安倍が韓国に法治主義を破壊させた

(1) ソウル地裁が産経ソウル元支局長に無罪判決
(2) 憲法改正を一挙に;参議院で2/3議席を奪うばらまき
(3) 極右度;フランスと日本の比較
(4) 夫婦別姓について
※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要

………(1) ソウル地裁が産経ソウル元支局長に無罪判決………

判決は「加藤氏は誤った情報であることを知りながら悪意を持って朴槿恵大統領を誹謗するコメントを日本国民向けに書いた。ただしその内容は実刑判決にするほどではなく、執行猶予付き有罪と思われるが、韓国外交部から日韓関係改善を阻害するなと文書で依頼してきたので、無罪判決する」ということ。

韓国内では、政府が裁判所に無罪判決を要請する文書を出し、無罪判決になったことで、安倍政権で慰安婦問題における大きな貸を作ったと噂されている。慰安婦性奴隷を安倍政権が全面的に認めなければ、そのときの反動は今以上に大きく、国交断絶も有り得ると推測もできる危険な掛けである。

先週、日韓の慰安婦担当局長級会議が行われたが、日本側は韓国に対して「個人賠償に関する日本政府責任は解決済であることを認め、元産経ソウル支局長の起訴を朴槿恵大統領が取り下げるなら、個人賠償の交渉に応じても良い」と要求している。

そういう外交交渉の内容を韓国法務省が問い合わせたので外務省が「日本側の要求」を文書で提出した。それが法務省に「朴槿恵大統領の意向」として裁判所に伝達されたのだろう。韓国外務省報道官は「朴槿恵大統領の意向ではない、単に日本政府の要求を伝えただけだ」と弁明しているが、あやしい。

安倍政権に貸しを作ったつもりの韓国外務省らしいが、対応を誤ると韓国国民から大きな失望と怒りをかうだろう。当面は、来年早春に予定される「慰安婦性奴隷」歴史記録の登録申請に対する安倍政権の対応が注視される。安倍政権はユネスコに官僚を出向させ申請事務に介入する姿勢も見せている。

安倍政権は南京大虐殺が記憶遺産に登録されたことに猛反発し、登録抹消に応じないならユネスコ運営資金拠出凍結と脅迫した。ユネスコは欧米マスコミ編集長300人ほどによる非公開投票の集計結果を公開し、慰安婦問題などの申請判断に対する日本政府の公開反論の機会を設けることに変更した。

◆日韓、無罪の力学 異例の配慮要求も 産経前支局長判決(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/ASHDK64SQHDKUHBI02B.html?iref=comtop_6_01
➀判決直前、韓国政府は裁判所に異例の「配慮」を求めた裁判所は韓国外交省が提出してきた文書を読み上げた上で「無罪」を言い渡した。内容は「犯罪的ではあるが有罪にするほどのことではない」という趣旨であり、韓国外務省が日韓関係改善のために安倍にサービスしたことになる。

◆日本、韓国政府に加藤被告の善処を要請…外交部、法務部に日本の立場を伝達(中央日報
http://japanese.joins.com/article/819/209819.html?servcode=A00§code=A10
➀韓国外交省が裁判所に提出した要請;
日本側からは政府関係者や経済界を含む各界の人々が多様なチャンネルを通じ、韓日関係改善において、事件が相当な障害要因になっている。
産経新聞の記事内容が虚偽であるという点が既に裁判の過程で様々なメディアで報道されている以上、両国関係発展という大局的な次元で、産経新聞前ソウル支局長の善処を強く要請してきたものである。
最近になって、韓日関係に改善の兆しが見えており、特に12月18日が韓日基本条約発効50周年の記念日である点などを勘案し、上記日本側の要請を真摯に考慮する必要があると考え、配慮してくださるよう望みたい。

②韓国外交部;
・(加藤前支局長)起訴が原因による負担が取り除かれた。今後は韓日関係の改善を期待。
・日本の政界・官界の人物が、「この事件は両国関係でかなりの障害要因になっているので善処してほしい。日本側の要請を考慮ほしい」と要求したことを法務部に伝えてきた。
・今後、こうした虚偽報道が韓日関係に負担を与えることが絶対にあってはならないことを日本側に要請した。

③外交部の趙俊赫報道官、直後に訂正
「外交部が善処を訴えたのではなく、日本政府からの善処要求を法務部に伝達しただけだ、裁判所に韓国外交部の意向だと誤って伝わるとは予想しなかった」。

