バックミラーに怯えるヒラリー

(1) クリントン;バックミラー気にしながらジグザグ運転
(2) トランプ;左翼と右翼の両方のポピュリスト
(3) プーチンはシリアで外交と軍事の主導権を握った
(4) 原発行政の『棄民性』またもや露呈=モニタリングポスト
(5) 甘利を弁護士団体が告訴、甘利長期入院へ
(6) 1票の格差違憲判決にアダムス方式は?
(7) 世界マスコミ事情
※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点

………(1) クリントンはバックミラーを気にしながら、ジグザグ運転………

バックミラーが気になる。沢山の車が追いかけてくる。やがて取り囲まれて引きずり降ろされるかもと思い悩みながらも、運転は止められない。運転は右に左にジグザグし、中央をまっすぐに走れない。

◆Hillary Clinton and Donald Trump are winning votes, but not hearts(NYT)
http://nyti.ms/1TMROkk  by @mikiebarb pic.twitter.com/6bTvvNSdhI
クリントンとトランプは予備戦で勝利したものの、喜びも半分だった。クリントンはサンダースに僅差でしか勝てなかった。トランプはフロリダで勝利しルビオを撤退に追い込んだが、オハイオでは勝てなかったからだ。

◆The Latest on #Election2016: Clinton wins 4; MO too close to call for Dems, GOP. #PrimaryDay(AP)
http://apne.ws/1Pb7cPK  pic.twitter.com/LvbwAQunxF
➀トランプは予備選勝利に必要な獲得代議員の半数を超える621人を獲得
民主党の予備選と党員集会で獲得した代議員数; サンダース:クリントン=774人:1094人。 ただし選挙によらない特別代議員を加えると800人:1561人

◆"Donald Trump has destroyed the presidential ambitions of Marco Rubio" with Florida victory(FT)
http://on.ft.com/1RNbrCX
※ルビオ(安倍晋三稲田朋美のお友達)は地元フロリダで敗退し大統領予備選から撤退を表明。

◆【社説】The Guardian view on the White House race: getting clearer but not easier(ガーディアン)
http://www.theguardian.com/commentisfree/2016/mar/16/guardian-view-on-white-house-race-donald-trump-hillary-clinton?CMP=twt_gu
➀3月5日の5州予備戦結果=大統領選はトランプとクリントンの決戦。
共和党のトランプはオハイオでケーシックに敗れたものの、フロリダで勝利しルビオを落伍させた。残る対抗者クルーズに勢いはなく、ケーシックは中道穏健だが遅すぎた。民主党クリントンは敗北を恐れていたイリノイを含め5州すべてを制した。
③だが、両党ともに夏の党大会まで、バックミラーで後続車を気にしながら、ジグザグ運転をしいられるだろう。

※バックミラーに映る後続車の群れは、両党主流派に真っ向から異論を唱え、進路と運転法を変えろと激しく迫ってくる。共和党にはヒスパニック不法移民対策が、民主党には強欲資本主義への懲罰要求が。

不法移民も強欲資本主義も経済問題。格差拡大・中流崩壊・貧困化・格差固定は1%に独占させた結果であり、その独占は倫理的にも宗教的にも犯罪であるから懲罰が必要。

二つの問題はレーガノミクスに端を発し、クリントンが強欲性を解禁し、ブッシュが経済問題を宗教問題にすり替えた。オバマもほとんど是正できなかった。

民主党は支持者を失い、共和党は非妥協的な茶会系に席巻され、議会は機能せず、オバマ格差是正を邪魔するばかり。米国社会は、特に若者が怒っている。共和党民主党の戦いではなくなった。不法移民と強欲資本主義を産み出し放置した両党のエスタブリッシュメントを倒す革命気運が蔓延した。

共和党の問題;レーガノミクスは軍事と企業の両者が結託した新自由主義による侵略。アメリカを唯一の超大国にしたが、全世界に怨嗟の大渦を発生させ、9.11に。しかし福音派が主流を占める共和党は、経済イデオロギー戦争を邪教戦争へとすり替え、ついにアメリカは経済も市民も疲弊した。

共和党の問題とは、福音派の問題である。「聖書と銃」の両方を所持することによってのみ、アメリカ人の生存が可能であり、また世界を従わせ、永遠に繁栄を享受できる、それを信仰する深さによって人とレジームの良し悪しを判断するという、排他性が強い。トランプは福音派を追い出せという。

