自衛のための侵略戦争

(1) 自衛のための侵略戦争
(2) フィデル・カストロ、米国の横柄と偽善に警告
(3) トランプの警告;アメリカはNATO日米安保から抜けろ
(4) トランプ、クリントン、サンダースの人柄
※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点

………(1) 自衛のための侵略戦争………

◆安倍首相:「改憲政権公約」実現に改めて意欲(毎日)http://bit.ly/1MvsOMe
➀安倍国会答弁;『私の任期中にもちろん憲法改正を目指していく。9条については(戦力不保持と交戦権放棄を定めた)2項を書き換えていく』

※9条1項は1928年パリ不戦条約第1条と同文、9条2項はH.G.ウェルズの影響下に作成された。
1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

※皇帝間の確執が憎悪となり第一次世界大戦が勃発した。その大戦は科学技術が生み出した兵器によって大量破壊と大虐殺をおこし、欧州は地獄をみた。その反省としてパリ不戦条約が締結されて、侵略戦争が禁止され、調停の場として国際連盟が設立された。

だが、議会制民主主義憲法を持つドイツにヒットラーが現れ、ドイツ国民を扇動して敵愾心を燃やし、「自衛のための侵略戦争」が開始された。それが第二次世界大戦。この大戦は核爆弾を産み出し、第三次世界大戦には勝敗の別はなく、人類滅亡を迎えると恐怖された。

日本国憲法9条は1項で「侵略戦争」の禁止を宣言し、更に2項で「戦力保持」を禁止し、「交戦権」を否定した。第二次世界大戦で日本とドイツとイタリアが「自衛のための侵略戦争」を行った反省から2項が追加されたのである。

安倍の狙う9条2項の廃止とは、「自衛のための侵略戦争」を憲法に承認させる企みである。
米国憲法には9条1項にあたる「侵略戦争」禁止規定はあるが、2項に相当する規定はない。国連憲章も同様。だから、ブッシュはテロ戦争から「自衛のための侵略戦争」をアフガンとイラクに行った。

H.G.ウェルズ世界市民の権利−解放された世界(岩波文庫))
❶伝統の重み、部族間闘争の歴史手本、忠誠と献身の理想は国際的な不和の種をまく者の扇動によって容易く共鳴した。彼らのからっぽの心を疑惑から生じた激怒や国家的侵略の騒音と激情で満たすのは簡単であった。p119
➋全世界はぞっとするような恐ろしい破壊と無差別虐殺の段階へと燃え上がった。地球のあちこちで武装した強国は先制攻撃を試みて侵略した。彼らは恐怖のあまり錯乱状態位に陥り、自衛のために自分たちの爆弾を一番最初に使おうとして戦争に突入したのだ。p184
❸一群の非妥協派、癒しようのない愛国主義者、横着者、殺しを好む冒険家、それからごろつき政治屋どもが新たな侵略地選定の主導権を握っていた。日本は中国を、ドイツはロシアを、国の存立を脅かす存在と称して攻撃し、破壊と虐殺を欲しいままにした。p184
➍核爆弾、それはあるタイプの人にとってはたまらない魅力があった。敵をやっつけるのになぜ使わないのか? 彼らを木端微塵に吹き飛ばすチャンスだというのに。p185
➎核爆弾を発明してしまった人類の戦争は、部族間闘争の歴史をあざ笑う。生きるか殺されるかではなく、人類全体の破滅である。この極限状態にあっては、たとえ犠牲者がでるとしても、自衛のための戦力の保持も、偶発的で局地的な交戦も、禁止されなければならない。人類滅亡を阻止したいのなら。

◆首相「日米同盟の絆が強化」安保法施行で意義強調(沖縄タイムスhttp://goo.gl/ayugkd
※日米同盟で「自衛のための侵略戦争」をしたい安倍。解釈改憲憲法9条第2項に違反している。故に98%の憲法学者が違表明。安倍は憲法を無視にかかる。米国に第2項はない。テロから「自衛のための侵略戦争」をアフガンとイラクに・・・

自衛隊配備の賛否をめぐって与那国島は意見が二分(沖縄タイムスhttp://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=160823
与那国島への「沿岸監視隊」発足で、町人口の約15%が自衛隊関係者となりました。

