借金をトリクルダウンする強欲資本主義

(1) 内閣支持率の維持上昇は民主党に対する怨嗟の反映
(2) 仏学者E・トッドの予言
(3) 日韓で大企業大卒新入社員の初年度収入が逆転
(4) 米国内に深まる分裂の溝
(5) 借金をトリクルダウンする強欲資本主義

※敬称略 ◆は参照報道、①〜はその要点


………(1) 内閣支持率の維持上昇は民主党に対する怨嗟の反映………

RT 市民連合 @shiminrengo
民主党からは共産党と付き合うことで保守寄りの支持者が逃げていくという声も聞きます。でも、実はとっくに逃げている。それなら共産党と共闘すれば組織票が取れる」

※米国の民主党オバマが大統領に当選すると保守層の大部分が逃げ、共和党に鞍替え。その結果、米議会は上下院ともに野党共和党が多数を占める異常事態に。その層が今トランプを支持。その保守層は世論を動かす倫理観に欠け呆けている。気にする必要は無い。

日本の民主党共産党選挙協力したら連合組織は逃げるだろう。だがしかし、そのような連合組織は社会を動かし改革する力を消滅させている。政治的影響力はゼロだ。だから選挙協力の実際面を強化すれば乗り越えることは簡単だ。それを米民主党社会主義者サンダースの支持者が証明している。

※甘利辞任と株暴落とマイナス利率にもかかわらず世論調査で安倍支持率が大きく上がっている。毎日では支持率が51%に達した・・・世論調査の如何わしさを非難するのでは打開できない。これはやはり民主党のだらしの無さ無責任さに対する諦めの結果だと考えます。

維新とよりを戻すことだけが唯一の参院選対策で、共産党や生活党と選挙協力する姿勢が全くない。原発再稼働にも反対しない。非正規雇用の野放図な増加にも反対しない。これでは大衆の怒りが安倍にではなく民主党と連合に向けられるだろう。


………(2) 仏学者E・トッドの予言………

◆世界と日本はどうなる? 仏学者E・トッドの“予言”(TBS)
http://cgi.tbs.co.jp/n/BIgd
➀米国も欧州も日本も社会は危機的状況。社会の中堅をなす中間層が、高等教育による選別の結果、エゴイストになったことが全ての問題を発生させています。

②テロもそう。中東のイスラムが起こす問題ではないのです。西側社会が起こしているのです。初等教育の普及によって識字率が上がったまではよかったのですが、中等高等教育が制度化され、それが人を差別するために利用され、大衆は差別から抜け出せなくなって絶望するほかないのです。

③誰もが「良き人生とは」を考えるべきでしょう。エゴからの脱出にはそれしかありません。政治家は無能で、責任転嫁をします。ですが国家を危うくするのは中間層や中堅者の群れなのです。

④シャルルドブリが襲われましたが、あの新聞社は質の悪い会社。欧州のムスリムは弱い立場で差別されているのに、苛めて攻撃して金を稼いでいたからです。そしてそれを利用した政治家も同罪でしょう。

⑤今後20年間の欧州はEUの分裂と抗争に明け暮れるでしょう。問題はそれでもユーロが残ることで、高等教育を利用した人間の峻別が大多数の人々を絶望させ、権力側は差別を拡大するからです。

⑥日本の長所が今最大の問題になっています。完璧さ整然さを求めすぎるのです。それによって寛容さが失われ、周囲と摩擦ばかり起こすようになりましたね。日本は不完全で乱雑で多様で統一性の無い状態や人々を受け入れるべきです。


………(3) 日韓で大企業大卒新入社員の初年度収入が逆転………

◆大企業新入社員の年収 日本より39%多い=韓国協会(朝鮮日報
http://bit.ly/1SBhQF3
➀新入正社員年収(2014年)
韓国大企業(従業員百人以上)は3万7756ドル(現在のレートで456万円)、
日本大企業(従業員千人以上)の2万7105ドル(現在のレートで325万円)を
大きく上回った。