民主党の問題とは、クリントン夫妻問題である。夫はレーガノミクスの仕上げに世界規模の金融ギャンブルを奨励して「リーマンショック」を起こした。妻は肥大化した軍事費を縮小しようと、総力戦から「先制攻撃」体制へと移行し、テロを拡散させた。ヒラリーはその経験が貴重であり尊敬せよと言う。

サンダースはルーズベルトの再来である。トランプはモンローの再生である。前者は強欲で快楽にふける経済に道徳規制の枠をはめた。後者はアメリカ先住民掃討を完成させ、アメリカの排他的テリトリーを南北大陸と太平洋諸島と宣言し、欧州や中東には介入を拒否した。

トランプの「移民排斥」は先住民掃討に対比される。ヒラリーが推進した「アジア回帰政策」はアメリカの排他的テリトリー(縄張り棍棒外交)に対比できる。

だが、「移民排斥」をして中流階級の崩壊は阻止できず、経済構造が内部崩壊し、周辺国との摩擦を起こす。また、モンロー主義的「アジア回帰政策」はロシアとの和解を可能にするが、中国とは経済摩擦を激化させるだけでなく、中国の「一帯一路」政策に地域排他性を持たせる危険性がある。

アメリカは面積が広く、人口も適度で、資源があり、故に持続可能な自給重視の経済体に移行できるはずだ。その点でサンダースは正しい。ただし「新世界」であることを捨てるのか否か、それは外交政策でもある。サンダースは外交政策の基本を提示していない。議論は永遠に続く。

◆Poll: Voters want Sanders as the next commander in chief.(ロイター)
http://reut.rs/1YWfJxp  pic.twitter.com/04FLWHsdDn
➀ロイターが実施した最新の全米世論調査 大統領候補として最も信頼できる人物
❶サンダース38%、➋クリントン31%、❸トランプ25%

◆Danny DeVito stumps for Bernie Sanders: ‘I’m feeling the Bern!’ – video(ガーディアン)
http://trib.al/UjU2Mxf
➀「私はベルニー(サンダース)を感じて生きる」

◆Bernie Sanders is doing better with black voters — but it’s still not good enough(WP)
http://wapo.st/1UyBB13
➀サンダースは頑張った。今回の各州で黒人層の2から3割の得票だった。これが2週間前に達成されていたらヒラリーは惜敗を重ねただろう。それに特別投票人という20%のバイアスがヒラリーにはある。

※サンダースはクリントンに20%の差を付けなければ勝利しない仕組みだ。それにクリントンは女性と大労組組織票も手中にしていた。サンダースは實に3割のハンディキャップをスタート前から負っていたのだ。

だから、特別投票人を除いた予備選と党員集会からオハイオとフロリダと言うクリントンに有利な制度の州を除くと互角かサンダースが僅差で勝っているのかもしれない、ミズーリのように。

これもサンダース効果である。どうせ彼女が大統領になるのなら、其の前に最大限の社会主義的公約を彼女に追加させることも人類とアメリカ人の為に有意義だろう。しかし、対日圧力はクリントンもトランプと同じである。

ヒラリーはサンダースに追い詰められ、苦し紛れに南部黒人層やヒスパニック層に彼女らしからぬ妥協的公約「銃規制」を多発してきた。そして貿易障壁も公約『日本の自動車企業がアメリカに工場を作ったといっても部品は安価な中国製。こんな不公正は許さない。TPPも絶対に阻止する』とオハイオで。

◆ヒラリー氏、全米ライフル協会と対立姿勢(WSJ)http://on.wsj.com/1pkiFaz
➀ヒラリー氏が正式に指名された場合、銃をめぐる対立は、銃支持派が多数を占める一部の重要な激戦州での選挙結果に影響する可能性がある #米大統領選 pic.twitter.com/x78ZlNF7Hp

全米ライフル協会の背後にはキリスト教福音派福音派バージニアからテキサスまでのディープアメリカで大勢力。彼らは共和党主流派。福音派牧師は選挙期間中に「我々は聖書と銃を持っているが故に今ここで生活できる、神に感謝を」と説教する。