◆韓国裁判所、産経前ソウル支局長に無罪判決(中央日報
http://japanese.joins.com/article/822/209822.html
◆韓国地裁 産経前支局長に無罪判決(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/17/2015121703131.html?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
➀判決文に「被告人の記事は不適切な部分があるが、民主主義社会で言論の自由が保護される領域に含まれる」

◆産経前ソウル支局長 無罪判決に「当然」=控訴断念求める(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/17/2015121703951.html
➀加藤氏『検察が悪意を持って狙い撃ちしたのではないか疑念に思っていた。検察にはこのことをあらためて問いただしたい』・・・韓国が陥れたくなるような報道を自分が繰り返していることを自白している。極めて悪質な人物と組織である。

◆判決文読み上げ3時間、産経前支局長は着席許されず(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/17/2015121703624.html
➀判決文の読み上げ開始から1時間40分が経過した時点で、弁護人は裁判長に対し被告人を座らせるよう求めたが、『高齢または病気でなければ立って聞かなければならない』と裁判長。

◆産経前支局長コラムは虚偽報道・名誉棄損だが誹謗の目的なし(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/18/2015121800669.html
➀ソウル地裁判決
・被告は虚偽事実を引用し、朴大統領を皮肉り、噂による疑惑を拡げ、大統領の社会的評価を著しく阻害した名誉毀損に当たる
・加藤前支局長は引用した報道が虚偽であることを知っていた。事実関係も確認しなかった。韓国で虚報であると立証されたのちも、訂正も謝罪もしていない。加藤元支局長の行為は言論人として不適切だ
・ただし、記事のあちこちに大韓民国の政治状況に対する評価が入っているという点を考慮すれば、大統領を誹謗する意図とは言い難く、韓国の政治状況を(悪意をもって)日本に伝える意図であった
・公的存在としての朴大統領に対する「批判言論の自由」は保護すべきであり、その領域に相当すると判断した

◆【萬物相】誤報を恥じない「言論の自由の闘士」産経前ソウル支局長(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/18/2015121800698.html
➀虚偽の報道で有名になった産経新聞の加藤達也前ソウル支局長は貨客船「セウォル号」沈没事故時の朴大統領の行動を巧みにスキャンダルと結び付け、その後の検察捜査で彼は日本で一躍スターダムに。

②加藤前支局長が引用した韓国報道は虚報であるとすぐに立証された。それでも日本の政界や右翼系メディアは彼を「言論の自由の闘士」扱いした。反韓感情をあおるには絶好の材料だったからだ。在宅起訴され、8カ月間出国停止された後に帰国した彼を安倍晋三首相官邸に呼び、いたわった。

産経新聞は加藤前支局長の記事が事実でないことが明らかになったのにもかかわらず、謝罪はおろか訂正報道すらしていない。電子版の記事も削除せずにそのまま掲載されている。それどころか紙面を通じて「韓国は言論弾圧国だ」という主張ばかり繰り返した。

朝日新聞が32年前の慰安婦関連記事について裏付証拠がないとして記事を取り消すと、「誤報に対する真摯な謝罪がない」と批判したのは産経新聞だ。記者にとって誤報は致命的なのにもかかわらず、恥とも思っていない。虚報としりながらそれを大宣伝することは産経のモットーなのだろう。

◆虚偽報道判決に反応示さない朴大統領、外交摩擦避ける狙いか(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/18/2015121800685.html
➀加藤前支局長が記者会見「虚偽判断、理解しがたい」に「どの部分か」と質問されるも回答できず。

朴槿恵大統領は反応を示していない。韓国大統領府は報道内容が虚偽だという裁判所の判断が出たため、もうこれ以上この問題による外交的負担を増すようなことはしない考えだと言われている。

◆関係国で事前協議案=記憶遺産、反論機会設ける−ユネスコ(時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2015121600911
➀記憶遺産は、専門家による非公開審議で選定してきた。今年10月、中国が申請した「南京事件」関連資料を記憶遺産として登録。日本政府は中国の申請を「記憶遺産の政治利用」と批判し、ユネスコに選定過程の透明性確保を要求・・・従わぬなら運営負担金の拠出を停止すると脅迫した。

②中国や韓国は「従軍慰安婦」関連資料の記憶遺産登録を準備している。関係国による事前協議が始まれば、日本の立場を両国に主張できる機会となる・・・世界に安倍政権のファシズム性と非道徳性を大宣伝する場になる。日本人は恥ずかしくて世界を歩きにくくなる。


