朴槿恵大統領の「原則主義」と抗日戦勝70年式典

(1) 南北衝突危機を回避させた朴槿恵大統領の「原則主義」
(2) 韓国は「東アジア共同体」を目指す
(3) 9月3日抗日戦勝70周年記念式典の参加国
※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点

………(1) 南北衝突危機を回避させた朴槿恵大統領の「原則主義」………

朝鮮日報は「北朝鮮は地雷事件の謝罪を第三者のような態度で遺憾表明した。だが、拡声器が北朝鮮人民に与える影響力の強さを証明もした。合意された対話の雰囲気を継続することが大切だ。制裁解除の原則は哨戒艦「天安」への魚雷攻撃の謝罪になるだろう」と注意を促す。

中央日報は「朴大統領の「原則主義」が北朝鮮の「瀬戸際戦術」を打ち破った。その背景には北朝鮮の嘘を追及する拡声器があり、朴槿恵大統領のタフな指示が北朝鮮を怖気つかせたからだ」と、韓国外交が自信と勇気を取り戻したと報道。

・・・安倍の「謝罪なき遺憾戦術」も朴大統領の「原則主義」で乗り越える、訪米ではそれを明確にして、米国政府に理解させようではないか・・・

◆【社説】韓国は北に思い知らせたのか、好機を逃したのか(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/08/26/2015082601443.html
①「北朝鮮遺憾の意を表明したのは、地雷により2人の韓国軍兵士が負傷した事実に対してであり、第3者がけが人を見舞うようなもので、北朝鮮が自分たちによる挑発行為を認め、謝罪したことにならない」と疑問視する向きもある。
②だが、北朝鮮の権力者たちは北朝鮮住民が真実を知ることを何よりも恐れている事実と、その手段として拡声器放送が非常に効果的だという事実が明らかになったことは大きい。
③韓国と北朝鮮は今回の協議で「話し合いの継続」や「離散家族再会行事の実施」などでも合意した。このような対話の雰囲気は今後も維持し、会談の定例化、体系化を進めるべきだ。
北朝鮮が2010年に韓国海軍の哨戒艦「天安」に魚雷攻撃を加えて沈没させた。これを認めて謝罪しなければ、韓国政府は「5・24制裁措置」を解除できず、南北が交流拡大で合意しても、それを実際に進めていくことはできない。この謝罪問題を交渉によって解決すべきだ。

◆北の瀬戸際戦術を上回った朴大統領の「原則主義」(中央日報
http://japanese.joins.com/article/871/204871.html?servcode=500§code=510
北朝鮮はいつものように「瀬戸際戦術」を使った。しかし今回の高官接触ではこうした瀬戸際戦術が通用しなかった。むしろ朴槿恵大統領の「原則主義」が威力を発揮した。
②で交渉を見守りながら、地雷挑発など事態の再発防止問題が壁にぶつかった時など2度も朴大統領は青瓦台(大統領府)から「撤収するよう伝えなさい」と指示して、朴大統領が北朝鮮に圧力を加えた。
③協議が中断してもかまわないという南側の対応に北側は当惑した。朴大統領は「今回の会談は挑発に対する謝罪と再発防止が最も重要な懸案」とし「北が挑発状況を最大化しても決して退かない」と述べた。北朝鮮が謝罪や再発防止の約束をしなければ「相応の措置と拡声器放送も維持する」とも語った。
④対北朝鮮消息筋「韓国哨戒艦『天安』事態など深刻な挑発でもしなかった対北放送を再開すると、北の首脳部としては慌てるしかなかった。北側の国境には韓国の文化が入ったDVDが流通し、南側の国境で対北放送が続けば北は耐えられないため、北が交渉をより強く望む状況が形成された」。

◆<南北高官接触妥結>国内外の専門家が評価…「タフなソウルの外交が効果得る」(中央日報
http://japanese.joins.com/article/887/204887.html?servcode=500§code=510
新政治民主連合の朴智元議員『韓国は地雷挑発事件に対する謝罪を引き出し、北は対話と交渉を通じた民間交流の活性化を得て突破口を開いた。南北ともに入口戦略と出口戦略をうまく混合させた。合意した6項目を実践しながら信頼を回復し、最終的に南北首脳会談まで推進するべきだろう』
②延世大国際学研究所の金凱研究員『今回、南北は他の勢力の影響力なしに自ら問題を解決できるということを見せた』
③米カーネギー国際平和研究院副会長ダグラス・パール『北の態度変化は驚くほどだった。精巧でありながらも強いタフなソウル外交が効果を見せつけた』
④米戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ『北朝鮮の遺憾表明は異例の事態であり、北朝鮮が対北朝鮮拡声器にどれほど苦しんでいるかを見せるものであり、北朝鮮内部の脆弱性朴槿恵大統領の原則主義があぶりだした』