福音派は聖書と銃でインデアンから土地を奪い(西部劇)、スペイン軍を銃で追い出した(スペイン戦争)歴史を肯定しているが、銃なしでは土地を獲得できなかったこと、今銃を捨てれば住居を失うと警告する。テロ戦争も「21世紀の十字軍」だ、フセインを倒せとブッシュに命じたのも彼らだった。

福音派が支配する土地は黒人の多い土地でもある。有能で福音派に帰順する黒人をエスタブッシュメントに迎え入れるが、反抗する黒人を警官は正当防衛と称して射殺する(昨年1000人)。黒人の民主党支持者はクリントンに縋りつき、銃規制やFBIの責任追及を求め、彼女は票と引き換えに戦う約束。

民主党共和党も主流派は1%に尽くすゴキブリにつき、市民は反主流しか支持できなくなった。で主流派は共和党で壊滅し民主党クリントン一人が化石のごとくに。


………(2) トランプ;左翼と右翼の両方のポピュリスト………

Donald Trump’s rise is sparking alarm in Japan, too(FT)
http://on.ft.com/1TJBVv7  pic.twitter.com/h9R3rOZZc2
➀火花が飛び散るようなトランプの日本への警告「タダ乗りするな、ダンピングするな、関税45%だ」

◆Trump ‘winning’ by preying on worst liberal and conservative instincts(ロイター)
http://reut.rs/1pLoRJh  pic.twitter.com/cHMVBJWbXs
➀トランプは左翼と右翼の両方のポピュリスト。彼はサンダースと同じく「ウオールストリートと1%の富者」を嫌い攻撃する。彼はまた右翼保守主義者と同じく「TPPやFTA」を嫌悪し所得格差を拡大させる「不法移民の送還」を主張する。
②トランプの外交方針はプーチンを賛美して止むことが無い。彼は欺瞞に満ちた「人道主義」を侵略手段と認め、実害のある悪には攻撃を集中するが、実害が無ければ不介入。
③トランプが共和党の大統領候補になれば、対抗馬は民主党のヒラリー。それは米国民に苦々しい選択を強いる。彼女の政治業績は世界の平和を乱し公平な繁栄を破壊し米国の信頼を低下させたからだ。だが、その悪さの程度はトランプよりはましらしいという選択なのだ。

Donald Trump and Hillary Clinton’s victories masked a profound reality: Most Americans still don’t like him. Or her.(NYT)http://nyti.ms/1pMk9uE
➀トランプとヒラリークリントンの勝利は真実を遮蔽している;大多数のアメリカ人は彼または彼女を嫌っていること。

◆Feeling the Bern for Trump: Sanders voters on why they don't have eyes for Clinton(ガーディアン)
http://trib.al/0I55t7R
➀サンダースを支持する人のほとんど8割が「もし大統領選がクリントンとトランプ」になったらトランプに投票すると答えた、なぜ?・・・クリントンエスタブリッシュメントの権化であるから、彼女以外なら誰でもいいのかもしれない。

◆Anti-Donald Trump attacks top $35 million in advance of Tuesday primaries(WP)http://wapo.st/1Pa8daG
➀「ならず者トランプがアメリカに住む場所は無い、出て行け」と書かれたプラカードはメキシコやキューバ―から豊かな生活を夢見て不法入国した人たちが掲げる。およそ6000万人、内1100万は不法滞在状態。
密入国や不法滞在を黙認した米国は、彼らを安価労働者に利用することによって、アメリカの資本家は巨額の利益と企業の安泰と、そしてグローバル化を可能にする土台を得てきた。
③そのヒスパニック人口がアフリカ系を上回り、南部やカリフォルニアにはスペイン語放送が日常化し、商店街もスペイン語で売買交渉される。しかし多くなりすぎた。ヒスパニックは白人をも安価労働へと巻き込み、所得格差が広がりまた固定化されて政治と資本のエスタブリッシュメントに対する敵意も。
④「ならず者は出て行け」とは奇妙な構図だ。言う方は(元)密入国者で、言われるほうはトランプを代弁者にする中流から脱落した白人。およそ道義とか国際法とは無関係な切実だが排除しあう衝突である。
⑤極めて穏当を欠く言い方だが、平和に暮らしていた民主社会主義国シリアに密入航者とISが入り込み、外国が軍事支援して内戦化させた構図と、相似形ではないか?それが米国内部に芽生えたと危惧する。

