofy' Elizabeth Warren in victory speech(ガーディアン)http://trib.al/myBnFyV
※ヒラリーは強欲資本主義の擁護者でありタックスヘイブン利用者の顧問弁護士。それではトランプに負けるから、社会民主主義への転向が避け難い。だが彼女は誤りを認め謝罪できない、プライドの塊だから。

そこでヒラリーの取り巻きが副大統領候補にエリザベス・ウォーレンを担ぎ出そうとしている。社会民主主義政策を「ウォーレン副大統領」に語らせ、ヒラリーは無言を通し、中露との軍事的対峙に専心するという考えなのだろう。

ウォーレンはサンダースと同じ政治姿勢で、「ウォール街占拠」運動の理論的かつ精神的指導者だったが、彼女はヒラリーに利用されることを毛嫌いしている。副大統領になるくらいなら、最初から彼女が大統領候補になっていれば、トランプなど問題外だった。

それでもヒラリー側近はウォーレンに二者択一を迫る;トランプの独裁を許容して米国民主主義の崩壊を見過ごす気か、それともヒラリーの軍事覇権外交に反抗し続けるのかどちらなのだと。

◆"Toxic stew of hatred": Elizabeth Warren excoriates Donald Trump(WP)http://wapo.st/26T2Zg1
エリザベス・ウォーレン(マサチュセッツ選出民主党上院議員)「トランプは有害。絶対にWHに入れない」などと激しく攻撃した。トランプ攻撃の過激さでは彼女が第一である。

ヒラリー・クリントンは脆弱な候補者で攻撃に極めて弱い。そして米国社会の99%が納得する攻撃される材料をヒラリーはいくつも持っており、半年間の本選を耐えきれるか疑問符が付いている。全米世論調査でも5割以上は「ヒラリーを嫌悪」と回答しているほどだ。

ヒラリーがトランプに勝利するためには思い切ったリベラル化(1%のための顧問弁護士を廃業し99%のための社会主義者に転業)することが早道で確実だ。その証明に副大統領候補にエリザベス・ウォーレンの名が挙がっている。ウォーレンはサンダースとほぼ同じ社会主義者で、非常な人気。

だが、ウォーレンは副大統領候補になる気が無く、中立を貫く。ウォーレンはトランプ嫌悪と同じくらいヒラリーを嫌悪していると噂されている。結局、ヒラリーが、黒人限定ではなく、サンダース公約集の多くを本気で自分の公約に取り入れないと、ウォーレンは副大統領候補を承諾しない。

Elizabeth Warrenは元ハーバード大学法学部教授で、ウォールストリート占拠運動の精神的理論的指導者。リーマンショック時の金融制裁や消費者保護で実績。反戦で最低時給倍増や公立大学の無償化なども彼女の主張。サンダース公約は彼女の主張を取り入れた形。

Elizabeth Warrenが今回の大統領予備選に立候補したら、ヒラリーは全く勝ち目がなかった。彼女ならトランプ相手でも堂々女性大統領に当選するだろうと言われていたが、彼女は頑なに出馬を拒否してきた。

だがトランプの人気は衰えず、共和党候補に推薦されることが明確になると、ヒラリーの性格と政治活動歴の問題性が改めてクローズアップされた。ヒラリーは黒人層だけに特別の愛嬌を振りまいて乗り切ろうとしているが、99%を重視する格差是正社会保障改善を約束しない。

ヒラリーは冷酷で好戦的。ヒラリーを大統領にすることは、オバマ中間選挙レームダック化した実態のままヒラリーが継承と映る。ヒラリーが当選するには1%の擁護者を廃業しなければならない。ヒラリーはウォーレンに最大限の礼を尽くし、ウォーレンの社会主義的公約を取り入れる必要。

米国ではヒラリーが大統領に当選するには、『女性閣僚』主役政権を作る必要があると論じられている。副大統領はエリザベス・ウォーレンで、ナンシー・ペローシーが国務長官で、国防長官も女性・・・女性国防長官はメルケル政権のドイツに実存し、有り得ない話ではない。

