G7広島外相会議;核兵器の有効性を追認

(1) 原爆投下に謝罪なし
(2) 被爆経験発言を全ての外国記者が無視した
(3) 核兵器の有効性を追認
(4) 中国非難に拘った日本、「G6」は日本無視
(5) 日本に対する中国の強烈な怒り
※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点

………(1) 原爆投下に謝罪なし………

◆John Kerry will not apologize for atomic bombs dropped on Japan while he is in Hiroshima(WP)
http://wapo.st/1oOaD96
国務省筋は広島G7外相会議について述べた;
➀会議の目的はシリア戦争と欧州難民問題の討議である
②原爆記念館を訪問するが、「原爆投下は謝罪しない」。
「日米に多数の犠牲が出た事には悲しみを表明」する。

◆ケリー米国務長官被爆地を訪問、「謝罪はしない」と米高官(AFP)
http://www.afpbb.com/articles/-/3083564
➀ケリー長官原爆記念館で「世界中の全ての人がこの資料館を見て、その力を感じるべきだ。戦争は、最後の手段でなければならない。決して最初の選択肢であってはならない」
②岸田外相にケリー長官「今回の訪問は、過去についてのものではない。現在と未来のためだ」
③ケリー長官に同行している国務省高官「国務長官の広島訪問は謝罪のためかと聞かれれば、答えは『ノー』だ」。

◆John Kerry, G7 minsters visit Hiroshima bombing site(CNN)http://cnn.it/1TLDsAj
G7外相会議で広島原爆記念館を見学したケリー発言;
➀私は非常に深い印象を受けた
②戦争が人々に、社会に、国に、世界にどんなことをするのかに思いをいたすのか、それとも無視して戦争を始めるのかは、極端に複雑な選択をせまる。
③しかし、米政府は明確にしている「ケリーが広島で謝罪するのかという質問なら完璧に”NO”である」。共同声明に核廃絶は無く、もちろん核の使用は戦争犯罪であるとの表現も無い。G7で賛成する国は全く無いからだ。
④原爆投下の「謝罪」は絶対に無い。あるのは、戦争を起こせば原爆も投下され、悲惨な犠牲が出ることを世界は知った方が良いと言うことだ。過去ではなく未来を見つめることだ。オバマ大統領にもそう報告するつもりだ。

G7外相、平和記念公園を訪問 米英仏の現職外相は初(朝日)http://t.asahi.com/jb71
➀ケリー氏は原爆投下を謝罪しない。代わりに「憎しみではなく愛情の心で再建してきた広島の市民と米国民が、戦争を憎み、平和に向けた決意を共有する」と語った。

◆米ケリー長官「平和の重要性を示す」 初の献花に(テレ朝)
http://5.tvasahi.jp/000072278?a=news&b=np pic.twitter.com/DBBRrSw57g
※ケリーは原爆投下を謝罪しない。謝罪されたら安倍側が窮地に陥る。日米ともに「加害者は謝罪せず、被害者に過去を忘れて未来志向」だと騙しにかかる。それが日米同盟の正体。


………(2) 被爆経験発言を全ての外国記者が無視した………

◆「被爆地広島、発信の機会に」=G7外相の平和公園訪問で市民ら(時事)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016041100369&g=soc
被爆団体は安倍外交を利用しているが、拉致被害団体と同様に、裏切られ惨めになるだけだ。安倍は広島級を「小型戦術核であり憲法9条も保持を禁止していない防衛兵器だ」と明言している。安倍は率先して広島への投下を正当化しているのだ。

◆G7外相会合で被爆者講演 参加は日本メディアのみ(朝日)
http://5.tvasahi.jp/000072256?a=news&b=np
➀原爆の悲惨さを海外メディアに伝えるため通訳もいましたが、参加したのは日本のメディア3人だけでした。

G7外相会合 被爆者は「証言聞く機会を設けて」(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160411/k10010475351000.html
➀記者は3人だけしかおらず、全て日本人。外国記者も誰一人参加しなかった。
※G7閣僚は岸田を含めて誰一人関心がなかった。広島G7外相会議は安倍政権に広島級小型核爆弾投下を正当化させる目的に利用されたのだから。

◆独外相、機材トラブルで到着遅れる G7式日程を欠席(朝日)http://dlvr.it/L1Q8QP
G7会議は無意味なので、明日の原爆ドーム見学と広島名物牡蠣料理楽しみに日帰りです(ドイツ外相)