◆"Entertaining"..."crazy"... Here's how foreign reporters are covering the 2016 U.S. election(CNN)
http://cnn.it/1YPECL6  pic.twitter.com/nHu5WNE9Ww
※CNNが外国の評価を気にしだした。「米国大統領選を各国はどう感じるか?」
英国「米国流の娯楽番組」ドイツ「毒気のある悦楽」フランス「狂気」。

◆President Obama’s brutal assessment of the rise of Donald Trump(WP) http://wapo.st/1YN897X
トランプ演説会で支持者と反対者が衝突した事態についてオバマ大統領;
➀私はトランプ氏がトップになったことに驚かなかった。共和党は10年もかけてトランプ氏の登場を準備してきたのだから。
共和党には社会正義を重んじ社会福祉の弱体化による市民の困窮を本気で心配する議員をたくさん知っているし、彼らと頻繁に意見を交わしてきた。
③ところが共和党には、トランプ氏による共和党乗っ取りを可能にした環境はオバマ「大統領」が作ったのだと非難する議員がいる。
④私が影響したとするなら二つ考えられる;一つは私の法案を潰すための攻撃性が前面に出て、共和党の良き伝統を席巻し破壊する切掛けになったこと、二つ目は民主党から共和党へ鞍替えした支持者の存在だ。
共和党議員は個人的な話し合いでは理性的であるがディベートでは極論を述べる。トランプ氏の主張はその極論の集大成ともいえるのだから、共和党主流派は自省したほうがいいのではと思う。
⑥トランプ氏は「人種差別者」だというが、差別しない人などめったに存在しないから、偽善者ぶってトランプ氏を批判しないほうがいい。私はケニアで生れインドネシアで成長しアメリカで学んで、今大統領。アメリカはこの点だけでも十分いい国なのだ。(喧嘩しないで欲しい)


………(3) プーチンはシリアで外交と軍事の主導権を握った………

◆#Russia withdrawal from #Syria : Presence in #Tartus port & #Latakia airbase will maintain(RT)
http://on.rt.com/76x9  pic.twitter.com/f3tf6zRDs4
➀ロシア空軍はシリアから撤退開始。ただしラタキア基地機能は温存。圧倒的で緻密な空爆は非常な効果をあげ、地上の政府軍とそのシンパ軍も3割兵が増え、回復した土地が広がった。あとは米欧とシリアの努力次第だとプーチン

◆Russia begins surprise withdrawal from Syria as peace talks get underway(WP)http://wapo.st/1TLi3aX
オバマ政権の驚愕
 ❶ロシアは撤退発表の翌日に殆ど撤退させ、驚異的な機動性を見せつけた。
 ➋強力な対空ミサイルS400の残留はシリアの制空権を維持し、米国とサウジの跳梁を阻止。
 ❸そして和平会談でアサドを擁護しきった。
②アサドのシリア軍は6000平方キロをISから奪い返し、ISを追い詰めている。ロシア空軍は1万8000回の精密空爆を実施しほぼ目的を達したからだ。
③アサドを支援するために派兵しているレバノンヒズボラはイランに支援されているが、この三者には今まで以上の戦闘を覚悟する必要性がある。反シリアのアルカイダ系アルナスラが「48時間位以内に戦闘再開の準備を終える」と宣言しているからだ。
④国連はロシアの撤退を歓迎し、ラブロフとの連携を緊密化している。米国は同盟国を集め「アサド退陣要求」という陳腐化し道義的にも正当化できない声明をやっとだしただけで成す術もないかに見える。
⑤だが、米欧はロシアに設定されたパワーバランスの枠を拒否するなら、戦闘が再開され、難民は欧州へと流出し続ける。それは米欧政府の無定見さと無能さを世界に印象付けることになる。
⑥イランは新型ミサイル発射に成功し、米国を苛立たせる。トルコはクルドとの内部確執が軍事闘争に発展し、シリア北部への影響力を喪失してISとの裏取引も破綻した。そこに半年間で4度の爆弾テロで200名近くが犠牲になった。トルコの国内状況も流動化する。
⑦サウジは原油価格下落で財政破綻し、ロシアが提唱したOPEC原産会議に救われたが、シリアをトルコと共有する野望を見せれば、イランが原油減産をやめる示唆によってサウジも動揺する。
⑧米欧とサウジとトルコによるシリア征服の野望が達成される可能性は皆無。血生臭い戦闘を継続しても難民を増やすだけだ。2年前からロシアが提唱している原則;❶シリア反政府軍への外部国の支援停止➋シリア内戦和平❸ISとの原油闇取引停止とIS戦闘員補充遮断➍シリア大統領選挙だ。
⑨首都ダマスカスは廃墟の仲から人々が立ち上がり、賑わいを見せ始めている。つかの間の平和であってはならない。この国の政治体制は社会民主主義で、人々は平和に暮らしてきたのだ。

