多極化時代の中露イランの動き

安倍が「戦争犯罪を反省」するが「そんな軽微な犯罪は戦争の付き物に過ぎず」、そんな「マイナス思考に囚われていたのでは中国の覇権主義を民主主義国全体で包囲して牽制し、悔悛させることができない」から、これからは未来志向の「積極的平和主義」日本だ、と米国ネオコン官僚だけを相手に演技中。

アジアの戦争記憶と日本の敗戦後寸時もおかず復活した軍国主義憲法9条の皮肉なり恩典を受けて、「軍事では米国に負けたが、経済で見返した。そもそも中国とは軍事戦争でも経済競争でも一度も負けた事がない」と嘯いて、国民の洗脳教育を50年も続ければ、どうなるか。

日本経済が絶好調のときは、それで満足していたが、極度の輸出偏重経済は、これまた「侵略、搾取」にほかならず、世界からの圧力に屈して長期停滞に入ると、安倍晋三のような時代錯誤と天命(自然の命じる法)に逆らう輩に全権力を握らせ、国民は嫌韓・反中本やヘイトデモで憂さ晴らしする。

それも非難され、誰もJapan as Number Oneと言ってくれなくなると、他人の評価だけを気にする日本人が、急に自画自賛の嵐を起こして、その渦中で花見を楽しむようになる。そして、その花見が永遠に続くことを祈って、歴史教育の歪曲に増々精を出す・・・これが安倍ニッポンの御姿だろう。

「戦争を反省」し、二度と戦争を起こさせないために「わたすは、戦争を起こす国を先制攻撃することも躊躇したくない。それが積極的平和主義じゃ」などと一部米国人にしか理解できない戯言を繰り出しながら、下村なる教育破壊主義者が中国の歴史教科書を検定で歪曲させ中韓の非難は収まらない。

しかし中国の側からみると、安部ニッポンの御相手などする暇はそうないのだ。「一帯一路」だけでも忙しさは並大抵ではない。人口が日本の10倍だから、仕事も日本より10倍速く達成するというストレスに中国は絡めとられている。

その結果か、あるいは自省からか、習近平政権は経済減速と内需経済への移行、それを円滑に達成するための利権にまみれた腐敗官僚の一掃でも忙しい。

だが、安倍の中国包囲網を破るために、中国は内政改革を少し遅らせたかもしれないが、外交は逆に「安倍に押されて加速」して『一帯一路』が瞬く間に世界標準になってしまったという皮肉な結果になっている。

安倍の逆包囲まで中国は考えたことが無い。せいぜい中国と韓国とロシアが連帯して戦勝70周年記念を祝いましょ、くらいのはずだった。しかし、アジア開発銀行の改革を日本が拒否し、世銀とIMF改革を米国議会が拒否した結果、中国を取り巻く歴史の動きが大回転してしまった。

日本政府と米議会が国際金融機関の改革を拒否した“おかげ”で、中国はBRICSの銀行と基金およびアジアインフラ投資のための銀行と基金を創立させられただけでなく、欧州・大洋州ASEANBRICS中央アジア・中東の殆どの国が参加する『日米国際包囲』が自然にできてしまった。

まあ、そんな具合だから、中国は経済の安定的発展の達成に忙しく、政治の9割が経済関連に費やされている。ただし、経済発展は日米のようにとっくに飽和しきった先進国だけでなく、発展途上国も急激に飽和の壁に突き当たっている、至る所で。

米国は経済発展を邪魔する壁を破壊し更地にして新たな搾取を考えがちだが、それが局地戦争や国際テロを発生させる。挙句、苦し紛れに、新手のバブル発明にいそしむ結果になる。それがリーマンショックだった。今またTPPとかいう怪しげな宝刀を振りかざしているが各国は米国に騙されなくなった。

結局、地球唯一最大の超大国は見る影もなくなり、名目GDPで中国に迫られ、IMF購買力平価GDPでは中国に抜かれてしまった。1990年には世界一だった日本経済も、今では20位くらいに落伍し、韓国に追い上げられている。今年はドイツに追いつかれるのでは、いやロシア制裁があるさ・・・

どう足掻こうが、眼をつむっても、世界は多極化してしまった。多極化した国々は、もはや米国の顔色を窺わない。中国主導の「一帯一路」インフラ建設に経済を掛けようと、AIIBに参加した英国は、米国に事前相談もしなかった。もちろん仏独豪韓も。