◆韓国政府 南北当局者会談の準備に着手(朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/08/26/2015082601772.html
①韓国政府は南北高官協議で北朝鮮と合意した南北当局者会談の開催に向け準備に着手。2010年3月の海軍哨戒艦「天安」撃沈事件を受け、韓国が同年5月から実施している対北朝鮮制裁措置(5・24措置)の解除についても取り上げられるだろう。


………(2) 韓国は「東アジア共同体」を目指す………

中国経済減速は安定成長に向かう調整期に表れる避けられない現象であり、8月の中国製造業購買管理指数(PMI)暫定値や輸出入の指数もさほどの悪化ではない。輸出経済から内需経済へと転換する過程で、「輸出商品生産能力の過剰」を解消すれば、当然起こることに過ぎない。

上海指数が大きく落ちても政府が動かないのは、度を超える借金をした後に短期売買をする投機屋を市場から追い出すためとの見方も強い。『中国政府が暴落する株価を支えることはできない、浮揚策は出尽くし、景気低迷が深刻になる』と、怯えるのは投機筋のマスコミなのだ。

朴槿恵大統領は北朝鮮との和解を促進し、9月3日には中国の「抗日戦勝70周年記念式典」に出席し、上海に再建された「朝鮮亡命政府本館」(日本に侵略されたときの亡命政府)の開所式に出席する。習近平主席とは『中国〜朝鮮〜韓国の経済ベルト建設』の協議を行うだろう。

韓国野党の新政治民主連合文在寅代表も、中国共産党の招待により10月14〜16日に北京で開かれる『アジア政党国際会議(ICAPP)』に参加し、韓国〜北朝鮮〜中国をつなぐ新経済地図を提案する。

◆【コラム】中国株式市場暴落を見る目:恐怖と機会の間で(中央日報
http://japanese.joins.com/article/857/204857.html?servcode=100§code=120
①中国が咳をすれば世界経済は風邪をひく。株式市場は揺れる。
②昨年6月まで上海総合指数は2000水準だった。1年間で150%暴騰し、6月12日に最高値5166をつけた。その直後から下落が始まった。中国政府の各種浮揚策にもかかわらず、24日まで38%も下落した。上昇する時も急激だったが、落ちる時も自由落下する。
③とはいえ、この2、3カ月間に株式市場を揺るがす大きな悪材料が生じたわけではない。8月の中国製造業購買管理指数(PMI)暫定値は47.1だった。この指数が50以下に落ちたのは今年3月(49.6)からだ。この程度で製造業が折れると断定することはできない。
④先月の中国の輸出と輸入がそれぞれ8.9%と8.6%減少(前年同月比)したが、怖気づくほどではない。世界の主要株式市場が急落した理由は、世界の投資家に致死率高い「中国の資産バブル崩壊」という恐怖のシグナルとみたからだ。
⑤表面では中国経済が揺れるように見えるが、安定成長に向かう調整期に表れる避けられない現象だ。中国経済のアキレス腱は「生産能力の過剰」だ。その調整は雇用問題を生じさせるが、内需・サービス業中心に経済体質を改善すれば、7%の成長でも雇用は1000万件以上創出できるだろう。
⑥上海指数が大きく落ちても政府が動かないのは、度を超える借金をした後に短期売買をする投機屋を市場から追い出すためとの見方も強い。「中国政府が暴落する株価を支えることはできない、浮揚策は出尽くし、景気低迷が深刻になる」と、怯えるのは投機筋のマスコミなのだ。
➆中国は今後も自らの道を歩むはずだ。市場経済を目指すというが、投機市場化は防ぐだろう。資本主義市場経済よりは中国独自の国家社会主義市場経済試験を続けるはずだ。
⑧問題は韓国だ。輸出の25%が中国に向かい、貿易黒字全体の170%が中国で生じる国が韓国だ。中国はもう「世界の工場」でなく「世界の財布」だ。韓国から部品等中間財を輸入し、それを組み立てて輸出する中国はない。韓国が生きる道は中国の高級消費財とサービス市場への進出だ。