◆Why — and how — Russia won in Syria(ロイター)
http://reut.rs/1R05rqO  pic.twitter.com/f78f9GjnSn
➀ロシアは見抜いていた;ISはエルドアンの傀儡、米軍によるイラク軍教育訓練武器供与の果実もISに流れている。
②ISは宗教的不寛容を残虐に実行し世界を脅迫した。米国もトルコもIS殲滅に賛成せざるを得なくなった。だが、どのようにして?
③米軍顧問がイラク軍5400人を教育し武器を与えてシリアに戻した。しかしISと戦闘したのは1%だった。米軍の武器弾薬はアルカイダやISに流れた。地上軍を派兵すればまた悪夢が再現し、米兵数千人が犠牲になるだろう。米国社会は益もなく犠牲だけ積み重ねる無益な介入戦争に疲れ果てた。
④米国はイランに頼ってイラク軍を立て直す、そのためにクルド自治軍とも共同作戦する。クルド自治軍はイランと親密だ。結局オバマ政権はイランと和平を結び封鎖を解除するほかなかった。それはとてもいいことだった、世界の安寧に貢献する。
⑤ISがエルドアンの傀儡だというのは、トルコがISに武器弾薬を兵站し補充兵の訓練を行いシリアに戻している。トルコはその見返りにISから安価に原油を密輸入している。国境を自由に行き来して、兵站輸送や原油密輸入に従事するのはシリアとイラクトルクメンである。
⑥ロシアはトルクメン人の兵站と密輸を空爆した。案の定、エルドアンはロシア機を撃墜した。これでエルドアンがISを傀儡にしていることが世界に公表されたことになる。
⑦過激派反シリア政府軍をアルカイダ系とISと分類するが、自由シリア軍の過激派も含めて、個々人は派閥間を行き来し、境目は判然としない。
アルカイダの発祥地はロシア南部トルコに隣接するジョージアであり、トルクメン人がロシアに対して蜂起したことがある。その流れからアルカイダがシリアとイラクを含む中東に拡散したことには留意したほうがよい。
⑨ロシアはシリア北部に強力な対空ミサイルS400を配備した。これで全シリアと周辺の制空権はロシアが握った。米国すら身勝手な行動はできなくなった。ロシアは米欧サウジに空域通知させ官制し、地上軍もバクダッドに情報センターを設置しイラク、イラン、シリア、クルドに情報を流した。
⑩トルコ戦闘機はシリアに侵入できなくなった。トルコとISの兵站と密輸は途絶えた。ISには致命的だった。
イラクと同様にシリアでもISとの最前線にはクルド人がたった。ベイルートのアルヌスラはイランの支援を得てシリアに派兵し、対IS戦力は飛躍的に増強された。シリア政府軍とヌスラ戦線とクルド自治軍の連携が進んだ。シリア政府は6千平方キロの失地を回復した。
⑫米国はアサドを残虐な専制君主と大宣伝したが、その嘘がロシアによって間接的に実証された。ロシアはウクライナ問題での制裁封鎖にもかかわらず、シリア問題で米国の如何わしさと無能さと内部混乱を余すところなく露呈させた。
⑬その事態を米国社会は深刻には受け止めない楽観性と疲労感が混在している。しかしネオコン官僚に衝撃を与えたのは、ロシア軍の機動性と戦力と稼働率の高さであった。
⑭ロシア空軍は米空母部隊に匹敵する戦力を2週間でシリアに送り込み、半年間に1万8千回の空爆を実行し、撤収は2日間。米軍なら準備に半年、撤退に1年かかる。それにロシアが配備したS400対空ミサイルに米軍は手も足も出せない。S400は中国が西沙諸島にも配備している射程400キロ。
⑮このようにして、ロシアのプーチンはシリア問題とIS問題を解決する主導権を握った。米国務省は混乱し困惑するばかりだ。プーチンが賢いというよりも米国務省ネオコン官僚が無能すぎるのだろう。