女性国防長官としてはLoretta Lynch(黒人女性初の司法長官)も可能性。女性国防長官候補としてはSusan Rice(現大統領補佐官)が安全保障政策の専門家であり、オバマの軍事政策は彼女が決めている。性格はヒラリーとそっくりで、頑固で他人の異論を認めない。中国やロシアにも強硬で、世界平和には適さない。


………(3) ジェイコブ・ルー米国財務長官はサンダースに近い………

◆Corbyn defies critics with Labour set to hold its ground in England(ガーディアン)http://trib.al/YbWpjcC
※ジェイコブ・ルー米国財務長官はサンダースに近い。彼は特に、社会保障、メディケア、税金、通商、エネルギー問題を扱う。先日のG7財務相中央銀行総裁会議でルー長官はアベノミクスの為替操作が資本主義の公平性を損なうと公然批判。

ルー長官はパナマ文書問題が人類全体の非難を湧き起こし、タックスヘイブンの利用を「合法化」している資本主義制度にも疑問を呈し、一定規模の株主全員に対するタックスヘイブン利用の有無を調査し米財務省経済犯罪捜査当局に報告する義務を金融業界に課した。

ルー長官による投資家資産家のタックスヘイブン利用有無の調査報告義務の制定は、クリントンが全面開放した金融規制撤廃ルーズベルトの金融規制に戻す第一歩である。

ルー財務長官の金融規制は大統領選のヒラリー・クリントンに致命的な結果をもたらす可能性がある。彼女の重要顧客の少なくとも7機関が数兆円をタックスヘイブンで運用し、さらに彼女の元選挙運動財務責任者がパナマで架空企業を経営しているからだ。

ルー長官の狙いは、米国の複数の州がパナマ以上にタックスヘイブンであることが米国経済を歪め、国際非難の的になることを阻止することにある。米国のタックスヘイブン州への財産の流れを逮捕特権を持つ財務相捜査当局が把握し、少なくともそれを公表すれば当該資産家は米国で住めなくなる。

ルー財務長官は麻生と黒田を批判している;「自国通貨の暴落が投機によって仕組まれている場合に限り防衛的な介入が許容される。それは昨年夏の中国の元安対策介入を正当化する。だが、日本の円高は投機とは無関係で、円安に反転させる介入は違法性が高い」

麻生は現在の円高が「投機的」だと主張し、政府の介入も辞さないと声明したが、正邪を逆転させた議論だ。自国通貨を安値に誘導することは資本主義の根本を破壊するからだ。ちなみに安倍政権は円を4割下落させ、同時期に中国は4割高騰させた。どちらが資本主義の正道であるか自明である。

◆米、ペーパーカンパニーの取り締まり強化 所有者の把握義務付けへ(AFP)
http://www.afpbb.com/articles/-/3086180
➀米国財務省のルー長官は、銀行や証券会社など金融機関に対して口座保有者に関する記録の把握と保管を義務付ける法整備を進めていくと述べた。また、企業側にその企業の真の所有者について把握と報告を義務付ける新法も提案する。

◆米経済、1年以内にリセッションの確率は60%=民間エコノミスト(WSJ)
http://on.wsj.com/1SQSgwA pic.twitter.com/4hcAkrmfnl
※米国の失業率が「劇的」に改善し4%台になった。日本並み。ところが、米国の内需は細り、カードローン地獄が始まっている。ヒラリーに大統領候補として劣悪なる嫌悪度を世論が示すのは、彼女がカードローンの取り立て側の顧問弁護士だからだ。

円高一服、嵐の前の静けさか 米雇用統計前に動けず (日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO01967980W6A500C1000000/?dg=1
➀107円台前半で推移し、円高の流れは一息ついている。だが、これは嵐の前の静けさ
②日本時間の6日午後9時30分に発表される米雇用統計の結果によっては再び円高が勢いを増す可能性がある。

※米国雇用統計はその新規雇用の質で判断される。雇用が言増えても、レストラン従業員などの極めて安価でフルタイムでもない雇用が主体なら、米国の内需は減退するからだ。それが大統領選でサンダースとトランプを押し上げる社会現象になっている。

米国雇用者の5割は年収2万ドルで、生活に必要な家計支出の半分でしかない。日本も4割が同じ低所得者であり、日米は同じ道を競っているかのようだ。それへの批判がヒラリーと共和党主流派に向かい、サンダースとトランプを押し立てている。