◆【深掘り】「副町長は防衛省から」人事案も 与那国島自衛隊が存在感(沖縄タイムス
http://goo.gl/0wgR72
➀過疎化した与那国町は、自衛隊を誘致することを過疎対策に選んだ。だが、その選択は日本とアジアの国民に多大の迷惑と相当程度の負担を間接的に強いることになる。地域エゴである。安倍の日本会議系に制圧された日本マスコミからは伝わらない。
自衛隊与那国島にレーダーを設置し、昨日作動した。ミサイルも設置。
③中国は鋭く反発し、釣魚海域に連日海警船をパトロールさせ、400キロ先の基地から戦闘機が哨戒にくる。ミサイル駆逐艦屋久島沖の公海を抜けて太平洋に。さらに中国は空母遼寧の戦闘機にミサイルを搭載して離着艦を訓練。中国は2隻の空母を建造中。
④台湾空軍はレーダー基地と戦闘機部隊を与那国から80キロの花蓮に置いている。その基地は与那国が軍事基地化されたことで、即応体制を強化した。釣魚にも海防艦を派遣。

◆『 日本の原発輸出はやはり無責任で他人任せだった』(田中龍作)http://tanakaryusaku.jp
➀トルコで頻発するテロ事件、ベルギーのテロは原発を標的に。だが外務省は「建設に伴う安全確保はトルコ政府が行う」と平然。
②住民反対運動は死傷者がでるほど凄まじい。だが外務省「トルコ政府から『シノップ住民は概ね賛成。反対運動は限定的』と聞いている」と腰を抜かすほどに無責任。


………(2) フィデル・カストロ、米国の横柄と偽善に警告………

◆Fidel Castro accuses Obama of sweet-talking the Cuban people(ロイター)http://reut.rs/1PANxJ5
オバマキューバ訪問時の発言がフィデル・カストロを不愉快にした。オバマは「過去を忘れて、未来をみつめようではないか」「米国はキューバの貧困を救う用意がある、それにはキューバはデモクラシーと市民の自由を確立しなければならない」という趣旨の発言。
②さらに米人記者が「政治犯はいつ釈放するのか」とラウル・カストロ首相に詰問し、ラウルは「政治犯など居ない、そう言うのなら人名リスト出せ」と怒った。米国の政府もマスコミも極めて偽善的。左手で人道犯罪を犯し、右手で握手して「人権問題」を難詰する。「人権問題は侵略の武器」なのだ。
フィデルオバマに「横柄さ」を感じとり、また「偽善」を警告した。CIAが亡命キューバ人にさせたキューバ侵攻(ビックス湾事件)や、トルコに米軍が設置した中距離核弾道ミサイルに対抗してソ連キューバにミサイル運び込んで以来の封鎖などに対する「謝罪」をなかったからだ。
フィデルオバマへの手紙「貴方の演説を聞いた誰もが心筋梗塞を起こしそうになった。キューバは帝国の助けを必要としない。医療など科学でも多くの国を支援している。また、キューバには心の豊かさがあり、満ち足りた生活を営んでいる。贅沢生活と偽善的自由に幻想を抱く人は一人もいない」。
⑥「私はオバマさんに優しく警告する――ご自分の姿を鏡に映し、とくと御覧なさい。そしてキューバの政治体制に偽善に満ちた理屈を持ち込むことをおやめなさい」。

キューバ共産党は市場を認めて経済を活性化した。経済封鎖していたはずの米国からの輸入も豊富だ。
教育と医療は無料であり、医療技術の質も高い。アフリカに医療支援隊を贈っている。農業も長年の有機栽培が全国に行き渡り、食材が豊富に出回っている。贅沢ではないが心は豊かだ。

その精神風土はフィデル・カストロチェ・ゲバラによって醸成された。特にゲバラの誠実で謙遜でし質素でしかも贅沢を排除する自己規律の高さが今も同国の風土となって定着している。

◆日本政府の中国に対する「二重の顔」(中国網)
http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2016-03/27/content_38119362.htm
➀中日関係の改善を訴えながら、中国に面倒を引き起こす。
②歴史を直視し未来にと語りながら、歴史問題を曖昧化し後退させる。
中国経済の発展を利用しながら、中国経済リスクや中国の脅威を煽る。