※米国務省ネオコン官僚の企ては、オバマ政権だけでも;
❶シリアのアサドを残虐な専制君主と国際宣伝し反政府軍を組織しIS化させた
➋中国の新疆ウイグル自治区独立運動を煽り、ウイグル過激派がテロ化しIS化
ウクライナの親露政府をネオナチに倒させ、東ウクライナ内戦を発生させた。
➍香港の反中国派を訓練し援助し市中枢を占拠させ、中国の非民主性の宣伝に利用
➎マレーシア、ベトナム、フィリピンに南中国海の11島(全12島)を実効支配させ、兵器を安倍政権と共同で供与し、南中国海での戦争危機を発生させた。
❻安倍と朴槿恵慰安婦和解合意を強要し、米韓日三国軍事同盟を事実上成立させ、露骨な敵前上陸演習を毎月のように大規模に実施し、朝鮮をして核弾頭ミサイル開発へと追い込んだ。

◆Kerry to meet with #Putin in #Russia next week https://www.rt.com/news/line/


………(4) 原発行政の『棄民性』またもや露呈=モニタリングポスト………

◆避難基準値、川内原発周辺の放射線量計 高浜再稼働時、京都66%未設置(朝日)
(1面)http://digital.asahi.com/articles/DA3S12256602.html?ref=pcviewer
(3面)http://digital.asahi.com/articles/DA3S12256558.html?ref=pcviewer
➀運転中の九州電力川内原発(鹿児島県)周辺に設置されたモニタリングポスト48のうち、22台が事故時の住民避難の判断に必要な放射線量を測れない。鹿児島県は可搬型線量計で補うと弁明。道路が寸断されたら測定不可能になるし、継続モニタリングも不可能な出鱈目さ。
②3月9日の大津地裁の仮処分決定で運転が止まった関西電力高浜原発福井県)の周辺でも、計画する41カ所のうち27カ所が設置できていなかった。
③国の定めは、毎時20マイクロシーベルトが1日続いたら1週間以内に、毎時500マイクロに達したらすぐに避難と決められている。
④病院などはすぐには避難できない。それにモニタリングポストの未設置や性能不十分が追い打ちをかける。
⑤モニタリングポストの設置数も圧倒的に少ない。京都府京丹波町は面積で3分の1以上が30キロ圏内に入り、約3300人が住む。だが、設置は1台のみ。周辺住民を完全にないがしろにしている。
原発30キロ圏に含まれる21道府県に聞いたところ、6県は放射線測定の態勢を定めた計画を作っていなかった。5〜30キロ圏に90万人以上を抱える茨城県静岡県では、いずれも100台近いポストを設置する方針だが、現在はそれぞれ48台、16台しかない。
日本原子力研究開発機構元上級研究主席の田辺文也さん「福島の事故では、数キロの距離でも線量がかなり違うことがあった。きめ細かくモニタリングポストを設置するのが基本だ。米国のように避難計画の実効性を原子力規制委員会が担保する仕組みを設けるべきだ」。

※モニタリングポストの設置と非難計画立案と訓練は自治体責任にされている。モニタリングポストの設置密度や性能についても全く規定がなく、自治体判断任せ。そして、原発再稼働の安全審査とは無関係。国や電力事業者は全く反省していない。

原発の塀から1ミリでも外に出た放射性物質は「無主物」となり、発電事業者の所有物でなくなり、その被爆汚染責任も負ってはならないと裁判所が判決し確定しているからだ。それを決めた関係者全てが『鬼』である。

そもそもモニタリングポストの設置は発電事業者が設置すべきである。それを自治体の税金で払わせている理不尽さ。また避難道路と移動手段の整備や避難先での住宅の建設も自治体に税金を使わせている。これらも発電事業者が負担すべきだ。それでも再稼働申請するのなら、してみるがいい。