ロッキー山脈地域の米州で、巨大なウオールマートが進出し、その州の失業者が激減したが、州のGDPも激減したという統計もある。5万ドルの社員をリストラし、2万ドルのパートを2倍に増やしただけだったのだ。

………(4) トランプの日本攻撃………

◆トランプ氏「日本車の関税大幅に引き上げる」 (NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160507/k10010511761000.html
◆米軍費負担・TPP再交渉…日本揺らすトランプ発言(日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE06H0B_W6A500C1EA1000/?dg=1
※いちいちごもっとも、トランプ氏の対日公約;
➊日本からの輸入自動車に米国は2.5%関税だが、日本は米国産牛肉に38%の関税。我々は日本自動車に38%の関税をかける
❷TPP批准反対
❸日本は米軍駐留経費を全額負担すべきだ

◆トランプ氏の駐留費発言、日本政府「非現実的」(読売) http://j.mp/1ry3QlW
※そうかなあ、米国社会ではトランプの全駐留費請求の方が常識的に「現実的」。 日本駐留費の算定にはピンからキリまであり、日本政府はその最小値で、思いやり予算で7割負担と主張する。米軍内部の作戦のコストパフォーマンス計算原価はその10倍

横須賀に核空母艦隊が常駐するが、日本側は兵士人件費と燃料費程度を駐留費とする。だが米軍内部計算は、核空母の建造費、艦載機の製造費、それらの研究開発費から、日本情報収集分析機関の運営費や情宣活動研究費まで含まれる。戦闘機1機の1回のスクランブル費用は約400万円と言われている。


………(5) 米大統領選は「政策有害」と「性質剣呑」の選択………

◆The year of the hated: Clinton and Trump, two intensely disliked candidates, begin their face-off(WP)
https://www.washingtonpost.com/politics/the-year-of-the-hated-clinton-and-trump-two-intensely-disliked-candidates-begin-their-face-off/2016/05/08/76a87ce2-13bd-11e6-8967-7ac733c56f12_story.html?tid=sm_tw
➀2016年大統領本選は未曽有の「政策の有害性」と「性質の剣呑さ」の競い合いになる。こんな選挙はかってなかった。
クリントンを選ぶと、米国は内政も外交もますます悪くなる。世界からも嫌われる米国人になることが必定だ。
③トランプは外交においてはより現実的で理性的ですらある。そして内政では特権化し世襲化した1%の権力構造を突き崩すという快感で米国社会を沸かせるかもしれない。
オバマクリントン擁護は殆ど正気の沙汰を逸脱し、ヒステリックにさえ感じさせる。これは彼に対する米国社会の尊敬と期待が最終的に欺瞞による虚構だったと認識させるだけだ。
⑤米国社会は約6割が米国式資本主義と民主主義に反感を表明している。その反感は熱狂的で、既得権益擁護者は恐怖から発言を控え口を閉ざしてしまった。
既得権益者に退場を迫る6割は社会主義者共産主義者民族主義者であり、そしてウォール街占拠運動の支持者である。彼らは、団体行動で体を張らなければ既得権益者の権力構造は微動だにしないことを知っているからだ。
⑦その6割が嫌うことは、民主党クリントンにサンダース公約を取り入らせ、共和党はトランプに外交と内政のベテラン官僚を押し付けて骨抜きにしてしまうことだろう。
インディアナ州民主党予備選で、民主党支持者ではクリントンが6%の差をサンダースに付けていたが、無党派層ではサンダースが44%の大差でクリントンに勝り、結果は5%差の逆転だった。クリントンを敗者に追い込んだのは無党派の「怒れる民衆」なのだ。これは大統領本選を暗示する。