※過去の国家犯罪を謝罪せず「過去を忘れ未来志向になるべきだ」と加害国が言いだすのは安倍晋三だけかと思っていたが、米国にも存在した。しかも現職大統領である。キューバオバマに対する怒りは、中国の安倍晋三に対する怒りと同じである。

今回のキューバとの国交回復は、ローマ法王キューバを説得したからだが、オバマに懺悔させることには失敗したようだ。残念ながら、世界のならず者国は安倍日本とオバマ米国と言わざるを得ない。


………(3) トランプの警告;アメリカはNATO日米安保から抜けろ………

◆Trump questions NATO, Asia nuclear weapons ahead of Washington summit(ロイター)http://reut.rs/21Ow5rE
➀ワシントンに各国首脳を集め、核軍縮サミットが開催される。
②それに対してトランプが猛反対;『NATOは冷戦時代の遺物で無用の長物。ソ連はもうない。テロ戦争がその任務といったから、欧州は疲弊しきって、テロの恐怖にすくんでいる』。
③『アジアでも米軍は5万の兵力を日本に、2万8千を韓国に駐留させている。太平洋艦隊の装備維持費を加えると巨額の費用を浪費している。日本がその経費の全額を負担しないのら米軍を撤退させるべきだ。その結果日韓が核武装しようと介入すべきでない』とトランプ。
テッド・クルーズが反論『NATOから手尾引くことは、欧州を見捨てる結果になる。プーチンの覇権がEUを席巻するだけだ。IS戦闘は「絨毯爆撃」すればことは済む』などと。 ※クリントンはどっちつかずで、結局は産軍複合体の「現状維持」に従う。

◆Trump wants to leave U.S. allies in the lurch(ロイター)
http://reut.rs/1PAsaaR  pic.twitter.com/Da9aULaSA5
➀トランプ「アメリカはNATOから去るべきだ」
②米保守派「そんなことをしたらプーチンエストニア侵略を始める」
ソ連は消滅した。ソ連圏も消滅した。軍事同盟であるNATOの敵は? テロを理由に戦争に持ち込み、NATOを使う・・・

普天間5年内停止は「辺野古移設が大前提」…中谷防衛相が翁長知事との会談で発言。県側は“条件付き”に疑問を投げ掛けています。(沖縄タイムスhttp://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=160672
※もう5年は過ぎた、即時返還。米軍が応じないなら、安保条約自動延長停止宣言。1年後に安保は廃止。米国政府もそのほうが嬉しい。日米安保と日韓安保が無ければ、第七艦隊を含む米太平洋軍は1/5に縮小でき、軍事予算を10兆円節約できる。

米太平洋軍予算は日本と韓国の為に8割を使う。安保は無ければ10兆円節約。思いやり予算0.6兆円を10倍にしないなら、安保破棄だとトランプ。その結果日本が核武装しようと知ったことではないと、再三表明している。

トランプの外交政策は乱暴に見えるが、米市民への迎合発言に過ぎす、しかも絶対に実現不可能ないしは大統領就任時には不必要な状態に変化していると打算的に読んだ発言です。

米軍予算は70兆円。自国防衛に半分、残りの35兆円を欧州、中東、アジアに配分。日韓安保対応は15〜12兆円。その8割を在日米軍と太平洋艦隊に。

オバマは太平洋軍の軍事費15兆円に見合う純益を❶TPPで日本から➋中国市場進出と対中輸出増加であげようと目論んだが、前者はNZなどの反抗で骨抜きになり、米雇用悪化と時給減少をもたらす。後者は安倍が対中関係を険悪化させ、安保に縛られた米国も中国から牽制される羽目に陥った。

◆Mr. Trump's dangerous babble on foreign policy is contradictory and shockingly ignorant(NYT)
http://nyti.ms/1qcur7G
※NYTもWPも米国務省も「トランプの外交政策は危険なバブル」と罵らんばかりに非難するのは、彼らがNATO日米安保既得権益に浸りきっているからだ。ロイターやガーディアンは淡々と脚色せず論評もせず報じる。

