安倍改憲を加速/史上最大規模の護憲集会

※敬称略。

衆院憲法審査会:「緊急事態、先行議論を」自民が提案(毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20150508k0000m010104000c.html
◆「改憲2段構え」自民鮮明 まず3条項合意狙う 憲法審(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11741802.html?ref=pcviewer
改憲論議、入り口から溝 自民、合意へ妥協も(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11741785.html?ref=pcviewer

?自民は「2段階改正」作戦。来年の参院選に勝利し、参院も自公で2/3の多数を確保した後に、憲法改正国民投票の手続きを始めたい自民。
改憲第一段階は、多くの党が必要性で一致している緊急事態や環境権、財政規律の3条項の新設などで改憲し、憲法改正に対する国民の抵抗感を薄める狙い。
改憲に対する国民の抵抗感が薄まり、中国との軍事的対峙を鮮明にさせ、アベノミクスも成功を演出しきれば、前文や9条の「平和憲法」を廃止し、先制攻撃を含む軍事的抑止力を日本が独自に強化する憲法改正を第二段階改憲で達成できると目論んでいる。

?だが、公明党の斉藤鉄夫氏は「現行憲法は戦後日本の平和に貢献し、国民に定着した。新たな理念を追加する『加憲』が妥当で、その対象は『新しい人権』―プライバシー権や知る権利などだ。『環境権』は人間のための環境保護か、生態系の保護かなど課題があり、難しい。憲法13条の幸福追求権と環境基本法の理念がすでにあり、それよりも上位の環境権という概念を提示できない。強行すれば、環境権を根拠に、経済開発などをめぐって訴訟が多く起こる」と「国民的合意形成」を優先して、改憲を急ぐ自民にクギを刺した。

?もし公明党改憲に躊躇するのなら、維新に「大阪都構想の後押し」を提案し、自公連立を解消して、自維連立を組む。それで自維政権は2/3を超えるから改憲発議の第二段階も実現できると考える。
橋下市長は「改憲は絶対必要」と宣言し、衆院憲法審査会でも維新の党の井上英孝氏が「より効率的で分散型の統治機構」―国と地方の役割を抜本的に見直すことを優先項目として掲げ、安倍政権が大阪都構想に賛成するなら、自民と維新で与党を組み、改憲を推し進めると示唆した。

?安倍政権下での改憲に反対する民主党は、
長妻昭氏が「自公は集団的自衛権の行使容認を憲法解釈変更で強行した。さらに『お試し改憲』という報道がある。本丸は9条だが、国民が理解するようなところからやっていこうと(姑息)」と2段階戦略を批判。
武正公一氏も「立憲主義からいえば、一内閣が都合のよいように恣意的に憲法解釈を変更することはあらざるものだ。また、安倍晋三首相の過去の発言―連合国軍総司令部(GHQ)による『押し付け憲法』だから改正するという主張―の是非を確認する必要がある。また改憲発議は、現状の社会問題として憲法に補うべきものの議論からはじめるべきで、改憲を急ぐべきでない」と批判。

?共産党赤嶺政賢氏は「国民は改憲を求めていないと断言できる。全面的に改憲に反対。改憲のための審査会を動かす必要はない」と、改憲論議そのものに反対。

?7日に開かれた衆院憲法審査会では、案の定、自民党は緊急事態条項など各党が合意しやすい改憲項目の優先審議を提案。次世代の党も賛意。
自民党の船田元氏は『大規模災害が発生時の緊急事態条項』、『環境権など新しい人権』、『財政規律条項』の3項目の先行議論を求めた。

?第一項目『緊急事態条項』は、大規模災害が発生した際、衆院解散や任期切れで衆院議員が不在となる事態を避けるため、議員の任期延長などを「憲法で規定」するものである。
しかし、自民が12年に発表した憲法改正草案では、「緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国、その他公の機関の指示に従わなければならない」と規定され、自民党内ですら『戒厳令を思い起こさせる』(副大臣経験者)との懸念意見がある。
民主党武正公一氏も「非常時も国民主権基本的人権の尊重が侵されることなく、憲法秩序が維持される仕組みの明確化や首相の解散権の制限を設けるべきだ」と批判した。

?第二項目『財政規律条項』にも自民党内の反対が強い。経済政策を硬直させるとか、何をもって財政規律と見なすかの線引きも難しいとの異論である。

?自民党草案には、『緊急時の私権の一部制限や行政権限の強化』など、基本的人権に関わる項目が盛り込まれている。民主、公明両党が想定するのは議員任期の延長など限られた内容で、具体論に入れば、各党の国家観の違いが浮き彫りになるのは確実だ。
憲法審の終了後、船田氏「今後2年の間に発議がなされ、国民投票までつながればありがたい」と発言。


………史上最大規模の護憲集会………

◆日本国民が「護憲」のために立ち上がった理由(人民日報)
http://j.people.com.cn/n/2015/0505/c94474-8887553.html
?5月3日は日本の憲法記念日。日本全国で様々な護憲集会が開催され、横浜臨港パークには3万人以上が参加し、戦後最大の護憲集会となった。日本は「平和憲法」を手に、アジアの信頼を回復し、驚異的な復興と高度成長をとげることができた。

?日本国民は戦争の苦しみを経験した後に、平和憲法の恩恵を受けたため、国が再び戦争に陥ることに断固反対している。朝日新聞世論調査によると、憲法改正不要と考える国民は48%、憲法9条を「変える必要はない」とする国民が63%に上った。

?憲法9条
1.国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

?だが安倍首相は力の限りを尽くして憲法改正を推し進め、すでにそのプロセスを始動している。自民党憲法9条に狙いを定めている。安倍首相は来年の参院選後に憲法改正に向けた国民投票を行うとのタイムテーブルまで定めている。