◆Trump, in reversal, says wealthy Americans should pay more taxes(ロイター)
http://www.reuters.com/article/us-usa-election-trump-idUSKCN0XZ0I3
➀トランプは昨年9月の公約「広範なる減税」を修正し「富者はより多くの税金を喜んで支払うべきだ。それによって中間層の貧困化を阻止しなければ米国社会は崩壊する」とCBSに述べた。
②暴れ馬トランプを手なずけようと躍起の共和党エスタブリッシュメントは二重三重の苦境に立たされている。
③少なくともトランプが主張する富者増税レーガンを大統領にするために決めた党是「富者に優しい減税」と「軍事外交だけの連邦政府」という小さな政府を全面否定している。
④トランプはまた、北米自由貿易協定の見直し交渉を主張し、環太平洋自由貿易圏の批准を拒否し、北大西洋自由貿易圏交渉を批判して、富者の権益を犯そうとしている。
⑤さらにトランプは、NATOや日米、日韓安保に台湾保護条例の大義喪失と受益者負担原則の追及でしかそれらの存続は不可能だと断言している。これは米国産軍複合体を支えるネオコン官僚群の息の根を止めかねない。

エスタブリッシュメントと怒れる民衆の戦いの最中、良きにつけ悪しきにつけ、トランプ発言一色の様相。クリントンは消えてしまった。6月までその状態が続くだろう。その後、クリントン民主党社会民主主義者の大物をパートナーにしようと躍起になり、報道されるだろう。

NYTもWPもWSJも2016年米大統領選は未曽有の醜い争いになると報じるが、その醜さの根源に迫ることを避けている。マスメディアもエスタブリッシュメントだから、墓穴を掘りたくないだけなのだ。

ヒラリー・クリントンの醜さは、彼女が1%の権益の守護者であり、軍事威嚇を繰り返しながら経済威嚇で包囲して、相手を窒息させるという「豊富な政治経験」からきている。今更泣き言を言っても、優しい女性を演じようとも、彼女を信じる人間など存在しないに違いない。

トランプの醜さはムスリムとヒスパニックに対するヘイト発言である。だが、米国社会が言いたくても言えなかったヘイト発言を彼が代弁し、彼の一身に非難を集中させ、しかも平然と押し返す。メキシコ国境壁の建設コストを保守派は非難するが、トランプ以前からメキシコ国境には壁が存在している。

トランプを実際以上に異端人物にしたがる根本は彼が国内の産軍複合体と国外の軍事同盟を根本的に白紙化させるからだ。この2点だけでも米国の1%の8割が打撃を受ける。クリントンはその1%側の醜い弁護人であり、1%により良い利得を紹介するエージェントであり交渉代理人なのだ。

◆Clinton’s wonky policies of fine-grained complexity contrast with rivals’ grandiose ideas(WP)
https://www.washingtonpost.com/politics/clintons-wonky-policies-of-fine-grained-complexity-contrast-with-rivals-grandiose-ideas/2016/05/08/7a6f4b66-10a3-11e6-93ae-50921721165d_story.html?tid=sm_tw
ヒラリー・クリントンの公約書は4万2千語もの長文。抜本的改革は全て忌避されており、現状の追認にすぎない。取るに足りないちっちゃな改善提案を無数に相互無関係に散りばめている。
②サンダースは公立大学の無償化を公約するが、クリントンは学費援助の枠を少し増やすだけ。彼女は大学無償化はアンフェア―だと思っているから、学費援助審査職を多量に増やすだけである。
③税法改正も、富者に増税し中間層に再配分など一言も約束しない。彼女はそれが非現実的だとしか言わない。代わりに彼女は税申告の小さいルール変更と追加を無数に公約した。今でも税申告書は42ページもあるが、それを倍にする気らしい。記入だけでも1週間はゆうに必要な代物だ。
④結局、彼女の4万2千語の公約書は、今でも複雑な行政ルール上にさらに複雑な改善提案をかぶせて、弁護士以外誰も理解把握できない代物にしようとしている。全く馬鹿げている。


………………

◆ゴーン氏報酬「高額」 ルノー株主の仏政府が見直し要求(朝日)http://t.asahi.com/jez5
➀仏政府はルノー筆頭株主に。ゴーンの年収8億8千万円に減額要求。
※米国とフランスは大違い。20年ほど前にクライスラーアイアコッカ社長は年収100億円を超え、ヒラリーは激賞。それが是正されず、今回大統領選で既得権益層に猛攻撃。

◆トルコ与党、臨時党大会へ=大統領との対立で首相交代か (時事)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016050500122&g=int
エルドアン大統領とダウトオール首相の対立が顕在化。5日、AKPの中央執行委員会で臨時党大会の日程を協議。ダウトオール首相は辞任し立候補せず。