◆韓国野党代表、10月中国公式訪問…「朝鮮半島の新経済地図、具体化へ」(中央日報
http://japanese.joins.com/article/878/204878.html?servcode=A00§code=A30
新政治民主連合文在寅代表が中国共産党の招待により10月14〜16日に北京で開かれる『アジア政党国際会議(ICAPP)』に参加する。
②北核など韓半島の平和と安保について意見を交わす予定。光復(解放)70周年を迎えて経済統一構想とあわせて提示した『韓半島の新経済地図』の具体案を中国で模索することになるだろう。
③文代表は今月16日、次期執権ビジョンとして「韓国経済の唯一の活路は北朝鮮と経済共同体をつくる」を提出し、さらに環東海(日本海)圏と環黄海圏を両輪とした韓国〜北朝鮮〜中国をつなぐ経済地図を提示した。


………(3) 9月3日抗日戦勝70周年記念式典の参加国………

国連は事務総長以下専務理事が全員出席。国連敵国条項を思い出させる。安倍が集団的自衛権を行使したい相手国も、韓国、蒙古、ベトナムミャンマー国家元首が出席、マレーシア、豪、印、英、仏、伊は政府代表の外相か国防相か国務相あるいは前副首相が出席。

安倍は「宣戦布告」をしない武力行使は「戦争ではない」と詭弁 ・・・ベトナム戦争もアフガン戦争もイラク戦争も、そして日本帝国の満州事変も、北支事変も上海事変も南京攻略も重慶空爆も「戦争ではなかった」になる。それで3千万人を殺してきた。

安倍が集団的自衛権を行使する同盟国と期待する国には、戦争協力する国は無い。日本の兵站を無料で頂戴するか、自衛隊に戦争させて自国軍は撤退したい国ばかりだ。そのことが9月3日の対日戦勝70年式典の参加国でわかる。

この式典は首脳会談の機会などほとんどなく、軍事パレード観閲後、記念パーティだけだ。それでもこれだけ参加することは、全世界が安倍の日本を危険視している証だろう。

◆China set to celebrate WWII victory with presence of 30 world leaders(新華社http://news.xinhuanet.com/english/2015-08/25/c_134554310.htm
①中国は51カ国に招待を出し、49カ国が招待に応じ出席する。招待に応じなかったのは、日本とフィリピン。
②30カ国首脳
韓国、朝鮮、蒙古、ベトナムラオスカンボジア、タイ、東ティモールミャンマーパキスタンカザフスタンキルギスタジキスタンウズベキスタン、ロシア、ベラルーシチェコポーランドセルビアボスニア・ヘルツェゴビナアルジェリア、エジプト、エチオピアコンゴスーダン南アフリカキューバベネズエラ、アルゼンチン、バヌアツ
③19ケ国政府代表
マレーシア(国務相)、シンガポール(副首相)、豪州(国務相)、NZ(副首相)、英国(前法務相)、オランダ(国務相)、仏(外相)、イタリー(外相)、印度(外相)、ハンガリー(外相)、リビア(外相)、チュニジア(国防相)、ブラジル(国防相
④国連
潘基文事務総長、世界保健機構専務理事、ユネスコ専務理事、WTO専務理事
⑤要人
ブレア元英首相、シュレーダー元独首相、村山元日首相、エストラダ前フィリピン大統領(マニラ市長)
⑥中国駐在大使が出席
米、英、独、インドネシア
➆軍事パレードに行進兵派遣国(17国)
ロシア、蒙古、ラオスカンボジア、フィージー、バヌアツ、パキスタンアフガニスタンタジキスタンセルビアベラルーシキューバ、メキシコ、ベネズエラ
⑧軍事パレード観閲に軍代表派遣国(31国)
韓国軍、フランス軍、英国軍など

◆朴統領、軍事パレード出席へ=北京での抗日記念行事−韓国(時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2015082600885&utm_source=twitter&utm_medium=jijicom&utm_campaign=twitter
朴大統領は訪中初日の2日に習主席と会談。3日午前の軍事パレードなどを観覧し、午後は習主席主催のレセプションに出席。続いて上海に向かい、4日午前、独立運動家らが1919〜32年に設置した大韓民国臨時政府庁舎の再開館式に出席。