………(3) 核兵器の有効性を追認………

核廃絶については、そもそも日本政府案に「非人道的な核兵器」という言葉は無かった。日本政府は米国の核の傘を国是にしている。核の傘が消滅したら自前で核兵器保有できる、憲法保有を禁止していないと閣議決定している。このことをケリーは危険な傾向だと述べている。

外務省が「核使用は戦争犯罪」と言わない別の理由は、米英仏から反撃されるからでもある。「核を実際に使用したことによって、1億玉砕を連呼する日本に敗戦を認めさせることができた。戦争では核が使用されるが、広島の悲惨を世界が知れば、戦争は起こしにくくなる」がG7の共通認識らしい。

◆John Kerry in historic Hiroshima visit(FT)http://on.ft.com/22nJ5ou
※ケリーが広島で「日米同盟はかってないほどの高さに上り詰めた」と声明したが、その意味は?・・・「日本の安倍政権に小型戦術核爆弾の投下の正当性を認める段階に到達した、オバマ大統領もそれを更に流布させるために広島を訪問するだろう」

◆ケリー米国務長官、広島慰霊碑で歴史的な献花(BBC)
http://www.bbc.com/japanese/36012286?ocid=bbc-japan-twitterjapan pic.twitter.com/jmwt1Me0gS
➀米政府は原爆投下を謝罪しない方針を明確にしている
②ケリー長官「私の広島訪問は、戦争の厳しい時代から両国がいかに前に進んできたかにとって、特別な意味を持つ。広島訪問は過去についてではなく、現在や未来についてのものだ」。

オバマ大統領は広島に来るか 日本の願望と米の本音(テレ朝)
http://5.tvasahi.jp/000072279?a=news&b=np pic.twitter.com/wYu51Cxyg3
※もう一つの要素;「謝罪したら安倍側が窮地に立たされ、日本政治が不安定化する」

◆Kerry joins other G7 foreign ministers at Hiroshima A-bomb museum(ロイター)
http://reut.rs/1YoATTM  pic.twitter.com/huEFtC0Bgn
オバマは5月のG7で広島訪問する可能性がある。米国社会は原爆投下を正当化し謝罪させない。だがオバマは米国社会の反対を押し切ってキューバを訪問した時と同じスタンス『過去は一切謝罪しない、未来だけ見つめろ』と広島で声明するだろう。

※トランプが日本の核武装容認を明言し、安倍が9条は核兵器保有を禁止していないと閣議決定し、ケリーが安倍に広島原爆投下の正当性を認めさせた・・・この政治情勢に変化が無ければ5月のG7に広島訪問するという。


………(5) 中国非難に拘った日本、「G6」は日本無視………

岸田外相会見の日本報道と、ケリー国務長官会見のCNN報道は全く異なっている;
❶岸田「南中国海で基地建設を進める中国に警告で一致」
➋ケリー「G7は諍いを煽る場でない」「IS問題での協調を強める会議だ」
❸CNNは「岸田はIS問題などよりも南中国海での中国非難に拘った」

G7外相会合、「広島宣言」採択 核軍縮・不拡散へ一致(朝日)
http://www.asahi.com/articles/ASJ4B61HXJ4BUTFK006.html
➀『中国を念頭に』、核兵器の透明性を高めるよう要請。また『中国の海洋進出を念頭に』海洋安全保障声明、「東シナ海南シナ海における状況を懸念する。埋め立て、拠点構築、軍事目的利用を自制し、国際法に従うことを要求する」と中国を牽制。

G7外相会合;中国岩礁埋め立て 各国で懸念共有と岸田氏(毎日)
http://mainichi.jp/articles/20160411/k00/00m/010/061000c?platform=hootsuite
岸田文雄外相は10日夜、南シナ海東シナ海情勢について、中国の大規模な岩礁埋め立てを念頭に「緊張を高める一方的な現状変更」への懸念を各国で共有し、国際法に基づく秩序維持の重要性を確認したと表明。

※日米を除くG5外相の「懸念」とは?
❶中国と日米の確執と軍事的緊張に対する懸念
国際法に基づく平和的解決とはポツダム宣言8項遵守であるが、日米は国際法ではなく、「実効支配」を尊重する国際慣例を主張し、両者の間にはニュアンスの相違。

※「中国の大規模な岩礁埋め立てを念頭に」は岸田一人の主張。「G6」外相の懸念は「これ以上喧嘩を吹きかけるな」ということである。ケリー国務とカーター国防は犬猿の仲だが、オバマは中国政策に関してだけカーター寄り。