………(2) 憲法改正を一挙に;参議院で2/3議席を奪うばらまき………

◆子育て給付金廃止=来年度から−政府・与党(時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco&k=2015121600874&utm_source=twitter&utm_medium=jijicom&utm_campaign=twitter
◆3万円給付に異論噴出=了承見送り−自民部会(時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco&k=2015121600872&utm_source=twitter&utm_medium=jijicom&utm_campaign=twitter
➀「子育て給付金」は廃止、自民「一人親家庭への支援などは同年度当初予算案でしっかり措置した」から不要になった。14年4月の消費増税にともなって導入され、高所得の世帯を除く中学生までの子ども約1600万人を対象に、14年度は1人あたり1万円、15年度は3千円を支給した。
②「高齢者への一時金3万円給付」新設、3620億円が2015年度補正予算案に
・・・小泉進次郎『人口減少や少子化対策が大事だと言いながら、高齢者に現金給付で出す政治メッセージとは何なのか』と「参院選へのばらまき」批判


………(3) 極右度;フランスと日本の比較………

【極右度;フランスと日本の比較】
安倍と前原>ルペン(仏極右)≒自民ハト派と公明と野田>サルコジ(仏右翼)>岡田≒オランド(仏中道)>日本共産党

フランスの極右政党があわや全国州知事を選挙で圧勝かと日本の新聞も騒ぐが、日本の状況はフランスの50年先まで極右化しきった。あらゆる政治権力、教育委員会、マスコミ、全国自治体から果ては町会まで「右翼人事」が蔓延。人事だから次世代は右翼青年だけが登用される。末期がんである。

フランスの保守化と安倍日本を比較すると・・・ルペン極右党首は安倍や前原よりも左翼で公明程度。右翼サルコジは野田前首相程度。左翼社会党岡田代表程度の中道である・・・極右度:安倍と前原>ルペン(極右)>自民ハト派と公明と野田>サルコジ(右翼)>岡田>オランド(中道)>日本共産党


………(4) 夫婦別姓について………

夫婦同姓を強要する民法違憲であるとの提訴をうけて最高裁が判決をだした。最高裁全判事15名中5人が違憲と述べ、女性判事3人全員が違憲判断であった。国連人権委員会から再三是正勧告を受けてきたが、最高裁がそれを拒否した。

世界で夫婦同姓を強制する国はほとんどない。タイは夫の姓が妻の姓になる法律を改正し選択的別姓を認めた。国連人権委員会の是正勧告に従ったのである。しかし、日本は最高裁も国連人権委員会の勧告を無視した。

日本国憲法は「門地」による差別を禁止している。戸籍に夫婦同姓を強要することで門地が追跡できる。これは憲法14条に違反している。

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない。

世界は? 民主国家は国が管理する国籍(無い国も多い)で個人の家系図が作成できることを阻止している。

米国は夫婦同姓ですが姓は両家以外からも選択可能
ヒラリー・ローダム・クリントン=米国は夫婦同姓であるが、ヒラリーは通称としてヒラリー・ローダム・クリントンと言っている。ローダムはヒラリーの親の姓であり、クリントンは夫の姓である。

フランスは両姓併記か両親の名前併記
フランソワ・ジェラール・ジョルジュ・ニコラ・オランド=父ジョルジュ・オランド、母ニコール・トリベール

ドイツは選択制別姓
アンゲラ・ドロテア・メルケル=出生時の名前はアンゲラ・ドロテア・カスナー。初婚の夫ウルリッヒメルケル、再婚の夫ヨアヒム・ザウアー

中国と韓国は夫婦別姓
彭麗媛=習近平夫人、程虹=李克強夫人 中国は夫婦別姓であり、選択別姓でもない。

陸英修=朴正煕(高木正雄)夫人で朴槿恵大統領の親、李姫鎬=金大中婦人 韓国も夫婦別姓

◆(社説)「夫婦同姓」の最高裁判決 時代に合った民法を(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12120423.html?ref=pcviewer
➀海外では、夫婦同姓を法律で義務づけている国はほとんどない。タイではかつて「結婚した女性は夫の姓を使う」と法律で定めていたが、憲法裁判所の違憲判断を機に05年に選択的夫婦別姓が導入されている。
◆(耕論)「夫婦同姓」合憲、でも… クルム伊達公子さん、泉徳治さん、山田昌弘さん(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12120435.html?ref=pcviewer