………(4) 米国内に深まる分裂の溝、アイオワの大統領予備選………

◆Hillary Clinton beat Bernie Sanders by just 0.2% in Iowa caucus, final Democratic results show(BBC)
http://bbc.in/2065C7X
民主党アイオワ予備選、集計率100%
Clinton 49.8% Sanders 49.6% O’Malley 0.5%
・・・半年前にヒラリーはサンダースを41%引き離していた。サンダースは泡沫候補と見られていたのだ。だが、彼が社会主義的公約を打ち出すと45歳以下の有権者から熱狂的な支持を獲得し、アイオワでヒラリーとタイに持ち込んだ。

米大統領選:民主、クリントン氏が辛勝…アイオワ党員集会(毎日)
http://bit.ly/1Q9yqr4
アイオワ州民主党に配分された代議員数は52人。同州選出の連邦両院議員や知事ら8人の特別枠を除く44人を選出。クリントン氏は23人獲得、サンダース氏21人。
共和党の代議員は30人で、クルーズ氏8人、トランプ氏7人、ルビオ氏7人

◆Narrow victory: Clinton squeezes ahead of Bernie Sanders with 49.9 per cent to 49.5 per cent in Iowa(FT) http://on.ft.com/1QWnnpY
※サンダースは社会主義者ユダヤ系である。故に彼が大統領に成ることは黒人ハーフであるオバマよりも難しい。ところがサンダースは社会主義的公約を前面に出し、半年で45歳以下世代の7割の支持を獲得した。

NYタイムズが1月上旬に行った世論調査;45歳以下の有権者に限るとサンダース氏の支持率はクリントン氏の約2倍。金融危機に伴う就職難や重い学生ローンに直面し、経済格差を実感している若年層がサンダース氏の支持層の中心。

➊金融や富裕者への課税強化➋大学までの授業料無料化➌国民皆保険➍最低時給15ドル(1800円)などを公約。

サンダース『アイオワにやって来た時、政治組織も資金も知名度もなかった。アイオワの人々は既存の政治・経済勢力に大変意義深いメッセージを送った。今回の結果は既得権益層に辟易する有権者の意思の表れだ』

サンダースはヒラリーを攻撃した;『ウオールストリートと癒着している』
・・・クリントンによる「銀行から闇金融への融資解禁」1999年によってFRBの低利子資金が銀行を経由して闇金融に流れ込み金融恐慌を発生させた。

サンダース『AIGやリーマンブラザースや中小銀行が実際の犯罪者だ。これらの影の銀行が向こう見ずなギャンブルに投資しているからだ。だがその金はFRBから無利子で借りた大銀行から供給されている』(WP)『アメリカの医療費はイギリスの3倍も高額だ』(NYT)

『公立大の授業料無償化は正当化されるべきだ。野放図で強欲なウォール街(金融業界)は批判され、法規制と税制で矯正されるべきだ。若者や労働者、年老いた人々が立ち上がり、「もうたくさんだ。政府は一握りの億万長者のものではない」と明確に声を上げれば、この国は変わる』サンダース候補

そして、サンダース候補は国民皆健康保険を実現させる財源として銀行や投資機関への課税を強化する概要を提示した。

最近の世論調査では、全米有権者の48%が自らを「社会主義者」で構わないと回答し、民主党支持者内では56%に達しており、自らを「社会主義者」と名乗るサンダースを支持している。62人の富豪が所有する財産は全世界の5割を超える異常な格差世界になったからだ。(Oxfam International)
(参照報道)The dark undercurrent for Hillary Clinton in tonight's Democratic debate(WP)
http://wapo.st/208WGkk pic.twitter.com/Qi2s6AuwaB