◆(前出)John Kerry, G7 minsters visit Hiroshima bombing site(CNN)http://cnn.it/1TLDsAj
➀ケリーはウクライナ問題やパリの自爆テロやシリアのIS戦闘にG7が結束することを要請し、さらにイラクとアフガンの政府内の混乱確執を説明した。だが、日本政府の関心はそこにはなく、南中国海での中国の軍事進出を共同声明にしようと必死だった。
②「G7は世界平和のために共同でなしうることを見出す場。諍いを起こす場ではない。WWⅡで構築された平和で安定した国際関係は与えられたものでも、自動的にそうなったのでもない。研究しリーダーシップを発揮した協議の上に構築されたことを忘れるべきでない」とケリーは岸田に述べた。

※G7広島外相会議の声明は日中関係を一段と険悪にさせるだろう。


………(6) G7外相会議広島;日本に対する中国の強烈な怒り………

◆「G7の将来に役立たず」=外相会合声明に不快感−中国(時事)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016041100727&g=pol
中国外交部声明;
G7が日本の私利によって動かされたことは、G7の影響、役割、将来発展に役立たない。南中国海で域外の日米が創り出し宣伝している問題は、平和と発展および安定を求める地域国の願いを変えることはできない。
②原爆投下は軍国主義者の抵抗の幻想を打ち砕いたが、罪のない人々が受けた苦しみは確かに同情に値する」

◆G7外相会議:日本はなぜ南中国海について勝手気ままに語るのか(新華社
http://jp.xinhuanet.com/2016-04/11/c_135267834.htm
共同通信報道、日本政府はG7外相会議の「特別文書」の草案を作った;
G7初の「中国による南中国海の軍事基地化」に懸念表明し、「一方的な現状変更に対し強い反対」
・東中国海問題についても、「海上法治」を確立するために、G7の団結を強化し、中国を牽制する
②安倍首相の執拗さ;
・国際的な場で中国の「イメージダウン」を図り
・日本を中国から虐げられる「被害者」、国際法とルールの「守護者」と宣伝
・西側諸国を巻き込み、中国の制圧を図ろうとし
・日本メディアは、サミットが共同声明で中国を名指しで批判するというスクープを繰り返し報じた。
③南中国海問題に介入する日本政府の隠された考え;
・中国に対する抑止力を確立する
・そのために、米国のアジア太平洋リバランス戦略を利用する
・米軍を協力させるために、集団的自衛権を解禁した
・中国と欧州の友好関係に楔を打ち込み、離反させる
④「謀り事は成し難い」
・「G6」国である米・英・仏・独・伊・加は、真相を知っている。日本政府の度が過ぎた要求に危険を感じ、辟易している。
・「G6」国はISテロに怯え、シリア内戦も終結せず、イラク政府とアフガン政府の内部は閣僚の確執で揺らいでいる。日本政府の中国牽制など迷惑なのだ。

◆G7外相会合が広島で開催 日本が南中国海問題を取り上げる理由(人民日報)
http://j.people.com.cn/n3/2016/0411/c94474-9042640.html
➀南中国海問題の当事国でない日本は、言動を慎むべきだ。だが南中国海問題を騒ぎ立て、G7の枠内でも絶えず蠢動し続けている。
②日本当局はG7の場で南中国海問題を騒ぎ立て、中国と欧州主要国との間に対立と摩擦を作り出し、双方の良好な関係発展を阻害することを企んでいる。
③日本当局は国際社会を扇動し、それを国際世論となし、摩擦を起こさせ、南中国海情勢を一層複雑化、国際化することができると考えている。
④彼らの当面目標;
・フィリピンの南中国海領土問題提訴に対する仲裁判定を有利にする。
平和憲法9条の改悪を図る地ならしとして、国内外の支持を勝ち取ろうとしている。
⑤【安倍の策略は失敗する】
・2014年にブリュッセルで開催されたG7サミットは中国を名指しで批判するという安倍氏の願いはかなえず、コミュニケの最後に東中国海、南中国海情勢への懸念を表明しただけだった。
・日本の背後には米国の意向がある。米国はアジア太平洋リバランス戦略実施のため、南中国海問題への日本の介入を一貫して支持してきた。
・だが欧州主要国は日本の立場を支持していない。G7議論は形式的になる。
・G7にとって最重要問題は経済問題だ。中国の提唱したアジアインフラ投資銀行(AIIB)に欧州各国が相次いで参加したように、英仏独は中国巨大市場の魅力に抗えず、中国との友好関係を発展し、経済協力を行うことを望んでいる。
・過激派組織「イスラム国」が猛威を振るい、シリア危機が未解決な中、英仏独は中東情勢、テロの脅威、難民流入など自国の問題で苦闘している、南中国海問題に関心は無い。