多極化時代は、物事の性質に応じて、各国が自分で判断して、自分のリスクで加入したり離散したりする。それが世界を混沌と混乱に陥らせるとは限らない。なにしろ超大国米国が制する地球は最悪に近かったから、むしろ、誰がどうやっても少しは良くなるばかりだろう。

・・・とんでもなく長い前置きというか、脱線でしたが、今日の本文はたったの4文節で、多極化の動きの典型です。今、ロシアと中国とイランは世界で何をしているかという例です;

中国はキエフの財政援助を行う[01]。ガス支払代金や年金支給の滞りを防ぐために。その年金は東ウクライナ住民にも支払われる。ロシアはキエフへのガス供給を再開している。ロシアはまた、中国に続いてギリシャの債務返済危機を逃れるための経済再生に協力する [02]-[04]。

イランはトルコとISに共同対処[10]。イランは次にパキスタンとも協力関係強化[11]。イランを中心としてトルコとパキスタンが統一的なIS対策陣営を構築すると、シリアに移動したISとも戦える[20]-[23]。それにパキスタンのISは中国の新疆ウイグル過激派を抑える効果。

イラクではISの拠点がシーア派民兵によって攻撃され縮小しているが[30]、解放されたティクリートではスンニ派住民の虐待が発生しているという[31] [32]。それを阻止できるのはイランとトルコである。

ナイジェリア[40]とケニア[50] [51]に広がったイスラム過激派に対処する責任は米国。イエメンを制圧したシーア派武装組織フーシ[60]-[62]の行動を抑制できるのはイランとパキスタン。それによってイエメンをアルカイダ系かIS系の過激派の侵入を阻止できる。

(参照報道)
[01] ウクライナを金融支援=中国、通貨交換協定で
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_date2&k=2015040800630
[02] ロシア:ギリシャと2国間貿易や投資での協力強化で合意
http://mainichi.jp/select/news/20150409k0000e030201000c.html
[03] ギリシャ:9日期限 IMFへの融資返済を確約 財務相 
http://mainichi.jp/select/news/20150406k0000e020194000c.html
[04] ギリシャ首相:ドイツをけん制 対露接近で
http://mainichi.jp/select/news/20150409k0000m030104000c.html

[10] イランとトルコ、IS打倒で一致 両首脳が会談
http://digital.asahi.com/articles/ASH477D2JH47UHBI02G.html
[11] イラン:外相がパキスタン訪問「イエメン政治解決を」
http://mainichi.jp/select/news/20150409k0000e030166000c.html

[20] シリア:ISが中枢近くに勢力…アサド政権の脅威に
http://mainichi.jp/select/news/20150403k0000m030069000c.html
[21] 「イスラム国」、ダマスカス南部侵攻 難民キャンプ制圧
http://digital.asahi.com/articles/ASH421DY9H41UHBI02Q.html
[22] アルカイダ系、シリア北部の拠点制圧 ISとは対立関係
http://digital.asahi.com/articles/ASH303CQFH30UHBI00F.html
[23] シリア:核枠組み合意のイラン称賛
http://mainichi.jp/select/news/20150405k0000m030077000c.html

[30] イラン:イラクティクリート奪還に祝福の声明
http://mainichi.jp/select/news/20150402k0000m030097000c.html
[31] IS撤退の街、民兵の略奪横行 宗派ねじれ、政府に不信
http://digital.asahi.com/articles/ASH475T2DH47UHBI01W.html
[32] イラク:スンニ派議員ら略奪や放火被害 ティクリート
http://mainichi.jp/select/news/20150407k0000m030052000c.html

[40] 国連安保理:ボコ・ハラム ナイジェリアから周辺国へ拡大
http://mainichi.jp/select/news/20150402k0000m030085000c.html

[50] ケニア大学襲撃:過激派、ソマリアへの軍事介入に反発…死者147人
http://mainichi.jp/select/news/20150404k0000m030074000c.html
[51] イスラム過激派:「ケニアは血で染まる」と予告
http://mainichi.jp/select/news/20150405k0000m030072000c.html

[60] イエメンに2日連続空爆 サウジ「地上作戦の予定なし」
http://digital.asahi.com/articles/ASH3W5H27H3WUHBI01L.html
[61] 国連安保理:ロシアがイエメン空爆一時停止求める決議案
http://mainichi.jp/select/news/20150406k0000m030037000c.html
[62] アラブ合同軍創設で合意 米国の影響力低下で結束
http://digital.asahi.com/articles/ASH3Y55ZPH3YUHBI00D.html