◆Iowa proved Bernie Sanders can win – and that Hillary Clinton is beatable | Lucia Graves(ガーディアン)
http://trib.al/ROdGVBB
➀9ケ月前にヒラリークリントンはサンダースに42%もの大差を付けていた。
②だが今日の子結果は、完全なる互角引き分けだが、実態はこのような圧倒的大差を覆したサンダースの社会主義と、ヒラリーの強欲資本が対決した結果だったのだ。
③今後ヒラリーは更なる政治イデオロギーの変身を迫られるだろう。「フェアな競争は格差を固定する」これが「トリクルダウンに対する米国社会の回答であり強烈な反撃であったのだ。
④ヒラリーは共和党タカ派と間違えるほどの好戦性が特徴だったが、仮に彼女が大統領に成ったとしても再選の見込みはない、米国社会の地層は逆転したのだから。彼女は、好戦的タカ派色を消し去り、WSの投機期間を賛美する一切の言動から遠ざかることを置いて大統領への道は閉ざされている。

米大統領選:予想超えた激戦…アイオワ党員集会(毎日)
http://bit.ly/1Sq2cON
民主党クリントンが勝利したが、米テレビ各局「勝利を決めきれなかったクリントン氏の負け」「サンダース氏にとっていい夜だ」と次々に解説。集計率99%で、クリントン49.9%、サンダース49.6%。サンダースは「引き分け」宣言。
共和党;トップ3のうちクルーズ、ルビオ両氏はキューバ系移民の家系で福音派や茶会を基盤とする『極右』。トランプはむしろ穏健中道でTPPやイラク戦争に反対し富裕者への増税を支持。
③9日のニューハンプシャー州予備選でアイオワ州とは違う結果が出れば、選挙情勢もがらりと変わる。

◆Winners and Losers from the Iowa caucuses(WP)
http://wapo.st/1WZ72Bo  pic.twitter.com/AWwJgZaASS
➀サンダースは米議会でただ一人の民主社会主義者。9ケ月前には泡沫候補とみられていたが、彼の格差是正公約が45歳以下の各層に熱狂的で圧倒的な支持を集めた。彼はニューハンプシャーで高い支持率を持つ。彼の課題は9ケ月続く選挙戦を体力的に乗り切れるか否かと非白人層の支持獲得である。

アイオワ予備選にヒラリーは膨大ともいえる戸別訪問をこなし大きな賭けにでた。だが彼女は支持者の前で勝利宣言できなかった。勝利はため息交じり。それでも、8日後のニューハンプシャー予備選では多少は健闘するかも

◆サンダース氏、ニューハンプシャー州クリントン氏を圧倒 民主党指名争い(CNN)
http://www.cnn.co.jp/usa/35076491.html
➀支持率;サンダース60%:クリントン33%とダブルスコア。2ケ月前より差がひろがった。予備選投票は2月9日

◆Revisit our profile of Republican Ted Cruz, who just won the Iowa caucuses(FT)
http://on.ft.com/1PcrfOX pic.twitter.com/Y2UETev7aP
アイオワ大統領候補指名投票・・・ヒラリーは共和党のクルーズに勝てる候補者ではないことを実証した。血どろみのどぶ板選挙活動をおこなって何万回も民家をノックし、何十万人と握手したが・・・そこに政治理念が感じられなかった。何もなかったのだ。

◆Democrats Hillary Clinton and Bernie Sanders: still tied after Iowa caucus voting(FT)
http://on.ft.com/1SAu6G1 #iacaucus pic.twitter.com/Kn8F5BuLKf
クリントンは極僅差で勝利したが、大統領選挙で共和党に勝利する見込みは消えた。残された可能性は彼女がエスタブリッシュ層とウォールストリート守銭奴と縁を切り、社会民主主義の非戦主義に宗旨を変えるほかにはないと思われる。

米国社会は疲れている。フェアーな競争社会が格差を固定し、絶望感が広がっているからだ。米国社会の50%は「社会主義に対するアレルギーがなくなり、むしろ歓迎している」

ヒラリーは日本の民主党の前原と全く同じ感性と好戦性をもっている。だから前原は彼女に擦り寄り「尖閣はに日本領である。中国が攻撃して来たら米軍をして中国を殲滅させる」と言わせたがった。