?安倍は憲法改正を図ると同時に、平和憲法の骨抜きに知恵を絞っている。「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」、「国家安全保障会議」、「武器輸出三原則見直し」、「集団的自衛権行使容認の閣議決定」、「日米防衛協力指針改定」。これは日本が実質的に「専守防衛」を放棄したことを示す。

?安倍政権の対外政策にも日本国民は憂慮し、不安を抱いている。安倍首相は歴史修正主義を奉じ、侵略の歴史を隠蔽し、慰安婦問題について語ることを拒み、「おわび」の義務を回避し、隣国との友好関係を損なった。日本は米国との同盟関係も強化しており、米国の軍事行動により深く巻き込まれるからだ。

?安倍首相が独断専行し、煽り立てているため、平和憲法は厳しい試練に直面している。朝日新聞の調査によると、衆議院議員のうち憲法改正に賛成は84%にも上り、反対はわずか10%前後だった。これは日本政治右傾化の危険が一段と際立っていることの反映だ。

?国民が憲法改正を支持していないという事実を前に、与党である自民党は民の声に耳を傾け、民意を尊重し、慎重に事を行うべきではないのか?日本の指導者は、自らのささいな「執念」のために国民の願いを顧みず、国家を誤った道へ引きずり込んではならないのではないのか?

………安倍晋三訪米への中韓からの批判………

◆安倍首相の訪米:幅広い批判と疑念を招く(新華社
http://jp.xinhuanet.com/2015-05/05/c_134212077.htm
?罪責への言及を避けて批判される
訪米前にNYTは社説で指摘した。「戦争発動の決定、隣国に対する野蛮な占領、戦争中の何千何万人に対する暴行及び「慰安婦」性奴隷を含んで、安倍首相の訪米が成功するかどうかは、日本の戦争の歴史に誠実に向き合うことができるか、いかにして誠実に向き合うかによって決まる」。

? しかしながら、安倍首相は全ての公の場所で、日本の第二次世界大戦に対する罪責を回避し、旧日本軍の暴行を風化させた。米議会での演説でも侵略の歴史と「慰安婦」問題に対する謝罪を拒否した。

?米国議会下院外交委員会のエド・ロイス委員長は「大変、失望している。「慰安婦」被害者は性奴隷として屈辱を受けただけでなく、一部の日本の政治家の歴史を否認する発言で傷つけられている。安倍首相は議会演説の機会を借りてそれらの被害者たちに謝罪すべきだ」とする声明を発表した。

?NYTは4月30日、次のように報じた。「安倍首相とその右翼政治団体は絶えず事実を疑い、改竄さえ企てている。安倍首相はまた、日本の無条件降伏宣言記念日などの別の機会にこの問題に言及する機会がある。重要なことは安倍首相が話す内容と基調が正確であるべきで、そうしてはじめて被害者のために正義を貫き、日本と隣国との関係を改善できる」。

?新たな「日米防衛協力のための指針」は民意に背く
日本の武装エネルギーが世界でより攻撃的な役割を担い、日米軍事同盟のカバー範囲を日本周辺中心から全世界へと放射状に拡大することを容認した。「日本が一貫して堅持してきた『専守防衛』安全保障政策が実質的に変化する。日本政府のこの動きは民意を無視したもので、安全保障関連立法で大きな抵抗に遭うだろう」とアナリスト。

?安倍首相は民衆に歓迎されない安全保障政策を推進しようと企んでいる。日本人は現行の平和憲法を強く支持しており、安倍首相が政策を執拗に推進すれば、日本国内で日本の防衛の役割に関して大きな議論が沸き起こると指摘されている。

?共同通信社が4月30日に公表した民意調査で、48%の日本人が新たな「日米防衛協力のための指針」に反対し、賛成はわずか35%だった。

?TPP貿易交渉には分岐が存在
TPP交渉はすでに5年間にわたって行われており、交渉全体の最大の2つの経済体として、日本と米国は農産物の輸入関税や自動車貿易の関税といった多くの重要な問題で、食い違いを埋めることができず、最終合意に達する見通しに影を落とている。

………安倍晋三歴史修正主義の要因………

◆安倍首相の言行は歴史修正主義の正体を暴露――中国社会科学院の日本問題専門家呂耀東氏(新華社
http://jp.xinhuanet.com/2015-05/05/c_134211133.htm
?安倍首相がいわゆる戦後70周年「談話」を発表する目的は、この節目において、日本の侵略の歴史に対する反省を表明し、日本がアジアの隣国から受け入れられ、国際社会に復帰することではなく、日本の侵略の歴史を否定し、早期から定説となっている侵略の事実を白紙に戻し、判決を覆すことを意図している。

?安倍首相が歴史認識問題で「逆行」するのは、主に次の2つの要因がある;
第一に、安倍首相本人に誤った歴史観がある。安倍首相の母方の祖父、岸信介氏は偽満州国高官で、日本の軍需省(商工省)の大臣を務めていたが、法の網の目から逃れた第二次世界大戦A級戦犯だった。岸信介氏の歴史観に影響された安倍首相は、安倍首相「個人」の歴史修正主義を「日本の国家行為」に転化し始めている。

第二に、日本の政界、経済界及び学術界に存在する、一部だが強力な権力を保持するに至った、右翼が「自由史観」と「皇国史観」を支持しており、日本が侵略国であるかどうかは学術界の右翼専門家によって討論すべきだと、歴史の定説を否定している。NHKなどマスコミへの人事介入同様に、歴史学会の人事に介入すれば、「侵略ではなかった」が歴史の定説にできると目論んでいる。

【写真】メルケル首相がダッハウナチス強制収容所記念館での犠牲者に花輪を供え(新華社
http://jp.xinhuanet.com/2015-05/04/c_134207010.htm