◆おおさか維新代表「核を持つのか議論を」トランプ氏発言受け(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12284466.html?ref=pcviewer
松井一郎代表(大阪府知事)『トランプ氏は日米同盟の関係に疑問を持っている。完璧な集団的自衛権という方向に行くのか、自国ですべて賄える軍隊を備えるか、そういう武力を持つならば最終兵器(核兵器)が必要になってくる。特に国会議員が本気で議論しないとダメなときだ』。

安倍晋三松井一郎松下政経塾を設立した松下幸之助もその構築者である京大政治国際政治学高坂正尭も「小型戦術核を保有しないと、社会主義国に馬鹿にされ、攻撃されても米軍が応戦するまでまの間に自衛隊が持ちこたえるためには小型戦術核も必要」と主張していた。


………(4) トランプ、クリントン、サンダースの人柄………

◆To many in China, Donald Trump is an inspiration and a strongman(BBC)
http://bbc.in/22SCHYk  pic.twitter.com/pNQ5PaUoeY
➀中国のネット社会ではトランプを評価するシンパが多い。20年も前からトランプの名を借りた中国企業が沢山あるほどだ。
経営コンサルタント「トランプ企画」、高級便座と浴室製造「トランプ産業」、「トランプ電子」・・・
③トランプの娘が中国版ツイートWeiboにアカウントを持っており、14,000を超えるフォロワーとトランプ名を冠したミニブログがある。そんな中国のネットは彼を評価する;
④「トランプが書いた本を読むと、彼は思いやりがあり、困った人に同情する心があることが分かる」。
⑤「大統領予備選での彼の中国非難は正しい。米国社会は困っており、中国は内需依存経済に転換することで、米国人をも救うことを彼は知っている」。
⑥「だが、大統領選では、米国の偽善性に疲弊しきった米国社会の同意を得るために強い言葉を使わなければならいからだ」。
⑦「彼は裸の王様、無謀なことはしない。彼の公約とクリントンやクルーズの公約と比べると、トランプ公約が最も穏健」
⑧「トランプは中国と親しい。中国経済とともに発展したいが、米外交が敵対的で、壊している」。
※その背後には安倍晋三が居る。トランプの日中批判は、安倍批判なのです。
アメリカは政府の偽善に病んでいる。オバマは改革すると公約したが、何も改善されていない。米国社会は疲弊するばかりだ。ヒラリー・クリントンオバマの邪魔をしたからだ・・・

◆How Clinton’s email scandal took root(WP)http://wapo.st/1PApRVf
※全米世論調査ヒラリー・クリントンは「信用できない」が5割を超え、トランプに迫っている。その原因をEメール事件に求め、彼女は実際は優しく信頼できる人物だと論評する記事もある・・・
ヒラリーの評判が悪い原因はメールではない。それは大統領選をにらんで共和党筋が煽った問題にすぎず、米国社会はメール問題に飽き飽きしている。それでも彼女の評判は上がらない。彼女の夫が金融取引規制を全廃し、格差が拡大固定化したこと、そして彼女の金融街との太いパイプが嫌われている。

◆サンダース氏、3州で圧勝 ハワイ、ワシントンなど(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/ASJ3W26DPJ3WUHBI005.html?iref=comtop_list_int_n02
➀CNN全米世論調査「嫌いな候補」 1位トランプ57%、2位クリントン52% と過去30年間で50%を始めて超える嫌われぶり。
②トランプ氏との対決は、クリントンは僅差で、サンダースなら悠々勝利とでている。
民主党の特定選挙人500人の存在からクリントンの優勢は揺るがないが、評判の悪い特定選挙人に対する社会の風当たりは厳しくなり、クリントン過半数に達せず、6月民主党大会決選投票に持ち込まれる可能性。

◆【オピニオン】トランプ氏「本選で敗北」の見方は時期尚早(WSJ)http://on.wsj.com/1SlqW5k
トランプ、クリントン両氏を「否定的」に見る有権者は多い。有権者はこの2人のどちらを「まだましなほう」と見るだろうか #米大統領選 pic.twitter.com/dPfoGI8Uvg
➀トランプは現代のドン・キホーテ
トルストイドン・キホーテは人前では滑稽で乱暴。しかし彼は理性的で優しい人物。理想を求めることをやめなければ、必ず報われるという夢と希望のはかなさの背後には伝統の偽善が潜んでいると教える」。