◆関電が異議申し立て=高浜原発差し止め−大津地裁(時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2016031400403&utm_source=twitter&utm_medium=jijicom&utm_campaign=twitter
関西電力は14日、高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転差し止めを命じた大津地裁の仮処分決定を不服として、保全異議を同地裁に申し立てた。決定の効力を止める執行停止も同時に申し立てた。結論が覆らない限り、関電は高浜3、4号機を再稼働できない。

※高浜3号は再稼働して送電開始直後にトリップし緊急遮断、冷温停止。これで2ケ月間再稼働できなくなっていた。

◆4 biggest lies about the Fukushima disaster(ロイター/RT)
https://www.rt.com/news/335294-4-biggest-lies-fukushima/#.VuVLxxYKhp0.twitter
フクシマ原発爆発に関する日本政府の5つの嘘;
➀8千人以上の人が被害を受けてはずだが、日本政府は一人も死者がでなかったと豪語した。原発事故現場作業員の健康被害は闇に葬られた。
②フクシマの放射性物資放出はチェルノブイリの1/6に過ぎないと日本政府。だがこれは少なくとも空中放出であって、地下水を汚染し今も太平洋に流れ込み続けている。それらの総量はチェルノの6倍に達するだろう。
③子供の甲状腺癌は発生していない、あっても軽微で盲腸手術程度で完治すると日本政府。甲状腺癌の自然発生率は100万人に1人。福島県で「受診した子供」から数十人の癌が発見された。実際にはその100倍もあるだろう。政府発表が嘘でないのなら福島県の人口は2億人以上になる。
④大地は汚染されず、福島産農産物からは検出されない日本政府は言った。 だがその前に安全基準を数十倍に緩和し更に食材検査機の感度を数十倍鈍くした。それにもかかわらず福島沖の魚類は日本政府が緩めた安全基準の258倍も汚染していた。
⑤空中にも放出は僅かで、大地は全く汚染されなかったのになぜ福島沖の魚介類が258倍も汚染されたのか?政府はそれを風評被害に過ぎないと嘘で塗り固めている。


………(5) 甘利を弁護士団体が告訴、甘利長期入院へ………

◆甘利前経済再生相と元秘書の告発状提出(NHK)
http://nhk.jp/N4OC4Nj4

※甘利は不眠症で国会を1ケ月病欠したが、更に2ケ月入院を延長するという。


………(6) 1票の格差違憲判決にアダムス方式は?………

衆院選挙制度改革 大島衆院議長「週内に結論を」(テレ朝)
http://5.tvasahi.jp/000070278?a=news&b=np
◆自民、大揉め 「アダムズ方式」決断するのは誰?(テレ朝) http://5.tvasahi.jp/000070530?a=news&b=np
➀公明や他の野党はアダムズ方式を受け入れる方針を固めていて、自民党への包囲網は狭まった。ただ、小選挙区の定数を15もの県で減らすことになり、「選挙のための間に合わせで導入すれば後世に禍根を残す」という声もあります。

※アダムズ方式 ❶国勢調査有権者人口に比例して各選挙区の議員定数を決め ❷過疎化で議員定数が0になった選挙区には議員定数を増加させて1人を割り当てる ❸選挙区の合体などは前提としない。過疎地域にも議員を割り当てる弱者尊重型。


………(7) 世界マスコミ事情………

安倍は日本会議系を手下に、朝日新聞を締め上げ、各紙の朝刊1面は官邸サイドの指示に従っているかのごとく、同じタイトルの記事が羅列される。次はTV。テレ朝とTBSの報道番組にバッシングが付き纏い、キャスターとコメンテーターを引きずりおろさせた。

同じことがポーランドとトルコとマレーシアでも行われている。政府批判マスコミを政府が支配し、政府賛美報道に書き換えさせた。

米国マスコミはクリントンを大統領にさせるためにトランプの個人攻撃を執拗に行い、世論操作したが失敗した。トランプは跳ね返しマスコミの寵児ルビオを脱落させ大統領候補指名に近づいた。マスコミが毛嫌いする社会主義者サンダースも若者を中心に6割以上の熱狂的支持が続く。

クリントンは「サンダースに感動」の声に慄き、TPP破棄や、日本と中国からの安価部品に高い関税を掛けること、銃規制を強める、人種差別を厳しく指弾する、公立大学の学費負担を軽くするなどを公約に取り入れ、僅差で勝つことができた。