アメリカの国家戦略の危険さ―イラク侵略と北朝鮮

※1 ◆は参照報道;①〜はその要点で、論旨明確化と背景説明を加えた「意訳」です。敬称略。
※2 ❶〜や※で始まる文章は私見です。
※3 Web登録後も関連報道などを追記します。

北朝鮮ミサイル:米国、圧力に手詰まり感 強硬論も再浮上(毎日)
https://mainichi.jp/articles/20171130/k00/00m/030/095000c
①米MSNBCテレビ「大統領はアジア歴訪で何の対処もできなかったことが露呈した」
②米国務省は、朝鮮戦争の国連軍参加国十数カ国に日韓を加えた閣僚級会合を近く開催し、北朝鮮問題を協議すると発表したが、この北朝鮮封鎖連合国工作は中国とロシアを抜きにした枠組みで、実効性に疑問、手詰まり感。
共和党のグラム上院議員はCNNテレビで「状況に変化がなければ、我々を待つのは戦争だ」

❹米国務省の「朝鮮戦争の国連軍+日本軍」の再構成は、2002年9月にアメリカが「新国家安全保障戦略」を宣言した内容と一致し、その後のイラク侵略戦争を彷彿とさせる。

➎【アメリカの新国家安全保障戦略ノーム・チョムスキー
アメリアはいかなる挑戦を受けても、圧倒的な軍事力でこれを阻止する
・唯一アメリカのみが「予防戦争」を行使する権限を持つ
・安全保障にかかわることなら、アメリカは国連その他から一切の干渉を拒否できる
アメリカの自由を保証するために、何度戦争が必用かは予測不可能で、テロ戦争に終わりはない
アメリカは、実際の脅威があれば当然、無くてもその能力があると認定する国を仮想敵と見做す

➏アフガン空爆を開始したアメリカはタリバン政府にオサマ・ビン・ラディンの引き渡しを要求し、タリバン政府はその根拠を提出するよう求めたが、9.11とラディンの関係証拠など何もなかった。
アメリカは根拠を示せず、代わりに「タリバン政権が消滅するまで空爆する」と言い代えた。

イラク侵略戦争でも同じだった。「サダム・フセイン大量破壊兵器保有し、隣国を侵略しようとしている。フセインアルカイダと関係し、9.11テロにも関係している」とのプロパガンダを米国内で流布させ、恐怖に怯えるアメリカ国民を戦争に駆り立てた。

➑実際は、イラク軍は弱小で、大量破壊兵器保有せず、フセインアルカイダは仇敵ですらあった。しかし、アメリカは、「大量破壊兵器保有する能力があり、アルカイダを支援する可能性もある」から、フセインイラクアメリカの敵国であり、殲滅しなければならないと、言い代えて強行した。

北朝鮮が核ミサイルの完成に注力し、開発停止の圧力に屈しない理由;
サダム・フセインアメリカの圧力に屈した結果、国家を殲滅され、フセインも虐殺されたこと
・圧力に屈しなかったインドとパキスタンは核弾頭ミサイルを完成させ、アメリカの侵略を阻止した

➓米国務省が主導する「朝鮮戦争国連軍+日本軍」再生は日本を侵略国にさせる。それにのめりこむ安倍晋三は極めて危険な存在であり、まさに日本の国難存在である。

⓫9.11とラディンの関係証拠など何も示せなかったアメリカとイギリスは、「タリバン政権が消滅するまで空爆する」と言い代えた。それを宣言したのはアメリカの新安全保障戦車にのめり込むブレアのイギリスであった。

⓬アフガンとイラクへの侵略戦争はブッシュのアメリカとブレアのイギリスが「国家テロ」を主導したが、今回の北朝鮮問題では、トランプのアメリカと安倍晋三の日本が北朝鮮侵略の主役を担う可能性が高い。

◆2か月半ぶり発射強行、“全米射程”の「火星15型」とは(TBS)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3225651.html
朝鮮中央テレビ
・新しく開発した大陸間弾道ロケット『火星15型』の試射が成功裏に行われた
アメリカ本土全域を打撃できる超大型重量級核弾頭の装着が可能な大陸間弾道ロケットとして、7月に試射した火星14型より、はるかに優れた武器システムである
弾道ミサイルは、平壌近郊平城付近から発射され、青森県の西およそ250キロの日本海に落下したと推定されています。到達高度4500キロ、飛距離960キロ、「ICBM級ミサイル」と分析され、
通常の軌道で発射されれば飛距離は1万3000キロ以上に達し、アメリカ全土が射程に入ったと警告
③声明文に「大型重量級弾頭」を搭載できると主張。水爆の小型化や大気圏再突入時の弾頭保護技術が未完成でも、確実に着弾させる能力を完成させたという

❹その一方で北朝鮮は「我が国を敵視しない国に脅威を与えることは決してない」と声明し、日本に警告している。

アメリカの「新国家安全保障戦略」は圧倒的に弱小な国にしか侵略を発動しない。インドやパキスタンアメリカの侵略を免れ、アフガンやイラクリビアが侵略された事実からくる、アメリカ「新国家安全保障戦略」の中枢部を完璧に突いた実績だと言える。

アメリカの核空母打撃陣を三艦隊も日本に集結させ、日韓両軍と連合艦隊を組んで威嚇しているその真上にICBMを打ち上げ、三艦隊がたむろする日本海に着弾させたことは、北朝鮮アメリカの「新国家安全保障戦略」の弱点を正確に見抜いていることを証明している。