しかし彼女は前原との共同記者会見で言わざるを得なかった『口ではなんでも行ってあげることができる。しかし米国政府は何もできないのです』と。合衆国憲法が前原に加担することを明白に禁止しており、その憲法条項は修正を禁止する基本条項であることを弁護士でもある彼女は無視できなかったのだ。

盟友となるはずだった前原にそんなきわどいセリフを吐かざるを得なかった彼女は、オバマ閣僚から逃げ出すことによってでは、彼女の軍事的好戦性を回復できなかった。

彼女は外交の道具として先制奇襲攻撃を何度も行使したが、そのことと夫の悪徳金融奨励法律とが相まって、3.11を発生させた。だから今回サンダースに41%という大差を覆され互角に持ち込まれる苦境を招いたのだ。彼女は自分の生きざまを考え直すべきだ、米国の為に、いや人類の平和のためにも。

NYTはオバマ政権を外交ディレンマの地獄から這い上がらせた彼女の手腕と経験はサンダースなどには期待すべくもないと露骨に社会主義を嫌う社説を書いたが、オバマの外交をそんな最悪のディレンマに陥らせた原因をNYTは隠している。この原因はヒラリーの好戦的な性格に起因したのだから。

だから私は思う;ヒラリーは民主党ではなく共和党の茶会(極右)から立候補すべきだったと。

根源的病根はオバマが大統領に当選すると大挙して共和党に移動した「民主党内保守層の危険な社会観」にある。大挙して共和党に移住し、議会選挙で上下両院ともに共和党に多数を与えてオバマレームダックにしているからだ・・・これは日本の民主党内の「連合」と呼応する極右議員に似ている。

(追記)
ヒラリーがオバマ国務大臣であったとき、彼女の軍事的好戦性を抑えたのはリベラルな軍首脳であった。その痛い反省からマケインら共和党外交軍事族は国防局長と職業軍人首脳を好戦派に置き換えた。だから、現在の米国は軍事オタクが占領しており、極めて危険になっている。

(追記)
オバマが大統領に当選すると民主党の保守層が大挙して共和党に移った。トランプに投票したのは彼ら。高かったトランプ支持率が25%に激減したのは、トランプが元民主党支持者で、富裕者や金融への課税を主張するに及んで、元からの共和党支持者が茶会系候補2人に支持を変えたからだ。

民主党は、社会民主主義格差是正と強欲金融の処罰を主張するサンダースと、その強欲金融のエージェントであるヒラリーとに二分された。共和党格差是正を主張する「穏健右翼」のトランプとキューバとの和解に猛反対する茶会系「極右」キューバ移民2候補―クルーズとルビオに二分された。


………(5) 借金をトリクルダウンする強欲資本主義………

◆Bernie Sanders takes message to New Hampshire after strong showing in Iowa(Guardian)
http://trib.al/Lbo9fsn
➀9日投票のニューハンプシャーで;
サンダース『アメリカの富を独占しているのは誰?』、支持者『ウオールマート!』
サンダース『ウオールマートは従業員に僅かな賃金しか払わない。だからアメリカ人の5人に1人は医者の処方箋に支払えない』

②サンダースから100キロ離れた町で;
ヒラリー『彼は空論を述べているが、私は実績を上げるわ。アメリカに分厚い中流を再生させます』

・・・夫とブッシュが中流階層を貧困化させたことを認めてしまった。ではどうやって中流再生?トリクルダウンを持ち出すのですか?あれは真っ赤な嘘ですよ。

貧困者に新築の家や新車を買わせるためにけしかける『株価が上がり、景気が良く、不動産価格も暴騰する。今買って後で転売すれば巨大な利益』そう言ってローンで買わせる。

アメリカ式トリクルダウンとは、実所得を無視して、保有する家や株の時価を担保にしたカード利用額限度の引き上げ・・・そして、リーマンショック。『借金をトリクルダウン』したのだ。